みやざき県庁職員日記

知事もすなる日記といふものを、県庁職員もしてみむとするなり

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こんにちは。
小林食肉衛生検査所の福家です。

当検査所は、霧島の麓にあり、獣医師19名で業務を行なっています。
その業務は主に、牛肉・豚肉・鶏肉が店頭に並ぶ前に、安全に食べられるか様々な検査をすることです。
検査の多くは現場で肉眼的に食用としての可否を判断していますが、肉眼的に判断できない場合は試験室で精密検査(微生物、理化学、病理)を行ないます。
今回は、先日行なった病理検査について紹介します。

病理検査とは?

病理検査とは、肉眼的に異常を認めた臓器を採取し、顕微鏡を用いて細胞レベルで異常の原因を究明する検査です。

牛の様子がおかしい!

検査の一つである、と畜検査(食肉に加工する施設に運び込まれた家畜の健康状態の検査)は、主に生体検査と解体後検査(内臓検査、枝肉検査等)に分けられます。
ほとんどの異常は解体後検査にて発見されます。

ある牛を解体後、心臓、肝臓、子宮、膀胱、リンパ節などに腫瘍病変(「しこり」のような部分)が認められ、病変の分布から、牛白血病という病気が疑われました。  

牛白血病とは?

牛白血病とは、牛白血病ウイルスによって引き起こされる牛特有の感染症です。
この病気になると、血液中のリンパ球と言う細胞が異常に増え、リンパ節の腫脹、元気消失、食欲不振、下痢などの症状を呈し、最悪の場合死に至ると言われています。
平成28年度は県内でと畜検査した牛49,340頭中94頭(約0.2%)が牛白血病と診断されており、非常に稀な病気です。
なお、このウイルスは、ヒトには感染しないので心配はいりません。
牛白血病と診断する基準は、「肉眼所見と病理組織所見が認められた場合」と定められています。

この牛は・・・

この牛は、一旦保留(検査結果が出るまで製品としての流通を留め置くこと)し、病変を認めた臓器を採材し、病理検査を行うこととしました。
まず、組織を約3mmの薄さに切り出し、専用の機械で組織をろう(パラフィン)に埋め込み、冷やして固めます。
これを4μm(1μm=1/1000mm)の薄さで切り、標本を作製し、特殊な染料で染色後、顕微鏡で観察しました。
ここまでに約2〜3日かかります。

イメージ 1
組織標本を観察中

診断結果は?

 イメージ 2左:正常なリンパ節(矢印:リンパ濾胞)、中:腫瘍のリンパ節、右:腫瘍のリンパ節の拡大(いびつな形の腫瘍細胞が増殖する)

正常なリンパ節では、左の図の矢印で示すリンパ濾胞(ろほう)というリンパ球が成熟する丸い構造がみられます。
一方、この症例では真ん中の図のようにリンパ濾胞が腫瘍細胞に置き換わり、消失していることが分かります。
さらに、高倍率で観察した右の図では、いびつな形のリンパ球が多数出現していました。
これが、腫瘍細胞です。
他に、心臓、肝臓や子宮などにも同じ腫瘍細胞を認めたため、リンパ腫と診断しました。
さらに、牛白血病ウイルス赤血球凝集試験により高い抗体価を示したことから、最終的にリンパ腫の中の牛白血病と診断しました。
牛白血病や腫瘍と診断された場合は、「肉や内臓などを全部廃棄すること」と「と畜場法」に規定されているので、今回の牛は全部廃棄処分としました。

安全なお肉の提供のために

異常のある牛や豚を検査する際、保留をしなければなりません。
つまり、出荷できないのです。
検査で合格になれば出荷ができますが、時間がたちすぎるとお肉の鮮度が落ち、商品価値も下がります。
かといって、迅速さだけを追求し誤った判断をすると、消費者を危険にさらす恐れがあり、我々検査員には迅速かつ適切な検査が求められます。

今後も、安全でおいしいお肉を提供できるよう、最高レベルの検査をしていきます。

以上、小林食肉衛生検査所(TEL:0984-22-6639)でした。

イメージ 3

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