月の☆彩り

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旅路其の三十六

チョンホ達は、見張りの目をかいくぐり、洞窟が一望出来る処まで近付き、様子を見る事にした。

県監が取り捲きの役人達を連れ、洞窟の前に辿り着くと、洞窟の傍の小屋から商人らしき男人が出て来て、県監の側に近付き県監に挨拶すると手下の者を側に呼び何かを指図すると、洞窟の中から木箱が運び出されて来た。

次々と、洞窟の中から運び出される木箱。

運び出された木箱の一つを、取り巻きの一人のウ・サンジョンが開けて、中を確認すると手下に言い付け荷車に積み始めた。


県監が商人らしき男人に

「如何やら、此処此の近辺を探ってウロチョロとネズミが煩い。暫らくホトボリが冷めるまで此処を封鎖する事にする」

「中の連中は如何しますか?」

「何時もと同じ手筈で・・・」


県監の言葉に、商人らしき男人は薄笑いを浮かべると

「分かりました。何時ものように処分して置きますので・・・」

「ああ、なまじ生きていると、何を言われるか分からん!死人に口無しと言うからな!」

県監は、そう言うとウ・サンジョンに木箱を早く荷車に積む様に言い付けると、急いで洞窟から離れる様に指図していた。

その様子を遠くから見ていたチョンホは、ヒョニに何か耳打ちをすると、ソンシクと二人で身を潜めながら洞窟の方に近付いて行った。


洞窟の中から、ヨンウン達が引き出されると、ヨンウン達は商人らしき男人に何か言われたのか、地面に穴を掘り始めた。

ヨンウン達が穴を掘る間、逃げない様に周りを取り囲んでいた無頼漢達は、穴が深く成るとお互いに顔を見合わせ頷くと、次々と短刀を抜いた。

その様子を見て、穴から這い出て逃げ様とする者達に向かって、短刀を振り下ろすと、その手首に石が当たり無頼漢は短刀を取り落し手首を押さえて蹲っていた。

石は、チョンホが投げた物だった。

無頼漢達は、一斉に石つぶてが飛んで来た方向に身構えると短刀を構え

「誰だ!姿を見せろ!卑怯な!」

「卑怯?私達を卑怯と言うなら、お前らは何なんだ?無抵抗の者に短刀を向けるのは、卑怯では無いのか?」

ソンシクの言葉が聞こえると、その場から引き上げ掛けていた県監とウ・サンジョンの歩みが止まった。

「サンジョン」

県監の言葉に、ウ・サンジョンは急いで踵を返し、無頼漢達の前に立つと、チョンホとソンシクを見据えていた。

「その掘られた穴は、墓穴のようだな」

「・・・・・」

「役人で在りながら、何の罪も無い者達を殺そうとするとは、言語道断」

ソンシクの言葉を聞いて、薄笑いを浮かべたウ・サンジョンは、刀を抜くとソンシクに斬り掛って来た。

ソンシクは、ひらりと身をかわすと、チョンホと横に飛びのき、身を屈めると、ソンシクとチョンホの後ろから、おびただしい石礫(いしつぶて)が飛んで来た。

下級官史達が、チョンホとソンシクの味方をして投げている物だった。

武力では、到底敵わない事は分かっているが、何かしらチョンホ達の手助けがしたいと思う下級官史達の気持ちがさせた事だった。

次から次と飛んで来る石礫に閉口しながら、ウ・サンジョンは、ひらりと身をかわしながら、チョンホ達の側に近付いていた。


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