月の☆彩り

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旅路其の三十七

ウ・サンジョンが石礫を避けながら、チョンホ達の側に近ずくのを見た無頼漢達は、自分達も何とかチョンホ達の側に近付こうと、石礫を避ける為に側に有った木箱の蓋を盾にして、チョンホ達の方に近付こうとしていた。

”ウワー”

咄嗟に起こった、後ろの方から聞こえる悲鳴に、無頼漢達が一斉に振り返ると、無頼漢達の一番後ろに居た、無頼漢が襟首を掴まれ先程掘られた穴の中に放り込まれていた。

無頼漢を穴に放り込んだのは、ヨンウンだった。

ヨンウンは、チョンホに言い含められ、今まで気の弱い男人の振りをしていたのだった。

連れて来られてから、オドオドしているヨンウンを無頼漢達は、馬鹿にした様にいい様に使っていたのだ。

今、目の前に居るヨンウンは、何時ものオドオドしたヨンウンでは無く、鋭い目つきで、無頼漢達を見据えていた。

昔、チョンホとソンシクに助けられてから、二人の影響を受け悪事許すまじと言う心を培ってきたヨンウンだったのだ。

自分達の掘った穴の中に、次々と無頼漢達を放り込むと、ヨンウンは一緒に捕まっていた他の者達に

「上からムシロを被せて」

と、言うと

被せたムシロの上にヨンウンが飛び乗り、その衝撃で無頼漢達を動けなくしていた。

余りの手際の良さに、他の無頼漢達は唖然としていたが、ムシロの下から聞こえる仲間の呻き声で我に帰るとヨンウンを捕まえようと襲い掛かって来たのだ。

ヨンウンは、一緒に捕まっていた者達に、ムシロの下の無頼漢達を縛る様に言うと、襲い掛かって来た他の無頼漢達を次々に投げ飛ばしていた。

その様子を、目の端に捉えながらもウ・サンジョンは、気にする事も無く、動じる事も無くじりじりとチョンホ達の方に近付いて居た。

ウ・サンジョンの心の中には、何も無かった。

足元から崩れ落ちそうに成っている今の現状を止める気にもなれずに居る自分が不思議だった。

今まで、県察の命令に忠実に仕事をこなして来た。

上官の命令は、絶対だったのだ。

最初は、自分の中にも葛藤が有ったが、何時しかそんな事も気に成らなく成っていた。

只、県監の命令のまま、目障りな人物達を闇から闇に葬り去って来たのだ。

今、近づく先には、今まで感じてきた事が無い、眩しい程の正義感を醸し出す者達が居るのだ。

最早、自分が手に入れたくても汚れきった自分には、手に入れる事の出来ないものだった。

ようやく石礫を避けながらチョンホとソンシクの傍にたどり着いたウ・サンジョン。

石礫を投げていた下級官史達は、石を投げるのを止め手に石を持ったまま、チョンホ達を呆然と見守っているのだった。

「警備が厳しい筈だったが、良く此処まで近ずいてこれたものだ」

「ええ、親切な平和を望む男人が此処まで導いてくれましたからね」

チョンホの返事を聞いて、ウ・サンジョンは、下級官史達の方にチラリと視線を移したが、別段気に止める風でも無く視線をチョンホとソンシクの方に戻していた。

「フッ・・・下級官史達を味方に付けるとは、考えたな」

「何故、下級官史達が私達の味方をするか、考えた方がいいな」

ソンシクの声は、穏やかだが、どことなくウ・サンジョンを哀れんだ様に聞こえた。

その声に反応するかの様にウ・サンジョンはソンシクに切りかかって行った。

「チョンホ・・・手出し無用・・・」

ソンシクの言葉が終わらないうちに、頭上から刀が降りおろされたが、紙一重で刀をかわしていた。

「若造の分際でやるじゃないか」

「生憎だが、私も命が惜しいんでね。むざむざ切られる訳にもいかない・・・」

ソンシクは、そう言うと刀を横になぎ払い、続けて回し蹴りを繰り出していた。

チョンホに手出し無用と言ったが、ウ・サンジョンの腕前は、相当なもので気を抜くとやられかねないとソンシクは冷や汗をかいていた。



その様子を遠くで見ていた、県監は側近達に、早くこの現場を離れて官営に戻るように指示を出していた。

官営に戻り、他の官史達に下級官史達が謀反をおこしたと通達し、討伐させようという考えだったが・・・不意に行くてを遮られた。

県監の前に立ちはだかったのは、馬に乗ったイム・ジュファンだった。

県監は、イム・ジュファンの姿を見ると、何を思ったか

「おお、良いところに来てくれた。謀反だ」

県監の言葉に、眉を眉を顰(ひそ)めるイム・ジュファンに、更に付け加える様に

「早く討伐をする様に」

イム・ジュファンが軍服を着ているのを見て、官営の軍人と勘違いしたらしい。

県監の言葉に動こうとしないイム・ジュファンを訝しげに見ていた側近の一人が

「貴公・・・見たことが無い顔だが?」

シゲシゲとイム・ジュファンの顔を見ていた他の側近が

「お前、確か乞食のような身なりをしてうろついていた男人に似ているが・・・」

その側近の言葉に、不敵な笑を浮かべるイム・ジュファンだった。

「お前は、何者だ・・・」

側近とイム・ジュファンのやり取りを見ていた県監は、苛ついたように

「早くその男を退けろ」

県監の言葉で今にも襲いかかろうとする側近達から、目を離す事なくイム・ジュファンが、ゆっくりと右手を上げると左右の森の中からおびただしい兵士たちが出て来て、たちまち県監達を取り囲んでいた。

驚いた県監は

「一体何のつもりだ。謀反人達は向に居るぞ。儂は県監である。人間違いをするとはけしからん」

「謀反人は、貴公であろう!証拠は上がっている」

イム・ジュファンは、そう言うと兵士達に命じ荷車を取り囲んでいた側近達を捕まえ、荷車に被せて有ったムシロをむしり取らせ、積んで有った銀塊を示した。

側近達は、抵抗仕様にも大勢の兵士に囲まれた事で戦意を失っていたのだ。

「此の地方の銀の採掘は国法で禁止されている筈、此の銀塊は何かな?」

「此れは、王様の命令で採掘した物で・・・」

「黙りなさい!! 私は王命を受けて調べていたのだ」

イム・ジュファンはそう言うと袂の中から馬牌を取り出し県監に示していた。

「暗行御使・・・・」

県監は、放心したように項垂れ、馬から降ろされていた。

「証拠も押さえた、証人も揃えてある。県監は漢陽に護送し王様より厳罰を賜るであろう。他の者達は牢に入れておけ、後で処罰が下される」

イム・ジュファンは、兵士達に指示を出すと、洞窟の方に馬の歩を進め、ヨンウン達に声を掛けていた。

「大丈夫か?怪我人等居らぬか?」

「俺達は、大丈夫ですが・・・怪我人なら此処に転がってます」

其処には、ヨンウンに叩き伏せられ縛られた無頼漢達が多数転がっていたのだ。

「チョンホに聞いていたが、聞きしに勝る怪力だな」

イム・ジュファンは、愉しそうに笑っていたが、刀の打ち合う音が聞こえ顔に緊張が走た。

「まだ、片ずいて居なかったな・・・」

ソンシクとウ・サンジョンが戦っていた。

お互いに一歩も譲らず、一進一退の戦いだったが、ウ・サンジョンがイム・ジュファンに気が付き、一瞬隙が出来た。

その隙にソンシクの回し蹴りが決まった。

ウ・サンジョンの身体がすっ飛び、木に強かに身体を打ち付けていた。

固唾を飲んで見ていた下級官史達から歓声が上がった。

「大丈夫か?ソンシク」

「ええ・・何とか」

イム・ジュファンの問い掛けに、ソンシクは息切れしながら応えていた。

ウ・サンジョンは、木に打ち付けた背中の痛みに耐えながら、周りの様子を伺っていたが、県監やその側近達が捕縛されているのを見て総てを悟ったのだろう。

チョンホ達の目が自分から離れた一瞬、持っていた刀を腹に突き立てていた。

「何をするんです!!」

チョンホが気付き、ウ・サンジョンの腹から刀を引き抜くと傷口を抑えていた。

「何・・・このまま生きていても死罪は免れん!拷問を受ける位なら此処で死ぬさ」

「卑怯です!」

「卑怯か・・・自分でしてきた事だ。例え県監の命令でも、何人もの人間をこの手で闇に葬ってきた。自分の番が来ただけの事だ・・・」

チョンホは言葉が出なかった。

「出来る・・・事なら・・・次に・・生まれ変われる・・なら・・ましな・・・生き・・方が・・したい・・な・・・・」

動かなくなったウ・サンジョンの亡骸を地面に横たえると、チョンホは呆然と立ち尽くしていた。

旅路其の三十六

チョンホ達は、見張りの目をかいくぐり、洞窟が一望出来る処まで近付き、様子を見る事にした。

県監が取り捲きの役人達を連れ、洞窟の前に辿り着くと、洞窟の傍の小屋から商人らしき男人が出て来て、県監の側に近付き県監に挨拶すると手下の者を側に呼び何かを指図すると、洞窟の中から木箱が運び出されて来た。

次々と、洞窟の中から運び出される木箱。

運び出された木箱の一つを、取り巻きの一人のウ・サンジョンが開けて、中を確認すると手下に言い付け荷車に積み始めた。


県監が商人らしき男人に

「如何やら、此処此の近辺を探ってウロチョロとネズミが煩い。暫らくホトボリが冷めるまで此処を封鎖する事にする」

「中の連中は如何しますか?」

「何時もと同じ手筈で・・・」


県監の言葉に、商人らしき男人は薄笑いを浮かべると

「分かりました。何時ものように処分して置きますので・・・」

「ああ、なまじ生きていると、何を言われるか分からん!死人に口無しと言うからな!」

県監は、そう言うとウ・サンジョンに木箱を早く荷車に積む様に言い付けると、急いで洞窟から離れる様に指図していた。

その様子を遠くから見ていたチョンホは、ヒョニに何か耳打ちをすると、ソンシクと二人で身を潜めながら洞窟の方に近付いて行った。


洞窟の中から、ヨンウン達が引き出されると、ヨンウン達は商人らしき男人に何か言われたのか、地面に穴を掘り始めた。

ヨンウン達が穴を掘る間、逃げない様に周りを取り囲んでいた無頼漢達は、穴が深く成るとお互いに顔を見合わせ頷くと、次々と短刀を抜いた。

その様子を見て、穴から這い出て逃げ様とする者達に向かって、短刀を振り下ろすと、その手首に石が当たり無頼漢は短刀を取り落し手首を押さえて蹲っていた。

石は、チョンホが投げた物だった。

無頼漢達は、一斉に石つぶてが飛んで来た方向に身構えると短刀を構え

「誰だ!姿を見せろ!卑怯な!」

「卑怯?私達を卑怯と言うなら、お前らは何なんだ?無抵抗の者に短刀を向けるのは、卑怯では無いのか?」

ソンシクの言葉が聞こえると、その場から引き上げ掛けていた県監とウ・サンジョンの歩みが止まった。

「サンジョン」

県監の言葉に、ウ・サンジョンは急いで踵を返し、無頼漢達の前に立つと、チョンホとソンシクを見据えていた。

「その掘られた穴は、墓穴のようだな」

「・・・・・」

「役人で在りながら、何の罪も無い者達を殺そうとするとは、言語道断」

ソンシクの言葉を聞いて、薄笑いを浮かべたウ・サンジョンは、刀を抜くとソンシクに斬り掛って来た。

ソンシクは、ひらりと身をかわすと、チョンホと横に飛びのき、身を屈めると、ソンシクとチョンホの後ろから、おびただしい石礫(いしつぶて)が飛んで来た。

下級官史達が、チョンホとソンシクの味方をして投げている物だった。

武力では、到底敵わない事は分かっているが、何かしらチョンホ達の手助けがしたいと思う下級官史達の気持ちがさせた事だった。

次から次と飛んで来る石礫に閉口しながら、ウ・サンジョンは、ひらりと身をかわしながら、チョンホ達の側に近付いていた。

旅路其の三十五

ヒョニは、酒席で男人の話題をさり気なく、少しずつ変えて男人が今手がけている仕事の事を聞き出していた。

商人らしき男人は、美しい妓生が田舎者の自分に感心を持って呉れたのが余程嬉しかったのか、得意に成って色々と話していたのだ。

そしてその男人は、帰り際に他の妓生達に知られない様に素早くヒョニの手に何か握らせて

「今日は、用事が有って帰らなければ成らないが、明日も来る。明日は泊っていくからお前が相手をしてくれ、床を共にしてくれたら、此れを沢山やる」

そう言ってヒョニの手を握りしめ撫で廻すと、脂ぎった顔にいやらしい笑いを浮かべ、耳元で

「明日が、楽しみだ」

そう言うと、その男人は帰って行ったが、ヒョニは掴まれて撫でまわされた手の感触がおぞましく直ぐにでも洗い流したい衝動を抑え、手で握りしめた物を見ずに布で包み着替えると急いでチョンホ達が待つ酒幕に戻っていた。

酒幕に戻り、チョンホ達に事の次第を話すと、布を広げて男人が握らせた物を見せたが、チョンホもソンシクも、そして戻っていた、乞食両班のイム・ジュファンもそれを見て唖然としていた。

布に包まれて居た物は、銀の塊だったのだ。

「此れは・・・・・」

「銀塊ですね。それもまだ、何も手を加えていないように見受けられますが・・・」

銀塊を手に取って、眺めていたチョンホが側にいたイム・ジュファンに銀塊を渡すとイム・ジュファンは

「如何やら、この近辺で行方知れずになった若者達は、この銀塊に関係しているようだな・・・」

「もしかして・・・・銀の採掘をしていると言う事か?」

ソンシクの言葉に、イム・ジュファンは

「ああ、多分そうだろう」

「確か、此の地方の銀の採掘は国法で禁止されていた筈ですが・・・悪党の遣りそうな事ですね」

チョンホは、そう言うと黙りこんで何か考えている様なので、ソンシクはイム・ジュファンに

「ヨンウンが連れ込まれた場所が怪しいと思いますが・・・」

「グンミンに案内されて、連れていかれた近辺を歩いてみたが、見張りの人数が多くて側に近付く事は無理だった。あれだけ厳重に見張っているんだ、間違い在るまい。近付くのは、昼間は無理だろうな」

二人の会話を聞いていたチョンホは、ヒョニにペク・イルソプと幼馴染だと言う見張りの役人を呼んで来る様に言うと

「ペク・イルソプの幼馴染に協力を頼みましょう」

「おい、チョンホ!本気で言って居るのか?上司に報告するかもしれないぞ・・・」

「上司に報告するくらいなら、とっくに我々の動きを知らせている筈ですし、それにヒョニにペク・イルソプに隠れて居る様にと言付けした位ですから、悪い人間ではなさそうです」

チョンホの言葉にソンシクは

「そうか・・・チョンホお前、その幼馴染が此の近隣の地理に詳しいのを踏まえて利用しようと言う事か?」

「利用するとは、人聞きが悪いですね。正義の為に働いて貰おうと言う気持ちなんですがね!イム・ジュファン殿は如何思われますか?」

「そうだな、悪い奴では無さそうだ。此処は幼馴染を助けると言う名目で、協力して貰ッた方が良いだろう。他にも県監の悪事に眉を潜める者達も居よう、自分達の手で不正を暴く様にしてやる事も大事な事だ」

イム・ジュファンの言葉に

「自分達の手で不正を暴くと言っても、下級官史達では県監に太刀打ち出来る筈が無いと思いますが?」

イム・ジュファンは、笑いながら

「君達が居るではないか!漢陽の領義政大監が信頼して、江原道・三陟で都護府使を勤める甥のチョ・ソンハの元に行かせたであろう」

イム・ジュファンの言葉に、チョンホとソンシクが顔を見合わせると

「ソンハから君達の事は聞いてる!漢陽でも三陟でも助けて貰ったと、楽しそうに話していたからね。君達とは、一度会ってみたいと思って居たんだが、こんな形で知り合いに成れるとは思って無かったから、つい嬉しくてね」

「チョ・ソンハ殿とは、如何言う関係何でしょうか?」

今まで、乞食両班と思ってぞんざいな口を聞いていたソンシクだが、チョ・ソンハと知り合いと聞き、態度を改めイム・ジュファンに聞いてみると

「そう態度を改める事も有るまい。着物は、ボロボロで散々君達にたかっていたんだ。胡散臭い男だと思われても仕方あるまい。気にするな」

「そう言って頂くと、私も気が楽に成ります」

「私は、チョ・ソンハとは、幼馴染で父が領義政大監の下で働いているんだ。実は、前々から銀の横流しが噂に成っていたんだが、前王が失脚して新しい王様に成り、事の次第を調べる様にと密命を受けたのだ」

「では、貴方が暗行御使殿・・・・」

チョンホとソンシクは絶句していた。

噂では聞いた事が在る。

暗行御使・・・王の勅命を受けて、秘密に行政を監察して、必要な時は現場で王を代理して判決を下し処置をする権限を持つ王の特使なのである。

「噂の真相を調べていたのだが、県監の悪事が中々掴めずにいた所、君達に出会ったと言う訳だ。悪く思うな」

「いいえ、そう言う訳では、身分を明かす事が出来なかったでしょう」

チョンホとソンシクは、イム・ジュファンの手に在る馬牌を見て、イム・ジュファンを改めて力強い味方だと確信すると同時に、県監の悪行を暴き、罪の無い役人達や民を救える事が出来ると、安心出来た。

此れ以上の味方がいようか、多分酒幕の陰でイム・ジュファンが話していた相手は、イム・ジュファンの手の者だろう。

後は、ヨンウンが連れ込まれた洞窟の中で、採掘されているだろう銀塊を動かぬ証拠として監察に付き付け悪事を暴くだけだが、県監に気付かれ怪我人を出さない様に慎重に事を進めなければならないのである。

部屋にペク・イルソプの幼馴染を呼んで、ペク・イルソプを助ける為に県監の悪事の証拠を掴みたいと、説得を試みた所、下の役人の殆んどの者が県監や県監の取り巻きの上司達に嫌悪感を持っているが、命が惜しく見て見ぬ振りをしていたと、涙ながらに話してくれた。


ペク・イルソプの幼馴染の話しによると、県監が時々、取り捲き達を伴い噂の山の方に出向く事が有り、帰りには荷車に何か乗せて戻って来ると話していたが、決して取り捲き以外の役人を近づける事が無いと話してくれた。

チョンホは、獣道の所在を聞くと、山に通じて地元の猟師しか知らない、獣道が存在している事を教えて貰っていた。

「そう言えば・・・明日、山に行く筈です」

「何故分かる?」

「夕刻、一旦官営に戻った処、荷車の支度をしていましたから」

「明日か・・・丁度良い、現場を押さえれば、言い逃れ出来無いでしょう」

「チョンホ、急ぎ過ぎじゃないのか?」

「いや、良い考えかも知れぬ。今度、何時山に行くか分からないからな。私は手の者たちに連絡して支度をさせる」

そう言うとイム・ジュファンは部屋を飛び出して行った。

ペク・イルソプの幼馴染は

「私は、明日県監様が出掛けた時を見計らい、皆さんをご案内します」

「外に居る他の役人達は、大丈夫か?」

「ペク・イルソプを助ける為だと言えば、協力してくれますよ!皆地元の仲間ですからね」

そう言うと、ペク・イルソプの幼馴染は、何か吹っ切れた様な顔付きに成っていた。

翌日、ペク・イルソプの幼馴染から話しに引き込まれた下級官史から連絡が入り、県監が取り捲きの役人達を連れ官営から出掛けたと連絡を受けるとチョンホ達は酒幕を後にしたが、チョンホ達を監視していた下級役人達が一緒に付いて来てしまった。

如何やら、横暴な上官や県監の遣り方に憤慨してチョンホ達の味方に成ったようだ。

漢陽の、領義政大監から通達の有った成均館の儒生。

下級官史達は、イム・ジュファンの事はまだ知らないが、此の若い二人が通達の有った成均館の儒生に間違いないと思えていた。

此の現状から救って貰えるなら、此の二人の若者にどんな手助けをしても良いと考えて、いざと成ったら上官に抵抗しても二人を助ける気持ちに成っていた。

チョンホ達は、ペク・イルソプの幼馴染の案内で、獣道から噂の山の麓に入り込んでいた。

旅路其の三十四

その日は、行方不明に成った若者達の事を調べに、近隣の村に出掛けたのだが、チョンホの考えでヨンウンとグンミンは別々に村に入って別行動をする様にと言われていた為に、ヨンウンだけが捕まりグンミンはその後を追い掛けたのだろう。

チョンホ達は、ヨンウンが連れて行かれた先をグンミンが確認して戻って来るのを待つ事にした。

その日の夕刻、グンミンは酒幕のチョンホ達の元に戻って来た。

「ヨンウンが連れて行かれた先を突き止めて、もう少し早く戻りたかったんですが、見張りの警戒が厳しくてやっと抜け出せたんです」

グンミンの話では、近隣の村に近付くと遠巻きに、ヨンウンの様子を窺う男人達が居た為、それと無く離れた場所から隠れて様子を見て居た所、その男人達は周りに人影が無い事を確認すると、ヨンウンに近付くと一言二言何か話していたと思ったら、急に短刀をヨンウンの脇腹に付き付け、ヨンウンの周りを取り囲む様にして連れて行ったと話していた。

遠くから、その様子を見ていたグンミンは、慌てて手持ちの紙に事の次第を書き、近くで遊んでいた子供にその書付を渡しすと

「これを町の酒幕に泊ってる、若い両班のパク・ソンシクと言う人に持って行くと、お駄賃が貰えるから直ぐに持って行ってくれ」

「お駄賃くれるの?」

「ああ、ちゃんと貰えるよ」

「分かった、両班のパク・ソンシクと言う人だね!」

「頼むな、坊主。大事な手紙なんだ!」

そう言って書付を渡すと、先程ヨンウンが連れ去られた方に踵を返すと、走りだしていた。

ヨンウンを連れた男人達は、山の中に奥深く入り込んで行った。

離れてヨンウンを追い掛けながら、進んで行くと所々に見張りがいるので用心をしながら、見張りの目を盗んで奥深く後をついて行くと、ヨンウンは見張りが立っている洞窟の中に連れて行かれたので、洞窟の中から出て来るのをじっと待っていた。

夜遅く成って、洞窟の中から何人もの若い男人達と一緒にヨンウンも出て来たが、側に近寄れない以上洞窟の中で何をしていたのか知る由も無いが、出て来た男人達は全員疲れ切っている様子で、洞窟の直ぐ側に在る掘建て小屋に入れられ、外から閂を掛けてヨンウン達が出ない様にして、小屋の周りに見張りが立ち逃げ出さない様にしていた。

グンミンは、その事を確認すると物音を立てない様に、そっとその場所を離れ夜が明ける頃、見張りが油断して居眠りを始めるとやっと山から脱出出来たのだ。

山から出ると、その周辺を歩いて一通りの地形を覚え込んみ、只ひたすらチョンホ達の元に急いでいたが、町に入るとのんびりと歩き出していた。

此の町に入ってから、見張られて居た事を思い出してわざと歩調を落したのだ。

酒幕の傍まで来ると、今まで遠巻きに見張りが居たのにその見張りの姿が見え無い事に不思議に思ったがチョンホ達の元に戻って来れた事に安ど感が湧いて来ていた。

グンミンは、此処を出て若者達が行方不明に成った村を訪ねた時の報告を一通りチョンホ達にして、先程から不思議に思ってた事を口に出していた。

「そう言えば、この酒幕の周りで見張っていた役人の姿が見え無い様ですが、いい加減見張るのに飽きたんでしょうか?」

グンミンのその言葉に、ソンシクは苦笑して

「何、お前が居ない間に役人共が乗り込んで来たのさ」

「ええ・・・・一体何でですか?」

「名目は、此処に運び込まれた怪我人の身元調べだったが、既にその怪我人が此処に居ない事が分かると、真っ青に成って慌てて戻って行ったさ」

ソンシクの言葉を補足するようにヒョニが話して呉れた。

「昨日、急に役人達が押し込んで来て、怪我人が居ると届け出が有ったって言うから、怪我人ならとっくに家に帰りましたよって言ったんだけど、部屋を改めると言って酒幕中の部屋を片っ端から調べて、居ない事が分かると慌てて戻って行ったわ」

「用心して、怪我人を移しておいて良かったですね」

「本当に、でもあの役人達、外に出るとヒソヒソと『怪我人が運び込まれた時に、撤収命令を出すからこんな事に成るんだ』って言ってたわよ。それに『仲間の役人を斬った事を知られたく無かったんだろう』って『動けるようなら傷は浅そうだが、此のまま姿を隠してくれていた方が安心なんだが』って何だか怪我をした役人に同情的だったわよ」

「皆、上官の命令に逆らう事が出来ないんでしょう。それに怪我をした役人を連れて行けば如何成るか分かり過ぎる位、分かって居るんでしょう」

チョンホの言葉に、直ぐにあの役人を安全な処に移した事を良かったと思えた。

あのまま此処に居たら、官営に連れ戻され口封じで殺され兼ねなかったのだ。



官営に戻った役人達は、直ぐに上官に報告すると、報告を受けた上官ウ・サンジョンは一瞬驚いた顔をした。

深手とは行かなくても、斬った時の手応えは確かに有った。

そう簡単に、動けるとも思えなかったが、一応怪我をした役人ペク・イルソプの家に、他の役人を差し向けて、所在の有無を調べさせたが家に帰った形跡も無く、一体何処に行ったのか段々不安に成って来た。

斬り付けた時、駆け付けて来たのは確かに酒幕に逗留している、あの若者達だった。

その夜は、怪我人を抱え込んだ以上動きは無いと思い、また自分が部下を手に掛けた事実を他の配下の者に知られたく無く見張りを引き上げさせたのだが、その隙を突かれた形に成っていた。

此の事を県監には、報告せずに内密に怪我をした役人の行方を探す事にした。

県監に手抜かりが知れれば、自分も何時口封じをされるか分からないし、実際何人も此の手で始末をつけて来たのだ。

町中の医者に、酒幕で刀傷の手当てをしたか如何か調べさせ、傷の手当てをした医者を調べると、怪我の度合いを確かめたが、自力で動ける程は軽くないとの事だった。

手当は、その時だけでそれ以降その怪我人を見てはいないと言う事だった。

一体、ペク・イルソプは何処に姿を隠したのか?

まだ、医者の手当てが必要な身体の筈なのだ。

今まで、県監に忠節を誓い働いて来たが、自分の部下を手に掛ける事に成りウ・サンジョンの気持ちに陰りが出て来ていた。



一通りの話を聞かされた、グンミンは

「段々ボロが出て来ましたね。悪い事をしていて、お日様の下を歩くなんてお日様が許しちゃ呉れませんや」

「あはははは・・・グンミンお前はお日様に許されたくちだからな」

「いやですよ!パクの若様・・・俺は、今では若様達のお陰でお日様の下を大手を振って歩ける身分ですから」

「そうですね、悪い事をしていれば必ず綻びが出て来ますから・・・お日様も黙ってはいないでしょうね」

「チョンホ何か良い案でも有るのか?」

「今は何とも言えませんが、此処はイム・ジュファン殿が鍵に成ると思いますよ」

「乞食両班のイム・ジュファンか。確かに何か隠しているな」

「ええ、私もそう感じています。何せ此処の役人達とは係わりが無さそうですし、私達が手助けされて居る事は事実ですからね。イム・ジュファン殿が何者でも敵で無い事は確かでしょう」

チョンホの含みの有る言葉に、ソンシクも何か思い当たる節が在るのか、其れ以上聞く事もしなかった。

怪我をした役人のペク・イルソプが、姿を消した事で県監の手下で、上官のウ・サンジョンが慌てて所在を探す中、チョンホは酒幕で話をしてくれた女人達を保護する事を考え、イム・ジュファンに頼んでいた。


上官のウ・サンジョンに依って酒幕に居るチョンホ達に、再度見張りが付けられたが、見張りをしている役人達は、如何やら怪我をしたペク・イルソプに同情的な事が分かり、表面上は見張りをしていても、チョンホ達の行動を上官に報告する者は一人もいなかったのである。

その事は、チョンホ達に幸運だった。

グンミンはヨンウンの事をチョンホ達に報告すると、イム・ジュファンと一緒にヨンウンが連れ去られた山の方に出向いていった。

他にも人手が必要だったが、その時はイム・ジュファンが心当たりが有ると言って心配無用との事、その行為に甘える事にした。


見張りの中の一人が怪我をしたペク・イルソプと幼馴染だと言う事を、ヒョニが聞き出すと、その役人にペク・イルソプが無事でいるとを知らせると、涙を浮かべて喜んでいた。

姿を現すと、自分達の手でペク・イルソプを捕まえ、内密に殺さなくてはならない為、此のまま隠れていて欲しいと言付けまで頼まれてしまい

「皆さん、良い方なんですよね。只上官の命令で、罪が無い事が分かっていながら、同僚に危害を与えなければならない事が辛いようです」

ヒョニはそう言うとしんみりと

「早く仲間同士で、危害を与える事が無い様にしてあげたいですね」

「そうだな、自分の欲の為に部下を犠牲にして良いと言う事は無いからな」

ソンシクの言葉に、皆も同じ気持ちだった。

そんな時、妓房から県監と密談していた商人らしき男人が酒を飲みに来ていると連絡が有り、チョンホは暫らく考え込んでいたがヒョニを側に呼ぶと何やら耳打ちをしていた。



妓房では、商人らしき男人が余程景気が良いのか妓生を全員呼んで、妓房は貸し切り状態に成っていた。

「今日は、お役人様達は御出でに成らないんですか?」

「ああ、今日は此の者達に沢山酒を飲ませてやってくれ、仕事がうまくはかどって気分が良いんだ」

「それは、良かったです事。お前達そそうの無い様にお相手するんだよ」

妓房の女将の声に、妓生達はにこやかに酌をして客の相手に成っていた。

商人らしき男人は、妓生の一人に目を止めると

「見掛けない妓生だな!」

「ああ、あの子ですか?私の姪なんですけど、漢陽から遊びに来てましてね。折角ですからご挨拶させようと此方のお座敷に連れて来たんですよ」

「おお、漢陽から来たのか。どうりで垢ぬけて居る筈だ。こっちに来て酌をしてくれ」

呼ばれた若い妓生は、ゆっくりとその男人の側に行くと、ニッコリ笑って酌をしていた。

「流石漢陽の妓生だけ在るな、華やかで美しい」

その美しい妓生は、はにかみながら酌をしていたが、その男人はその妓生が気に入ったようで、傍から放さず面白い話を聞かせて、その妓生の気を引いていた。

男人に気に入られた妓生は、ヒョニだった。

旅路其の三十三

「あの老婆には、悪い事をしました。あの老婆が官営を訪ねて来て、孫息子が行き方知れずに成ったので探して欲しいと私に頼んで来たので、色々とその時の状況を聞いて捜査をしようとした矢先、上司からその一件には係わる事は罷り成らぬと言われ、理由を尋ねても知る必要など無いと言われ取り合って貰えず、翌日あの老婆が訪ねて来ても上司からの命令で話を聞く事も出来ずに・・・・其れからは姿を見ると自責の念にかられ老婆を避ける様に成っていました」

その役人は、肩を落として帰る老婆の後ろ姿に亡くなった自分の祖母を思い出したと話していた。

老婆を避ける様に成って、老婆が肩を落として帰る後ろ姿を見る度に、何か老婆に申し訳無く思い上司に相談したが、けんもほろろに扱われ、係わり合い成るなと再三の注意を受けたが、孫息子を探し周る老婆が哀れに成り、秘かにその孫息子が行方知れずに成った時の事を調べ出していた。

その事を知った上官に呼び出され、今回の事に成ったのだった。

怪我をした役人は老婆の孫息子の事を調べるうちに、県監の今まで見えなかった闇の部分を知る事に成って、驚きと共にその事を黙認するしか無い現実に遣り切れない思いで胸が潰されそうに成っていた。

今まで仕えた上官の中でも、民の事を考え決して己の欲望を満たす為に動く上官では無いと、尊敬の念を持っていたのだ。

だがそれは、あくまで表の顔で裏の隠された顔で、自分に盾を突く者達を平気で罠に掛け有りもしない罪を作り貶めていたのだ。

今度の一件は、他に行方知れずに成っている若者達とも関係している事が分かり数人の役人が係わっている事も分かって来た。

そう思っても、下級役人の自分には何の手だても無いまま時間だけが過ぎて行ったが、此処数日上官達の動きが慌ただしく、町に入って来た旅の両班を見張る様な行為にもしかして領議政大監より通達の有った成均館に通う方々かも知れないと思ったが、余りにも若い二人に人違いかも知れないと疑心暗鬼に成っている官営の役人達を見ながら、もしかしてあの二人なら手助けをして呉れるのではないかと一筋の望みを持って内密に尋ねる矢先だったのだ。

一通りの話を聞いていたチョンホとソンシクだったが、同じく話を聞いていた乞食両班のイム・ジュファンもその話しを聞いて何か考え込んでいた。

傷は浅手でだったが、命を狙われた役人が又襲われ無いと言う保障が無い以上、怪我をした役人を其の儘にして置く事も出来ず取り合えず安全な処に移す必要が有った。

乞食両班のイム・ジュファンの提案で、怪我をした役人を取り合えず人目に付かないように荷車に乗せてござを被せ他の荷物を乗せると外に運び出した。

ジュファンが他に隠れ家として安全な処が有ると言うので、此処は、ジュファンを信用して怪我をした役人の事を頼む事にしたのだ。

怪我をした役人の話では、如何やら県監の命令で内密に他の役人が動いて居るようで、その中の一人が隠れる様に人目を気にしながら出掛けるのを見ると、こっそり後をつけて行くと、山間の谷間に入って行ったが見張りが居て、其れ以上は跡を追う事は困難で何をしているかは、不明だが何か有る事は確かだと話していた。

チョンホ達は、怪我をした役人の話で、官営の役人が当てに出来ないどころか、もしかしたら敵対しなくては成らない現状だが、怪我をした役人の様に県監の不正を見かねて正義の為に動く者が居るかも知れないと微かな希望を持つ事にした。

ジュファンが安全だと言う場所に怪我をした役人を移すと、丁度グンミンが戻って来た。

「あの商人みたいな男人は、此の先に在る山間の谷間に入って行ったので、そのまま後を付けましたが、途中から見張りが厳しく後をつけるのが困難で・・・しかし、あれ程見張りが居る処をみると、余程知られたら困る事でも有るんでしょうね」

グンミンの報告に、その山に何か秘密が在る事は明白だった。

チョンホは、暫らく何か考え込んでいたが、ソンシクに

「ヨンウンに働いて貰いましょう」

「確か行方知れずに成った孫息子は、身体つきがヨンウンに似ていたな・・・・ヨンウンを餌にして悪党を釣り上げようという魂胆か?」

「餌にするとは、聞こえが悪いですね。いっそヨンウンに相手の懐に潜り込んで貰おうと考えただけです」

「まあ、どちらにしても、そうしないと糸口が掴めまい!ヨンウン済まないが頼む」

「人助けに成る事ですからね。それにあの婆さんが可哀想で・・・俺でよければ餌にでも何でも成りますよ」

ヨンウンはそう言うと笑っていた。



翌日、ヨンウンとグンミンは近隣の村に出掛けたまま戻らなかった。

その次の日、一緒に行動していたグンミンからの書き付けが子供の手によって渡されたのだった。

「お兄ちゃんが、此処に来て此の手紙を 両班のお兄さんに渡すと、お駄賃を呉れると言ってたよ」

手紙を持って来たのは、七歳位の子供だったが、子供にそう言われ手紙を受け取ると、ソンシクが多めに金子を出して子供の手に金子を握らせていた。

「有難う。助かったよ坊や、何処で此の手紙を渡されたんだ」

「此処から、二つ先に在る村の外れだよ。弟と遊んでたら、お駄賃を呉れるって言うからさ、此処まで来たんだ。おいら、弟や母さんに美味しいお餅食べさせてやりたくてさ」

そう言うと、ソンシクから貰った金子を巾着の中に大事しそうにしまい込んでいた。

「そうか、美味しい餅を弟やお母さんに食べさせてやりたいのか・・・其れなら態々遠い処を手紙を運んで貰ったんだ。別に餅をやるから、その金子はお母さんに渡してやればお母さんも喜ぶだろう」

チョンホはそう言うとヒョニに言って、別に餅を用意させ風呂敷に包んで子供の背中にくくり付けてやった。

「こうすれば落さなくて済むからね。皆で食べなさい」

子供は、お駄賃とヒョニから沢山の餅を貰い嬉しそうに帰って行ったが、その後ろ姿を見てヒョニが

「弟やお母さんに餅を食べさせてやりたいなんて・・・父親は居ないのかしら?」

「親の居ない子等、大勢居る。お前もそうだったろう」

ソンシクにそう言われ、ヒョニは一瞬寂しそうな顔をしていた。

兄の事を思い出していたのだろう。

親に死なれて、兄と二人で生きて来て、目の前でその兄が死ぬ処を見ていたのだ。

「あの子は、それでも母親が居るだけ幸せではないかな?」

ソンシクは、ヒョニの寂しそうな顔に気が付かない振りをして言った言葉だった。

グンミンの書き付けには

『ヨンウンが、男達に連れ去られた。後を追う』

それだけが書かれていた。

前もって、何か有ったら呉々も抵抗だけはするなと、怪我をしない様にとチョンホが言い含めて居た為に、ヨンウンは無抵抗で捕まったのだろう。

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