人は いさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香(か)に にほひける (紀貫之) ー ー 人の心は あてにはならない、でも、ふるさと だけは、昔も今も変わらず、そして、生き生きとしている 故郷を出て、都会に暮らす日々のうちには、人は、立場や体裁ばかりを気に掛けて、その心を騙したり、偽ったりなどして行くようになる。 田舎に帰ると、何も変わっていない風景の中に、漸く、心は取り戻されて、息も吹き替えるかのようではないか。 紀貫之のこの歌に、人は、その人らしい心の在り方の大切さを考えさせられるのではないかと思います。 でも それは、若いうちには、なかなか、理解し難いことではないでしょうか。 中年を過ぎてから、年と共に、感じるようになること、そういうことも、この歌は、‘ふるさと’や、‘昔’、ということばで表しています。 さて、そんな紀貫之の歌が、葛飾北斎の絵には、どのように表されているのでしょうか。
始めに、少しの驚きを感じさせられることは、梅はおろか、花の一輪も、この絵にはないことです。そして、 紀貫之の歌は、春の歌である訳ですが、北斎の絵は、どうでしょう、夏の終わりか秋、ではないでしょうか ー ー ー。 |
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