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芸術

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先日,京都国立美術館で開催されている「ドイツ写真の現在」展に行った。写真のことには詳しくないので,個々の写真の良さについてはよくわからなかったが,意図的に配置されている壁面の写真全体を見たときにわかったことがあった。それは,

「意味は全体からあらわれる」

ということである。

アングルの泉

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京都市美術館のルーヴル美術館展(19世紀フランス絵画 新古典主義からロマン主義へ)を観てきた。さすがにルーヴル,超有名な画家たちの超有名な作品の数々が展示されていた。
 
 ルーヴル美術館が創建されたのは1793年,フランス革命直後である。それまでの王室所蔵の絵画の一般公開から始まったのであるが,今回の展示は,新古典主義からロマン主義の絵画なので,ちょうど創建された直後から50年間ほどの間に描かれた作品ばかりである。それだけに,時代の息吹をじかに感じ取ることのできるものばかりであった。例えば,世界史の資料集などでだれもが一度は目にしたことであろうダヴィドの『マラーの死』やジェラールの『聖別式の衣装をつけた皇帝ナポレオン1世』,グロの『アルコレ橋上のボナパルト将軍』などである。
 
 しかし,私を引きつけたのはアングルの『泉』であった。この絵が公開されたのは1856年だそうだが,アングルはこの絵を完成させるのに30年以上かかったという。その30年の間にフランスでは,ブルボン朝シャルル10世の専制政治の時代から1830年の七月革命,そして1848年の二月革命をへて,1852年からのナポレオン3世の帝政へと変遷していたわけであり,その間,アングルはこの絵をパリで(七月王政の時期にローマに七年間滞在)描き続けたことになる。時代の変化は思潮の変化を大きく生み出しており,絵画では新古典派からロマン主義の時代をへて自然主義・写実主義の時代に入っていたはずであるが,公開時に76才になっていたアングルは,そこに新古典主義の完成された美を実現したのである。この絵の美しさの永遠性は,激変する時代の変化を超越しているところにあるのだ。

 現在,世界は変化のうねりの中にある。うねりの中で揺れ動いている私は,どんなに大きな変化が起ころうとも揺るぎない精神で美を追究したアングル『泉』の美しさに圧倒された。

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