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第3話はこちら
http://blogs.yahoo.co.jp/doutonborigolden/65453949.html 「チェギョン!」 !!! 「ガンヒョン……」 突如自分の名前を呼ばれて、チェギョンはハッと現実の世界に引き戻された感覚に捉われる。 いつの間にか自分のクラスに戻っていたらしい。 つい先程までと何ら変わりの無い空間なのに、チェギョンの心だけが激変していた。 それはまるで、事故にでも巻き込まれたかの様な出来事だった。 突然のファーストキスーーー しかも相手は《あの》皇太子殿下だ。 「どうしたのよ?アンタ、いつもに増してボーッとしてるわよ!」 「ガンヒョンったら酷いなぁ。 そんな事…無い、よ」 慌てて誤魔化すチェギョンの姿を、ガンヒョンの優しい眼差しが包み込む。 遥か昔から、精霊となり見守っていた。 ガンヒョンはチェギョンの動揺の原因を、当然ながら十分過ぎる程に理解している。 だがここ(現実)では高校入学と同時に意気投合し大親友となった、ただの少女であるシン・チェギョンとイ・ガンヒョンだ。 だからチェギョンの変化にガンヒョンは敢えて気付かない振りをして、親友として問いかけていた。 ーーチェギョンお願い、思い出して!! 10年前から決まっている運命を正しく導いてあげたい。 ガンヒョンは《あの》小さな可愛い子供同士の約束を、早く思い出して欲しかった。 ただその為に、自分はここに存在しているのだからーーー ◇◆◇ 「シン、珍しいな。 公務でも無い時に、こんなギリギリで教室に駆け込んで来るだなんて」 一方。 シンのクラスでもこの10年を見守り、運命の結び付きを叶えてやりたいお節介な精霊が、その姿を同級生として存在していた。 「あぁ、ちょっとした野暮用でな…… インが気にするまでもない」 シンは自分に興味を示す親友に、曖昧な言葉で返事を濁した。 そして、先程の自分の行為を思い返す。 動揺した瞳。 怯えた態度。 そして…… 柔らかな唇をーーー 思えば《アレ》が、シンにとっても初めての経験だった。 人生でたった一度しか無い、自分のファーストキス。 ヒョリンへしたプロポーズの事なんて、既にシンの記憶からはスッポリと抜け落ちていた。 そう。 ただ思い出すのは、あの柔らかな唇と温もりだけ…… ーーー本当ならば幼い記憶まで思い出せたならば。 あの最悪な再会でさえ、見守る精霊達の意味を果たせたと喜べるのに。 ◇◆◇ 初めてだった。 皇太子である自分が、ぼんやりと上の空のまま授業終了のチャイムを待つだなんて。 口封じーーー あの時は、理由なんてそれだけで十分だった。 だが突拍子の無い行動に驚いたのは、むしろ自分の方だったのかもしれない。 授業中なのに教師の声を聞き流しながら、頭に浮かぶのはたった1人。 ーーフッ…まさか…… この……俺が、か??? 苦しい程の胸のモヤモヤ。 初めて知った戸惑う感情。 どうやらこの気持ちの原因は、直接本人に確認しなければ解決しないらしい。 これまで与えられた道のりを感情も出さないまま、ただ従順に従うだけの皇太子だったのに。 そんなシンが、初めて自らの意志で走り始めていた。 《あの女に、再び会わなければ!!》 気付けばシンの瞳は捕らえていた。 今、一番会いたい相手である…… ーーーチェギョンの姿をーーー 焦る気持ちも、高まる心拍数も、これまでで身に付けた皇太子の仮面で隠して冷静を装う。 「おい、お前!俺と付き合え!!」 !!! チェギョンは目の前が真っ白になっていた。 偶然目撃した、皇太子のプロポーズ…… いきなり奪われた、自分の初めての唇…… 目の前の男は横暴な態度を全開なのに、なぜか胸がギュッとなる。 イケメンだから? 皇太子殿下だから? 理由なんて他に見つからないのに。 【無事に帰れたら、ずっと一緒に居られますように……】 見守っていた精霊達が、そっと囁く。 あの幼かった頃の、二人の記憶を呼び覚まさせる為にーーー ◇◆◇ 「なっ! いきなり何なの?」 シンの突然の言葉に、チェギョンは驚きの余りに声が裏返っていた。 様々な憶測が頭の中に浮かび上がって、ただ焦る気持ちのみが残される。 チェギョンはシンの気持ちなど、これっぽっちも知らないのだから……。 「あのーーー私ったらもしかして、不敬罪とかで捕まっちゃうんですか?」 スッキリとした瞳を更に細め、嫌悪感すら醸し出す目の前の皇太子に、チェギョンは怖る怖る確認してみた。 困惑顔で、情け無い程に眉を八の字に下げて。 「はぁっ!なぜそうなる?」 シンにしてみれば、授業中も自分の心を鷲掴みにしていた相手だ。 そんな彼女がーーー 不敬罪だと??? 「だって〜【俺に付き合え】って! どうせ、私の無礼を咎めるつもりなんでしょ?」 !!! 「クククッ……」 チェギョンの言葉に、シンは呆気に取られた。 こんなにも自分の心を揺さぶっている女なのに。 自分にとって初めてのキスの相手だと言うのに。 お前は俺に、怯えているのか? ただ、どう接すれば良いのかが分からなかった。 苦しみにも近い胸のモヤモヤを、どうやって晴らせば良いのかを……。 自分の気持ちに整理をつけられないまま、チェギョンを掴まえたい一心で、紡ぐ言葉を模索してみたが見つからない。 だから。 シンはチェギョンに、このもどかしさを伝えたくて必死だった。 だがそんな心を知らないチェギョンにとって、シンの行動はまるで皇太子の権力を振りかざした横暴そのものだったのだ。 「何笑ってるのよ? 分かったわ!! あ!いえ、かしこまり……ました」 まるで諦めたかの様に、チェギョンが小さな声で呟いた。 不敬罪ですか? ドーンと来い! その態度に向きあってやろうじゃない! だって、私は何も悪く無いんだから!! 自分で発した言葉をきっかけに、チェギョンが覚悟を決めた瞬間だった。 |
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2016年09月13日
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