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本が好きな方なら神保町の冨山房に行ったことがあるかと思いますが
通りは狭く、アーケードがあったため、この半円形の窓に気づかれた人は少なかったのではないかと
思います
半円形の窓が、当時は珍しく、どのようにして曲面ガラスを製作したのか気になりますが
私は、日本で最初に曲面ガラスを窓に、しかもこれ程大胆に曲面ガラスを採用し、半円形の窓にした建物
は、この冨山房が日本で最初であると思っています
長いこと、日本で最初に曲面ガラス窓を採用した建物を探してきましたが、やはりこの建物以外に見当た
らないため、昭和7年に竣工したこの建物が日本で最初の曲面ガラス窓を採用した建物とさせていただき
ます(曲面ガラスの情報をお待ちしています)
戦前は、曲面ガラスは空気抵抗が少なくなると考えられ、戦闘機のために製造開発がおこなわれたとの
話がありますが、民間建築にこの曲面ガラスを採用するには、相当なコストがかかったものと思います
冨山房は、明治19年に設立された超老舗の大手出版社でした
この建物の設計者は佐藤功一ですが、彼がここまで曲面ガラスにこだわった理由とは・・・
それは、冨山房が老舗の大手書店であることを示すために、本の背表紙をデザインした半円形の窓をファ
サードにすることによって表現したかったからだと思います
半円形の窓は本の背表紙を表現したものであった
相当なコストがかかるにもかかわらず、設計者の思いが実現できたのは、冨山房の財力と日本のガラス製
造技術の進歩があったからだと思います
残念ながら、曲面ガラスは解明されることなく、この建物は、既に取り壊されてしまいました
あらためて写真を見てみると、この建物の外壁には装飾としてテラコッタや大判の外壁用タイルが
大量に使われているのがわかります
軒の蛇腹、半円形の壁などの装飾にテラコッタが使用されていることがわかります
外壁には大判のタイルが貼られ、当時としてはめずらしいものであった
曲面ガラス、大判の外壁タイル・・・当時の先進の技術を採り入れた建物であった
ウィキペディアで佐藤功一を検索しましたが、彼の作品リストには旧冨山房は掲載されていません
冨山房の建物について、ネットでは写真や文献は見当たらず、忘れ去られた 建物となっています
尚、昭和7年に写真の新社屋が竣工した際、新社屋新築記念に出版した社史には、設計図や写真入りの本
店新築工事概要が記載されているそうです(実業史研究情報センター・ブログ「情報の扉の、その
また向こう」より)
ここ神保町に来た時、疲れた時に立寄ったのは、冨山房の先にあった喫茶店「さぼうる」でした
さぼうるは入口にトーテンポールがあり、山小屋(ロッジ)風の周囲とはかけ離れた建物でした
カサカサした乾いた街に、しっとりとしてオアシスのように見えるため、つい引き込まれてしまう
そんなお店です
半地下と中2階があり、私は中2階がお気に入りでした
ここ神保町で買った本を取り出して眺める休息は、幸せな時であったと思います
今でも、当時と変わることなく存在しています
設計者 佐藤 功一
竣工年 昭和7年10月
施工者 竹中工務店
構 造 鉄骨鉄筋コンクリート
所在地 千代田区神田神保町1−3
旧富山房の左側の建物は、寿ビル(旧杏花楼)です
設計者 森山 松之助
竣工年 昭和4年
施工者 石井 孫市
構 造
所在地 千代田区神田神保町1−3
★ネガ有り 上4−26 下4−25★
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