もりつちの徒然なるままに

<禁無断転写> ウォーゲームの話、戦史の話(かなり濃い目)、旅の話などを書いてみました。

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TAC AIRはAvalon Hill社が1980年代後半に発表したシミュレーションゲームだ。テーマは1990年代を想定した欧州正面での地上戦及び航空戦である。1Hex=1海里、1Turn=3時間。1ユニットは1個大隊相当の地上部隊、1個小隊(フライト)の航空機を表している。
今回、TAC AIRの中級シナリオの1本であるシナリオ7「Counter Attack」をVASSALでソロプレイしてみた。これはタイトル通りNATO軍による反撃を扱ったシナリオである。NATO軍には米第1機甲師団がほぼ全戦力で登場。対するWP軍は、戦車連隊1個、自動車化歩兵連隊2個で、総兵力はほぼ1個師団に相当する。航空兵力は、NATO軍が22ユニット(約80機)、WP軍は16ユニット(約60機)。

今回ルールは上級ルール全採用。選択ルールは13.0 Replacement Unitsと14.0 Time and Weatherを採用した。

前回までーー>こちら

第7-8Turn

戦線左翼では米第1機甲旅団が戦果を拡大している。司令部を撃破して後方に回り込み、残ったソ連軍部隊を包囲する。ソ連軍は補給部隊で戦線を支えるという末期的状況である。

第9Turn

イメージ 1これが対人戦なら既にWPプレイヤーが投了しているだろう。しかしこれはソロプレイ。一応最後まで結果を見てみたいので、このままプレイを続けてみる。
このTurnから2日目に突入する。選択ルール13.0を取り入れているので、損傷した航空機の回復と、撃破された航空機の復活チェックがある。WP側はここで運よくSu-24 2ユニットが復活に成功した。

イメージ 2米軍の攻撃は容赦ない激しさで続けられる。米第1機甲旅団は敵後方地帯に雪崩れ込み、ソ連第53自動車化歩兵連隊の残存部を包囲している。戦線中央ではソ連軍第51自動車化歩兵連隊の残存部隊が善戦し、米軍の攻撃を撃退していたが、側面を回り込んできた米機械化歩兵大隊に後方を遮断されつつあり、今や包囲の危険が迫っていた。
ソ連軍は僅かに第58自動車化歩兵連隊のみが戦闘力を保持した状態で戦線を支えているが、兵力不足は如何ともし難い。

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イメージ 3両軍共このTurnは航空兵力を大量投入する。NATO側はA-10 6個編隊(24機)、F-16A 6個編隊(24機)、F-4G 2個編隊(8機)が対地攻撃機。それをF-15C 2個編隊(8機)が援護する。一方WP陣営は、Su-24 2個編隊(8機)、Su-25 2個編隊(8機)が攻撃を担当し、MiG-21 1個編隊(4機)、MiG-23 3個編隊(12機)、MiG-29 2個編隊(8機)の計24機が上級援護及び迎撃を担当する。

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イメージ 4NATOの爆撃隊はF-16とA-10の混成編隊で機械化歩兵大隊2個、砲兵大隊1個を撃破。機械化歩兵大隊1個を半身不随(D3)にした。さらにホーク地対空ミサイル、F-15戦闘機等が迎撃に上がってきたMiG-23、MiG-29と交戦。4個編隊のうち3個編隊を叩き落とした。NATO側の損害はA-10 1ユニットが"DH"(半減)の結果を被っただけである。
一方WP軍の攻撃は、4個編隊の攻撃機が米戦車大隊を攻撃し、これを半身不随(D3)にした。

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第10Turn

イメージ 5天候は曇り。両軍とも全天候型の航空機しか運用できない。しかし「そんなの関係ねー」とばかりにNATOの猛攻は続く。このTurn、ソ連軍自動車化歩兵大隊2個が地上戦闘及びF-111Dの航空攻撃によって壊滅した。既に砲兵部隊は全滅しているソ連軍。残る戦闘ユニットは、自動車化歩兵大隊1個と戦闘工兵1個だけとなってしまう。

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第11Turn

イメージ 6天候が晴れ。両軍の航空機が戦場を乱舞する。WP側航空兵力が最後の意地を見せた。すなわち制空戦闘機隊のMiG-23はF-16A半個編隊を叩き落とし、地上支援用のMiG-21、MiG-27、Su-24、Su-25は米第2機甲旅団所属の戦車大隊1個を撃破した。
しかしこれが最後の反撃となった。このTurn、地上攻撃と航空攻撃のよってソ連側最後の自動車化歩兵部隊を撃破した。さらに第18師団司令部も米戦車部隊の急襲を受けて壊滅。ソ連軍の戦闘力はほぼ失われた。

このTurnでシナリオはお開き。VPを数えるまでもなく、NATO側の圧勝に終わった。

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感想

ご覧の通り一方的な展開となったが、勿論プレイスタイルではこのような展開に終わることも十分に有り得ることは注意しておく必要があるだろう。特に今回響いたのは早期にWP側のSAM部隊が全滅してしまったことだ。兎に角NATOのWW機(F-4G)が強いので、その脅威を如何に軽減又は排除するかがWPプレイヤーにとって重要であろう。
イメージ 7まず第1に必要なのは、中長距離SAMを可能な限りマップ西端から離しておくこと。またSAMの射界を確保するために障害物に挟まれた場所への配置は避けることが重要である。WP軍中長距離SAMの方がWW機よりも射程距離が長いので、WW機をアウトレンジして無力化するのが狙いだ。NATO側WW機が装備するARM(対レーダーミサイル)の射程距離外からある程度SAM火力を集中すれば、かなりの確率でF-4Gの編隊をアボート又はステップロスさせられるだろう。
イメージ 8もうひとつ、中長距離SAMを短距離SAMや対空火器で保護することも重要だ。中長距離SAMが射撃済みになった場合、あるいはヒットを食らった場合に実施されるであろう敵爆撃機による通常爆撃から中長距離SAMを保護するのがその狙いだ。
最後に戦闘機だが、これは兎に角敵の対地攻撃機を狙う。最重要目標はF-4Gだが、敵もそれはわかっているので簡単には狙えないだろう。次はF-16あるいはA-10が狙い目になるが、汎用性の高いF-16を優先的に狙いたい。
F-111は対地攻撃力が大きいので狙いたい所だが、対地攻撃力の大きな機体は戦闘機に狙われた時も耐性が高いので(このあたり、少し違和感を感じる所だ)、狙い撃ちしても効果が出ない場合が多い。それよりは抵抗力がやや弱いA-10、F-16の方が目標として「美味しい」。
あと今回失敗したのは、WP軍の戦闘機が不用意にNATOのSAM射程内に入ってしまったので、SAMによって結構な数の機体が食われてしまったことだ。
ハウスルールで
「制空任務中の機体がSAM/AAAに狙われた場合、防御力としてAファクターを使う」
というルールを適用しているので、制空戦闘機でもある程度SAMに対して耐性があるのだが、火力を集中されたら損害は免れない。しかもこのシナリオのNATO軍はSAM部隊が異様な程強力なので、WP軍としてはSAMの射撃を可能な限り避けるように心がけたい。

イメージ 9地上部隊については、WP軍としてはあまり前線防御に固執する必要はないと思う。それよりもマップ北端近く(例えば3〜5ヘクス程度)まで速やかに後退した方が良い。後退すると自然とNATO軍が北上することになるので、マップ北端から飛来するWP軍対地攻撃部隊にとっては都合が良い。さらにNATOの中長距離SAMの覆域から外れるので、対地攻撃がやり易くなる。WP軍航空部隊の対地攻撃能力は大したもので、その気になればNATO軍の戦車大隊の1個や2個は簡単に吹き飛ばすことができる。兵力に勝るNATO側とはいえ、戦車大隊1,2個の損害は決して笑って済ませられるレベルではない。

航空部隊、地上部隊共に関係ある話だが、WP軍はこのシナリオでは後攻なので、その利点を最大限活かすべきだ。要するに後に動ける利点を生かすべきということだ。航空部隊について言えば、任務割り当てが敵のそれを見た後に実施できるので、敵の任務配分や機数を見て、敵の主力をやり過ごすような形で任務割り当てを実施したい。制空戦闘機の数と性能で劣るWP側としては、NATO側と制空権を巡って争うのは得策ではない。それよりも後攻の利点を生かしたゲリラ的な航空機運用で敵の兵力を殺いでいきたい。
同じことが地上部隊についても言える。つまり後から移動できるので、損害を食らった部隊を回復させるために司令部を移動させたり、対地攻撃を成功させるため司令部を適切な位置に移動させるのが比較的容易なのである。このことは本シナリオ以外で防御側になった陣営が常に心がける必要がある事項だ。

NATO側については今回一方的な勝利なので表面化しなかったが、SAM部隊については工夫の余地があった。特に前線が北上して友軍地上部隊がSAMの覆域外に出てしまった後のことだ。この時、WP側対地攻撃機による反撃で、米戦車大隊1〜2個が撃破されてしまったことがある。もしSAMの覆域が友軍地上部隊をカバーしていれば、この損害は回避できた可能性が高い。今回のような展開ではあまり大きな影響はなかったが、もし対人戦なら致命傷になりかねないミスだった。夜間のうちにSAM部隊を北上させ、友軍地上部隊を覆域内に収める等の工夫が必要だった場面だった。

最後になるが、TACAIRは面白い。大隊レベルの現代戦ゲームの中では傑作と評価して良いと思う。基本システムがあまりにシンプルなので、「これで現在戦をホントに再現できるの?」と思ってしまうが、プレイしてみると現在戦の雰囲気が見事に再現されているのに驚く。しかも通常戦闘だけではなく、NBC戦、電子戦、ヘリボーン等も選択ルールを導入することで再現可能というのは驚きだ。

今まで余り注目されていなかったTACAIRだが、1980年代後半のアヴァロンヒル社が生んだ傑作ゲームと評して良いだろう。

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