もりつちの徒然なるままに

<禁無断転写> ウォーゲームの話、戦史の話(かなり濃い目)、旅の話などを書いてみました。

「海空戦南太平洋1942」の部屋

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「海空戦、南太平洋1942」(以下、本作)は自作の空母戦ゲームである。今回、テストの最終工程として、本作のメインシナリオである「南太平洋海戦」シナリオに挑戦する。対戦相手は、本作の作成当初からテストにお付き合い頂いた官兵衛氏。官兵衛氏には日本軍を担当して頂き、私は米軍を担当した。

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「海空戦、南太平洋1942」の入手方法については-->こちらを参照して下さい。
また通販を希望される場合は、このブログのコメント欄に連絡先のメールアドレスをご連絡下さい。なお、通販開始は2017年12月の予定です。
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なお、南太平洋海戦シナリオの内容は-->こちらを参照されたい

前回まで-->こちら

14:00(つづき)

イメージ 5予想よりも日本艦隊の位置が近かったため、日本艦隊からの攻撃隊が予想よりも早く米機動部隊上空に到達した。第1波攻撃隊はわずかに艦爆9機からなる小規模攻撃隊で、上空を警戒していたF4Fによって全機撃墜破された。
第2波はやはり艦爆9機からなる小規模攻撃隊。攻撃目標となったのは新鋭戦艦2隻からなる水上打撃部隊である。対空砲火によって半数の艦爆が撃墜されたが、重巡「ポートランド」に250kg爆弾3発が命中した。「ポートランド」は中破し、速度は20ktまで低下してしまう。
第3波攻撃隊は零戦18機、艦攻18機からなる攻撃隊。恐らくこれが日本軍の主力だろう。空母「エンタープライズ」を中心とする機動部隊を攻撃する。戦闘空中哨戒中のワイルドキャット32機がこれを迎え撃ち、零戦9機、艦攻9機の撃墜を報じ、残った艦攻9機も撃退された。

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18:00

夕闇が戦場を覆う。両軍とも攻撃隊を収容して再編制に移る。このTurn、両軍とも攻撃はなかった。

22:00

イメージ 6ルンガ沖に日本の戦艦部隊が姿を現した。戦艦2隻、軽巡1隻からなる砲撃部隊である。戦艦部隊は「金剛」と「榛名」。激しい砲撃をヘンダーソン飛行場に対して浴びせかけてきた。10月13日の再来である。

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イメージ 7この日の終わりに両軍共損害補充によってある程度攻撃力を回復した。特に先日の戦闘で大損害を被った日本空母艦載機は、補充によって零戦1ユニット、艦爆/艦攻2ユニットが回復し、戦列に復帰した。

総括と翌日に向けた方針

ラッキーな面にも助けられたが、現時点ではほぼ期待通りの戦局が進んでいると分析している。敵主力の正規空母1隻を事実上戦闘不能とし、敵艦爆、艦攻隊の半数以上を失わせた。対する我が方の損害は艦載機を数機失ったこと。重巡1隻中破。それからヘンダーソン基地の被爆のみだ。
翌日の方針としては敵空母機動部隊をエスピリッツサント付近に引きずり込みつつ、艦載機の攻撃で敵空母を撃破する。ヘンダーソン飛行場の被爆は残念だが、回復能力の範囲内なので、許容範囲内だ。

10月26日

02:00

相変わらず日本戦艦によるヘンダーソン飛行場に対する砲撃は続いている。どうやら日本戦艦はこの攻撃で保有弾薬のほぼ全部をつぎこんできているようだ。この攻撃によって約20機のP-39戦闘機が炎上。約15機が大なり小なりの損害を被ってしまう。またヘンダーソン飛行場は約半日の機能停止に陥った。

夜間偵察能力を持つPBYカタリナが夜の闇の中を発進していく。夜間偵察によって予め敵の位置を絞り込んでおこうとする作戦だ。夜間索敵機はレーダーによって敵艦隊を捕捉。その位置を報告してきた。

06:00

夜明けとともに両軍の索敵機が活発に行動を開始する。しかし索敵報告がバラバラで今ひとつ判然としない。特に「空母発見」の報告がないのが気になる。直ちに攻撃したい所だが、もう少し敵情を見極めたいので続報を待つ。

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イメージ 82回目の索敵報告によってようやく「敵空母発見」の報告が得られた。位置はサンタクルズ諸島の北北東海域で、米機動部隊の北北東9ヘクス(270海里)だ。この距離だとワイルドキャット戦闘機の航続距離外なので、ドーントレス艦爆のみの攻撃となる。空母2隻からドーントレス各27機、計54機が日本艦隊の発見位置に向かった。
また第2波攻撃隊はドーントレス18機、TBFアヴェンジャー18機計36機が2隻の空母から発進。別の日本艦隊に向かった。
イメージ 9第1波のドーントレス54機は眼下に敵機動部隊を捉えた。日本艦隊の虎の子「瑞鶴」を中心とする機動部隊である。ドーントレス隊は零戦の妨害にも屈せず果敢に急降下爆撃を敢行したが、第1波の「エンタープライズ」隊は対空砲火に狙いを逸らされて防空駆逐艦「照月」に直撃弾1を与えてこれを中破させるが精一杯。
第2波の「ホーネット」隊は2個小隊18機が「瑞鶴」に向けて急降下爆撃を敢行する。D10で出目"7"以下なら「瑞鶴」に損傷を与えられたかもしれない場面。しかもこの時「瑞鶴」の飛行甲板には発進準備中の攻撃隊が翼を並べて待機していたとさ。
しかし出目は無情にも"8"。あーあ、護衛戦闘機がついていれば・・・。と悔やんだものの(護衛戦闘機が随伴していれば"8"以下命中だった)、後の祭りであった。

というよりも爆撃を1回のダイス振りで解決しようとした所が迂闊であった。5-1攻撃1回と5-2攻撃2回のいう2つの選択肢があったのだが、前者なら「外れ」の確率は30%に対し、後者は2回のチャンスがあるので両方「外れ」の確率は16%に低下する。1発でも当てていれば「瑞鶴」はミッドウェー状態になっていたのだから、ここは素直に2回ダイスで勝負すべきであった。

イメージ 4


その後の展開は簡単に記載する。
日本軍も反撃を実施し、数回に渡って「エンタープライズ」を中心とする機動部隊を攻撃する。「エンタープライズ」隊は果敢に防戦し、敵の攻撃を撃退し続けていたが、遂に被弾を免れずに2発が命中。「エンタープライズ」は2Hitの損害を被り、航空機運用能力が半減してしまう。

結果

日本軍は駆逐艦1隻沈没、2隻中破、空母1隻中破。
米軍は重巡1隻中破、空母1隻小破。
航空機の損害は詳細不明だが、日本軍は20〜30ステップ(90〜135機)、米軍は約10ステップ(約45機)ぐらいだろうか。VP的には僅差だが米軍の勝利に終わった。
艦隊航空戦力のうち、艦爆・艦攻隊のほぼ全てを失った日本艦隊は撤退するしか手がなく、ゲーム的な意味でも勝利を得るのは困難であったろう。

感想

今回はテストプレイとしての感想を中心に記す。
索敵ルールは概ねうまく機能している。情報の錯綜した感じも良い。ソロプレイとの違いは(当然ながら)敵の情報がよりわかりにくいこと。ソロプレイの時にはこれほど状況が「わからない」とは思わなかった。これはこれで「面白い」とは思う。
ただし「敵空母発見」の報告が少ないので、水上艦だけの囮艦隊を作るのが効果的のように思える。これが効きすぎるのは当初の意図とは違うので、カードの内容を少し変更して「敵空母発見」の割合を増やす方向で修正する。

今回のテストはセットアップを含めて約9時間であった。全17Turn中8Turnをプレイし終えた。標準プレイ時間6〜15時間としているが、場合によってはもう少しかかるかもしれない。しかし1日プレイすれば概ね決着が見えてくるし、2日あればシナリオの完遂も可能なので、6〜15時間という時間はそれほど大外れしていないと思う。

今回は我々のプレイと平行してもう1卓プレイして頂いた。こちらは初心者卓に近い卓であったが、索敵システムについては概ね好評であった。初心者卓から出た意見は以下の通り。
(1) 航空作戦の進め方はルールブックに具体例を書いてほしい。
(2) TFの記入例を入れてほしい
(3) 戦闘修正が多いのは何とかならないか。
(4) 水上戦闘は面倒なので簡略化したルールが欲しい。
(5) 航空機の航続距離は往復ではなく、片道で表記して欲しい。

(1)(2)についてはルールブックに例を入れることにした。

(3)については、精密さが本作の「売り」の一つでもあるので、現状のままとさせて頂きたい。ただし再現性を維持したまま修正値を減らすアイデアがあれば、是非採用したい。

(4)については別のテストプレイヤーからも「水上戦闘が重い」という意見もあるので検討したいが、基本的には現状のままで行きたいと思う(詳しくはDN参照)。簡易版水上戦ルールについては、機会を改めて検討したいと思う。

(5)についても「慣れ」で対応頂きたいと思う。確かに勘違いし易い所で良いアイデアがあれば改善したいと思うのだが、今のところ良い改善案が思いつかない。すいません。

という訳で「海空戦、南太平洋1942」はほぼ完成状態。恐らく予定通り12月のゲムマに出品できる予定です。
ご期待下さい。

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イメージ 18

「海空戦、南太平洋1942」(以下、本作)は自作の空母戦ゲームである。今回、テストの最終工程として、本作のメインシナリオである「南太平洋海戦」シナリオに挑戦する。対戦相手は、本作の作成当初からテストにお付き合い頂いた官兵衛氏。官兵衛氏には日本軍を担当して頂き、私は米軍を担当した。

今回のテストでは、以下の選択ルールを採用した。

52.緊急発進
53.TF任務
54.弾薬制限
55.対地艦砲射撃
56.天候
57.遠隔CAP
58.航空魚雷の備蓄数制限
59.非武装航空機
60.拠点偵察
62.潜水艦
63.潜水艦による航空機の運用
65.夜間航空作戦
66.特殊な航空機

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なお、南太平洋海戦シナリオの内容は-->こちらを参照されたい

事前計画

イメージ 10これまで何度かテストプレイにお付き合い頂いた日本軍プレイヤーの作戦はもう読めている。彼は戦艦を中心とした打撃部隊を編成し、それを前衛にして攻撃してくるのは通例だった。
そこで今回はその逆をつくことにした。
すなわち我が空母部隊を敵とミドルレンジ(約300海里)に布陣させ、敵が戦艦を前に押し出してきた場合は、敵戦艦部隊に航空攻撃を集中して戦艦の撃破を狙う。戦艦を撃破すれば水上戦力で優位に立てるので、逆にこちらの水上部隊で敵空母殲滅を狙える、という訳だ。
金剛型高速戦艦を中心とする日本軍水上部隊に対して、米艦載機は有効な打撃を与え得ることは検証済みだ。

果たして吉と出るか凶と出るか・・・。

10月25日

06:00

イメージ 11未明から飛び立っていた我が索敵機から「敵発見」の報告が入る。空母の存否不明。敵は3群に分かれているらしい。第1群は10隻以上の敵艦からなり、その位置は我が機動部隊の北方10ヘクス(300海里)だ。「10隻以上の敵艦を含む」とある。これをグループAとしよう。
第2群は隻数不明でグループAの真西方12ヘクス(360海里)に位置している。我が機動部隊からは北西15ヘクス(450海里)の位置にある。これをグループBとしよう。
グループCは複数の機動部隊からなり、10隻以上、7〜9隻、7〜9隻の3群が確認されている。位置はガダルカナル島南西1〜5ヘクス(30〜150海里)に広く散開している。

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我々の敵情判断は以下の通り。
(1) グループAは今までの日本軍プレイヤーの方針から判断して水上打撃群であると判断
(2) グループBは消去法的に敵空母主力と判断
(3) グループC位置から判断しては外南洋部隊の中小艦艇の部隊と判断

これに対して我の戦術方針は以下の通り。
(a) グループAと我が機動部隊の距離は300海里。これは我が空母艦載機にとっては攻撃範囲外となる。従ってグループAを攻撃圏内に収めつつ、グループBと間合いを取って、まずグループAを叩く。
(b) (a)の攻撃隊収容後機動部隊は一旦南下。敵空母との間合いを取って翌日の決戦に備える。(今日は空母同士の決戦を避ける)

イメージ 12しかし上記の敵情判断及び戦術方針は現実によって破られることになる。敵空母から飛び立ったと思われる攻撃隊が、我が機動部隊上空に姿を現したのだ。空母「翔鶴」を発進したと思われる零戦9機、艦爆18機からなる攻撃隊である。攻撃目標になったのは空母「ホーネット」を中心とする機動部隊である。レーダー網の隙を突いて機動部隊上空に進入してきた日本側攻撃隊に対して対空砲火が応戦するが、それに屈せず日本機は上空から急降下してくる。数発の爆弾が「ホーネット」の至近距離で炸裂するが、「ホーネット」は辛うじてこれを回避する(D10で"8"以下で命中の所、"9"の目を出してくれたので助かった)。
その後も日本側艦爆隊が数波に分かれて「ホーネット」上空に殺到するが、上空戦闘機の迎撃などでそれを撃退した。一連の攻撃で来襲した日本機は計90機に及んだが、米軍はそのうち約50機の撃墜を報じた。

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一方の米軍は、ガダルカナル南東方の目標(グループC)に対してヘンダーソン基地を発進した艦爆18、艦戦9が攻撃に向かったが、敵の姿を見ずに空しく引き上げていった。


10:00

イメージ 13敵の主力はグループBではなくグループAであることが明らかになった。直ちに攻撃したいが、CAP隊の収容を優先すると攻撃隊を出すのが遅れてしまう。攻撃隊を出すのが遅れると、敵の先制攻撃を食らって甲板上で準備中の攻撃隊が被弾するという悲劇に見舞われる恐れがある。
そこで一計を策した。現在の位置関係であれば航続距離の関係上我が空母が敵艦載機の攻撃を受ける可能性は小さい(足の長い艦爆隊は、前のTurnにほぼ消耗させている筈)。そこで艦隊前面に戦艦を中心とする水上打撃部隊を配置。敵機の攻撃を戦艦部隊に誘因すると供に、その上空に戦闘機を配置して敵の攻撃隊を大消耗させるという作戦だ。

イメージ 14果たせるかな、敵の攻撃隊は数波に分かれて我が戦艦群上空に飛来した。雷撃機を中心とする攻撃隊である。最初に飛来した「瑞鳳」艦攻隊は、狙い通り新鋭戦艦2隻から放たれる強烈な対空砲火を浴びて文字通り四散した。続いて飛来した「翔鶴」「瑞鶴」の艦攻隊は、いずれも航法ミスで我が戦艦部隊上空に到達せず。日本軍プレイヤーは悔しがっていたが、こちらとしては戦艦の対空砲火で敵艦攻隊が壊滅することを期待していただけに、こちらとしてもやや残念であった。

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イメージ 15一方、北方にいる敵機動部隊の正体を確かめるべく、エスピリッツサント基地から発進したB-17 4個中隊が敵機動部隊を発見。空母「翔鶴」「瑞鶴」を含む敵の主力である。これに攻撃を仕掛けていた。重爆36機による攻撃であったが、高高度からの爆撃であったため戦果はなし。その代わりB-17に損害はなかった。

B-17による爆撃は、攻撃効果こそ期待薄だが、いわゆる「強行偵察」という意味では有効であった。この場合、1個の大編隊で攻撃を仕掛けるのではなく、小編隊で複数回の攻撃を実施した方が良いと思われる。(ただし36.4項の制限を忘れないように・・・。

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14:00

イメージ 16先のTurn、攻撃準備を整えた米機動部隊は、敵機動部隊との間合いを詰めるべく北上を開始する。索敵機が敵位置を報じてきた。米機動部隊から北北西5ヘクス(150海里)の距離である。手頃な攻撃距離だ。第1波はF4Fワイルドキャット8機に護衛されたSBDドーントレス36機の計44機。それが「エンタープライズ」「ホーネット」の2空母からそれぞれ発進したので計88機だ。引き続いてF4F 4〜8機、TBFアヴェンジャー18機の計22〜26機からなる攻撃隊2個(合計48機)が2隻の空母から発進する。総勢136機。空母搭載機の約80%を投入する大攻撃である。この攻撃で日本空母部隊に痛撃を与えることができるだろう。
しかし、索敵機の報じた敵発見位置には大きな誤差があったのだ。実際の位置とは60海里もずれていたのである。それとは知らない攻撃隊は報告された目標位置に向けて飛行していく。

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イメージ 17結局目標を発見したのは、攻撃隊の約半数。空母「ホーネット」を発進した攻撃隊のみであった。しかし日本機動部隊の主力を捕捉した彼らは、果敢に敵機動部隊に突入していく。艦爆隊は損害を出しながらも「翔鶴」に直撃弾1を与えてこれを小破させていた。

続いて「ホーネット」の第2波攻撃隊(F4F 4機、TBF 18機)が日本機動部隊に殺到する。日本側のレーダー網をかいくぐった攻撃隊は「翔鶴」に対して金床戦術を実施。普段は命中率の悪い米軍の魚雷であったが、この時は1本を「翔鶴」に命中させた。「翔鶴」中破。航空機運用能力を失う。

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ああ、雷撃隊

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現在制作中の「海空戦、南太平洋1942」では、戦艦がかなり「使える」。まず航空攻撃に対する耐性が大きい。空母のように簡単に沈んではくれないのだ。しかも米戦艦の場合、対空火力が化け物並なので、下手に手を出すと攻撃側も大出血を覚悟しなければならない。
そう、必ずしも「航空主兵」が成立しないのだ。

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ああ、雷撃隊

イメージ 3例えば「翔鶴」「瑞鶴」からなる第1航空戦隊が新鋭戦艦2隻からなる米水上打撃部隊を攻撃するケースを仮定する。この場合、発進能力その他の関係から、日本側の攻撃兵力は艦爆4ユニット、艦攻4ユニットの計8ユニット(72機)になるだろう。米戦艦が上空援護機を伴っていれば、護衛を伴わない日本側攻撃隊は大損害の危険があるが、ここは上空援護機がないと仮定する。
イメージ 4攻撃隊は艦爆2ユニットを防空軽巡制圧に向ける(これで対空火力のコラムを60から50に落とす)。残り艦爆2ユニット、艦攻4ユニットが新戦艦を狙う。日本側の攻撃機は装甲と対空火力でやや見劣りするノースカロライナ級の「ワシントン」を狙うことになるだろう(より近代的な「サウスダコタ」は対空火力と装甲が強化されているので、より撃沈が困難な目標になる)。対空火力が50火力のコラムから打ち上げられると仮定すると、艦攻隊0.4ユニットが目標をそらされ、0.4ユニットが半減戦力になる。結果として艦攻隊のうち3〜4ユニットが対空砲火を突破して目標に雷撃を敢行できる。攻撃力は30〜40になり、打撃数の期待値は1〜2になる。
一方の艦爆隊は、5:2の比率で攻撃したとして、打撃数の期待値は0.5。出目が普通なら「ワシントン」を中小破できるだろう。(他に防空軽巡1隻が大中破)
それに対して日本側の損害は、艦爆1.3ユニット、艦攻1.8ユニット。計3ユニット。攻撃兵力の約40%が昇天してしまう。その後の補充を加味しても1回の攻撃で日本海軍最強の1航戦は攻撃兵力の約20%を失うことになる。あわわ。

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新戦艦1隻中小破と攻撃力20%の損失。かなり難しいバランスシートだが、敵戦艦の足を止めれば、友軍の高速戦艦や水雷戦隊がこれを撃破してくれることを期待できるので、ここは損害覚悟でやるしかない。あるいは友軍水上部隊の奮戦に期待して航空機は手を出さずにおくとか・・・。

ちなみにミッドウェー海戦以前の日本空母は、艦攻27機搭載を定数としていた。もし艦攻54機で米新鋭戦艦を攻撃すると、中小破が大中破になる可能性が大きい。「戦艦無用論」を標榜している源田実以下の航空畑出身の中堅士官にとって、「航空機が戦艦よりも強い」ことを証明するには、艦爆では力不足、艦攻の攻撃力を必要としたことがよくわかる。

ちなみにミッドウェー海戦以後は日本海軍も米海軍方式を一部見習って艦攻を減らして艦爆と零戦の搭載機数を増やす方向に進む。対空母攻撃という観点から言えば、艦爆重視が正解なのだが(そのことは「海空戦、南太平洋1942」をプレイしていてもよくわかる)、戦艦撃沈を狙うのなら艦攻が必要である。しかも対空火力の充実した新戦艦は巷に言われているような無力な存在ではなく、空母艦載機にとっても十分に強敵であったのだ。

復讐者の憂鬱

立場を変えて米軍側に立って考えよう。
米軍は日本軍に比べるといくつかの点で有利な点がある。
まず主敵となる金剛型高速戦艦が、米新鋭戦艦に比べると対空火力、防御力、装甲値のいずれの面でも見劣りすること。輪形陣の密度が薄く、対空火力の集中度が低いこと。主力艦爆であるドーントレスが、日本の九九艦爆に比べると攻撃力、装甲貫通力の両面で勝っていること。さらには空母の発進能力が優れており、1度の攻撃で多数の機体を発進させる事が出来る点だ。
逆に日本軍に比べて劣る点は、雷撃機の魚雷攻撃力が劣ること。それから複数空母から発進する攻撃隊について合同が禁止されていることだ。しかし後者については、対空火力における日本側の劣勢を補う程ではない。

イメージ 7これらの要素を加味した上で、米空母機による金剛型戦艦攻撃の場面を想定しよう。米空母を2隻とした場合、米側の攻撃機は、SBDドーントレス4ユニット(36機)、TBFアヴェンジャー1ユニット(9機)の計45機からなる攻撃隊が2グループ(計90機)からなる攻撃部隊となるだろう。米軍の場合、艦爆と艦攻の威力が日本軍とは逆転しており、実際ドーントレス艦爆の方がアヴェンジャー艦攻よりも金剛型戦艦に対する打撃期待値は大きい(1ユニットあたりの打撃期待値は0.56と0.50)。従って艦爆4、艦攻1からなる攻撃隊の戦果期待値は2.74。実際には対空砲火により撃退されたり撃墜されたりする場合があるので、期待できる打撃数は2〜3ぐらいだろう。それでもその種の攻撃を2回実施できるので、金剛型戦艦1隻を大破できる蓋然性は大きく、撃沈できるチャンスも十分にある。いずれにしても日本の誇る高速戦艦1隻を再起不能にし、彼我の水上戦バランスを我に有利にできる可能性は高い。
それに対して予想される損害は、第1波攻撃では艦爆0.4ユニット、艦攻0.15ユニット。第2波攻撃では目標艦が損傷していることを想定すると艦爆0.2ユニット、艦攻0.1ユニットになる。合計すると1ユニット弱。高速戦艦1隻の代償が艦載機約9機程度であれば、十分に元が取れる計算だ。

「艦載機の攻撃だけで「金剛」は撃破可能」
このことは米軍競技者にとって大いに力となる。

イメージ 2しかし、目標が新型の「大和」になると、状況は苦しくなる。
まず打撃見通しが激減する。艦爆隊の打撃期待値が1ユニットあたり0.2〜0.25、艦攻隊が0.32。僅かながら艦攻隊の方が期待値が高くなる。従って先程と同じ攻撃編成の場合、1回の攻撃で「大和」に対して精々1打撃が関の山。下手をすると1打撃も与えられないかもしれない。それでも2波に渡る攻撃を繰り返せば、「大和」に2〜3打撃程度は期待できよう。日本の誇る大型新鋭戦艦を中小破させられるのであれば、チャレンジする意味はある。
対する米軍の損害だが、先の金剛の場合よりも対空火力が強化されているので、艦爆隊は0.6ユニット、艦攻隊は0.2ユニットを失う。第2波では損傷を加味すると艦爆隊0.4ユニット、艦攻隊0.15ユニットとなるので、損害の合計は1ユニット強だ。やはり9機前後。それでも「大和」撃破が期待できるのであれば、やってみる手はある。

「艦載機の攻撃だけで「大和」を撃破できるかもしれない」

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そして戦艦の意地

「海空戦、南太平洋1942」をプレイし、戦艦時代の終焉と航空機時代の到来。その様々な局面に思いを巡らしてみるのもまた一興だろう。

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以下の文章は、今年12月に発表予定の自作空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」のデザイナーズノートです。
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統一ゲームシステムの是非

本作は、シリーズ化を意図してデザインされている。具体的な予定はまだないが、個人的にはミッドウェー海戦、マリアナ沖海戦等も再現したいと思っているし、同じシステムで地中海やバレンツ海の戦いなどもシナリオ化したいと思っている。従って本作のシステムがある程度汎用性を持ったものであることは、ルールをお読みいただければ御理解頂けると思う。
とはいえ、本作ではシリーズゲームにありがちな「標準ルール」「特別ルール」という構成を採用していない。何故か。それは私自身が完全な意味での「統一化ルール」というのは、最適解ではないと考えるからである。
例えば空中戦のルールについて考えてみよう。本作では護衛戦闘機の効果をかなり高く評価しており、護衛戦闘機がいれば、攻撃隊はかなり高い確率で敵のCAPを突破できるようになっている。これは太平洋における空母戦で日本海軍の零戦隊がしばしば見せた「神業的な護衛戦」を再現できるようにしているからである。
しかし同じシステムを地中海の戦いに適用したらどうなるだろう。常にCAP側の戦闘機を超える数の護衛戦闘機を用意した独伊の基地航空部隊であったが、数と性能の優越にもかかわらず、守られるべき立場の独伊軍の爆撃機が英空母を飛び立った(比較的低性能な)迎撃戦闘機によってしばしば手痛い打撃を被っている。このような戦例を現時点における本作のシステムで再現したら、恐らく史実のような結果にはならず、マルタ島に向かう英空母は独伊空軍の爆撃機によって壊滅させられることになるだろう。従って仮に本作の続編で地中海の戦いを扱った作品をもし出版する事になった場合、護衛戦闘機の扱いについては本作とは異なったシステムになることが予想される。
同じ事が対空戦闘についても言える。本作では日米両軍の航空機と対空砲火の特色を再現するため、ダイス目に修正を加える方法を採用している。その結果、日本機については「落ちやすいが最後まで敵艦に対する攻撃を諦めず」、米軍機については「落ちにくいが簡単に攻撃を諦める」ようになっている。このようなルールは太平洋における空母戦を再現するためには効果的であるが、システムを汎化するという意味では必ずしも得策ではない。統一ルール方式で上記のような事象を再現する場合、これらのルールは特殊ルールの中に盛り込む形になる。
このように「標準ルール」+「特殊ルール」という構成で個々の戦いを統一化されたルールで再現しようとすると、どうしても特殊ルールのボリュームが大きくなり、競技者への負担を増やす傾向になる。さらに「標準ルール」+「特殊ルール」という構成の場合、標準ルールのボリュームが大きくなる傾向がある。例えば本作では誘導ミサイルやロケット弾に関するルールはないが、もし第2次世界大戦における海空戦を全て再現するような標準ルールを考えると、誘導ミサイル、ロケット弾、さらには誘導魚雷や特攻機に関するルールも取りこんでおく必要がある。しかしこれらのルールは1942年の空母戦を再現するには全く不要なルールであり、単に競技者に対してルールを理解する負荷を増やすだけの存在になる。
本作では、所謂「標準ルール」+「特別ルール」というルール構成は採用していない。標準化を意識したルール構成にはなっているが、あくまでも「1942年の南太平洋における海空戦」を再現するためだけのルール構成になっている。将来的に別の戦いを再現するゲームを製作する場合は、前作のルールを基本としながらも前作とは細部で異なった内容のゲームになるだろう。そして前作経験者に対する配慮としては、前作との相違点がわかるようなマーキングをルール上で実施し、ルールを読む負荷を下げるような配慮がなされることになるだろう。

本当に重要なことが見逃されていないか

これまで述べてきた事以外にも、本作では今までの空母戦ゲームでは見逃されてきたことがデザインに盛り込まれている。例えば索敵における位置誤認だ。これまで艦種誤認がルール化された事例はあったものの、位置誤認がルール化された例はなかった。索敵機の航路を細かく再現する従来の索敵システムでは、発見位置の誤認を盛り込むことは困難だったからだ。またダミーシステムでも位置誤認を導入することが困難なことは容易に御理解頂けよう。
本作では、索敵をエリア単位で抽象化すること、そして艦隊マーカーを盤上に配置するのを止めたことで、位置誤認を容易に再現できるようにした。さらに索敵力に応じた誤認発生確率を変動させることで、陸軍機と海軍機の索敵精度の違いを特別ルールなしで再現できた。索敵力4の陸軍機は、索敵力6の海軍機と比べると、誤認の可能性が高くなるようにデザインされているのだ。
艦隊任務や対地砲撃に関するルールも本作で新たに取り入れたものである。今までの空母戦ゲームはとにかく安易に対地砲撃が実施できすぎる。例えばミッドウェー海戦のシナリオで戦艦「大和」がミッドウェー島の米軍基地を艦砲射撃で吹き飛ばせるか、という問いに対して、現実の答えは「不可」だろう。能力的に足りないのではなく、ドクトリンや作戦構想が追い付いていないからだ。「金剛」「榛名」によるヘンダーソン飛行場に対する艦砲射撃は有名だが、それも即興的に実施された訳ではなく、事前に十分な下準備をし、万全の態勢で臨んだ作戦だったのだ。巷の空母戦ゲームで良く見られるように「思いついたら艦砲射撃」という感じで気楽に艦砲射撃を実施できるというのは幻想に過ぎない。
本作では、対地艦砲射撃自体を選択ルール化し、選択ルールを採用しない場合は対地艦砲射撃自体を禁止している。また選択ルール採用時でも対地艦砲射撃を行う際には事前の計画と目標設定が必要であり、しかも作戦中の目標変更や任務変更は許されない(任務変更は任務中止と同義である)。さらに対地艦砲射撃の能力自体も慎重に検討し、特別な支援がない場合の対地艦砲射撃能力を低めに設定することにした。これによって日本戦艦の艦砲射撃によってヘンダーソン基地が毎回毎回跡形もなく吹き飛ばされるような事態は発生しなくなった。
空対艦攻撃時における目標到達チェックと攻撃目標範囲については、やや蛇足的な感はあるが、これも本作で初めて採用されたルールである。これによって長距離攻撃時の目標発見の難しさが再現できただけではなく、前衛艦隊の意味も自然な形でシステムに取り入れることができた。また本作では採用を見送ったものの、レーダーピケット艦についても今後の作品でルール化が可能となっている。

わくわくする未来に向けて

先にも書いたが、本作はシリーズ化に向けた構想がある。
まずはミッドウェー海戦。マップの大きさとも相談したいが、ミッドウェーだけではなくハワイ又はウェーク島方面での作戦を再現できるようなゲームにしたい(あるいはA2マップを複数枚用意するか?)。さらには地中海やマリアナ、レイテの戦いをも将来的には視野に入れている。
またコンポーネントの向上も図りたい。まずは打ち抜きカウンターである。本作は15mmのユニットと12.5mmのマーカーが混在している。金型の関係で12.5mmの打ち抜きカウンターは現時点での実現は難しいが、もしある程度の売り上げが見込めるのであれば、将来的には検討してみたいと思う。さらにもし本作がある程度の人気を得られれば、どこかの出版社にお願いして、雑誌付録形式等でも出版してみたいとも思っている。

今後の「海空戦シリーズ」にご期待下さい。

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以下の文章は、今年12月に発表予定の自作空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」のデザイナーズノートです。
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奇策を排し、正攻法で

20世紀末から21世紀にかけてSLGのシステムが大いに進歩し、積み木、カードドリブン、COIN等の新しいシステムや、ユーロ系ゲームの影響等も見受けられるようになってきた。そのため近年では、ヘクス、ユニット、ターン、ZOCといった古典的なSLGの概念から大きく飛躍するような作品も見られるようになってきている。
無論、このような動き自体はSLG全体の発展という観点から見た場合は歓迎すべき事項であり、今後もこのような動きが加速されることを期待したい。しかし、それでは所謂「古典的なSLGの概念」が全く時代遅れなものであるかといえば、必ずしもそうではないと思う。

本作では、紙製のユニット、ヘクス方式のマップ、ターン方式のゲームシーケンスといった古典的なSLGの手法を採用している。海戦ゲームなのでマップ上では艦船の集合であるタスクフォースが移動することになるが、それも海戦ゲームでは一般的な事項だ。航空基地や航空機搭載艦を表わす航空基地シート、航空機搭載艦シートといったギミックも、多くの空母戦ゲームで採用されている仕組みである。
本作がこれらのいわば「伝統的な」手法を採用した理由は、決して懐古趣味的な意味ではない。これらの手法が空母同士の戦いを再現するのに最も相応しいと考えたからである。無論、プレイアビリティとゲームとしての面白さを演出するために敢て現実を抽象化したルールもある。例えば1ターンを4時間にしたこと、航空作戦をランダムシーケンスにした事等がその代表例だ。しかしこれらの例外を除けば本作のルールは極めてオーソドックスであり、空母戦ゲームの基本的なスタイルを踏襲していることを理解頂けると思う。

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戦闘システム

本作の戦闘システムは空母戦ゲームとしてはかなり複雑な部類に入る。戦術戦闘だけでも単独のゲームとして楽しめるようにデザインされており、戦術戦闘用のシナリオも用意されている。
まず空対空戦闘のルールについては、護衛とCAPとの関係性を中心にデザインした。多くの空母戦ゲームでは、護衛とCAPが1対1で対応付けられるようになっており、例えば護衛が1機でCAPが2機の場合、CAPの中の1機が護衛と相対し、残りCAP1機が爆撃機に向かっていく感じとなる。しかし本作では護衛1機にCAP2機が対応できるようになっている。これだけなら護衛が無敵でCAPが無能なようにも思えるが、護衛が撃破されるとCAPがそのまま爆撃隊に雪崩れ込めるようになっているので、CAPが無能で護衛が絶対というようなことはない。さらに空戦結果が不確実性を含むものになっているので、「これだけ護衛をつければ大丈夫」とか、「CAP機をこれだけ上げていれば完璧だ」といったような確定的な結果が得られにくい。勢い戦闘は不確実性の高いものになり、戦闘解決が盛り上がることになる。作戦レベルで見ても小兵力による攻撃が無意味ではなくなり、逆に大兵力による攻撃が確実なものではなくなるので、リスクを見越した作戦立案が必要となり、ゲームとしてより高度なものになる。

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さらに本作の空戦システムは、戦闘機の質的な違いを重視したものになっている。CAPと護衛の性能差が大きい場合、例えばCAPが護衛を一蹴して爆撃隊を襲撃したり、逆に護衛が無敵でCAPが全く爆撃機に近寄れないという自体が再現できる。これは特に性能の低い水上機を戦闘機として運用する場合に効いてくることになり、性能の低い水上機を数の力で圧倒することの無意味さや、性能が低い水上観測機が予想外の奮戦を見せて盛り上がるなど、ゲームとしてバリエーションの広がりが期待できる。
最後に戦闘システムの難易度について。本作の戦闘システムは競技者の熟練度によって結果に大きな差が出るようなものにはなっていない。ある程度の個人差が出ることは否定できないが、基本的には初めて競技を行う競技者であっても、戦闘結果としては「そこそこ」の結果が出るようにデザインされている。
その理由は、競技者の負荷を下げるために他ならない。
本作のメインテーマはあくまでも作戦レベルでの空母対空母の戦いである。戦術戦闘部分は、あくまでもメインテーマである空母対空母の戦いを演出するためのものでなければならない。競技者の思考リソースは空母対空母の戦いに集中されるべきで、それ以外の部分に思考リソースの多くを使うべきではない。
本作の戦術戦闘システムは、ルールとしてはそれなりに複雑ではあるが、思考プロセスとしてはシンプルになるようデザインされており、競技者が思考リソースの多くを戦術戦闘に投入する必要がないよう配慮されている。
ただし水上戦闘だけは例外である。水上戦闘は、拙作「ソロモン夜襲戦」の簡易版のようなルールを採用しており、それなりに競技者に負荷を要求するシステムになっている。これは例えば第3次ソロモン海戦のように水上戦闘主体のシナリオで水上戦闘の解決がダイスの振り合いだけで終わってしまうのは寂しいので、現在のような仕様になっている。この点についてはテストプレイヤーから、「水上戦闘ルールが重いので簡略化して欲しい」という意見も出ている。今後の推移を見ながら「簡易水上戦ルール」のようなものも検討してみたい。

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バランス調整

かつてSLGについて「シミュレーションか、ゲームか」という議論が戦わされたことがあった。この種の議論が全く不毛なものだとは思わないが、少なくとも結論の出しようのない(あるいは既に結論が出ている)テーマだと思われる。
私は、SLGは「シミュレーションであり、ゲームである」が正しい答えだと思っている。従って本作については、シミュレーションとしての側面を極力重視すると共に、ゲームとしての側面についても可能な限り等閑視しないようにデザインを心掛けた。
対戦ゲームとして考えた場合、ゲームバランス、すなわち競技者の有利不利は極めて慎重に考慮する必要がある。SLGが何らかの歴史的な事実に基づいたゲームである以上、そして歴史的な事実とは、必ずしも万人にとって成功の機会が公平に与えられる訳ではないことを考慮すると、SLGでの競技者が完全に対等な条件下で戦うことはまずない。いずれかの競技者にとって有利で、もう一方の競技者にとって不利なシナリオは避けられないものである。
問題なのは、そのバランスがあまりに一方的な否かという点である。もし一方の陣営に勝利のチャンスが殆どなく、もう一方の陣営の勝利が戦う前から明らかなら、競技者は作品に対する興味を失うことは容易に想像できる。競技者の作品に対する興味を持続させるためにも、ある程度のゲームバランスは必要である。
本作をデザインするに際し、私は日米の空母機動部隊について能力比較を行った。その結果、兵力が同じなら米軍がやや有利であるという結論を持つに至った。従ってバランス調整に際しては、意図的に日本側が有利になるよう、逆に米軍が不利になるような演出を行った。例えば攻撃隊の編成についである。日本軍は複数の空母から発進した攻撃隊を合同して1つの大攻撃隊を編成できるようにしているが、米軍は必ず空母別に編隊を分離しなければならない。また艦隊編成についても、多くの場合米軍は空母1隻単位で機動部隊を編成しなければならないようなルールとした。さらには護衛戦闘機の重要性についてもかなり過大に評価し、護衛なしで攻撃する機会の多い連合軍にとって不利に働くようなルールとなっている。
ただし、実際のバランス調整は両軍の兵力量や状況設定によって影響を受けるものである。従って本作のバランス調整はシナリオ毎に慎重に行った事は言うまでもない。

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演出

演出と書くと少しニュアンスが違うかもしれないが、要するに「わくわくするための仕掛け」と考えて頂きたい。先にも書いたが、SLGは軍事訓練ではなくあくまでも娯楽なのだから、競技者を楽しませるようなサービスが盛り込まれていなければならないと考える。
先に述べた戦術戦闘の部分も演出の一部といえる。単純に戦闘力とダイスを振るだけで戦闘結果を求めるよりは、実際に航空機が空母に爆弾や魚雷を投下する様を想像させる方がより盛り上がる事は間違いない。
他にも例えば航空作戦におけるランダムシーケンス等もシミュレーションとしての側面の他に演出としての側面が盛り込まれている。競技者にとって決められた手順に従って競技を勧めるよりも、「何が起こるか分からない」形でゲームが進む方が「わくわく」する事は間違いないはずだ。

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