(画像・・右端の黒い山が野ウサギがでた自宅の山の斜面。
山の上の平坦な所は松林で、斜面は雑木とアスナロ等が生えていた。
この斜面のウラジロが茂っている所に野ウサギの巣があった。
遠方、雲の下の山は大山国立公園の東の裾野。 )
昭和二十九年三月三十日(火)天候 晴
今日は芋座を作るので 山へ松葉を取りに行った。
自分は後から 車を引っぱって行った。
山に行って見たら松葉はもう束にしてあった。
姉も来たので自分はひまが出来たので、シイタケを取ってくるからと言って、山の下側に下りた。
昨年も自分はシイタケがあるのを見つけ、帽子にいっぱいも取った事がある。
昨日、姉達も山をまわっているので、どうかと思ったが行って見た。
歩いた跡があるので駄目だと思っていたが、気の付かぬ所に四本、わりあい大きなのがはえていた。
もどってきて姉に自慢をしてやった。
それから松葉を二わずつ背負って運んだ。
暇があったので下の方にウサギがいると言うので、半信半疑で下りて見たら、ウサギのふんでいっぱい
ではないか。 それに新しいのも沢山ある。 姉も昨日ウサギを見たと言っている。
母は二年位前からいると言っている。 四度くらい見たことがあると言う。
竹が生えている所やがさまやウラジロの生えている所をさがした。
もしもいた場合を思って棒を持っていたが、どうも気に食わないので、一握りくらいの石二つを持って
いた。
三十分もさがしてやっといそうな所に出たので用心した。
ちょうど裏白で穴のようになっている所をのぞいたら、とたんにガサガサと言う音と共に出たのは、
茶色のウサギ。
走るので続けて石を投げたが当たるはずも無い。
そこで走ってつかまえようと思って追った。
しかし、五メートルも行かぬ内に見失ってしまった。
山ウサギと言うものは実に良く走る。
少し耳をすましていたら、上の方でガサガサと音がするので見たら、八メートル位の所を上に向かって
歩いていた。 そして、自分に気付くと走った。
隣の山は実にきれいな広い山だ。 そこに出られたらおしまいだ。
走っていたら清水が出ている所にはまってしまった。
直ぐに石を拾えばよいが山だし、そんな物は無い。
ゴム草履をはいていたので走れず、上がってみたらウサギの姿はもう見えなかった。
実におしいことをした。
やっぱり網がないといけない。
松葉を二十数束も積んで帰った。 それで芋座を作った。
父は芋座の土を取っておられる間、自分達は肥をさあだに運んだ。
じゃの川橋の工事をしているので、遠回りをした。 夕方までには作った。
モモの花は去年より一週間も早い。昨年芋座は四月九日に作っている。
久し振りに仕事をしてくたびれた。
(注) 山へ松葉=我が家の山へ芋座の中に敷く枯れた松葉、車=大八車、
運んだ=車が止めてある所まで谷越えで運んだ、
がさま=雑木や雑草が絡まっている場所、清水が出ている所=水が湧き出ているぬかるみ
<コメント>
今日は家族総出で芋座(さつま芋の苗床)作りである。
我が家所有の山へ芋座に敷く落ち葉(松葉)を採りに出かけた。
去年、山の斜面の枯れ木に椎茸が沢山生えていたので、行って見たら今年も大きなのが4個生えてい
た。
それから、母が斜面に野ウサギ棲み付いていると言うので掴まえてやろう思って探した。
ウラジロの下の巣から野ウサギが出てきたが、棒や石では素手と同じで捕獲は無理だ。
この時の様子は今でもはっきりと憶えている。
文字通り童謡の「故郷」の一場面です。
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