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【37-2】人によって情報を得る。
人とはスパイのことで、スパイには五種類ある。
郷間・・敵国の人民を利用して情報を集める
内間・・敵国の役人を買収して情報を集める
反間・・的のスパイを寝返らせた逆スパイ
死間・・死を覚悟で敵国に侵入し偽情報を流す
生間・・敵国から情報を持ち帰る
最も重要な者は反間で、待遇を厚くすべきである。
【情報は些細なことからも②】
五丈原で諸葛公明と司馬仲達が対峙します。
当時はのんびりしており、互いに陣中見舞いを出していました。
司馬仲達は諸葛公明からの使者に、
「公明殿はお健やかでいらっしゃいますか。」
と尋ねました。
使者は、「公明様は最近、食事の量が減り僅かしか召し上がりません。」
これを聞いた司馬仲達は、
“年齢からして食が細るとなれば長くはあるまい。”
と考え交戦はせず、持久戦に持ち込みます。
しばらくして公明は陣中で没します。
公明の軍は棺を隠し何も無かったように陣を引き上げます。
部下の手前、かっこ良いところを見せたい仲達は追撃しますが、
公明の軍はすかさず反撃の姿勢を見せます。
すると仲達は、「引け、引け。」と退却をしました。
これが、有名な【死せる公明、生ける仲達を走らす】の語源です。
これを持ちまして「孫子」は終了します。
次は「宋名臣言行録」を投稿します。
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現代版 孫子
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第十三 用 間
【37-1】人によって情報を得る。
人とはスパイのことで、スパイには五種類ある。
郷間・・敵国の人民を利用して情報を集める
内間・・敵国の役人を買収して情報を集める
反間・・的のスパイを寝返らせた逆スパイ
死間・・死を覚悟で敵国に侵入し偽情報を流す
生間・・敵国から情報を持ち帰る
最も重要な者は反間で、待遇を厚くすべきである。
【情報は些細なことからも①】
ビジネスの世界では“産業スパイ”という言葉があります。
私が知らないだけで今も横行しているのでしょうか。
我々の日常ではスパイをしてまで他社情報を得ることはありませんが
他社の社員と日常会話をするなかでも多くの情報が得られます。
企業ではありませんが、
良い例としては太平洋戦争時の日本軍の情報の得方が参考になります。
アメリカはレーダーを開発しており、
日本の船や飛行機の位置を掴んでいましたが、
レーダーの無い日本軍もアメリカの配備を同程度把握していました。
終戦後、アメリカ軍が日本軍にどうして把握できたか質問しました。
「貴国のラジオ放送が情報源だった。
“こちら空母ホーネット。南十字星が8時の方向に見えます。”
これでどの当りを航行しているか推測できる。
“今日は○△軍需工場のピクニックの様子をお伝えします。”
これで工場の休日・稼働日も知っていた。」
「それだけで分かると思えない。」
「お前の頭では何度説明しても分からない(日本語)。」
現代の工業でも、
新工場が生産量に対して大きいとなれば、
何か新しいラインを導入するだろうと想像できます。
化学工業に精通した人は、工場の配管等設備の配置を見れば、
塩酸を作っているのか、水酸化ナトリウムを作っているのか、
直ぐ分かるそうです。
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第十二 火 攻
【36】例え戦に勝っても、
目的が達成されていなければ、その戦は失敗である。
【叱るのも程々に】
火攻めは効果的な武器ですが、相手を完全に消滅させ勝っても得るもの
はなく、焼き出された人々の恨みだけが残るので
余ほど注意をして利用しなければならない
と孫子は言っています。
笑い話ですが、
小さな自営業で工場長が、まだ若い社長の息子を叱りました。
この工場長、口が悪く、相手を完膚なきまで叱ることで有名でした。
いつものように機関銃の如く叱り、遂に、
“親の顔が見たいわ。”
と口を滑らせてしまいました。
“親の顔が・・”はともかく、相手を完膚なきまで叱ると
恨みだけが残ります。
その場はそれで済んだのですが、叱られた方は忘れませんでした。
息子は若くして社長を継いで、工場長は会社に居られなくなりました。
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【35】最初は処女の如く弱々しく振る舞い相手の油断を誘う。
そして敵が隙を見せたとき、
逃げて行く兎のような速さで一気呵成に攻め、決着を付ける。
【周到な準備と勝負どころ】
ポイントは“準備をしっかりし、
チャンスと見れば速攻で勝ちを得る”ということです。
最近(執筆時、2015年)の自動車業界は
トヨタとフォルクスワーゲンの一騎討ちの様相を呈しています。
生産にお金の掛かる自動車は
昔から部品の共通化が進められてきました。
フォルクスワーゲンは、なかなか手が付けられない車台にも共通化を
進め、且つ薄利多売(ワーゲンの利益率は5〜6%に対し、トヨタは
その3倍)を進め販売台数で遂にトヨタに並びました。
一方トヨタは、豊田章男社長の指示で数年前から工場建設を凍結し
その間、ワーゲン同様車台の共通化と、更なる生産効率化を進めて
いました。
折しも、ワーゲンでは経営層で揉め事が起きました。
今までワーゲンを成長させてきたピエヒ監査役会会長(ドイツ企業では
最高権力者でワーゲンの議決権を50%以上保有するポルシェの創業家
出身)が社長のヴィンターコーンと対立し退きました。
社長の経営手腕を評価は悪く、
トヨタと伍して行くのは難しいと見られています。
これを好機と見たのか、章男社長は工場建設凍結を解除しました。
孫子に習ったのなら、これからが勝負です。
追:この文書を書いた後に、ワーゲンのディーゼル車不正ソフトの大スキャンダルが
発覚しました。ワーゲンはトヨタを追う余り自滅したと言えます。
私にはピエヒ会長を追い出した内紛は無関係とは思えないのですが・・・。
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【34-2】名将が大軍を一人の兵士を扱うのと同様に指揮できるのは、
一、規定や従来の水準を遥かに超えた報奨を与え、
今までの軍規にない、あるいは超越した厳しい規律・処罰を敷く。
二、死を覚悟させるほどに兵士たちを追い込む(背水の陣)。
【死ぬ気でやらせるには】
背水の陣の語源となった韓信の話しは以前に紹介しました。
同様な話しは他にもあります。
ある将軍が軍を率いて船で渡河し敵陣に上陸しました。
そのとき、将軍は兵に船を沈め、飯ごうを叩き壊すよう命じました。
これにより兵たちに、
1.退路が断たれたので勝つ以外、生きる路はない
2.食事ができないので一日で終結させる
ことを覚悟させました。
同様なことは、
カルロス・ゴーンが日産の立て直しに着手したときのスピーチで、
「選択肢はありません。」と日本語で話しました。
これによりうるさい労働組合を黙らせました。
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