堯(たかし)の半生

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宗名臣言行録

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21.大きな悪事も頭が良くないと

皇帝が、宰相とその補佐役のあり方について、現宰相に意見を求めました。
「とかく才知に優れた者を用いがちですが、
 才知に優れた者は、
 不測の事態に直面したとき動揺しまいか、
 あるいは忠実であるか懸念されます。
誠実で正直な者を補佐としてけん制させるのがよろしいかと。」
 
大きな悪事を働く者は昔から頭の良い人でした。
暴君と言われた皇帝も始めは優れた指導者でしたが、
功遂げたとき、目的を見失い暴君の方向に進み始めています。
政治まで巻き込んだスキャンダルの当事者の多くは高学歴です。
頭が良いだけに一旦道を間違えると、
良く考えられているため
気付かれるのも遅れ、事が大きくなってしまいます。
反対に、頭の良くない社長のやることと言えば、
会社の金を私的に使う程度で、その額も大したことはありません。
増して、親の後を継いだボンボン社長は
脇が甘く自身の言動から洩れてきます。
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【20.個人には性善説で、全体には性悪説】
役人たちに“厳”で当るべきか“寛”で当るべきか、宰相は、
「人は個々に違い、得意なところを発揮させればうまく行くが、
 不得意なことをさせるとうまく行かない。
 相手に応じて対処するのが私のやり方だ。」
 
上司が部下に個別に接するときは、
“相手の能力・性格に応じた接し方”が必要です。
不誠実であることを前提に接しられると、
それは必ず相手に分かるものです。
しかし、職場の制度・仕組みを作る時は、
概ね“性悪説”に基づいて作ります。
例えば、製造工程では、
不良が出たとき、
誰が・いつ作ったか犯人を明確にできるようになっており
再発防止をします。
一人がさぼっても仕事として完成しないことが多いのです。
性善説で作られた制度に、
抜け道があると分かると必ず抜ける者が現れます。
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【19.堅物は出世できないのか】
宰相が皇帝に、
「君子は道を同じくする者を友に選び、
  小人は利を同じくする者を友に選ぶ。
 小人の偽の友情は退け、真の友情を選ぶのが君子のつとめです。」
宰相は悪徳官僚からは嫌われ、皇帝からは絶大な信頼を得ました。
皇帝は側近に、
「彼のような人物はどうしたら得られるか?」と問うほどでしたが、
  十分には用いられませんでした。
 
利害関係で動く集団の中にあって、
上司に忠告する部下、部下からの忠告に感謝する上司
の関係は相当難しい関係です。
立場が上になればなるほど周囲との人間関係に一線を引くのが現実です。
信頼関係ができていないと、
上司にダイレクトにもの申すには、首を掛けることになります。
そして、悪い奴らには嫌われるのは良いのですが、
彼らと仕事をする場面は限定されます。
優秀でも堅物が出世しないのはそのためです。

しかも、引き上げてくれる上司に恵まれないといけません。

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【18.ものより大切なもの】               
古墳から出土し献上された玉杯を大切に使っていましたが、
高官を招いての宴席で下役人が粗相をして割ってしまいました。
青くなって、言葉も出ないで立ち尽くす下役人に、
「ものには寿命があるものだ。
 故意にやったわけではないから、気にするには及ばぬぞ。」
この一件で、周囲は宰相の度量の大きさに敬意を表し、
宰相は男を上げました。
 
これと同じことを実行された女性を知っています。
この話しのポイントは、
ものと人とどちらが大切かを行動で示したことです。
孔子も駿馬が入れられた馬小屋が火事になったとき、
馬のことは一切口にせず、馬屋番に一言、
「怪我はなかったか」と言いました。
高価なものを台無しにされたとき、
ものに対する無念を口にしたくなるものです。
その言葉を噛み殺し、冷静に善後策を考えた行動を取ったことです。
それは馬屋番を攻めず、許したことです。
簡単そうですが、瞬間の出来事です。
普段から自身を高め、そのレベルに達していないと自然に取れる行動ではありません。
しかし実行できれば、絶大な信頼を得られます。
 
瞬時に判断できなくとも絶大な信頼を得る方法があります。
若い社員に良く言うことですが、
“ミスを犯しても、嘘をついて隠さないこと。”
私の経験からも、嘘をつくといずれ矛盾が生じて分かります。
だから逆に、“黙っていれば絶対分からない。”ことでも、
“ミスを犯しました。”と自分から上司に報告するのです。

上司は、“黙っていれば分からないのに”

敢えて報告した部下に絶大な信頼を寄せるはずです。
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17.既得権益

【17.既得権益】
当時の裁判所も今と同じで、都合に合わせて判例を持ちだしました。
裁判官はそれにより判決を左右し、甘い汁を吸うようになりました。
そこで宰相は、判例集を意味のあるものに整理し直し、
自ら保管することにしました。
それ以降、賞罰は宰相の専決事項となり、
裁判官の損得による判決は無くなりました。
 
官僚が、既得権益を手放さない切っ掛けかもしれません。
利害や結論に大きく影響する権限を持った者がし実情の権力者となり
悪用すれば自身が利益を得られます。
会社で社長が偉い理由は最高の権限を持っているからです。
部下を出世させるのも、左遷させるのも、
誰よりもその意向が強く反映されます。
もし、それが無くなったらどうなるでしょうか。
ぼんくらなボンボン社長に、
仕事は接待が中心で、経営は番頭さんに“任せた”という人がいます。
こうして番頭さんが実権を握っているケースを見ます。
下剋上が起きないのは、番頭さんの良心なのでしょう。
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