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『ハイウイング・ストロール』 小川一水著 ソノラマ文庫 陸も海も重素雲で覆われてしまった地球。
人々は、かつて高地だった「島」に住み、空中を漂う「浮獣」を狩り、その製品に頼って暮らしている。 15になる不良少年リオは、無理やりその「浮獣ハンター」にスカウトされた。 年上の女性ハンター、ジェンカに鍛えられ、やがて訪れた充実の日々。 最強の獲物を狙うという二人の夢も膨らむ。 だが、この世界が重い秘密の上に成り立っていることはまだ知らない。 今は亡き朝日ソノラマから出版された、小川一水さんのライトSFです。 重素雲と呼ばれる海のような雲のような物体が地球を覆う未来世界。 わずかに残った高地が島のように点在していて、生き残った人々がしがみつくように暮らしています。 世界の設定はちょっとだけ、あろひろし著『雲海の旅人』(SFコミックの名著。未完・絶版なのが悔やまれます)に似ていますね。 ただし、本作の世界では竜の代わりにプロペラ飛行機が飛び交い、「浮獣」と呼ばれる生き物を狩っています。 「浮獣」はこの世界では、食料であり、あらゆる材料の元であり、燃料でもあります。 彼らは重素雲の沖にある礁(リーフ)と呼ばれる場所で無限に生まれ、島に近づいてきますが、決して地上や雲上に浮かぶ人間を襲うことはありませんでした。 彼らを狩るのは「翔窩(ショーカ)」と呼ばれる人間たち。自ら志願して、危険な職業を選んだ人々です。ショーカ達は、危険と引き替えに一攫千金と名誉を得ようとしています。 15歳のリオは学校でも匙を投げられた不良少年。 学校と両親から泣きつかれたギルドによって、ショーカの見習いとして推薦されます。 そして、パートナーを失った直後のジェンカについて狩を学ぶことに。 狩を繰り返す内に関係が深くなっていく二人。 それと共に、「浮獣」と「世界の成り立ち」の謎を少しずつ解き明かしていくことになります。 そしてついに現れた最強・最古の浮獣、オーデル。 島を襲い、飛行場を破壊するオーデルを、ショーカ達は追い返すことができるのか。 といったストーリー展開で、サクサクと楽しんで読めます。
しかし、作者あとがきに書かれているように、この作品のキモは「世界の成り立ちの秘密」にあります。 人間の持つ根源的な性質の一つ「凶暴性」。 人と人との間に起こる暴力をどうやったら無くすことができるのか。 SFとして繰り返し書かれてきたテーマを、小川一水さん独特の世界観で構築した作品です。 単純に少年の成長物語として楽しむも良し、より深い世界の成り立ちに想いを馳せるも良しと、読む人毎に違った楽しみ方ができる作品だと思います。 朝日ソノラマが解散になったことでいつ絶版になるか分からない本ですが、今はまだネット書店で注文ができるようです。 ご興味のある方はお早めにどうぞ^^。 |

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