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昨年、日本で出版された当時は図書館の貸し出し予約が一杯だった本ですが、最近は予約もさっぱりになったみたいです。会社から指定された通信教育も無事終わったことだし、そろそろ大作が読んでみたくなったということで、借りてきました。
この作者のデビュー作です。アメリカでは完結前から話題になっており、発売と同時に全米ベストセラーの1位になったとか。
日本でも昨年出版された当時は話題になったので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
冒頭の「読者へ」の日付が2010年になっているところからも分かるように、本作は現実の世界を舞台にした架空のお話で、主人公の歴史学者<ヒストリアン>が16歳から17歳の頃に体験した出来事を綴ったという形式になっています。
発端は、父の書斎で見つけた古い本と黄ばんだ手紙の束でした。
この本は真ん中のページが自然に開くようになっており、そこには竜が翼を広げた挿絵だけが印刷されており、「DORACURIA」と描かれています。それ以外のページはすべて白紙になっているという、不思議な本でした。
一方、手紙の方は本ほど古くはなさそうですが、こう始まっていました。
親愛なる、そして不運なるわが後継者へ
きみが誰なのかは知らないが、私がここに書き記す話を読んでいるかと思うと、残念でならない。
父に本と手紙を見てしまったことを告白すると、父の顔は青ざめてしまいます。
その後、父は出張の度に、娘を連れて様々な地域の史跡を回るようになります。
そして、心休まる景色を前に世にも恐ろしい体験を少しずつ語り出すのです。
まるで、素晴らしい景色に包まれた場所でしか語ることに耐えられないとでもいうように。
なにより、その話は決して過去の物ではなく、今もまだ続いているのです。。。
それは、歴史上のある人物を追う歴史学者<ヒストリアン>の物語。
その人物とは、オスマン帝国軍の数十万の軍勢をわずか数千の手勢だけで退けた英雄にして、母国の多くの民を虐殺したことで知られる暴君。十五世紀に実在した、ルーマニアのワラキア公ヴラド・ツェペシュです。俗に言う、ドラキュラのことですね。
本作は、ドラキュラを追い求め、彼につけ狙われるようになり、彼の息の根を止めようと命をかけた探索の旅を続ける歴史学者たちの物語です。
高名な歴史学者だったロッシ。失踪したロッシを追う、彼の担当学生だったポールとロッシの娘ヘレン。そして突然消えた父ポールを追う主人公。
はたしてドラキュラを追い詰めることができるのか。彼は本当に現代まで生き続けているのか。そして、ブラム・ストーカーによるドラキュラについての記述は正しいのか?
舞台はオランダ、スイス、フランス、トルコ、そして冷戦時のハンガリー、ブルガリアへめまぐるしく変わります。
各国の歴史学者。図書館司書。ありとあらゆる稀覯本。オスマントルコ帝国スルタン直属の秘密部隊の末裔たち。ハンガリーやブルガリアの秘密警察。そして吸血鬼。。。
ハードカバー上下巻で約1000ページという大作です。正直、長いとは思いましたが、なかなか面白く読むことができました。
ネット上では色々言われたりしているようですが、個人的には楽しめるお話でしたよ。
この手の本につきもののエピローグもしっかり踏襲されていましたし^^)
訳者あとがきによれば、映画化も予定されているのだとか。
ただ、2時間とかでざっとストーリーをなぞるのではなく、できれば原作を読んで、時間を掛けて少しずつ古い資料を探索し、ドラキュラを追い詰めていく感覚を楽しんで頂きたい作品です。
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