日々雑感

趣味や日々感じたことなど、ときどき愚痴かも---

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索
しろねこさんことマダムホワイトが校長を務める本楽家大学ミステリ学部へ入学したは良いものの、あまり活動できずにいます。
そもそも、あまりミステリは読まないので(じゃぁ、なぜ入学したのか?と怒られそうですが)。
現在2回目の課題が出ていますが、私にはとても超えられそうにない壁が立ちはだかっている感じがします^^;)
かといって何もしないのも申し訳ないので、最近読んだライトノベル界では有名な作家のミステリ(?)などを。

しずるさんと偏屈な死者たち』 上遠野浩平 富士見ミステリー文庫


エレベーターを降りると、私はこの階に一つしかない病室のドアをノックする。
いつもきっかり3秒後に
「・・・どうぞ」
と声が返ってくる。
私がドアを開けて病室に入ると、彼女はベッドの上で身体を起こしていた。
「いらっしゃい、よーちゃん」
「こんにちは、しずるさん」
しずるさんは、にこにこと微笑みながら私を見ている。
よかった。どうやら身体の調子は良さそうだ。

しずるさんはいつも穏やかで優しい。
しずるさんとのおしゃべりが楽しくて、暇を見つけては押しかけてきている私のことを、いつも微笑みながら迎えてくれる。
けれども、しずるさんにはひとつだけ、とても困るところがある。
私からすると目を背けたくなるような残酷な事件とか複雑に込み入った謎とかに、ひどく執着して興味を示すという癖だ。それも、難解なら難解なほど強い興味を示す傾向がある。
ところが私ときたら、そういう殺人とか猟奇事件といったものが人一倍苦手なのだ。
あまり事件のことは聞かないで欲しいと思いつつも、
「よーちゃん、お願いよ」
と、上目遣いで懇願されてしまうと、私には断ることが出来ない。
「しかたないわねぇ」
とため息をつきながら、それでもしずるさんのために集めてきた雑誌や新聞の切り抜きを取り出すことになるのだ。

「ねぇ、よーちゃん。人が人を殺すときというのは、その段階で既に失敗をしているということなのよ。つまり殺人というのは、基本的には失敗の埋め合わせであり、自分の怠惰をごまかそうっていう姑息なものなのよ。」
しずるさんは決して声を荒げることなく、淡々と言葉を継ぐ。
「そこに不条理はあっても不思議はないわ。あるのはただ、ごまかしだけ。。。」
そんなことを言いながら、毎回、不可思議な事件を鮮やかに解き明かしてしまう。
私は、しずるさんとおしゃべりできるのが楽しくて、ついつい付き合ってしまうのだ。

今日もほら、
「ところでよーちゃん、最近はなかなか面白いことが起こっているみたいね?」
こういう時のしずるさんは少しだけ活き活きとしている。
念のためにと思って持ってきた“資料”が、どうやら役に立ってしまうみたい・・・

というわけで、病院でほぼ寝たきりに近い生活を送っている「しずる」さんが、友人の「よーちゃん」が集めてくる情報だけで事件の謎を解いてしまうという、「安楽椅子探偵」ものの短編集です。
事件といっても、肩から切断された両手を顔にめり込ませたうえに片足しかない「からかさ小僧」のような死体が見つかった事件とか、風の強い日に凍った男が空を舞った事件とか、6時間前まで生きているのが確認されている男がミイラになって野の花に囲まれているのが見つかった事件とか、一般的な事件とは少し様子が違います。

仲の良い二人の少女が戯れにおしゃべりしているだけ、という見方も出来る作品ですが、一見、奇想天外に見える事件をどうやって論理的に説明するかという点ではやっぱりミステリの範疇に入るのではないでしょうか。ちょっと、苦しい所もありますが^^;)
しずるさんはいつも穏やかで苦しい表情を見せたりはしませんが、寝たきりに近い病人であることに違いはありません。二人とも、この幸せな時間がいつか突然終わってしまうかもしれないことを分かっている、そんな緊張感も漂っています。

続編も出ています。
現在までに、上記1作目に続き
しずるさんと底無し密室たち
しずるさんと無言の姫君たち
の3冊が刊行されています。
月刊ドラゴンマガジン増刊に掲載されているようなので、まだ続いているのかもしれません。
個人的には好きなシリーズなので、まだまだ続いて欲しいと思います。

表紙や本文中のイラストがとにかくかわいいので、本屋で買うときには躊躇ってしまうかもしれません。そんな時はリンクしてあるYahoo! Booksなどの通販でどうぞ。

開く トラックバック(3)

しろねこさんことマダムホワイトが校長を務める本楽家大学ミステリ学部にはSF学部があります。私自身は入学しているわけではありませんが、聴講生として楽しませていただいています。
そんなわけで、私のSF体験を少し。

私は、いわゆるハードSFはほとんど読みません。
宇宙船が出てきたり、舞台が宇宙だったり、現代科学で説明できないような法則が当たり前になっている世界が舞台のお話は、私にとって皆SFです。世間ではライトSFとか、似非SFとか言われているようですが、私にとっては何の問題もありません。面白ければ良いのです!
日本ではアニメや漫画に秀作が多くあります。
代表格としてもちろん手塚先生の「鉄腕アトム」。私の世代では「宇宙戦艦大和」や「キャプテンハーロック」、「クィーン・エメラルダス」、「銀河鉄道999」など松本零士もの、「機動戦士ガンダム」等の巨大ロボットものなど忘れられない作品が目白押しです。
小説では、『星界の紋章』に続く「星界」シリーズ、「デルフィニア戦記」の茅田砂湖さんの『スカーレットウィザード』シリーズなどが最近の秀作ですが、高千穂遙さんを忘れるわけにはいきません。「クラッシャージョウ」、「ダーティ・ペア」シリーズが有名ですが、個人的には「運び屋サム」シリーズが好きです。2巻しか出ていないことが本当に残念です。是非続きを書いて欲しい作品の一つですね。
また、パンダさんもオススメの火浦功氏「高飛びレイク」もオススメです。ちょっとお間抜けな主人公が大活躍するシリーズ。雰囲気としてはルパン3世の宇宙版といった感じです。これも続きを書いて欲しい本の一つって言ってたら、2006年に朝日ソノラマから書き下ろしを加えた合本が出ていたんですね。し、しかし、書き下ろし1編のために1,500円はちょっと高いかも。。。ちなみに、火浦氏は漫画家のゆうきまさみ氏やイラストレーターの出渕裕氏とお友達なことでも有名ですね。

とはいえ、少しは本格的なSFも読みました。
代表格は、やはりアイザック・アシモフの『我はロボット』から続く「ファウンデーション」シリーズ。
ロボット3原則(後に第0原則が追加されましたが)を確立したSFの大家の代表作です。
決して小難しくなく、でも深いストーリーは他の方にも是非読んで頂きたい作品です。
他には映画「ブレードランナー」の原作として有名なフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』やロジャー・ゼラズニィの『ドリーム・マスター』などなど。
日本人なら、最近では小川一水さんの『第六大陸』や『老ヴォールの惑星』など。
上記のライトSFと比べるとずいぶん作品リストがお粗末な感がしますね^^;)
これだけではあまりに何なので、一つだけご紹介を。

マッド・サイエンス入門 堀晃 新潮文庫

イメージ 1

昭和50年代に日本ハードSF界の旗手として活躍されていた氏が昭和52年から53年にかけて『SFマガジン』に連載したエッセイです。表紙を含めて、イラストは失踪前の「吾妻ひでお」氏が担当しています。残念ながら現在は絶版となっていますが、アマゾンなどではまだ古本が手にはいるようです。
ちなみに、堀氏はまだご存命で、「SOLITON」というSF同人誌を主催し、ブログも更新していらっしゃるとか。
本書の内容は、SFに良く出てくるテーマについて基本的な説明をしながら、世界のSF作品を紹介するという趣向なのですが、一つだけ選ばれる作品に制約があります。それが、タイトルにもなっている「マッド・サイエンス」に当てはまること。
ちなみに、マッド・サイエンスとは著者の言葉を借りれば以下の通りに定義できます。
1. 定義が不可能なこと
2. いたずらに反権威的、反権力的な姿勢がないこと
3. 私利・私欲に走らない
4. 何よりもバカバカしい
これだけでは、何の事やら分からないと思いますが、著者が選んだ作品はたとえば以下の通り。
D. Sunshine『The President Black-hall』
 堀氏は「社長室のブラックホール」と訳しているが、要するに不況企業の社長を[裏返し]、宇宙を丸ごと社長の中に閉じこめるというもの。頭の中で想像するとよく分からないと思いますので、是非本書のイラストをご覧頂きたい。社長の中に宇宙があるのだからこの企業が宇宙中を独占して商売が出来るため、業績が回復するという何ともイカれたアイデアの作品。

またもやD. Sunshine氏の『Smell of Ruin』
 堀氏は「はたちの屍臭」と訳している。ファースト・コンタクトもの。ガス状生物が流星雨にのって地球にたどり着くが、その生物の臭いの影響でほとんどの人間が死に絶えていく。わずかに残された嗅盲者たちが力を合わせて臭いの分子を解明し、それが生命体であることを突き止める。臭いのスペクトルを解析して「会話」を試みるがことごとく失敗し、地球人がもっとも快適と感じるにおいで友好の意志を表そうということになった。そのにおいとは、レモンの香りである。ところが、その香りがガス状生物には致死的に働き、結局人間は生き残った、というお話。
他にもあるのだが、全部D. Sunshine氏の作品なのだ。堀氏はよほどSunshine氏の作品がお気に入りだったらしい。もちろん、その過程でブラックホールの基本的な説明や、古典的SFの紹介などもきっちりされています。永久機関の説明をした「無から有を」の章など、傑作と言っても良いのではないかと。

初めて図書館でこの本を手に取ったのは、私が高校生の頃でした。当時の私に、SFという分野の奥深さと基礎知識を与えてくれた貴重な本です。
また、SFに勝るとも劣らない科学への興味をも与えてくれ、私の進路を決める一因(?)ともなった、私の人生の節目に大きな影響を与えた本なのです(もちろん、この本だけではありませんが・・・)。

あれ?これって、もしかして月野さんいうところのBSFの紹介本なのか?
いやいや、あくまで基礎知識を求める方に読んでいただきたい、ということで。。。^^;)

開く トラックバック(1)

この度、しろねこさんことマダムホワイトが校長を務める本楽家大学ミステリ学部へ入学することになりました。入学生名簿はこちら
勤勉なマダムホワイトのこと、早速第1回目のレポート提出命令が下りました。
とはいえ、ミステリなんてさっぱり読まない私のこと、そもそも自分が読んだミステリを振り返ることで課題の代わりにさせていただきたいと思います。

小学生高学年
私の通っていた小学校は3年生から図書館を利用することができました。
そこで読みふけったのが、江戸川乱歩の「明智小五郎」と「少年探偵団」のシリーズでした。なぜか今でも『透明人間』だけは良く覚えています。「怪盗ルパン」も読んだはずなのですが、あまり覚えていません。シャーロック・ホームズと対決するお話があったような気はしますが。。。
また、母親が喫茶店で働いていたときに、お店に置いてあった古い文庫本や漫画を大量に引き取ってきました。創元推理文庫(確か・・・)のシャーロック・ホームズのシリーズ全巻がその中にあったと記憶しています。これも一生懸命読みました。少し古い年代の本で、妻のことを「細君」としてあったのが印象的でした。まぁさんと同じく、「踊る人形」とか好きでしたねぇ。ロンドンに行く機会があったら、必ずベーカー街221B(実在します。観光名所だとか。)に寄ってみたいと思っています。
もらってきた本の中には横溝正史も何冊か入っていて、シャーロック・ホームズほどではないですが、読んだ記憶があります。でも「金田一耕助」は小説よりもドラマの方が印象深いですね^^)個人的には石坂浩二が好きでした。

最近のものでは、赤川次郎さんは結構読んだと思います。おなじみ「三毛猫ホームズ」シリーズや「幽霊」シリーズ、「三姉妹探偵団」シリーズなど。でも、あまり内容を覚えていないんですよねぇ。。。一度読んだらそれっきりだからかな?


中学校以降、現在まで
いきなりはしょっちゃいましたが^^;)、この間にはミステリはほとんど読んでいませんでした。中学生の頃はゆうきまさみさんの「あ〜る」などの漫画を読みふけり、高校生の頃は「エルリック」などのファンタジーものにはまっていた気がします。

親が西村京太郎が好きで、実家にたくさんあるのですが、難解なものは頭が受け付けないため(苦笑)ほとんど読まないまま現在に至っております。
最近になって、畠中さんの「しゃばけ」シリーズを読んでいるのがわずかにミステリっぽいでしょうか。かなり規格外ではありますが、一応、推理ものなので。

ミステリ学部の皆様には周知のことかもしれませんが、そもそもミステリには二通りあるのですよね。
一つはすべてのヒントがあらかじめ読者に提示されて、純粋な謎解きを楽しむもの。
「本格推理小説」と言われる作品ですね。
もう一つは、主人公である探偵が犯人を追い詰めていく過程を楽しむもの。必ずしもすべてのヒントが提示されているわけではなく、最後の謎解きの場面で「実は私はこういう証拠を持っています。(だから観念しなさい)」という事も多い。
こちらは「探偵小説」になるのでしょうか。一般に「探偵小説」といえば「推理小説」と同義ですが、他に適当な言葉が見つからないので。「非本格推理小説」という言い方もあるみたいですが、あまり良い言葉ではない気がします。

作品にもよりますがシャーロック・ホームズ、金田一耕助などは後者に分類されます。こうしてみると、私はどうやらこちらが好きなようです。細かいことはあまり気にしない性格を、見事に反映していますね(笑)

ということで、私の印象に残ったミステリをご紹介したいのですが、ちょっと変わったところでこんな作品を挙げてみたいと思います。

なあばすぶれいくだうん(NERVOUS BREAKDOWN) たがみよしひさ 学研ノーラコミック 全13巻

イメージ 1
たがみよしひさといえば『軽井沢シンドローム』が有名ですが、ミステリやハードボイルドの名作に題を取った作品がこちらです。例によって2頭身キャラとシリアスキャラが入り交じって、軽いノリからシリアスな話まで幅広く描かれています。
1989年の作品で、残念ながら絶版になっていますが^^;)
一風変わったタイトルですが、NERVOUS BREAKDOWNとは「ノイローゼの発作、神経衰弱のために倒れること」という意味なんだそうです。これは主人公の探偵、安堂が虚弱体質であることを表しています。常に洗面器を用意しているので、いつ戻しても大丈夫!というか、毎回必ず1回は吐いているような。。。ただし、頭脳明晰でお約束のように女にモテます。
頭脳労働の安堂の代わりに肉体労働を一手に引き受けるのが、筋肉の塊で元警察官の三輪です。筋肉にしか興味がないと思ったら、趣味がアクアリウム、しかも水草専門という意外な面も。。。
ストーリーはこの二人を中心に、変わった事件を解決していくというものですが、毎回元ネタがあります。ファンの方で、元ネタをすべて調べたという奇特な、もとい、素晴らしい方がいらっしゃいます。その方のHPを見ると、元ネタになっているのはこんな作品です。
「八墓村」横溝正史
「さらば愛しき女よ」R.チャンドラー
「緋色の研究」コナン・ドイル
「ゼロの焦点」松本清張
「むごく静かに殺せ」森村誠一
「ポアロのクリスマス」A.クリスティ
などなど、ミステリとハードボイルドの名作がずらり。当時は全く分かっていませんでしたが、知りながら読み返すとまた違った良さがあるかもしれませんね。
たがみさん独特の作風が大丈夫な方なら、きっと楽しめると思います。
オークションや古本屋などで探してみてくださいね。

漫画でミステリものの傑作と言えば「金田一少年」や「コナン」が有名ですが、上記作品も引けを取らないと思っています。読む人を選ぶかもしれませんが^^;)

というわけで、レポート第1弾でした。
マダムホワイト様、こんなんで良かったでしょうか?(激しく不安)
『金魚屋古書店出納帳 上・下』 芳崎せいむ著 IKKIコミックス 小学館

12/18 少し修正しました。


イメージ 1
イメージ 2
公式サイトはこちら

そこを訪れれば見つからない漫画はない…と言われる古漫画専門店「金魚屋古書店」。
ここの店長代理の娘・菜月、彼女に惚れる“まんがばか”斯波――さらに、金魚屋を訪れる様々な客や、漫画に想いを持つ様々な人たちが織り成す人間模様…。メジャーな作品からマイナーな作品まで、実在の漫画を素材にした古書店物語!!

 週刊ビッグコミックスピリッツにて『山手テレビキネマ室 テレキネシス』を連載中(コミックスは3巻まで発売中)の芳崎せいむさんが描かれている漫画です。もともと「少年画報社」から刊行されたものですが、IKKIコミックスとして小学館から再版されています。現在は月刊イッキ(『鉄子の旅』が連載されている雑誌です)にて『金魚屋古書店』が連載中で、コミックスも4巻まで発売されています。ストーリーは続いていますし、キンコちゃん、セドリの留さん・あゆさんコンビ、河井キングなど主要な登場人物が出てきますので、まずはこちらの『出納帳』から読むことをオススメします。こちらで少しだけサンプルが見られます(コミックスの表紙画像をクリックしてください)。

 町外れの川沿いにある古書店。入り口の扉に金魚のステンドグラスが嵌っているのが目印です。古ぼけた店構えに似合わない若い女性が暇そうに店番をしています。彼女・菜月(上巻の表紙の女性です)は店主である祖父が入院したために、店長代理として店を任されているのです。また、店には「ダンジョン」と呼ばれる広大な地下室があり、膨大な数の漫画を網羅しています。そこに棲み着いているのが美形の漫画バカ斯波(下巻の男性です)です。ひたすら漫画を読み、果てしない金魚屋の在庫をすべて把握していると思われます。
 金魚屋には他のお店では探せない漫画を見に来る人がたくさんやってきます。絶版本、初版本、稀覯本などなど。その品揃えを支えるのが、セドリと呼ばれる人々。古本屋から市場価値よりも安い値を付けている本を選び出し、別の古本屋に買い取りしてもらうことで差額を得る人々のことです。作中には岡留高志と小篠あゆという凄腕セドリが登場します。
 その他にも、家の2階が古漫画であふれかえってしまった河井キング(なぜキングなのかは作品をご覧くださいね)や、いつも漫画を読みながら歩き、「女版 二宮金次郎」からキンコちゃんと呼ばれている常連さんなど、個性豊かな人々が金魚屋に集まってきます。そんな金魚屋の店主が伝説の店長といわれる鏑木清太郎、菜月の祖父です。体調を崩し入院した後は、菜月に店を任せていましたが、下巻の最後で病院から抜け出し騒動を巻き起こします。

 金魚屋に漫画を探しに来る人は、色々な事情を持った人ばかりです。入院した叔父のために「河童の三平」を探す女子高生、好きな人と共通の話題ができたことが嬉しく「タッチ」のサンデーコミック最終刊(新刊書店では既に扱われていない)を探す男子学生、35年間無遅刻無欠勤の父親が欠かさず買っていたビッグコミック別冊『ゴルゴ13』に1冊だけ欠けていた22巻の理由を探す息子。。。
 作者の漫画に対する知識にも瞠目に値します。水木しげる著「河童の三平」は実は4回も出版されていてラストが少しずつ違うとか、日本で最初の漫画は大正時代(!)に書かれていたとか、1976年創刊の真四角のオールカラー少女漫画雑誌(サンリオ刊)があったとか、戦前から戦後に欠けて中村書店から出版された「ナカムラ漫画」に日本で最初の長編SFファンタジー漫画「火星探検」(大城のぼる著)が含まれていて、初版本は3色カラーだったとか。。。『金魚屋古書店』ではさらに蘊蓄が繰り広げられます。登場人物の台詞に出てくる漫画だけでも知らないものばかり。余白に詳しい説明がありますので、すべて網羅すればかなり詳しくなれること確実です。

 古漫画の知識を披露することが目的ではなく、その漫画を絡めた人間ドラマを描くのが『金魚屋』の真骨頂です。漫画を通じて繋がる男女関係、親子関係、友情などなど。

特に下巻に収録されている11話『漫画の神様』は秀逸です。もともと金魚屋で知り合ったという両親が離婚し、父親の面影を忘れかけている娘・千草が自分はどこから来てどこへ行くのかを探す物語です。
ここでの漫画の神様とはご存じ「手塚治虫」と同時に目に見えない文字通りの神様をも指しています。
娘よりも漫画の方が大事で離婚したと母親から言われていた父親への反発から漫画に反感を抱いていた千草ですが、「手塚治虫記念館」(兵庫・宝塚)で『リボンの騎士』を読むことで少し反感が和らぎます。その後「水木しげる記念館」(鳥取・境港)に行き、金魚屋の店長・清太郎と会い、「漫画なんてたかが紙の上の事。漫画の方が娘よりも大事な事なんてあるわけない。」と諭されて、いままで憎むばかりだった父親への気持ちが変化していきます。
その後も父親を捜すことで自分の居場所をも探そうとする千草でしたが、最後に父親に会ったとき、やはり憎しみの方が先に立ってしまいます。そこに金魚屋の店長から託されたあるものが。そこには、まさに千草がどこから来たのか、の答えが描かれていました。
「かすがい」の筈なのに両親の離婚を防ぐことができなかった自分。
父親と同時に自分の存在を責め続けていた千草が始めて出会った言葉
「在(い)てくれてありがとう」
その瞬間、千草と父親の目からは抑えきれない涙が。。。
この最後の「あるもの」は本当に反則ですね。危うく涙するところでしたよ。
それぐらいお話に引き込まれていたということですが。。。

  漫画なんてたかが紙の上の事
  だからこそ
  どんな事でも起こり得る
                            鏑木清太郎


 漫画の好きな方、人情ものが好きな方、古本屋をやってみたい方、などなど幅広く読んでいただきたい作品です。
こういう作品こそ、どこかでドラマ化してくれないですかねぇ。

イメージ 1

あざらし。さんと月の骨さん主催の「時代もの、大好き。」ですが、なんと参加人数42人、番外編を含めた記事総数300を超える大作となりました。
「時代もの」というキーワードで非常に緩やかなルールを設定していただいた事もあるでしょうが、やはり月野さんとあざらし。さんの人柄の賜物なのだと思います。
私も恥ずかしながら参加させていただき、いくつか記事を投稿させていただきました(参加記事リストはこの記事の最後で)。
いわゆる「時代もの」という言葉からイメージするような作品は全くないのですが^^;)、こんな記事でも参加OKにしてくれた月野さんとあざらし。さんに改めてお礼申し上げます。

さて、300を超える記事のすべてを読むことはできなかったのですが、私が読むことのできた範囲でベスト3を決めたいと思います。といっても、皆さんの思いがこもった記事ばかりで順位付けなどとてもできませんので、1〜3の順位はあくまで集計のための便宜上のものと思っていただければ幸いです。読み切れなかった記事は、これからゆっくりと読ませていただきたいと思います^^)


ベルガリアード物語から始まる7000年の歴史を描いた大作を紹介した、パンダさん([ パンダの英智 もしくは 英智のパンダ])の記事です。ハヤカワ文庫SFにて全16巻、約9000ページにわたる長編ですが、パンダさんの記事も大作です。登場人物の紹介がまた上手ですね。特徴のある台詞で何となく人物の為人が見えてきそうです。
あまりの大作に今まで敬遠してきましたが、B○○K ○FFに行かないと、と思わせてくれた記事でした。
最近、ブログを無期限閉鎖されてしまったようで、残念です。色々と事情があるようですが、別の形ででも再開されることを期待しております。
。。。と思ったら、こちらで再開しておられたのですね→パンダは空を飛べるのか?。これからも面白い記事を期待しております。

2位

『月ざらし村のジダ芋シリーズ』
第1話『http://blogs.yahoo.co.jp/minchosu2000/40428680.html 月ざらし村のジダ芋の話』
第2話『http://blogs.yahoo.co.jp/minchosu2000/40646729.html 月ざらし村のジダ池の話』
第3話『http://blogs.yahoo.co.jp/minchosu2000/41232123.html 月ざらし村のジダ岩の話』
第4話『http://blogs.yahoo.co.jp/minchosu2000/41338696.html 月ざらし村のジダイモリの話』
第5話『http://blogs.yahoo.co.jp/minchosu2000/42395596.html 月ざらし村のジダ芋の祭』

みんちょすさん(本の散歩道〜月のプリンセスのdreamy walks)の創作時代物シリーズです。「ジダ芋」って変わったネーミングだな、と思ったのですが、「時代物」に掛けてあるんですね。最初気付きませんでした(→ちゃんと第1話を読むと分かります^^;)。第2話からは日本昔話といった趣で、ほのぼのとした短編になっています。名古屋弁と三河弁の混じった言葉遣いも素敵ですね。少しホッとしたい時にどうぞ。
この企画もジダ池の水で育てたジダ芋のように次から次へと記事が増えていきましたね。まさか、みんちょすさん予言していましたか!?


mepochzoさん(■■読書のススメ■■)とたいりょうさん(たいりょうのちょっと一息)のぷちコラボシリーズ第2弾です。
もともとぷちコラボ第1弾として「ビニ本団長と鉄板句女」というリレー小説をしておられたのですが、その登場人物の一人である鉄板句女(mepochzoさんの分身でもあります)が歴史上の人物に会いに行くという趣向です。第1話と3話がmepochzoさん、第2話はたいりょうさん作です。
その設定の面白さもさることながら、各話でのちいらんばだ氏、マダム白猫、Katty店長といった登場人物と歴史上の人物とのやりとりが面白すぎです。こんな記事が投稿されてしまうのも「時代もの大好き。」というこの企画の懐の深さ故でしょうか。ただ、「ビニ本団長と鉄板句女」を読んでいないと本当の面白さが分からないので、そちらを先に見ていただいた方が良いかもしれません。
また、このお話はしろねこさん(しろねこ日記)の『時空を超えて』という番外編まで生み出してしまいました(第一話)。こちらも「ビニ本団長と鉄板句女」の登場人物が時代を超えて冒険を繰り広げるというもので、非常に面白いお話になっていますよ。

番外編

『あざらしんちの、昨日の晩ごはん。シリーズ』
その1 いなりずし
その2 おでん
その3 さんま
その4 茄子の糠漬け 練り辛子添え
その5 さかなさかなさかな
その6 焼き茄子
その7 ジョニ男
その8 揚げ豆腐田楽

この企画を立ててくださったあざらし。さんの記事です。もともと料理の記事を良く書かれているのですが、それがまた美味しそうなんですよね。いなりずしの記事の後、買い物に行って奥さんにいなりずしをねだってしまいました^^;)先日は白豚鍋のレシピを教えていただいて、ここんとこよく食べています。どうもありがとうございました♪


ベスト3も、いわゆる時代物とは違うセレクトになりました(苦笑)。まあ、この方が私らしいということで。。。
10週間の間、記事を書かなければというプレッシャーもありましたが、それ以上に楽しませていただきました。この企画に誘っていただいたあざらし。さん、本当にどうもありがとう!

私の参加記事リスト


参加表明
女神の誓い/裁きの門』マーセデス・ラッキー
アンバーの九王子 真世界シリーズ』ロジャー・ゼラズニィ
五王戦国志』井上祐美子
痛快!ローマ学』塩野七生
AQUA/ARIA』天野こずえ
ひみつの階段』紺野キタ
番外編1『鏡花夢幻』波津彬子
番外編2『雨柳堂夢咄』波津彬子

.
mmmkob
mmmkob
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!
ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事