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Jリーグ「ジェフ千葉」の監督を3年務めて、年間予算J1最下位のチームを 2005年のナビスコカップで優勝に導き、日本代表に選ばれてW杯にも出場したFW 巻を育てた手腕を買われ、ジーコに続いて日本代表の監督に就任した「イビツァ・ オシム」について書かれた本です。2005年12月に出版されていますが、今回の 代表監督就任を狙っていたかのような、良いタイミングでしたね。 Jリーグはあまり見ていないので(最近、TV中継も少ないですしね)、正直言って オシムという人のことは、今回代表監督に招聘されるまで知りませんでした。 最近ジェフが強くなったなとは思っていたのですが、その理由がオシム監督を 呼んだからだったとは。 オシムが、名古屋グランパスで活躍した「ピクシー(ドラガン・ストイコビッチ)」 が率いたユーゴ代表をイタリアW杯でベスト8に導いた監督だと聞いては、名古屋圏 出身の人間としては捨て置けません。グランパスでのピクシーのプレーは本当に 素晴らしかった。'96年の天皇杯優勝、チャンピオンズファイナル優勝という勲章も 彼がベンゲル監督の期待に見事に答えてみせたからこそでしょう。当時私は、名古屋の 大学に通っており、グランパスを応援しに瑞穂競技場に行ったりしていました。あの ピクシーを育てたオシムという人のことをもっとよく知りたい!というわけで、 この本を手に取ってみました。この本の巻頭には、ストイコビッチからの言葉が 載せられています。曰く、「私のキャリアの中でも最高の指導者の一人であった」 著者の木村さんはアジア・東欧の民族問題を追いかけているフリーのライターです。 かねてから旧ユーゴのサッカー界を取材しており、すでに『誇り』、『悪者見参』の 2冊を上奏しています。この『オシムの言葉』でユーゴ3部作が完結するとのことです。 蛇足ですが、『誇り』はストイコビッチについて書かれた本でこちらも是非読んで みたいですね。 物語は、2003年にオシムがジェフのキャンプに合流するところからはじまります。 彼がどのようにしてジェフを変えていったか。巻や阿部をどうやって育てたか。 そして、オシムという人はどういう境遇で育ち、キャリアを積んでいったか。 90年のイタリアW杯とは旧ユーゴにとって、オシムにとってどういう大会だったのか。 舞台は再び日本に戻り、通訳の間瀬秀一氏へのインタビューに1章を割き、 ジェフを率いた3年間のオシムの言動をつづります。 1冊を通して感じるのは、著者のオシムへの深い敬意です。旧ユーゴ圏ではオシム氏は 非常に尊敬されており、世界最高の指導者の一人と考えられているようです。 民族紛争が激化した旧ユーゴの最後の代表監督。自身も、家族も内戦に巻き込まれながら 一方で、サッカーでは常に最高のパフォーマンスを見せ続けたオシム。そのような経験と 相手への深い洞察から出てくる言葉に接するうち、自然と木村さん自身もオシムを尊敬する ようになったのでしょう。 本書に出てくる旧ユーゴの選手達、指導者たち、日本サッカー界の関係者達からも すべてオシムを褒め称える言葉しか出てきません。まあ、そういう本と言ってしまえば それまでですが、この手の本がダメな人は避けた方がよいかも。私は、あまり気に なりませんでしたが。 ジェフのHPで発信されたように、オシムは独特の言葉を発する人のようです。 元々数学が得意で、教授になれたのを断ってサッカーを続けたそうですが、とても 論理的で冷静に周りの状況を分析・判断して最適と思われる言葉を選んでいるとか。 「君たちはプロだ。休むのは引退してからで十分だ。」 「忘れないで欲しいのは、休みから学ぶものはないという点」 「シュートは外れる時もある。それよりもあの時間帯に、ボランチがあそこまで走っていたことをなぜ誉めてあげないのか」 「走れなかったら、どうやってサッカーをやるんだ?」 スペインの某銀河系軍団を評して 「ジダンやベッカムやロナウドやいろんな人間を集めても、じゃあ彼らのためにいったい誰が走るんだ?だからあそこはスペインでもヨーロッパでもチャンピオンに成れないだろう」 「走り過ぎて死ぬことはない」 「重要なのは、ミスをして叱っても使い続けることだ」 等々。。。 上記の言葉からもわかるように、彼の目指すサッカーはとにかく走ることが基本。
空いたスペースに走り込み、パスを出した後も相手を釣り出すために走る。 何のために、どこへ走るかを常に考えてプレーする。 リスクを冒して攻める。 引いて守って、カウンターでたまたま1点を取って勝った試合は、勝ちは勝ちだが そんな試合を続けていてはサポーターに見放されてしまう。 そんな彼の哲学を、これからの4年で日本代表にどれだけ浸透させられるのか。 3年でジェフを強豪チームに変えたオシムは、4年で日本代表をどれだけ強くできるのか。 これからの日本代表の試合、そして4年後のW杯が非常に楽しみです。 |

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