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今日は夏至です。一年で一番昼が長い日ですね。その割には、今日の雨模様の天気のせいか、昼があまり明るくありません。以下の話は長くなりますので、休み休みお読みください。
「夏至」で思い出すことが2つあります。そのひとつが古代ギリシャのエラトステネスによる、人類初の「地球の大きさの測定」です。
エラトステネスは紀元前250年ごろ、エジプトのアレクサンドリアの図書館に勤めていました。図書館といっても、当時の書物は羊の皮などを利用した巻物が主で、地下室の棚に保管されていたようです。
ある日、蔵書点検をしていたとき、ふと一つの巻物に目がとまります。その巻物にはこう書かれていたのです。
『ナイル川を遡って行くとシエネ(今のアスワン)と言う町がある。この町の深井戸の水面には、夏至の日の正午に太陽が映って見える』
この書物を読んだエラトステネスの頭の電球がパッと点灯するのです。すごいですね〜。
「もしかしたら、これで地球の大きさが解るかもしれない!。」
アレクサンドリアでは、夏至の日の正午の太陽は、天頂から27.3°南に位置します。ところが、シエネでは、同じ時間に太陽は天頂にあるのです。
この違いを、エラトステネスは即座に「2地点間の緯度の差」と判断したわけです。地球が球形であれば、2地点間の「距離」と「緯度の差」から簡単に地球の全周が計算できるというわけです。
エラトステネスは、アレクサンドリアとシエネ(現在のアスワン)との距離を当時の距離の単位で5000スタジア、今の距離で約900kmと見積もり、地球の全周を約45000kmと計算しました。当時の測定法、特に距離の測定は「歩測」ですから、この点を考慮すると、驚くほど正確な数値です。
計算式は、「2地点間の距離:地球の全周=2地点の緯度差(27,3°):360°」です。簡単でしょ。
この測定を精密にやろうと、日本中を歩いて測量した人がいます。そう、私が最も尊敬する伊能忠敬です。彼は、1°の子午線弧の長さが知りたくて、日本中を測量したのだと言われます。
皆さんは、高校時代にこの話を授業で聴いたことはありますか?。地学や地理の授業でよく取り上げられる話なんです。
さて、夏至にまつわるもう一つのことを書きます。それは沖縄のことです。
以前勤務していたK女子高では、当時修学旅行は沖縄でした。4泊5日の短い旅行ですが、勤務していた7年間に2回引率しました。
2回とも6月20日に出発し、初日と2日目は、沖縄戦跡を巡って戦争の悲惨さ平和の尊さを学び、残りの日程は沖縄の自然風土、文化を体験するというものです。
2回目の修学旅行のときでした。ひめゆりの塔を見学して昼食を済ませ、バスの前で戻ってくる生徒たちを確認チェックしていました。そのとき、バスの運転手さんがラジオを聞いていました。すると、ラジオの時報が正午を告げていたのです。「あ、正午だ」と何気なく独り言をいいますと、運転手さんが「今日は夏至の日ですね」と、これも独り言のようにつぶやいていたのです。
ふと、バスに戻ってくる生徒の足元を見て驚きました。影が無いのです。無いのではなくあるのですが、長くないのです。
「ご覧、君たちの影が無いよ!」と教えると、生徒たちは驚きの声を上げていました。
そうです、太陽はほとんど真上から彼女たちを照らしていたのです。
地面に落ちる彼女たちの影は、被っている大きな帽子だけです。
北緯27°の沖縄では、夏至の日の正午の太陽は、天頂から3.7°南に位置します。これはもうほとんど天頂です。
沖縄戦が終結したのは1945年6月23日、守備隊司令官の牛島中将が自決して終わったのですが、日米の将兵、韓国人、中国人を含む民間人、合わせて十数万人が亡くなりました。
画像は、6年前の3月に家族で訪れた時のものです。今では南国情緒あふれる観光地になっていますが、毎年この時期には、生徒ともぐった「がま(鍾乳洞)」の漆黒の闇を思い出します。
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こんばんは。
エラトステネスという名は憶えていませんでしたが、この話は聞いたことがあります。このひらめきがすばらしいですね。
最近は天体の高度が気になります。さそり座は低くてあの建物が邪魔だとか、はくちょう座は高くて屋根に隠れてしまうとか・・・。
2009/6/21(日) 午後 10:15
Oinunさん、今晩は。
実は、私の家の東隣は、ずーっと空き地だったのですが、今月になって住宅工事が始まりました。今はまだ基礎の段階ですが、完成すると東側の空が1/3ほどカットされてしまいそうです。そうでなくても、高層マンションで南東の空が見えなくなっているので、踏んだりけったりです。あ〜ぁ、昔は良かったな〜。でも機材とお金は無かったな〜。
二律背反!。どっちが良かったんでしょう。
2009/6/21(日) 午後 10:23
沖縄の夏至の正午で影や太陽の位置などが頭をめぐるとはさすが地学の先生ですね。沖縄は一度だけ7月に行きましたが、1時間海水浴したら足がやけどの様に真っ赤に腫れ上がり、靴を履けなくなった苦い思い出が有ります。
梅雨が明けて、そんな強い日差しはもう少し我慢でしょうか。
2009/6/22(月) 午前 0:39
梅雨明け後の沖縄の陽射しは強烈ですよね。クラクラするような陽射しで、私もヤケドしたことがあります。夜寝るときにヒリヒリして困ったことがあります。でも、沖縄の海と空が恋しいです。星もきれいだったな〜。
2009/6/22(月) 午前 5:46
私も今から20年ほど前に、初めて沖縄を訪れた時に南部を訪れました。こんなに自然が豊かな楽園のような場所で、人の殺し合いが行われた現実が、とても心に残っています。まさに『百聞は、一見に如かず』で、戦争というものを実感することができました。
高校生にとっても、良い修学旅行になりますね。
2009/6/22(月) 午前 8:22
夏至に纏わる大変興味深いお話を聞かせて頂いて有難うございます。沖縄がほぼ北回帰線上にあるのを改めて感じました。
南半球では北側が正面の庭になるのも興味深いですね。
2009/6/22(月) 午前 8:42
J-proさん、こんにちは。
ひめゆりの塔の資料館で、私の生徒たちは全員釘付けになります。展示物を一つも見落とさない勢いで、真剣に見入ります。時間がいくらあっても足りないくらいです。事前の指導と、生徒の意識の高さの賜でしょう。
ところが、他校の生徒や一般観光客の多くは、5分ぐらいで素通りしてしまいます。何しに来たのか、と他校の教員の指導の仕方や、一般客の意識のレベルを疑ってしまいます。もちろん、私たちよりもっと素晴らしい指導をしている学校も多いのですが・・・。
[ mn3192 ]
2009/6/22(月) 午前 9:24
シュミットさん、こんにちは。
北回帰線の緯度は23.4°、つまり地球自転軸が黄道面(地球軌道面)に垂直な線に対する傾きですね。南回帰線も南緯23.4°ですから、冬至のときと太陽高度は47.8°も違うわけです。季節ごとの温度変化が
大きい理由がわかりますね。
[ mn3192 ]
2009/6/22(月) 午前 9:34
シュミットさん、訂正です。
冬至と夏至の太陽南中高度の差は、正しくは46.8°です。簡単な足し算・・・恥ずかしい〜っ。
2009/6/22(月) 午後 5:46
先生だったのですね!地学にはずっと興味が無く(失礼!)違うことでそこそこの成果を出しておりました。
ひめゆりのことだけでなく、予備知識がなければ何処におとずれても
さっと、通り過ぎてゆくことでしょう。天文においては更に知識が必要で、星座を追うにもそれなりの経験が必要ですね。
2009/6/22(月) 午後 9:09
ビスタさん、今晩は。書き込みありがとうございます。
地学に興味が無いというのは、何かの間違いでしょう。天文は地学の全てですから…。知識は何事にも必要です。電気音痴の私は、簡単な回路図も理解できません。以前、タイマーリモートコントローラが作動しなくなったので、新しいのを買ってしまいました。その後、故障品を電気科の先生に診てもらったら、単なる断線でした。それ以後、1本余ってます。電機の知識とそこそこの技術があったらどんなに楽しみが増えることでしょう。今からではもう遅いんですが・・・。
2009/6/22(月) 午後 9:23