もっちょの小部屋

今後について思案中(仮閉鎖)

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お久しぶりです、皆様お元気ですか?
私は元気です。

全然更新してないので、どうしようか悩んでいたのですが、
とりあえず、今日のところは、古い日記やイラストなどを削除して、少しブログを整理しました。

拙いものですが、小説を残したくて。でもプリントアウトも、ファイル化もすこし手間がかかり、
今日一日では作業が終わりませんでした。

皆様が常に笑顔でありますように。

第十話

「じゃぁ、行ってくるな〜」
 メーテルはこの日をずっと待ちわびていたようで、1ヶ月前からすこぶる機嫌が良かった。
 指を折って日を数えてるまるで子供のような母親を見て、父と娘は喜びに湧き、息子は何故か悲痛な表情で顔を歪めてる日々が続いた後でのことだった。

「ママ、楽しんできてね♪」
「もちろんだ、お前達がくれたプレゼントだからな〜」
 母メーテルは、まるで遠足に行く子供のような表情だった。
「私とボウモアのバイト代から費用を出したんだから、気に入らないとか、同行者のノートンが嫌だからって途中で帰ってきたら、アタシ泣くわよ!?」

 ね、ボウモア?とベイリーは心底悲しそうに俯いた。

「そんな訳ないだろ!??楽しんでくるからな〜」
 遠くの方で、メーテル、準備できたからそろそろ行くぞ〜、というノートンの声が聞こえる。

「いってらっしゃい☆あ、荷物はさっきノートンに運んで貰ったから、そのまま車に乗ってね〜」
 ベイリーは心底嬉しそうに手を振っている。

 エンジン音をふかすノートンの車が玄関の前に止まる。
 メーテルは何も躊躇わずに助手席に笑顔で座り、そのまま二人は旅立って行った。
 ベイリーは母親の姿が見えなくなるまで満面の笑顔で手を振った。
 
 車が視界から消えていなくなると、いつになく落ち込み気味のボウモアがポツリと呟いた。
「なんか…すごい罪悪感を感じる」
 そして、意気消沈しては、ふらふらと家の中に消えていったのだった。

「そんなことないわよ!必要なのはサプライズなんだから!」
 ベイリーは胸を張ってそう言い、さってと、一仕事やり終えたわ〜と楽しそうにその後に消えた。




 その夜のことだった―。

「ああーーーー!!!!」
 静かな山奥の温泉宿に、凄まじい悲鳴が響き渡る。
 これにはさすがにびっくりして、入浴中だったノートンは思わず浴槽の底に沈んだ。
 愛妻の身に何かが起きたらしい。
 手直にあるバスタオルを巻きつけただけの格好で急いで温泉から上がった。

「メーテル!?」
 部屋に備え付けられた外風呂の二人用の小さな浴槽から上がると、メーテルが真っ赤になって床に固まっていた。

「どうした?何があった?」

「な、何でもないぃぃ…」
 明らかにあのメーテルが動揺している。
 不審に思ってメーテルの前にしゃがみ込んで目線を合わせると、メーテルは必死に視線を逸らした。

「ノートン、いいから、そ、そんな格好でうろつくな!さっさと風呂に戻れー!!」
 メーテルは真っ赤になりながら、兎に角ノートンを浴室に戻した。

 ノートンが浴室に消えると、やっぱり一緒に入るの嫌なのかなぁ?…と沈んだ声が聞こえてきたが、今のメーテルにはそれどころではなかった。

 はぁぁ…。
 
 メーテルが思いっきり深呼吸をして、見つめる先にあるもの。
 メーテルは、覚悟を決めた。

 再び、旅行鞄を、開ける。

「………!!」

 彼女は魂が半分抜けかけたフラフラの状態のまま、一番上にあった封筒を取り出して、恐る恐る開いた。



『ママへ
 
 旅行に行くのに着替えがないと困るわよね?
 困らないようにアタシが選んだ下着を入れといたから
 着てね☆
 
 ベイリーより』

「…………」
 自分が詰めたはずの男物の服や下着がどこにもなく、代わりにヒラヒラとしたレースのソレが、一泊二日の旅行鞄一杯に、ぎゅうぎゅうに詰められているのをみて、メーテルは絶句する。

(もしかして…ハメられた?)
 双子には甘すぎる母親が、ようやく事に気づいた時には、既に引くに引けない所まで来ていた。



 その後。

 いつもなら男物のTシャツに短パンという格好の妻が、珍しく旅館の浴衣などを着ていた。
 そして、下着は忘れたと言い張る妻を不審に思ったノートンが、パンパンに膨れたメーテルの鞄を明けてみると、中にはたくさんのソレが詰め込まれていた。

 あっけなく、ソレの存在はバレた。

 ノートンは、ごくりと喉をならす。
 
 そして、ありったけの期待を込めてメーテルを見つめた。

 ソレを着ないで帰ったら、きっとベイリーが何か言うだろう。
 そう思うと、意外と押しの弱いメーテルは、ノートンの視線から逃げ切ることが出来なくなった。

 メーテルは観念して、その夜、とうとうソレを身につけることとなった。


 (完)

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第九話

「ママ♪」
 ベイリーがご機嫌な様子で話しかけてきたので、メーテルはがばりと起き上がる。

 昨晩、嫌いと言われ、かつ泣かせてしまった娘のことで、メーテルの心は地底の底より落ち込んでいたからだ。その相手であるベイリーが何やら嬉しそうに自分に語りかけてくれているんだと思うと、それだけでメーテルは泣けてきそうになった。

「ベイリー…昨日は本当にごめんな」
 捨てられた子犬のような目をして俯いている、母。
 昨日の事など、もはやほとんど気にしていないベイリー。

 しかし、母の落ち込みようをみると尋常ではなく、我ながらえらいことを言って、してしまったんだなとベイリーは反省した。

 今朝、何度ノートンが呼びかけても母メーテルは反応すらしなかったのに、こうやって私の呼びかけに反応してくれていると思うと、何故かうっすらと優越感が湧き上がってきて、思わず頬が緩みそうになる頬をベイリーは必死に引き締めた。

 普段なら、明るく気にしてないわと告げて、抱きしめて水に流す所なのだが。
 今日はパパのプランに従わねばならない。

 ごめん、ママ!とベイリーは心の底で謝り、心を鬼にし、私は女優!と3回唱える。

「ママにあんな事言われるなんて…びっくりしたわ」
「ごめん、もうあんなこと言わない」
 メーテルの声は今にも泣き出しそうだった。
 母のか弱い姿を見ては、ベイリーも気にしないで!と叫んでしまいそうになったが、パパのプランを実行するためと思い、何とかぐっと堪えた。

「本当に…反省してる?」
 こくり、とメーテルが頷く。

「じゃぁママは…その証拠を見せてくれるわよね?」
 ベイリーが探るように言うと、メーテルはこくこくと頷いた。

「分かったわ」
 ベイリーは実に満足そうに微笑んだ。
 その時、メーテルは違う事で覚悟を決めていた。

 おそらくは、ずっと避けていたソレを遂に着なくてはならない時がきたのだと。



「じゃぁ、ママにこれあげる!」
 あのランジェリーを身に付けてくれ、と頼まれるのだろうと思っていたメーテルは、一瞬ぽかんとした。
 
 しかし、ベイリーから受け取った封筒を恐る恐る開いて手紙に目を通すと、メーテルは最後には声を出して泣き始めてしまった。

「あらあら…ママ、泣かないで、ね?」
 ベイリーはまるで子供をあやす様にメーテルを抱きしめた。
 メーテルは必死に泣き止もうとするのだが、溢れ出る涙を止めることが出来ずにいた。


「ノートン!!ママが泣いてるわよ」
 居間に向かってベイリーが叫ぶと、数秒でノートンが飛んできた。
 まるでメーテルの傍らに寄り添う機会を狙っていたかのようだった。
 そんないつもの風景にベイリーは微笑む。
 
 二人を部屋に残し、こっそりと出て行った。


「ノートンとママへ 結婚記念日の…プレゼントぉ?」
 娘がメーテルに手渡したという封筒を、ノートンは恐る恐る開いてみる。
 たかが封筒を恐れてしまうのは、娘の逆襲期間にえらく怯えているからだ。
 
 ただでさえ、二度とママの下着は買ってこないという誓約書を無理やり書かされたのだ。
 これにも何か裏があるのでは…と、思わず文面を透かしてみてしまう。

「ノ、ノートンはぁぁ、ううぅ、うれし、ひっく、ぃのか?」
 ノートンは嬉しくないのか?と言いたいらしい。
 
 メーテルはベイリーが許してくれた事と、子供たちからの思いがけないプレゼントに喜びを隠しきれないらしく、先程から涙が止まらなくなっている。
 そんなメーテルを愛おしいと思いながら、なだめようと抱き寄せつつ、どうしても愛娘の行動に裏の企みがあるような気がして、いまいち素直に喜べないのだった。

「そ、そりゃ、嬉しいけど…」

「私は、嬉しいぞー」
 と言ってはボロボロと泣くメーテルを前にしては、娘の企みは放っておくしかなさそうだ。
 とにかく、この愛おしい人に一刻も早く泣き止んで貰わねば。
 ノートンはメーテルをぎゅうと抱きしめる。

「うん、俺も嬉しいよ」

「ほ、本当か?」

「うん。メーテルと二人きりになれるんだからね、2人の公認で」
 そう言って、ベイリーがよこした封筒を見つめた。
 

『結婚記念日に、二人で旅行に行ってきてね』


どうやら、メーテルにあの下着を着せないかわりに、二人きりにはしてくれるつもりらしい。
これではさすがに俺の願望は諦めるより仕方がないかと諦めつつ、俺は密かに子供達の粋な計らいに感謝した。


「すごく、楽しみだな、俺」
「私も」

 そう言って泣きじゃくるメーテルに、俺は優しく口付けた。

(第十話へつづく)


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第八話

「え?ママ、今でも男物の下着着てるのぉ!?」
 信じらんない!
 と、昨日の事など嘘かのように、ベイリーはすました顔で叫ぶ。

 そういえば最近はママと一緒にお風呂に入っていなかったから分からなかったわ、とごく普通に言った。
 この姉のとりえは、どんなに怒ったり悲しんだりしていても、は翌日にはケロッとしている所だ。
 昨日、怒りを爆発させてスッキリしたのか、ノートン可哀想〜などと、素直な感想を述べていた。

「それって、脱がしてみたら男物の下着着てたってことよね!?」
 目をキラーンとさせて、ニヤリと笑う姉ベイリー。

 っていうか、そこまでハッキリと口に出して言わなくてもいいだろう、仮にも俺達は年頃の娘と息子だろう…と俺はため息をついた。

「男として、脱がしてみたら男物っていうのは、それはどうなの?」
 ベイリーはあっけらかんと一番聞かれたくないことをナイフのように俺に突きつけた。
 そんな俺の気など露知らず、ねぇ、どうなの?などと返事を急かす。
 きっと俺が答えるまで容赦がないだろうなと腹をくくった。
「ちょっと…引くかも」
 ちょっとなの?
 ベイリーが大真面目で突っ込んでくるが、正直に言えば、これ以上その事について考えたくはなかった。
 その事について考えると、どうしても恋人同士としての母とノートンのイメージがチラついてしまうから。それだけならまだしも、密かに気になっている隣のクラスのバーナの姿を想像してしまい、罪悪感が募るのだ。

 俺がこれ以上は勘弁してくれ、と言うと、姉はしぶしぶ黙り込んだ。
「にしても、まさか母さん…アレを」
 俺は意外性のあまり、声に出していたらしい。
「そうなのよ!私にアレをくれようとするなんて、何考えてるのかしらね…」
 エラい災難にあったわ、と、ベイリーはがっくりと項垂れた。

 昨日ベイリーが怒ったと聞いた時は、またいつものようにベイリーが母さんにしつこくアレを着せようとして怒らせたのだろうと思った。
 が。
 まさか…母さんがアレを娘にやるという発想を持ち出すとは思わなかった。
 さすがに今回はベイリーに同情せざるおえない。

「これも全て…変態ノートンのせいだわっ!!!」

 …半分くらいは、男物の下着を見につけている母さんのせいでもあるんじゃ?とも思ったが、そう突っ込むと間違いなく怒りの矛先が俺に向いてくると思ったので、そのまま流す。保身は大事だ。

「とにかくっ、これ以上、ノートンにあんなもの買わせないようにしないと!」
 ベイリーがどんっ!と勢いよく机を叩いた。

 一体どこであんな物を買ってくるのよ、あんなものを着るなんてまっぴらごめんだわ!
 と姉さんには珍しく、昨日の怒りが少しずつ蘇ってきたようで、俺は慌ててフォローする。

「まぁ確かに、母さんが着ない以上、それが一番、懸命だ」
 俺にはほとんど被害は及ばないが、結果的に最大級の二次被害がベイリーに及んでしまうことになる−と分かり、とにかくノートンを説得するのが一番いい、とため息をついた。
 
 けど、昨日のノートンを想像するに、そんな事出来るのだろうか?と俺はふと不安になった。

「ふふ、今あんた、そんな事出来るのかって思ったでしょ〜?」
 姉は意地悪そうに笑う。

「まあね…」
 すると、取って置きの隠し事、さぁ驚け!と言わんばかりに身を乗り出して言った。
「実はねー、もうノートンと約束してきちゃった♪もう買わないって約束!!!!」
「…良かったね」
 俺は非常に正直に感想を口にした。

 これで姉への被害もなくなるのだろう。
 ノートンは涙を呑むのかもしれないが。

「えぇっ!?もっと驚いてよ!相変わらず冷静ね…つまんない!」
 姉は俺の反応が不服だったらしく、ぷくりと頬を膨らませて怒った。
 これが俺ですから、と流すと、続きがあったようで、今の反応はどうでも良かったらしく、目をキラキラさせながら次の話題へ移った。

「ねぇねぇ、どうやって説得したと思う?肝心なそこ、知りたくない?」
 知りたくない、どうでもいい。
 と言えば姉が怒り出すのが分かっていたので、興味があるとだけ告げる。

「ノートンが買ってきてもママが着ないと、あれをアタシが着ることになるのよ、想像して見なさいよ!?って言ったらね♪」

「…泣き出しただろうね、ノートン」

「当たりー☆」
 心底嫌そうに涙を呑んで固まっていたわ、とベイリーは愉快そうに笑った。

「でもね、ちょっと可哀想よね、ノートン…」
 と思えば、次の瞬間には、シュンと落ち込む。

「まぁ、ちょっと、ね」
 目の前に有り余るほど落ち込むノートンの様子が想像できて、俺はノートンが哀れというか可哀想というか、なんというか、苦笑するしか出来なかった。

「じゃぁさ、アンタも協力してくれる!?」
 ぱぁぁっと、ベイリーが笑顔になった。

「え?」
 思わぬ展開に俺は驚きの声を出す。

 協力??
 …もしかして。もしかすると。

「母さんに、アレを着せるの?」

「え?よく分かったわねぇ…さすが♪」
 アタシと違って頭が冴えてるわねぇ、と感心した様子で言うが、俺はと言うと心穏やかではなかった。

 正直、母さんがアレを着るのは…絶対嫌だ。

 しかし、ベイリーが半泣きになりながら、一度はアレを母さんに着せないとノートンはきっとまた買ってくる、その時犠牲になるのは自分だ、アンタはいいわよね…などと言い始めたので、俺は渋々協力せざるおえなくなった。

 心の奥底では、母さんが絶対にアレを着ようとは思わないだろうからと納得させ、ともかく俺の出来る範囲でベイリーに協力すればいいだけだと考え直した。

「分かった、協力する」

「やったー☆絶対に母さんが反対出来ないプランがあるのよね!」
 姉の考えたプランのことだ、どこかに破綻があるだろうと安心しかけた時、トドメの一言が聞こえた。

「あ〜、イライラしたから昨日は実家に行ったけど、実はね、パパと一緒に実行計画を練ってたのよ。行って良かったわ♪」

パパって…俺達の心の父で…ラフロイグさんか?

「………」

 そのプランって、破綻がない。

 あの人が係わってきたことで、姉の妄想は完全無欠の実行予定になったのだ。
 
 俺は真っ青になった。

 昨日、たった1日家にいなかったことで、後になってこれほど後悔するとは思いもしなかった。
 
 
 母さんがノートンの餌食になるのを見届ける…。
 複雑な気分。
 
 俺の心は真っ暗闇になった。
 対照的に、ベイリーは晴れ晴れとした様子で微笑んでいる。
 
 それが無性に恨めしかったが、俺はそんな気配を億尾にも出さなかった。
 それは…悲しすぎるから。

(第九話へつづく)


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第七話

「お前も同じ男として、俺の気持ち分かるよな!?なぁ!?」
 途端に勢いを増して息子の俺に泣きついてくるから、本当に何とも言えなかった。

 ただ、俺はノートンの気持ちも、ベイリーの気持ちも、母さんの気持ちも分かる。
 そして全ての原因は、極めてシンプルな所にあると思った。


「母さん…いつも男物の下着着てるよね。なんで?」
 ずっと不思議に思っていたことを、俺はとうとう口にした。


「知らんっ。俺が頼んでも着てくれないんだよ」
 だから、余計に、観たい!!

 水を得た魚のように、ノートンがあられもない内容を正直に叫ぶ。
 正直、父親であるノートンがこんな内容で騒いでいるのを見ると、年頃の俺の事も少しは考えてくれと思う。
 というか、俺が凹む。
 それでもまぁ、純粋に、ノートンは母さんに女性物の下着を身につけてほしかったんだろう。 


「結婚する前からずーっと男物なんだもんなぁ…」
 しかも俺が買い置きしていた下着を勝手に持っていくし、とノートンは当然の様にしょげている。
 
 終いには、愚痴り始めた。
 ノートンの下着をメーテルが勝手に持っていくのを見越して、わざと女物の下着の買い置きしか用意しておかなかった事があったが、メーテルに
「お前、そういう趣味でもあるのか?」と変態扱いされるわ、
挙句の果てには他に女がいると思われるわで散々だったと、ノートンは泣き始めた。

 男は男物。女は女物。

 そう説明したのだが、なぜか母さんは納得しなかったらしい。

それでも最初は根気よく説得していたノートンだったが、メーテルが嫌がり機嫌が悪くなると自分の命に係わるので、遂にはそれも仕方がないと諦めたらしい。

 結婚したら変わるかもしれないというわずかな期待もあったようだ。
けれど、メーテルの趣向も相変わらずで…その現実を突きつけられる度に凹んだ、とますます収集がつかなくなった。
 
 確かに。うちの母さんはちょっと変わっているかもしれない。
 一目見て「女性」と分かるような代物は、あまり身につけたがらない。
 ベイリーとは大違いだと思った。

 最後の手段として、ノートンは、いつかメーテルが自分の為に着飾ってくれるだろうという淡い期待が捨てられず、勝手に洋服や下着を買ってきては、何も言わずにメーテルのクローゼットにしまいこむという方法を取ってみたらしい。
 
 特に結婚記念日やノートンの誕生日など、着て貰えそうな日が近づくと念入りに準備してみたとノートンはえらく自信を持って言っている。

 それは逆効果ではなかったのかと突っ込みたかったが、かろうじて俺は堪えた。


 ノートンは実際にメーテルがそれらを着ているのを目の当たりにしたことがなく、期待は年々裏切られ続けられた。
 きっと着るのが嫌で捨ててしまったんだろうと悲しみに打ちひしがれて、ある日メーテルのクローゼットをこっそり除いてみると、ちゃんとの奥にしまってあるのを確認した。

 これは…もしかしたら自分の見ていない所で着てくれているのかもしれない!!

 という妄想に発展し、かくして、ノートンは日常的にメーテルの着替えや風呂を覗き見するようになったらしい。

 …ってか、なんちゅう人が俺の父親なんだろう。

(やっぱり俺達の父親は…ラフロイグさんだ!)

「でも、今まで着てた事がないんだよなー…」
「っていうか、ノートン。もう諦めたら?」
 そうすれば、万事が解決ではないか。ボウモアは心の中でため息をついた。

「ぬわに〜!?諦めきれる訳ないだろ!?諦めるくらいなら死んだほうがマシだ!!」
 って、一体そのエネルギーは何処から湧いて来るんだよ。
 
 そんなエネルギーがあるなら、もっと有効活用してくれ。
 とボウモアは本気で思った。
 
 俺は絶対諦めないぞ〜!と横で大声で叫んでいる声が聞こえ、俺はふらりと眩暈がした。

(第八話へつづく)


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