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映画を観るのは好きな方だ。 最近でこそ観たい映画があんまり無いが、若い頃は毎月のように神戸、三ノ宮にあったビッグ映劇に通っていた。 「イージー・ライダー」を観たのもそこだったし、ディズニーの「ファンタジア」もビッグで観た。 しかし、ロードショー上映の「ブリット」や「ドラゴン怒りの鉄拳」は新開地の衆楽館で観た。 ビッグでは無理やりの2本立てもしょっちゅう行われていたからお徳感があったのも確かだ。 若い頃の我輩はビッグで観た「イージー・ライダー」で興奮し、「卒業」で感動した。 「イージー・ライダー」の主人公二人は格好良く、憧れたが、準主役のジャック・ニコルソンの怪演が印象深かった。 「卒業」で流れていた音楽はご存知、サイモンとガーファンクルの素敵な曲の数々。 かたわれのアート・ガーファンクルが「愛の狩人」という映画に出演しているということを知りビッグに出かけて観た。 なんとジャック・ニコルソンが共演者として出演しており、往年の美女、アン・マーグレットや当時若手のキャンディス・バーゲンと地味な映画のくせに豪華な俳優陣だ。 単なる三人の男女の三角関係だけに留まらない奥深いストーリーはさすが「卒業」でメガホンを握ったマイク・ニコルズ監督の成せる業。 映画を観て感動しまくっていた若い頃から30年以上の月日が経つ。 最近になって、何気なくCDを聴いていて、同じ作品をアナログのレコード盤で聴いて腰を抜かしそうに驚くことがある。 確かにCDでは味わえない奥行きや音の広がりをアナログ盤で感じることが出来る。 モダン・ジャズをCDで聴いていて、まったくつまらないと思っていた作品をアナログ盤で聴いて、涙じゃないが、よだれが流れるほど感動するということはたまにある。 最近では猫も杓子もアナログ・レコード盤のマトリックス番号に拘る傾向がある。 マトリックス番号は曲が終わって、レコード針がいつまでも回っている、曲とレーベルの間に刻印されている。 マニアが単にコレクションでマトリックスの一番若いのを持ちたいという気持ちはわかるが、レコードというものは聴いてなんぼのものだ。 映画「卒業」で効果的に使われた「サウンド・オブ・サイレンス」というサイモンとガーファンクルの出世作がある。 デビュー作の「水曜の朝、午前3時」というアルバムに収録されていた「サウンド・オブ・サイレンス」がシングル・ヒットしたことで、解散を考えていた二人が急遽吹き込んだのが二作目のアルバム「サウンド・オブ・サイレンス」なわけだ。 つまり「サウンド・オブ・サイレンス」というシングルがヒットしていなければ二作目はこの世に存在しなかったかも知れなかった。 この「サウンド・オブ・サイレンス」という二作目のアルバムは説明する必要もないフォーク・ロックを代表する作品だ。 英国盤のマトリックスA2とA4というオリジナル盤が入荷したから早速聴いてみた。 昔から繰り返し何回も何回も聴いていた作品だが我輩のオンボロスピーカーから飛び出した音に驚いてしまった。 確かに英国盤は中音域に厚みがあり、高音の抜けがいいのは最初からわかっていたことだが、この若いマトリックスの英国盤での音の厚みは凄く、全体的にどっしりしてる。 ギターの弦がこすれるようなキュッキュッという音が聴けたり、B面1曲目の「ホームワード・バウンド」ではギターの弦が弾けて響く音が生々しく、重厚とも思える二人のハーモニーには腰を抜かしそうになる。 このようなアコースティックな作品を若いマトリックス番号のアナログ盤で聴けばその音圧の違いが非常にわかりやすい。 ボリュームを上げて聴けば、歌詞がわからなくともその迫力に風邪でもないのに、何故か身体が震えてきたりする。 CDで再生された音は綺麗で、歌は軽く楽しめても、レコードの再生音のように音が奥の方から湧き出てくるような感動は絶対に得れないということが再認識出来、レコードを聴くことで「卒業」の名シーンの数々が次々とまぶたの裏に蘇り、若い頃に通った映画館の中の息苦しい空気までも思い出してしまった。 |

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