北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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今回は、山崎豊子の『運命の人』では、直接、触れられていない話から入る(関連性があることは、間もなく明らかになるだろう)。
 
実は、昨日(19日)、今日(20日)と横浜市と川崎市の図書館を幾つか回っていた。
それは、古い新聞の縮刷版のコピーをとるためである。
 
イメージ 1

 
新聞の『縮刷版』などというものは、見たことがないというかたも多いかもしれない。
実際、最近ではネットで新聞情報を入手することもできる。
 
しかし、古い新聞記事の情報を、しかも、特定の記事と同じ紙面にどのような情報が掲載されていたか、というような、その『時代の空気』とともに知ろうと思うと、今でも、新聞の『縮刷版』が有効な局面が、結構、あるようだ。
 
イメージ 2

 
これは、1974年(昭和49年)10月9日の『朝日新聞』の夕刊第1面である。
佐藤栄作氏(この時点では『前首相』という存在になる)に1974年度のノーベル平和賞が贈られることが決まったという報道。
 
この日の他の新聞にも同じニュースが紙面をかざったはずである。
ちょっと記事の内容を見ていくと、次のような記述が見える。

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ノルウェー国会ノーベル賞委員会は8日、1974年度ノーベル平和賞が日本の佐藤栄作前首相(73)とアイルランドのジョーン・マクブライド元外相(70)の両氏に贈られると発表した。
 
授賞理由は「現在世界で平和への努力が必要とされる地域で両氏が成しとげた貢献」を評価したもので、佐藤氏については「太平洋地域の平和確立のために核拡散防止、核兵器反対などを通じて示した国際的和解政策の顕著な推進者」と、またマクブライド氏については「全世界にわたる人権擁護、人権拡張運動に永年尽くした功績者」と述べている。(省略)
 
ノーベル委員会を代表して発表を行ったアーゼ・リオネス委員長は短い声明を読み上げたが、佐藤氏への授賞については「同氏が日本独自の核兵器を持つことに終始反対したこと」などをあげ、佐藤氏が政権担当時代に核拡散防止条約に調印したのをはじめ、「太平洋地域の平和、安定に役立つ国際的和解政策をとった」ことが授賞理由になったと述べた。(省略)
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この日の新聞には、さらに関連記事が掲載されており、同じ夕刊の後ろから2ページ目には、次のような記事が出ていた。
 
イメージ 3
 
ご覧のように<ご当人もびっくり、平和賞><ゆるむ顔、手放しの喜び><佐藤さん「賞金どう使うかな」>という喜びようであった。
 
『賞金』というのは、本来、55万スウェーデン・クローネであるが2人で分け合うので、1人あたり1750万円になると書かれている。
 
ところで、これは40年近く前の話なので、(国民のほとんどが、受賞を無条件に喜んだと)誤解されている人も多いかもしれない。
その当時の人の受け止め方としては、次のような声も出ていた。

 
イメージ 4

<エッ、あの人が 受賞当然です 銀座にとまどいと祝福と>という見出しと <核論争の最中に 反発強める沖縄・横須賀>という見出しが、この同じ面の下のほうには見えている。
 
イメージ 5

 
また1面の下のほうにも、<佐藤外交 太平洋地域の安定に 日米安保を基軸 「非核」皮肉なタイミング>という見出しが出ている。
 
こういった見出しが付けられているのも、この時点で、アメリカの役海軍少将のラロックという人がアメリカ議会で「核兵器搭載可能な艦船は 日本あるいは他の国に寄港する際、核兵器を降ろすことはしない」と証言したという、『ラロック証言』が問題になっていたためである(これは、ネットで改めて、確認した内容)。
 
そのため(まあ、『朝日新聞』という新聞の姿勢も影響しているかもしれないが)、「『ノーベル平和賞に佐藤氏』が伝えられた一瞬、国民の間に戸惑いがみられた」あるいは「今日の日本にとってブラック・ユーモア的な感じを持たせる結果になった」などとも記事の中では書かれていた。
 
(そのほか、漫画家の赤塚不二夫氏なども「佐藤栄作のノーベル平和賞受賞のニュースから世の中が信じられなくなった」といっていたと以前、ネットに書かれていたのを見たこともある。)
 
この当時、私は、会社に就職してから2年半が経過した時点だったので、私自身もこれ以降、『ノーベル賞というのは、あんまり信用できないな』と感じるようになった。
 
ところで、佐藤栄作氏自身は、このニュースの半年後の1975年6月にこの世を去っているから、ある意味で『幸福だった?』といえるのかもしれない。
 
しかし、『天網恢恢、疎にして漏らさず』(天の網は目が粗いようであるが、悪人を必ず捕らえる。悪事をはたらいた者は、必ず天罰を受ける)という中国の言葉があるように、世の中、そのまま逃げおおせるものではない。
 
佐藤氏が、この世におさらばしてから30年以上が経過した、2009年12月22日の『読売新聞』の夕刊に次のような記事が出た。
(なお、これは『読売新聞』の特ダネのようである。)
 
イメージ 6

この記事の一部を以下、引用してみよう。

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核密約文書、佐藤元首相邸に
沖縄持ち込み 日米首脳「合意議事録」 存在、初の確認
 
沖縄返還交渉を巡り、当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領の間で交わされたとされる有事の際の核持ち込みに関する「密約」文書を佐藤氏の遺族が保管していたことが22日、明らかになった。密約の存在を裏付ける決定的な証拠が発見されたことになる。
 
外務省はこれまで文書の存在を否定してきた。
日米間の密約の存否の検証を行っている外務省の有識者委員会の判断にも大きな影響を与えるのは必至だ。
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実をいうと、この時期、私はすでに中国(この時点は北京)で暮らして1年以上が経過していた。
なので、ネットのニュースなどで何となく、知っているというイメージはあるが、この新聞そのものを見たのは、今回が初めてである。
 
イメージ 7

こういう『公文書をつかう』(瀬畑源著、青弓社、2011年11月発行)と題する本をたまたま、神奈川県立公文書館(最近、毎週日曜日、5週にわたって開かれる古文書の講座を受講している)の閲覧室で見かけ、何気なく『はじめに』の部分を読み始めたら、この記事が紹介されていた。

以下、既に引用した部分と重複しない箇所を、この本における引用から『孫引き』する。
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佐藤家で発見されたのは、ワシントンで行われた日米首脳会談で極秘に交わされた「合意議事録」の実物。読売新聞社が入手した「合意議事録」の写し(英文2枚)は、1969年11月19日付で、上下に「トップ・シークレット(極秘)」とある。文末には佐藤、ニクソン両首脳の署名がある。(略)
 
文書は2通作成され、1通は日本の首相官邸、もう1通は米国のホワイトハウスで保管するとしてある。佐藤氏は首相退陣後、自宅の書斎に私蔵していた。
佐藤氏が75年に死去した際、東京・代沢の自宅にあった遺品を遺族が整理していたところ、書斎机の引き出しから見つかった。机は首相在任時、首相公邸に置かれ、退任後は、自宅に持ち運ばれた。(略)
密約の存在は、返還交渉で密使を務めたとされる若泉敬・京都産業大教授(故人)が1994年に著書「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」(文芸春秋刊)で暴露した。
 
(この後は、『公文書をつかう』の筆者のコメントである――引用者注)

この核密約文書の存在は、記事にあるとおり、若泉敬の著書で明らかにされていたが、そこに収められていた文書には佐藤栄作とリチャード・ニクソンの署名が入っておらず、真偽は藪の中にあった。
しかし佐藤家で署名入りの文書が発見されたことにより、実際に「密約」が交わされていたことが明らかになる。
しかし、ここでは、「なぜこれだけ重要な文書が、国の機関でなく、個人の家に保管されていたのか」ということが問題になる。(省略)
 
これは本来ならばあってはならないことである。もし実際にアメリカが核兵器を沖縄に持ち込む事態が起きた場合、この「密約」をアメリカ側が持ち出してくる可能性が十分にあった。その際に、日本側に文書がなかったとしたならば、外交的には致命的な失策につながりかねなかった。(省略)

さらに、この「密約」は沖縄返還のカギを握るものである。その意味でも、この「密約」文書は公文書として保存され、いずれは国民に説明責任を果たすために国立公文書館や外務省外交資料館などで公開されるべきものだった。(省略)
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この『はじめに』と題する文章は、まだまだ続いているが、いちおう、引用はここまでとする。
 
なお、この佐藤栄作元首相は、国民の大半が承知していると思うが、安倍首相の祖父である岸信介元首相の実弟であり、安倍首相からすると『大叔父』にあたる。
その安倍首相が、最近、『特定秘密保護法』制定に極めて熱心であることは、実に興味深い『因縁』である。
 
(続く)
 

 
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