北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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この記事の続きだ。


『スノーデン事件』について記した『暴露 スノーデンが私に託したファイル』(2014年、新潮社発行)という著書の<エピローグ>で、グレン・グリーンウォルドは、次のように書いている。

<初めてスノーデンとオンラインで話したとき、ひとつだけ恐れていることがらうと彼は言った。暴露が無関心と無感情に迎えられるのではないか。誰も気にとめないことのために人生を投げ捨て、投獄のリスクを背負ってしまうのではないか。それはどこまでも無用の心配だった。反響はすさまじかった。>


たしかに、事件が2013年6月に発覚(というか、スノーデン氏らが告発)した時点での反響は、すさまじいものだっただろう。
だが、それから4年が経過した今は、どうだろうか?

トランプ大統領が当選して、トランプとプーチンの『相性の良さ』が指摘される中で、これまでスノーデン氏を保護し続けてきた、ロシアの態度が『微妙なもの』になってきている、という話もある。
あるいは、プーチン大統領が、トランプに対する『おみやげ?』として、スノーデン氏の身柄をアメリカに引き渡すのではないかといったニュースも散見される。

仮にそうなった場合、トランプ大統領が最終的にスノーデン氏に対して、どのような態度をとるのか『予見』しにくい部分はある、だが、全体としてアメリカは、『犯罪者』としてスノーデン氏を拘束し、裁判にかけ、その後、(長期にわたって)投獄する可能性が極めて強いといった話が聞かれる。
あのオバマ前大統領も、スノーデン氏に対しては、『犯罪者』という見方をしているようである。


だが、このようなニュースに対して、アメリカであるいは世界で、『スノーデン氏は、国家機関による、違法な個人の情報の監視を告発したのであって、良心的な<内部告発者>を罰するのは許されない』という声は、必ずしも大きな声として上がっていないような気もする(これは、私自身の『印象』に過ぎないのかもしれないが…)。


そういう意味では、スノーデン氏らが、<暴露が無関心と無感情に迎えられるのではないか。誰も気にとめないことのために人生を投げ捨て、投獄のリスクを背負ってしまうのではないか。>と心配したのは、まだまだ、『結論の出ていない問題』であるような気がする。


そして、我が日本では、今日、安倍内閣が『共謀罪』を導入しようとされていることが国会で問題になっており、しかも担当の金田法務大臣は(あの稲田防衛大臣と同様に)『ぼろぼろの国会答弁ぶり』が伝えられているが、他方では、北朝鮮や中国の脅威、あるいはイスラム国等のテロの脅威等を理由に、『共謀罪導入もやむをえないのではないのか』といった雰囲気が、浸透しつつあるのも感じる。

そして、妙に手回しのいいことに、最近、『革マル派』などの、いわゆる『過激派集団』の動向が、急に浮上し、新聞紙上をにぎわせたりしている。
(これは、もちろん、公安当局や政権側が、『共謀罪』導入の下地ならしのために、改めて『革マル派』などのニュースを新聞社側にリークしているのは間違いないだろう。)


さらに、この『スノーデン事件』の発覚以降、明らかになった(特に、『暴露 スノーデンが私に託したファイル』に書かれているような)ことは、アメリカにおいても、大手メディアを権力の側に取り込む動きが、前から進行していることである。

グレン・グリーンウォルド氏は、特に第5章『第四権力の堕落』のなかで指摘している。

<往年の伝説の記者はみな例外なくアウトサイダーだった。ジャーナリズムの世界に足を踏み入れる者の多くは、イデオロギーだけでなく、その性格や気質によって、権力の手先となるより権力に盾突く道を選ぶ傾向にあった。>

<それが今はすっかり様変わりしてしまった。メディア企業はどこも世界最大級の企業に買収されている。そんなメディアのスターの多くは高給をもらい、複合企業体の雇われの身となっている。>

<そうした大企業の構造の中で生きる者は、組織の秩序を乱そうとせず、組織におもねるようになる。>

<メディアと政府の結びつきは、さまざまな要因によってさらに強固なものになっている。>

<だから、ジャーナリストと政府職員は容易に職を交換できるようになっている。メディアの人間がワシントンの高位職に送り出される一方、政府の役人はメディアとの契約に走り、濡れ手に粟を狙っている。>


安倍内閣の第2次政権になって以降、権力とメディアの癒着が指摘されているが、これは日本だけの問題ではない(ようだ)。
『正しい民主主義国』であるアメリカでは、こうした問題は解決しているということでは、決してない。

だから、例えば『朝日新聞』が『ワシントンポスト』や『ニューヨークタイムズ』のようになれば良いということでもない。
(実際、この本には、これら両新聞のすべての記者ではないだろうが、有名記者たちの権力との癒着ぶりを、具体的事実をあげながら批判している。)

そして、『面白い』と言っては何だが次のような記述もある。

『ニューヨーク・タイムズ』がスノーデンの行為に対して、いわば中傷するような記事を掲載した翌日、『ニューヨーク・タイムズ』のパブリック・エディター、マーガレット・サリヴァンは<前日の自紙の記事を厳しく批判した>という。

この『パブリック・エディター』という用語を見て思い出したが、たしか『朝日新聞』もあの『慰安婦問題』と『福島原発事故』を巡る『二つの吉田』事件の『誤報?』(私は、『慰安婦』問題の吉田証言を検証しなかったのは、ある種の『誤報』であったとも思うが、『福島原発事故』当時の吉田所長の『証言』の報道は、必ずしも『誤報』とは言い切れないと思っている)問題の後に、この『パブリック・エディター』と似たような仕組みを、自社のなかに導入していたような気がする。


だが、これも、ある意味では『優等生?』が他国の『優等生?』のやっていることを、ただ真似しただけの制度導入に過ぎなかったのかもしれない。
(『朝日』のパブリック・エディター云々について、きちんと調べていないので、これ以上は断定できないが…。)

いずれにしても、『スノーデン事件』というのは、決して過去の過ぎ去った事件ではなく、今後とも『検証』されるべき、まだ『未決着の問題』だという気がする。

おそらく、北朝鮮のミサイル打ち上げ、あるいはキム・ジョンナム氏の『暗殺』(というより、これは『明殺?』ではなかろうか、と思えるような)事件をきっかけにして、『スノーデン事件』で問題とされたような、『総括的な情報収集活動』を(日本を含む)世界中で情報機関がしようとする動きが強化されていくであろう。

特に、日本などは、(システムとしても、脆弱性の存在が危惧される)『マイナンバー・カード』システムの導入と、今後の『共謀罪』導入によって、一挙にそうした動きに追いつこうとする、そうした『雰囲気』を感じる。
(こうしたシステム導入は、現在、国際競争力を喪失しつつある、日本のIT業界にとっても、大きな『ビジネスチャンス?』になるのだろうから…。)





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