北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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台湾の地(台中市)にやってきてから、1カ月ちょっとが経過した。
実は、今回、台湾に『食べてみたい』と思っていた、インスタント・ラーメンのブランドがあった。

それは、2013年の春まで中国に住んでいたころ(最初、北京市内、後半は上海近郊で)、よくスーパーで買っては食べていたブランドである。


随分、人気があるという印象だったし、また味も(たしか日本のインスタント・ラーメンのメーカーとも提携しているということで)食べやすい味だった。
ところが、台中市内のスーパーやコンビニで探してもさっぱり置いていない。
どうしたのか?と思っていた。

一昨日、ネットでいろいろ検索していたらわかった。
何と、この会社の台湾子会社は既に『解散』していたのである。

イメージ 1


これが、この会社の(かつての)製品の数々。
(今でも、中国大陸では、それなりのシェアを占めているようだ。)

ご覧のように、(子供みたいな)コックさんのマークがキャラクターになっていた。
『康師傅』(カン・シーフ、コックのカンさん)という名称だった。


そして、これが、『台湾子会社の解散』を伝える新聞のニュース。日本経済新聞の今年(2017年)1月4日発信のものである。


<■康師傅控股(台湾系の中国即席麺最大手) 台湾の子会社を1日付で清算したと発表した。2014年にグループ会社による違法な食用油の販売が発覚。即席麺の生産停止も余儀なくされるなど事業継続が困難とみて撤退を決めた。

同社が3日発表した。これまでグループ会社で食品大手の味全食品工業に生産委託する形で、台湾で即席麺事業を展開してきた。

ただ14年に味全などが違法な食用油を生産していた事件が発生。康師傅の即席麺にもこの油が使用されていたことから消費者離れが加速し、15年には生産停止に追い込まれていた。現在は実質的な事業は行っていなかったという。

康師傅は前身の会社が台湾で創業し、中国本土で事業を急拡大させた。売上高の約9割は本土で占めるうえ、既に事業を行っていないことから、「今回の会社清算が経営に与える影響は一切ない」(同社)としている。

同社には即席麺大手、サンヨー食品が株式の約3割を出資する。親会社の食品・流通大手、頂新国際集団には、伊藤忠商事とアサヒグループホールディングスがそれぞれ出資するなど日本企業との関係が深い。>



ここで、『2014年にグループ会社による違法な食用油の販売が発覚』とあるのに、注目して頂きたい。
2014年は、私は既に日本に帰国していた(2013年の春に帰国)ので、台湾のニュースはあまり気が付かなかった。

だが、それは、台湾全土を揺るがすような大騒動で、実は、昨年(2016年)の総統選で国民党の馬英九前総統の後継者が勝利することができなかった(台湾では2期=8年までしか務められない)のは、この『食用油汚染事件』が大きな影響を及ぼしていたらしい。


このことに気がついたのは、次の記事をネットで読んでからである。
(私が中国に住んでいたころに、既に食用油の汚染問題=汚れた油を使い回していた問題=は、中国共産党内の『権力闘争』とも結びついて、大騒ぎになっていた。
だが、それが、台湾社会をも揺るがしていたことは、気が付かなかった。)

イメージ 2


これは『交流』という雑誌?の2014年11月号の記事のようだ。
ここに、石原忠浩さん(台湾・政治大学国際関係センター助理研究員)という方が、<「九号一」選挙と食品安全衛生問題>というタイトルで原稿を書かれている。


ここで、『九合一』選挙というのは、2014年11月29日に投票が行われた統一地方選挙のことである。
台湾の六大直轄市長をはじめとする9つのレベルの首長選挙が、かつてないほどの規模で同時に行われ、2016年に実施された総裁選挙の前哨戦と位置づけられていたため、地方選挙ではあるが、大きな注目を浴びていた。

この石原氏の文章は、『九合一』選挙の選挙情勢を『世論調査』の動向などで説明しながら、その状況(野党=民進党などが、圧勝の勢い)が『食用油』の汚染問題と密接に関係があることを論じている。


これによると、この問題は、2014年9月5日付の台湾の新聞各紙が報じた『下水ラード事件』が第一幕であり、その後、第二幕ともいうべき、『頂新国際集団の違法食用油販売事件』へと展開していったということである。
(実は、この前年の2013年にも大手企業が低劣な食用油を混入させて、『不正表示販売』で摘発される事件が起きていたという。)


第一幕の発端部分に関する記述を引用する。

<9月5日付台湾各紙は、屏東県当局が市民の通報により捜査したところ、高雄市「強冠公司」、屏東県「進威公司」が、屋台や食堂が揚げ物などに使用した廃油や皮革製造で出た油脂など劣悪な油を回収業者から購入し、それらをラードなど食用油に混入し、食品業者に販売した結果、782トンの劣悪なラードが市場に流入し、そのうち半分ほどがすでに消費された可能性が高いと報じた。

その後これら違法油は、食品大手の味全企業の調味料や加工食品に使用されていたことが明るみに出たほか、ファーストフード店でも使用され被害は 拡大した。>

<特に台湾では事件発覚直後の8日が中秋節であり、時期的に台湾では月餅を販売するパン屋、ケーキ屋など、1年の中で最も書き入れ時になるはずであったのが、上記の劣悪な油を使用してつくられた関連商品の廃棄や事前に販売した食品の返却や顧客への代金の払い戻しに応じる様子が連日報じられた。>


そして、第二幕については、次のように書かれている。

<10月9日、当地各紙は下水ラード事件に続き企業集団「頂新国際集団」(以下、頂新)傘下の「正義公司」が、食用に適さない飼料油を同社が販売する食用ラードに混入し、販売していた疑いがあると報じた。

台湾のマスコミは「正義香豚油」 、「維力清香油」、「維力香猪油」などのブランドで販売された油には、前述の廃油より廉価なベトナムから輸入した飼料油が混入され、台湾庶民の台所である夜市、軽食店などに幅広く流通していると報じた。

頂新は台湾を代表する企業であったことから、台湾社会における衝撃は前述の事件とは比較にならないインパクトを与え、同日付の『聯合報』は 一面トップで「庶民はどのブランドの油なら安心できるのか教えてほしい」という見出しが躍った。


頂新は1958年に彰化県で成立したが、同企業が成長した舞台は対岸中国であった。中国の改革 開放政策が加速しはじめた1992年に中国において即席ラーメン「康師傅」ブランドを売り出し、成功を収めた後、1990年代後半に台湾に戻り、台湾の大手食品メーカーの味全食品の経営権を取得したのを皮切りに、日本企業などとも積極的に協力関係を構築し、最近では不動産、電信事業、小売店にまで進出したほか、台湾のシンボルでもある101ビル経営の民間企業における最大株主となるなど、台湾を代表する企業になっていた。


事件発覚直後から、台湾島内では頂新集団が販 売する商品に対する反発の動きが広がり、全国の屋台組合、学校などが、頂新の食品をボイコットすようになった。そのような雰囲気の中で、馬総 統は10月13日に国家安全会議を招集し、食品安全問題を一段と高いレベルで処理するために行政院に「食品安全弁公室」の設置を指示した。

その後、今事件の違法食品業者を厳しく譴責するとともに「政府と協力して、違法な食品と企業に対してボイコットしよう」と呼びかけた。17日には、 味全企業の実質上の責任者であった魏四兄弟の三男魏応充の身柄を拘束し、30日に彰化地検は、詐欺、食品安全法違反の嫌疑などで関係者15名を起訴し、魏應充に対しては求刑30年を言い渡した。


今事件は頂新集団が、ここ数年間で各種業界へと触手を伸ばし、発展を続ける中で、政商的イメージが強くなっていたことから、国民党政権との癒着関係を示唆する論評やマスコミもあるところ、選挙を前にして国民党は更なる負債を抱えての選挙戦を余儀なくされることとなった。>


この記事を読んだだけで、『食品企業』としては最悪の展開になってしまっていたことを読み取ることができる。
どうやら、この『康師傅』ブランドは、中国大陸では依然として、一定のシェアをもっているようである(それにしても、低下傾向であることは間違いないようだ)。

このような『事件』に巻き込まれてしまった(というより、企業が『社会的責任』を果たすことができないことが、消費者に知られてしまった)以上、台湾において『康師傅』ブランドが消滅してしまったことも、やむを得ないことであろう。

このような話は、何も台湾だけの問題ではなく、日本の企業や組織にも、通用する問題であることは間違いがないであろう。


(補足)この『交流』というのは、公益財団法人『日本台湾交流協会』が発行している台湾情報誌であるということがわかった。PDFファイルでネットにアップされている。

また、上記の論文を執筆された石原忠浩氏は、台湾・政治大学日本研究プログラム助理教授という肩書が、交流2017年3月号では紹介されていた。

『日本台湾交流協会』は、以前は『財団法人交流協会』という名称だったが、公益法人三法の成立に伴い、公益財団法人に移行、本年1月1日からは『公益財団法人 日本台湾交流協会』に名称を変更している。






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閉じる コメント(3)

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今晩は、私最近、台湾の知人からいんスタンtlラーメン貰っていくつか食べました。

全体的に味が濃厚で、鶏肉や豚肉のか溜まりが別袋でついている。ラー油がついていると言う違いがありましたが、総じて結構でした。

三種類でしたが、いずれも三分w、と言うことでこれがどうして日本と一緒なのか、もっと違えよ、と思ったりしました。

話はどんぶり返しで、一転して別ですが北京大陸時代に勉強した中国語で日記記事を書かれては如何でしょう。またひと味違う中華丼ならぬ、中華風あれやこれやでファン層も増大するかと思います。ヒリリ、ラー油仄かな台湾diary、いいじゃありませんか。 削除

2017/4/24(月) 午後 9:36 [ ] 返信する

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> ぜさん
せっかくのアイデアですが、中国語で日記というのはどうも…。
(昔、一度くらい試みた記憶がありますが。)
というのは、中国語は情報収集の手段として利用する気はありますが、それ以上のことは考えてません。それに、漢字で文章を書くのは難しくないかもしれませんが、漢字で書くのと中国語で書くのとは違っていますから。
ともかく、台湾で1カ月暮らしていて、繁体字を見るのはだいぶ慣れてきたのはたしかですが(その分、簡体字を忘れてしまいました)。

2017/4/25(火) 午前 8:51 [ 北京老学生 ] 返信する

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早上好,好的,明白了。 削除

2017/4/26(水) 午前 7:33 [ ] 返信する

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