北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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この記事の続きだ。

4日に日本台湾交流協会主催の『台湾の労働基準法改正に関する講演会』に出席した話のしめくくりだ。


台湾の労働部(日本の厚生労働省に相当する)の郭政務次長が50分ほど説明を行った後、休憩後に『質疑応答』の時間となった。

質問の用紙に書かれて提出された質問にまとめて回答するのだが、質問の数が10ほどあり、意外と多かった(同じ趣旨の質問はまとめているはずなので、実際に質問した人の数はもっと多いのだろう)。


日本台湾交流協会の総務部長が、質問を要領よくまとめていく。
(どこかの官庁からの出向者なのかもしれないという気がした。もちろん、組織の実情をしっているわけではないので、プロパーなのかもしれない。)


こういうときは、質問内容などを聞いていると、参加者の関心がどの辺にあるかがわかるものなのだが…(もっとも、このように誰かが整理してしまうよりも、直接、質問者が肉声で質問した方が、どういう感じの人がどのような問題点を感じているのか、もっと生々しい情報が得られる)。

次のような質問が出されていた。

『労基法改正が製造業の現場の生産性などに、悪影響を与えるのではないか?』『外国資本の進出にも悪影響を与えるものと心配される。それへの対策は?』(1)

『労基法を順守させるための仕組み、たとえば日本でいう労働基準監督官などの養成はどの程度、できているのか?』(2)

『台湾の労基法では、時間外労働と休日労働が合計46時間まで認められているというが、これはその範囲で自由に経営者が指示できるのか?』(3)

『台湾にも4週変形労働時間、8週変形労働時間などいくつかのタイプの変形労働時間があるが、これらを導入した場合の休日の付与の仕方はどうなるのか?』(4)

『今回の改正措置により、国定休日の削減などが決められているが、これによって以前から完全週休2日制度導入していた企業でかえって、法定休日が減少してしまうのではないか? その埋め合わせの措置はどうすれば良いのか?』(5)

『今回の内容は、外国人労働者にも適用されるのか?』(6)

『一部の若者は、台湾の労働市場に魅力を感じていないと言われている。これへの対策は?』(7)

『日本で過労死が問題になっているが、台湾にも過労死はあるのか?』(8)

『1年単位のフレックスタイム制の導入が難しい理由は?』(9)

『職工福利金条例の改正予定は?』(10)
以上のような質問が出された。


もちろん、私は台湾の労働事情がわかっているわけでは全くないので、質問もそれへの回答も理解できていないと思う。
上記質問(10)の『職工福利金条例』というのは、次のようなものであるらしい。

台湾では従業員数が50人を超えた場合、福利金を積み立てし、福利委員会というものでそれを運用しなければならないとしている。ただし、これが(今はどうか知らないが)売上高によって企業が拠出する積立金額が決まっていたようで、これがかなりの負担になっていて、実際には法律を無視している企業も(上場企業以外では)あったようだ。

まあ、こんな調子で、法律でうたわれていても、実際には『空洞化』している法律があるだろうから(日本でもこの手の法律が多い)、それがわからないと、実際の状況が分からない可能性がある。


また、上記質問(2)に関連して、日本の制度に学んで『労働検査院?』を発足させたいと考えていると語った。まず725名でスタートし、今後1000名まで増加する予定。

これまでは役所の指導は、安全面、衛生面の指導が中心だったが、今後、労働時間などについて違反の摘発、指導を行っていく。
今回、郭労働部政務次長が日本に出張で来たのは、この講演もあるが、労働検査院のメンバーにトレーニングを日本で受けさせる必要があり、その打ち合わせなどもあって来たと述べていた。


上記質問(7)の『一部の若者は、台湾の労働市場に魅力を感じていないと言われている。これへの対策は?』というのも、興味ある指摘だった。

どのような点に『魅力を感じていない』というのかが、知りたかったが、質問を代わりに読み上げる形なのでわかりにくかった。

これへの回答は、やはり抽象的ながら、『たしかに、魅力がないということで、海外に出たりする若者や、労働意欲を喪失する若者もいる。魅力を引き上げるためには、いろんな方策があろうが、今回は特に労働時間の問題に絞って対応を行っている』というようなことを言っていた。

結局、今回の改正がどういう結果につながっていくのか?
うまいやり方で展開していけば、かえって『労働時間の規制』が自動化の推進、人間の労働力の配分の仕方を変更するなど、真の『生産性向上』につながっていくかもしれない。

しかし、逆に失敗すると、単に労働者が、『副業』を増やすなどの方策で労働時間や賃金を確保しようとして、逆により複雑な状態になってしまうという懸念もあるだろう。

まあ、考えてみると日本の場合でも、(20年前の)改正労働基準法の施行によって『1日8時間、週40時間』の労働時間が決められていることになっているが、それでも『特例』の業種が決められている。
すなわち、常時使用する労働者が10人未満の商業・サービス業等では、特例として法定労働時間が一週44時間、一日8時間と定められている。
(この特例措置対象業種は、平成13年3月までは週46時間だったが、13年4月以降週44時間に短縮されたといういきさつがある。)

このように日本の場合でも、『特例』なるものが、20年も続いている(あまり外国のことばかり言えない)。

しかも、安倍内閣の『働き方改革』などでも話題になっているが、各種の『裁量労働』や『変形労働時間制』などさまざまな新しい『働き方(働かせ方?)』が普及していくにしたがって、他人に命令されることによって、過重労働を課せられるのでなく、自らの『自己責任?』で過重労働を自らに課さざるをえないということも問題になってきている。

こうしたなかで、どうなっていくのか、外国の状況を知ることで逆に日本社会の状況が見えてくることもある。
(日本社会に属していても、自分が『無職』の状態になってしまうと、外国以上に日本の組織での『働かせ方』が見えなくなってきている。)






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