北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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2013年9月に出版された小説で、『原発ホワイトアウト』というのがある。
それが出版されたころから知っていたが、現役の霞が関の官僚が書いた、一種の『告発小説』である。
『若杉冽』というペンネームで書いていて、本名は明かされていない。

先日、台湾の(まだ起きてはいない)原発事故をテーマにした、『グラウンド・ゼロ 台湾第四原発事故』(伊格言著)というのを、神保町の書店で入手して読んだ(その時は、何となく感想を書きにくかったので、ここに特に感想を書いてはいないと思う)。

そのあと、この『原発ホワイトアウト』のことが、突然?思い出されて、日本で文庫本を購入した(比較的大きな書店で探したのだが、本が置いてないところが多くて、多少、焦った)。


昨日から、本日にかけて、(講談社)文庫本で330ページくらいのを読み終えた。
正直言うと、小説としてはそれほど、出来のよいものではない。

人間描写とか、筋の運びとか、ある意味で『陳腐』な書き方が多く、稚拙な感じもいなめない。
だが、書かれている内容は、日本の政治、特に『原発再稼働』を巡る状況など、政界あるいは国家のなかで起こっていることを描き出し、おまけに情報も豊富で、参考になる。


この小説のなかでは、福島における原発事故以降、原発が再稼働し、そして、遂に再び事故が起きる(ネタバレになってしまうが、これは『工作員』による人為的な破壊がきっかけとされている)。
この小説の終わりの部分では、事故が再び起きたばかりで、それがどうなるかは描かれていない。

(続きの小説として、『東京ブラックアウト』というのも書かれているが、これは、残念ながらkindleなどの電子版の形では出されていないようだ。もちろん、私が今住んでいる台湾で取り寄せることも可能だが、日本に帰った時にでも買い求めようかとも思う。)

覆面作家ということが話題になったが、しかし、書かれていることは、(例えば)『特定秘密』に該当するような高度に機密性の高いものはないような気がする。おそらく、経済産業省の周辺に勤務している人物、あるいは自分の知人に経済産業省勤務の人物がいるような人なら、書けるような内容ではなかろうかという気もする。


私も原発については、ある意味で中途半端な知識しかもっていないので、この小説のような形でまとめられると、特に、『原子力規制委員会の態勢』あるいは『電力システム改革』と言われて進行してきたものの欺瞞性、『原子力ムラによる支配の仕組み』など、『やはり、そうだったのか』と改めて、思い起こさせられる。


特に、最近、『森友疑惑・加計疑惑』で問題となっているような話と関連した記述も出てくる。
この小説の主人公の一人は、日本電力連盟常務理事の小島厳という人物である。

彼は選挙(この小説では、参院選ということになっているが)が終わると、それで落選した議員たちにアプローチして回る。
野党『民自党』(民主党あるいは民進党であろう)の議員であっても、電力会社と近かった政治家たちには、次のようにアプローチする。



「……これからは、先生はどうされるんですか?」

「先生、日々の生活のほうはどうされるんですか?」

「そこで、先生、ご相談なんですが…筑紫女子大学で教師を探しておりまして…」

「長崎からは、車でも電車でも一時間で移動できますし、授業は月に一回、土曜日に集中して三コマ連続講義ということで結構です。平日でも構いません。肩書は客員教授になります」

「報酬も、何も奥様が無理に働きに出られなくともなんとかなり、先生が政治活動に専念できるくらいはお出しできると思います」
(同書の53〜55ページから)


どこかで聞いたような話ではないか?

自民党の萩生田光一・内閣官房副長官が選挙に落選していたころ、加計学園の『客員教授』にしてもらって、世話になっていた(萩生田氏だけでなく、何人もの政治家が客員教授などを務めている)話を思い出させる。

当然、加計学園と萩生田氏らとは、この小説に登場する、日本電力連盟と野党議員以上に緊密な関係にあるのだろう。


その他、この小説では、電力会社の従業員を動員して、ネットに『原発推進』の書き込みをさせたり、あるいは『脱原発』の主張をする者への誹謗中傷、その他、マスコミへの投稿、電話などさまざまな手段で、『原発推進』の世論を盛り立てていく様子が、描かれている。

あるいは、電力会社は、日々の検針や集金業務などから得た利用者の個人情報を、選挙における『名簿リスト』の形にして、応援する候補者の陣営に提供している状況なども描かれている。
どこまでが、『真実』か分かりにくい部分もあるが、いかにもありそうな話に思える。

このような『情報』や『組織力』は、『共謀罪』という新たな法律を成立させたことで、例えば、『反原発運動』など政府に逆らうけしからんことをやっている人物のリストアップなどに、これまでの『蓄積』が生かされていく?危険性があるように感じられる。
(あまり、『怖い、怖い』と敵の力が強大過ぎるような話ばかり並べ立てると、かえって良くないとも思うが、こうしたことを常にたくらんでいるであろう人々と、向き合っていることを忘れることはできない。)

しかし、同時に、彼らは都議選のときに見られたような『こんな人たち』の反乱によって、たちまち、自分たちが『裸の王様』であったことをさらけ出すような『人々』でもあるのだが…。

(また、労働組合『連合』の事務局長が、勝手に首相官邸と裏交渉して、『残業代ゼロ』法案に合意しようとしたが故に、彼は連合の次期会長に決まっていたのだが、『お預け』状態に追い込まれ、現在の会長が引き続き会長を務めるようになったことなども、忘れることはできない。
これもまた、『こんな人たち』が大組織『連合』の足元で、反乱を起こしてしまったために、生じた事態であろう。


本日(23日)の仙台市長選、そして、明日、明後日の『閉会中審査』、さらには来週の横浜市長選(本来であれば、現職の林文子市長が悠々、当選してしまうのが当然であるはずの選挙である)などの結果いかんによっては、もはや、『内閣改造』などではおさまりのつかない状況になっていくだろうと思われる。


この『原発ホワイトアウト』は、ジョージ・オーウェルの小説『1984』のように、『逆ユートピア』を描いているようにも見える、暗さのたちこめた小説であるが、現実は、『ユートピア』でも『逆ユートピア』でもない。
また、若杉氏も『逆ユートピア』の完成を望んで、この小説を書いたわけでもないだろう。






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