北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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この記事の続きである。今回は、『その5』に相当するが、これを『最終回』とするつもりである。


日本経済新聞に掲載された『検証報告書の要旨』から。

<(5)在韓日本大使館前の(従軍慰安婦問題を象徴する)少女像

「韓国政府は日本政府が在韓日本大使館前の少女像を在外公館の安全と威厳の確保の観点から懸念している点を考慮し、適切に解決されるように努力する」(韓国側の発表内容)

日本側は少女像に関して格別な関心を示した。合意内容は日韓外相が記者会見で発表した部分と非公開にした部分がある。少女像問題に関連して日韓は以下の部分を非公開とした。

合意に際し、日本側は「慰安婦関連団体などが不満を表明する場合も韓国政府はそれに同調せず、説得することを望む。少女像移転の具体的計画を聞きたい」と問い、韓国側は「関連団体などの意見表明があれば韓国政府は説得のため努力する。協議などを通じて適切に解決されるよう努力する」と答えた。

日本側は交渉初期から少女像の移転問題を提起し、公開する合意内容に盛り込むよう求めた。韓国側は少女像を交渉材料にしたと批判を受けることを懸念して反対した。

韓国側は公開内容について「努力する趣旨以上の約束は無い」と説明してきた。しかし、少女像移転の具体的な計画を問う日本側の発言に対応する形で(努力を)表明している。韓国政府が移転を約束していないとの主張は色あせている。

(6)国際社会での非難・批判自制
日韓合意後、大統領府は外務省に基本的に国際社会で慰安婦関連の発言をしないよう指示した。そのため、合意を通じて国際社会で慰安婦問題を提起しないことを約束したとの誤解を招いた。

しかし、慰安婦合意は日韓両国の次元で問題を解決するためのものであり、国際社会で普遍的人権問題、歴史的教訓を巡って慰安婦問題を扱うことを制約するものではない。>


さらに産経新聞に掲載された『報告書詳報』では、『公開部分』と『非公開部分』を区分した記述法になっており、『公開部分』では、次の通りである。

<(5)在韓日本大使館前の少女像(慰安婦像)
日本側は少女像問題について格別な関心をみせた。日本側から韓国政府が支援団体を説得するよう言及があった。
 
(6)国際社会での非難、批判の自制
日韓合意後、大統領府は韓国外務省に基本的に国際舞台で慰安婦に関連する発言をしないよう指示した。この合意を通じ、国際社会で慰安婦問題を提起しないと約束したとの誤解を生んだ。
日韓合意は日本政府の責任、謝罪、補償問題を解決するためのものであり、国連など国際社会で普遍的な人権問題、歴史的教訓として慰安婦問題を扱うことを制約するものではない。>

さらに『非公開部分』として、次のような記述が見られる。

<非公開部分
日韓合意には日韓外相の共同会見以外に非公開部分があった。この方式は日本側の希望により高官協議で決定された。
非公開で言及された内容は韓国挺身隊問題対策協議会(以下「挺対協」)など被害者関連団体の説得、日本大使館前の少女像、第三国の慰霊碑、“性奴隷”用語など国内で慎重な扱いを要する事項だ。日本側が先に発言し、韓国側が対応する形式で構成されている。

まず日本側は
(1)「慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決し、挺対協など各種団体が不満を表明する場合にも韓国政府としてはこれに同調せず説得してくれることを望む。大使館前の少女像をどう移転するか、具体的な韓国政府の計画を伺いたい」(2)「第三国での慰安婦関連の像・碑の設置は適切ではない」(3)「韓国政府が今後『性奴隷』という用語を使用しないことを希望する」-と言及した。

続いて韓国側は
(1)「日本政府が表明する措置が着実に実施される前提で、今回の発表を通じ最終的かつ不可逆的に解決したと確認し、関連団体等の意見表明があった場合、韓国政府としては説得に向け努力する。韓国政府は日本政府が日本大使館前の少女像に対し憂慮している点を認識し、可能な対応に関する関連団体との協議などを通じ適切に解決するよう努力する」(2)「第三国での像・碑の設置問題は韓国政府が関与することではないが、韓国政府としてもこのような動きを支援することなく、今後、韓日関係が発展するよう努力する」(3)「韓国政府はこの問題の公式名称が『日本軍慰安婦被害者問題』のみであることを重ねて確認する」と対応した。

韓国側は交渉初期から被害者団体に関連する内容を非公開にすることに承諾していた。これは被害者中心、国民中心ではなく政府中心の合意であったことを示している。

(1)で日本側は挺対協など団体を特定し韓国政府に説得を要請した。韓国側は挺対協を特定せず「関連団体の説得努力」をするとして、日本側の希望を事実上受け入れた。

(2)で韓国側は第三国での慰霊碑設置は政府が関与することではないと日本の要求を拒否したが、最終段階で「支援することなく」という表現を挿入することに同意した。

(3)で韓国側は性奴隷が国際的に通用する用語である点などを理由に反対したが、政府が使用する公式名称は「日本軍慰安婦被害者問題」のみであると確認した。

非公開の合意部分は、韓国政府が少女像の移転や第三国での慰霊碑設置の制限、「性奴隷」の表現不使用などを約束するものではないものの、日本側が関与できる余地を残した。

2015年4月に暫定合意が妥結された後、韓国外務省は内部会議で4点の修正、削除が必要な事項を整理した。非公開部分の第三国慰霊碑、性奴隷表現の2点などが含まれており、非公開の合意内容が副作用を招きうると外務省が認識していたことを示す。>


【私自身の評価または感想】

この『少女像』の撤去の部分は、実は日本政府(安倍政権)が今回の『日韓合意』について、熱意をもって進めた最大の動機(モチベーション)であったといってようだろう。
つまり、『在外公館の安全と威厳の確保の観点』からとしながら、実際は『安倍政権への信頼と威厳の確保の観点』から、この『撤去』を求めたといってよい。

だが、安倍首相とその応援団は、あたかも『慰安婦問題』がなかったかのように宣伝しながら、実際は、『日本軍の直接の関与』は証明されていないと言っているに過ぎない。

政府や軍は、直接関与しなかった(それを証明する資料は残されていない)と言いながら、大量の資料を『敗戦』の際に焼却等の方法で消滅させたことはひろく知られている。
また、『直接の関与』はなかったといっても、日本の行政というものが、昔も今も、『行政指導』とか『民間の半分公的な団体を通して』とか、さまざまな手法で民間ビジネスを、隠れ蓑にしながら、自分たちの意図することを行ってきたことも知られている。

いずれにしても、『従軍慰安婦』の問題は、韓国、あるいは北朝鮮、中国の間にだけあるのではない。フィリピン、インドネシア、オランダ、台湾など幾つもの国々がこの問題と関係している。

さらに、安倍首相応援団は、『過去の問題』であれば(今日において)『責任は問われない』と思ってか、『慰安婦とされた人々』を罵詈罵倒するような行為を繰り返している。
しかし、そうした行為が、『国際的にみると』かなり恥ずべき行為であることは、現在、広く共通認識になってきている。

(トランプ大統領が非難されることが多いのも、まさに彼の応援団あるいはトランプ大統領自身が、『国際的にみると』恥ずべき行為を平然と繰り返しているからである。)

あたかも、『セカンド・レイプ』のような行為を、組織的に、安倍首相の周辺の人物が繰り返しているのでは、『少女像』の設置が拡大されなくとも、『在外公館の安全と威厳の確保の観点』ならぬ、『日本という国と社会の信頼性と誇りの観点』から、自らそれを毀損するようなことになってしまう(あるいは、既に『なってしまっている』)。

『少女像の拡大』が日本の評判を落としているのではなく、『少女像設置』に対して投げつけられる日本人の言動それ自体が、日本の評判を自ら落としているのである。


私は『韓国挺身隊問題対策協議』(「挺対協」)というような団体の実態は知らないが、それらの団体、あるいは日本におけるシンパシーを持つ団体や個人のやってきたことを見ると、かなり『政治的』な人々であると理解できる。
『右』であれ『左』であれ、過度に政治的な人々は、自分たちの運動や影響力の高まりを自己目的化するような傾向が、時に見られる。
こうした団体が、必ずしも『被害者たち』自身をそのまま代表するものではないことも、よくある話である。

ともかく、韓国人が『挺対協』のような団体とどのようにケジメを付けるのかは、韓国人自身の問題であろう。
日本人としては、安倍首相の応援団(単なる応援団ではなく、時には、首相官邸を占拠して、彼らのイベントを開催することもあるようだ)と明確に、『対峙』し、彼らの考えと行動が日本人全般のものを代表するのでは『決してない』ということが、国際的に認知されるようにしていくことが重要であると考える。

そういう意味で、ムンジェイン政権内部の『過度に政治主義的な傾向』に対して危惧を感じるものである。







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この日韓合意には様々な矛盾があると思います。

「今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。」と河野談話は述べています。日本政府はいまだに「河野談話」を継承する姿勢を崩していませんが、安倍政権からの発言は、これと全く相反するものです。
さらに「従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。

2018/1/9(火) 午後 9:26 ちぇしゃ猫 返信する

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われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。」というくだりに至っては、何も実行していないという他はありません。
世の論調はむしろ「慰安婦などなかった」「でっち上げだ」という方向に向かいつつあるようです。

この日韓合意にあっても、はじめに「安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。」とありますが、総理がいつ表明したのか、私には全く記憶がありません。まずそこからではないかと思うのですが、聞こえてくるのは慰安婦とされた方々を罵倒する言葉ばかりです。
韓国側に誠実さを求める言葉を聞くたびに、居丈高な印象を覚えるのは私だけでしょうか。

2018/1/9(火) 午後 9:26 ちぇしゃ猫 返信する

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> ちぇしゃ猫さん
私自身も、『日韓合意』は矛盾の塊りだと感じています。2年前にそれが発表された時も、このブログに批判の文章を書いてました。
今回、ムンジェイン政権がそれを批判するような発表をしているのは、韓国の側の立場からすれば、当然のことかもしれません。
だが、こうした投れの中で、日本では『安倍応援団』(すなわち、安倍首相の本音?)の主張に全体が流されて行っているように感じます。
そこが、一番、残念なところです。

2018/1/10(水) 午前 11:23 [ 北京老学生 ] 返信する

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