北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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昨日(22日)、通常国会の冒頭にあたり、安倍首相の施政方針演説をはじめ、外交(河野外相)、財政(麻生財相)、経済(茂木経済再生相)の各演説が行われ、NHKテレビで中継された(私は、NHKワールドプレミアムという海外放送で台湾から見た)。

当初は、全部、きちんと見るつもりだったのだが、テレビの前のソファで横になって見ていたのが悪かったか、かなりの部分、うとうとしてしまっていた。
(特に、河野外相が甲高い声で、なおかつ一本調子のトーンで演説しているのを聞いていると、眠気に誘われた。)


ここでは、安倍首相の演説についてのみコメントしたい。
今回の演説は、『施政方針演説』というだけあって(昨年の衆議院選挙後の特別国会での演説などと比べると)長時間のもので、今国会で『憲法改悪の発議』を実現したいという意図を裏に持ちながら、それなりに力の込められたものであったと思う。

しかし、私の聞いた限り(その後、聞き損なった部分は、新聞紙面などでいちおう全文を確認している)では、安倍首相らしく『アベコベの論理』に貫かれたものだったように感じる。


<山川健次郎を引用しながら、明治維新を賛美>

昨日、私は演説が始まる直前になって、テレビのスイッチを入れた。
いきなり、『白虎隊』とか『山川健次郎』などの言葉が飛び出してきたので、もう演説が始まってしまっていたのかと思った。

だが、実は、それが冒頭部分だったようだ。
安倍首相の演説は次のように始まった。

<150年前、明治という時代が始まったその瞬間を、山川健次郎は、政府軍と戦う白虎(びゃっこ)隊の一員として、迎えました。
しかし、明治政府は、国の未来のために、彼の能力を活(い)かし、活躍のチャンスを開きました。

「国の力は、人に在り」
東京帝国大学の総長に登用された山川は、学生寮をつくるなど、貧しい家庭の若者たちに学問の道を開くことに力を入れました。女性の教育も重視し、日本人初の女性博士の誕生を後押ししました。

身分、生まれ、貧富の差にかかわらず、チャンスが与えられる。明治という新しい時代が育てた数多(あまた)の人材が、技術優位の欧米諸国が迫る「国難」とも呼ぶべき危機の中で、我が国が急速に近代化を遂げる原動力となりました。>

イメージ 1



興味深いことに、安倍首相に極めて近い『産経新聞』は本日(23日)付朝刊で、このように報じている。
そうまさに、(たびたび、自らを長州=山口県出身の政治家として語り出す)安倍首相は、『旧敵』である会津藩の山川健次郎をあえて、取り上げたのである。


『産経新聞』はいう。

<安倍首相は演説で、48歳で東京帝国大(現東大)総長となった山川健次郎(1854〜1931年)に言及した。山川は会津藩の白虎隊の一員として官軍と戦った後、貧しい若者や女性に活躍の場を開いた立志伝中の人である。山口県(長州藩)出身の首相が、あえて「旧敵」、会津藩出身の山川を取り上げたのは、意見が対立する野党の主張も尊重し、共に「国難」に立ち向かう決意を示すためだろう。>

これはつまり、『憲法改悪』実現のために、(協力する姿勢のある)野党と手を結ぶ気のあることを、この山川健次郎のことを利用して、示したかったのであろう。
(民進党と希望の党とでさっさと『新たな会派』を結成し、『野党第一党』の座を立憲民主党から奪い取りながら、『憲法改悪』推進の旗を掲げよとうながしているのかもしれない。)

しかし、明治維新で権力を握った長州・薩摩中心の政権は、安倍首相のいうように『幅広く、柔軟性のある側面?』ばかり持っていたわけではない。

会津戦争以降も、西南戦争などなど、一般に『無血』で明治維新を成し遂げたという『神話』に反して、不満を抱く旧士族や農民などの反乱を血で平定し、その過程で明治維新の元勲とされた人々(西郷隆盛や江藤新平など)を苛烈な刑に服させたり、自決に追い込みながら明治政府は、国内の権力基盤を固めていった。
(そして、同時に自由民権運動や秩父困民党などの運動をも弾圧して、対外侵略に耐えうるような体制を作り上げていった。)

そのことは、いくら『明治維新150周年』などといったお祭り騒ぎのなかでも忘れないようにしたいものだ。


<『働き方改革』のアベコベ>

続いて気になったのは、『働き方改革』を巡る論点である。
率直に言って、この点は、安倍首相の側に、うまいこと議論をリードする『余裕』を与えてしまっているように感じる。

例えば、安倍首相は次のように語っている。

<長年議論だけが繰り返されてきた「同一労働同一賃金」。いよいよ実現の時が来ました。雇用形態による不合理な待遇差を禁止し、「非正規」という言葉を、この国から一掃してまいります。>

<我が国に染みついた長時間労働の慣行を打ち破ります。史上初めて、労働界、経済界の合意の下に、36(さぶろく)協定でも超えてはならない、罰則付きの時間外労働の限度を設けます。専門性の高い仕事では、時間によらず成果で評価する制度を選択できるようにします。>

本当にそういうことをやってくれるのだろうと、『期待を寄せる』人もいるかもしれない。
だが、それは『同一労働同一賃金』にしても、野党の側が、長年主張してきたその旗を奪われるような(簡単にいうと)ミスをしてしまっているためであろう。
安倍首相の側は、何でも相手の主張をパクリ、換骨奪胎してしまう。


いずれにしても、安倍首相の政策には『嘘』が多い。

<子育て、介護など、様々な事情を抱える皆さんが、意欲を持って働くことができる。誰もがその能力を発揮できる、柔軟な労働制度へと抜本的に改革します。戦後の労働基準法制定以来、70年ぶりの大改革であります。>

こんなことを言っているが、戦後の労働基準法制定以来、最大の『改革』(同時にその根本を傷つけた)だったのは、1988年の労働基準法の改正法施行によって、変形労働時間制度や裁量労働制度が、導入された頃から始まっている。

もちろん、それは『使いよう』によっては、労働者にとってもメリットのある制度でもある。しかし、派遣労働制度などと同様に、企業の側が単に『競争力強化』のためにとめどなく導入していく中で、弊害の面が全面化するようになってきたのだと思う。

<我が国に染みついた長時間労働の慣行を打ち破ります。史上初めて、労働界、経済界の合意の下に、36(さぶろく)協定でも超えてはならない、罰則付きの時間外労働の限度を設けます。専門性の高い仕事では、時間によらず成果で評価する制度を選択できるようにします。>
また、安倍首相は上記のようにも言っている。

しかし、『罰則付きの時間外労働の限度』というのは、これまでも、常に『特例』すなわち、『抜け穴』を用意したようなものばかりであった。


『我が国に染みついた長時間労働の慣行』をこれまで育ててきたのは、この間の労働行政に多くの責任がある(もちろん、企業やあるいはそれと癒着した労働組合の側にも問題はある)。

それを不問に付したまま、このようなことを言ってみても、さらに『ねじれ現象』がひどくなる可能性がある。

安倍首相の政策とは、このように『アベコベ』であり、これまでの『責任』を全く問わないままに、間違った政策をリードしてきた側が、臆面もなく『改革です』などと言って進めようとする類のものばかりである。
このことは、施政方針演説のなかで、沖縄について述べた部分を振り返ってみても、強く感じる。
(つづく)








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