北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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少し前の話だが…。
今月22日(月曜だが)の『産経新聞』朝刊にこのような記事が出ていた(1面である)。

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評論家の西部邁(にしべ・すすむ)氏の死を報じている。
その冒頭部分を引用する。

<保守派の論客として知られる評論家の西部邁(すすむ)さん(78)=東京都世田谷区=が21日、死去した。

警視庁田園調布署によると、同日午前6時40分ごろ、東京都大田区田園調布の多摩川河川敷から「川に飛び込んだ人がいる」と110番があった。飛び込んだのは西部さんで、署員らが現場に駆け付け病院に搬送されたが、死亡が確認された。


同署によると、目立った外傷はなく、付近で遺書のような文書が見つかった。自殺を図り、溺死したとみられる。
西部さんは21日未明から行方不明になっていた。同居する家族が探していたところ、多摩川で流されている西部さんを発見し、通報したという。(省略)>

西部という人は、10年くらい前までは、ほとんど知らない人だった。
テレビなどに出演しているので知るようになり、最近では、考え方は自分とは相当、違っているが、何となくその存在が気になる人になっていた。

今回の記事を見て、びっくりした(この記事の前に、ネット上の他の記事を既に見ていたと思う。だが、記事の前日=21日=は、沖縄の南城市長選の結果が気になっていたので、たぶん、この情報は見ていなかったと思う)。

びっくりしたのは、(くだらない話と言ってしまえば、それまでだが)前々日の20日(土曜日)にNHKテレビの『ブラタモリ』で田園調布を取り上げるのを見ていたからだ。
(台湾からでも、『ブラタモリ』は『NHKワールドプレミアム』で放送しているので、見ることができた。
今回は、特に11〜15日まで沖縄旅行に行ったときに、過去の『ブラタモリ』の沖縄に関する放送が気になったので、珍しく意識的に見ていた。)

この『ブラタモリ』の田園調布特集で最後は、多摩川沿いの場面になった。
西部氏がどこに住んでおられたのか知らないし、彼が入水した場所がどこかもわからない。だが、この『ブラタモリ』で取り上げられた多摩川沿いの、そう遠くはない場所なのではなかろうか、という気もする。


こう書くと西部氏があたかも『衝動的』に自殺したかのような印象を与えてしまうかもしれないが、そうではないらしい。

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西部氏の最後の著書『保守の神髄 老酔狂で語る文明の紊乱(ぶんらん)』(講談社現代新書)というのが、昨年の12月に発行されていて、その『電子版』を読むことができる。
西部氏が亡くなって以降、やや躊躇したのち、この書を購入してダウンロードした。

私は考えてみると、西部氏の著書はほとんど読んだことはない(雑誌などに書かれた文章は、何度か読んだことがあったと記憶する)。また、『自殺』というものを美化する気は全くない。だが、どんなことを『最後の書』に書いているのかが気になった。

この本は、正確にいうと、『書かれたもの』ではなかった。78歳の西部氏は、頚椎磨滅と腱鞘炎の合併からきた激しい神経痛が利き手である右手を襲い、そのため娘さんを相手にしての『口述筆記』でこの本をまとめたということである。


これによると、『術者』(西部氏自身のことを、この本のなかではこのように呼んでいる)は、本の著述が終了した直後、『術者のある私的な振る舞いの予定日に衆院総選挙が行われると判明した。』という。

それで『で、まず社会にかける迷惑はできるだけ少なくせねばならぬと考え、次になぜその日に総選挙なのかと考えてみたら、朝鮮半島の危機がいよいよもって現実のものとなりつつあるという極東情勢の背景がみえてきた。』『そういうことなら、事態の成り行きにもう少し付き合ってみるしかあるまいと、と考え直すほかなくなった。』
つまり、予定していた行動を中止した。

それで、本書が出版されても、術者はまだ生きているということになったらしい。
(アマゾンにアップされているデータによれば、この本の発行日は12月12日になっている。)


ここに書かれている『術者のある私的な振る舞い』というのは、明らかに『自殺(西部氏は時に、「自裁」という用語を使用している)の決行』のことである。それはこの本の中に繰り返し、書かれていることでもわかる。


今回、西部氏の死の報道を見て興味深かったのは、『産経新聞』がいやに、『冷たい』(と書いて悪ければ、『クール』といっても良い)扱いをしていたという印象があるのに対して、むしろ『朝日新聞』が、『暖かい?』ともとれるような扱いをしていたことである。

『産経新聞』は1面に先に紹介したような記事を掲げていた。
その記事の末尾は、次のようになっていた。

<正論執筆メンバーで、平成4年には戦後日本でタブー視された改憲論を正面から取り上げるなどの精力的な評論活動により、第8回正論大賞を受賞した。>

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22日の3面には、このような記事が掲載されていた。
この文中には、次のような表現がある。

<平成に入ってからは、テレビ出演や「新しい歴史教科書をつくる会」への参加など、保守派の代表的な存在として知られるようになった。
だが、言論界には左右を問わず、厳しい目を向けた。安全保障を米国に依存し、経済大国への道を突き進んだ日本のあり方を痛烈に批判。親米の現実路線を取る保守論壇の中心からは離れた存在だった。
自らの言葉に厳しく、論の人である以前に義と侠(きょう)の人だった。>

ここでいう、『親米の現実路線を取る保守論壇の中心』とは、まさに現在の『産経新聞』自体が位置しているポジションを言うのであろう。

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22日の27面にはこのような記事も掲載されている。
この記事には、次のように書かれている。

<「ウソじゃないぞ。俺は本当に死ぬつもりなんだぞ」−。21日に死去した西部邁さん(78)はここ数年、周囲にそう語っていた。平成26年の妻の死などによって自身の死への思索を深め、著作などでもしばしば言及していた。
昨年12月に刊行された最後の著書「保守の真髄(しんずい)」の中で、西部さんは「自然死と呼ばれているもののほとんどは、実は偽装」だとし、その実態は「病院死」だと指摘。自身は「生の最期を他人に命令されたり弄(いじ)り回されたくない」とし「自裁死」を選択する可能性を示唆していた。>

そして、末尾はこうなっていた。
<親米の論客からは「反米」と批判されたが、最大の問題意識は独立の精神を失い、米国頼みになった日本人に向いていた。いつも「今の日本人は…」と憤りを語っていた。>

今や、『親米』の安倍首相をひたすら支え続けているかのように見える『産経新聞』にこのような追悼記事が掲載されているのも興味深い。
(つづく)






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