北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

全体表示

[ リスト ]

この記事の続きである。これが最終回になる。


この『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』という映画の不思議さは、前回、ちょっと書いたが、『産経』『読売』を含む、(少なくとも)すべての『全国紙』がこの映画をほめているという点にある。

イメージ 1


もっとも、私は、『産経』『読売』の映画評も見た気がするが(『産経』は少なくとも定期購読しているので、電子版のバンクナンバーで確認することも可能である)、どこをどのようにほめていたのか、考えてみるとよく思い出せない。


それから、このことと関係していると思えるのだが、『ペンタゴン・ペーパーズ』で取り上げられているのは、あの(ニクソン大統領の行った)『ウオーターゲート事件』(大統領選挙に勝つために、敵対する民主党本部に盗聴器を仕掛けたことが発覚してしまった事件)のことではない。
(私も、『団塊の世代』なので、このころのことは十分、知っていてもおかしくないのだが、あいにくそうではなかった。)

ここで取り上げられているのは、『ウオーターゲート事件』の直前に起こった事件で、『アメリカ合衆国のベトナムにおける政策決定の歴史、1945〜1967年』という平凡なタイトルの最高機密文書を、政府も資金提供をしていたシンクタンクの軍事アナリスト、エルズバーグ氏が暴露し、内部告発したという事件である。

これは1971年6月13日の新聞に暴露発表された(ちなみに、ウオーターゲート事件が起こったのは、1972年の6月のことである)。
ただし、この映画『ペンタゴン・ペーパーズ』が取り上げているのは、この情報を最初に報道した新聞『ニューヨーク・タイムズ』のことではない。

むしろ、これを後追い報道した『ワシントン・ポスト』のほうである。
さらに、驚きなのは、『ワシントン・ポスト』は決して、いわゆる『リベラル』な立ち位置にあったわけではなかったようだ。


むしろ、この新聞の女性経営者キャサリン・グラハム(夫の急死により、後を継いで経営者となった)は、『ペンタゴン・ペーパーズ』の内容が直撃した、当時のアメリカ国防長官マクナマラなどと、家族ぐるみの付き合いをしていた(キャサリン・グラハムの夫が経営者だったころから親密な友人だった)。

だから、この『ペンタゴン・ペーパーズ』において、キャサリン・グラハム(メリル・ストリープが好演している)は、板挟みに立たされる。

ベン・ブラッドリー(トム・ハンクスが演じている)という敏腕(剛腕とでもいうべきか)ジャーナリストと(マクナマラらの)これまでの『友人たち』との『エスタブリッシュメント』のなかでのおだやかな友情との間で、何を選択するのか、従来、夫の遺志を単に継いで家族兼営を守っていた、キャサリン・グラハムは人生最大の岐路に立たされる。

このような(政治映画というよりも)女性映画という側面を前面に出したことが、この映画の『成功』を実現したのであろう。
(もっとも、そのことで、やや『不完全燃焼』を感じさせる部分もある。スピルバーグという監督は、いつもこの調子で、『政治』を『脱政治化』することで、『ハッピーエンド』の映画ばかり作り続けてきたような気もする。)


しかし、これ以上望むのは、『ないものねだり』だろう。
この映画は、日本の現時点のマスメディアのあり方を告発するに十分な内容を備えている。

まさに、タイムリー過ぎるほどタイムリーであると言って良いだろう。
(アメリカにおいてよりも、日本においてのほうが、よりタイムリーだったという気がする。)

同時にこの映画は、新聞社の経営の在り方(特に、放送やインターネットとの関係)も考えさせるし、あるいは『活字』というものが、いかに美しく偉大な発明であったかを、もう一度、ビジュアルに人々に明らかにするという役割をも担っている。
そういう意味でも、『記念すべき映画』という気がする。


気になるのは、日本において、この手の映画をもっと作ることはできないのだろうか(過去において、日本でも時代をえぐる映画が作られていた)ということである。

日本は、今、世界中のさまざまな映画(あちこちで、上映が禁止されている映画)を見ることができる場所である。ならば、もっとさまざまな顔をした映画が、日本で作られても良いはずだと思う。












https://politics.blogmura.com/politicalissue/ranking_out.html にほんブログ村 政治・社会問題]
にほんブログ村のランキングに参加しています。
よかったら、この記事にクリックをお願いします。 

この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(0)


.


みんなの更新記事