北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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昨夜(16日)、こんな本を一挙に読み終えた。

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沢木耕太郎が1978年に文藝春秋社から刊行した『テロルの決算』というノンフィクション作品を、後に文春文庫に収録したもの(2008年新装版第1刷)である。

昨夜、読んでいた時は、近所の台湾の図書館から借りたもの(そこには日本語の本がたくさん置いてある)かと思っていたが、先ほど確認すると、そうではなく先日、日本に『一時帰国』した時に書店で『騒動買い』したものの一冊だったようだ。


この本、370ページあるが、一晩で読んでしまった。
書き手は、ノンフィクションやら、トラベルもので有名な沢木耕太郎氏である。

私は、昔、香港のことなどがたくさん書かれている『深夜特急』という『紀行小説』(という分類になるらしい)を少し読んで、(その時点では)それなりに影響を受けた記憶がある。
だが、(生意気をいうようだが)この人は、結構、文章に癖があり、どことなく『ワンパターンなフレーズ』を好むところがある。
だから、この人の作品を好んで読んできたということは、全くない。


今回、これを読んだのは、『山口二矢(おとや)』という登場人物(主人公と言っても良い)の名前に惹かれてであった。

『山口二矢』というのは、1960年10月12日に日比谷公会堂で行われた『三党首演説会』(自民党、社会党、民社党の党首が参加した。自民党は池田勇人だった)において、白昼公然と、社会党委員長・浅沼稲次郎氏を刺殺した人物である。

当時は、60年安保条約が強行採決で成立した直後のことである。
私は、たしか小学校6年生だったと思う。
自宅にあったテレビに、この『暗殺の瞬間』の映像が流れた記憶がある。

生放送を見たのかと思っていたが、この本を読むと、この日は、『日本シリーズ』の第2試合とかち合ってしまって、『演説会』のほうはNHKで『録画中継』するということになっていたらしい。
したがって、生放送ではなかった。

だが、ほとんど『殺人の現場中継』に近い放送は、大きな衝撃を与えた。
(日本刀で刺された)浅沼氏は、ほとんど即死に近い状態で、病院に救急車で運び込まれたときは、既に死亡していたという。


また、犯人が17歳の少年だということも驚きだった。
今回、この本を読んで改めて認識したのだが、山口二矢少年は、11月2日身柄を警視庁から練馬の少年鑑別所に移送されたその日に、鑑別所内でシーツを細長く割いて、首つり自殺を敢行した。
(私の記憶のなかでも、早い段階で自殺したという風にとらえていた。)


私は、小学校2年生の時に、父親の仕事の関係でアメリカ・ロサンゼルス市に引っ越しをして、小学校5年生の時に東京・杉並区の小学校に戻ってきたばかりだった(その間に、公立小学校の学区が変わっていて、住んでいた家は前と同じなのだけど、新しく出来た小学校に通うことになった)。

日本とアメリカという全く異なる文化の国を行き来したもので、私は、自分の『アイデンティティー』を喪失気味だった。

アメリカでは、『シャップ』という蔑称を投げかける黒人の子供にくってかかり(多分、向こうのほうが強かったので撃退された)、また日本では、小学校低学年の生徒たちが『アンポ・ハンタイ』などと言って、学校でデモの真似をするのを、なぜか苦々しく感じていた。


それだけでなく、この山口少年の暗殺事件には、内心ひどく興奮し、(いけないことだが)同じクラスの『山口という同じ苗字の小柄な同級生』を『お前と同じ苗字のオトヤっていうのが、人殺しをしただろう』みたいなことを言って、からかったという『苦い記憶』が残っている。
(こんなことをしたのは、私自身、どことなく『右翼的な衝動』を抱えていたのだと思う。)

なお、家のテレビでこの事件を知ったと書いたが、アメリカに行く前には、当然、自宅にテレビなどなくて、近所の金持ちの家のテレビを見せてもらっていた。
ところが、アメリカではどこの家にもテレビがあるみたいだった。
そして、日本に帰った時点で、我が家にもテレビが設置されたように記憶している。


この浅沼稲次郎暗殺事件をモチーフにした小説としては、たしか、高校か大学のころに、大江健三郎の『セブンティーン』という小説を読んだ記憶がある。

だが、この作品は(私の記憶では)性的衝動みたいなものを天皇制と連動させて描かれていたような印象で、この事件の(別の意味での)政治的な側面は、どのように描かれていたかは記憶していない。


山口二矢少年は、(赤尾敏の率いる)『大日本愛国党』に所属していた。
(ただし、事件の前に、そこを『脱党』していたらしい。)
だから、赤尾敏などに『そそのかされて』彼が犯行を決行したというような印象はあった。

しかし、今回、この本を読むと、(死ぬまでに彼が供述した限りでは)赤尾敏の『大日本愛国党』や政治活動については、むしろ『宣伝だけ』のいわば『口先野郎』というようなとらえ方であり、自分自身の判断で浅沼稲次郎を暗殺したのだという。

他方、彼は、浅沼氏を含めて、6人の『殺人予定者リスト』を最初、作っていたのだがこれを作成するにあたっては、『愛国党』の影響が、相当、あったようである。

ちなみに、その6人とは…。

日教組委員長 小林武
共産党議長 野坂参三
社会党委員長 浅沼稲次郎
自民党『容共派』 河野一郎
同じく  石橋湛山
社会党左派 松本治一郎
さらに、三笠宮崇仁の名前も、何らかの反省を求める相手として、リストアップされていたという。



この10月12日という犯行当日、この日も、『大日本愛国党』らによる会場内でのビラ巻きや野次など妨害行動はあったのだが、むしろ、山口二矢のテロはこれらと別個の鼓動であったがゆえに、逆に、『大日本愛国党』の会場内でのビラ巻きなどに私服たちの記が取られ、スキができたところを狙って、暗殺が成功してしまったということなのだと書かれている。

その他、山口二矢の家庭状況(父親は自衛隊員だったという)あるいは、当時の浅沼稲次郎氏を取り巻く状況など、これまで見えていなかったいろんなことが書かれている作品だった。
(つづく)









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