北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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この記事の続きだ。

昨日(21日)、渋谷の映画館『渋谷TOEI』で見た映画の感想を書いていく。

『孤狼の血』は、結構、面白かったが、(公開開始からかなり日が経過しているとはいえ)映画館の観客数が少なかったのは気になった。
もちろん、平日の昼間というせいもあるかもしれない。

年齢的にいうと、私と同様の『仁義なき戦い』を知っている世代が多かった。
それにしても、こんな少ない入りで果たして、『続篇』など作ってしまって大丈夫なのかという気がしないでもない。

なぜ、少なかったのか?
あるいは、公開当初は、『大ヒットの予感』というようなことが言われながらも、その勢いがそれほど続かなかったということなのだろうか?

私は、それはこの映画が、『仁義なき戦い』を見た体験(経験)を持っている観客を前提にして作られ過ぎているせいかもしれないというような気がした。
『仁義なき戦い』体験世代を、一つの対象(ターゲット)にするのは良いだろう。
しかし、『仁義なき戦い』を同時代的に見たわけではない世代をも取り込まなければ、真のヒットは望めない。


この映画は、一方で、妙な遠慮?があるような気がしてならない。
明らかに、広島県呉市を舞台としていて、映画『仁義なき戦い』で描かれているヤクザ同士の抗争を見る者が(少しは)知っていることを前提にしているかのような作られ方をしていながら、あの映画では、明確に呉市としていたのに、こちらの映画では『呉原市』などという中途半端な名称替えをしてしまっている。
(広島市のほうは、広島市のままである。広鳥市などに変えてしまっているわけではない。)

何のために、こういうことをやるのだろうか?

もちろん、この映画で描かれているのは、暴力団同士の抗争だけではなく、広島県警もまた内部に暴力団と癒着する幹部がたくさんいるような状況が描かれている。
あるいは、メディア(地方新聞)すらも、こうしたやくざの抗争の一方で、利権のおこぼれにあずかっているかのような描き方である。

いわば、(この地方では?)どこにも『正義が見られないというような閉塞状況』を描いている。
たしかに、これらは呉市にとって、名誉な話ではないのかもしれない。
しかし、何かで『有名』になれば、それもまた一種の『財産』である。
(それに、これは日本全体の『腐敗の象徴』とも言える。)

また、この映画では、別に今の広島県政、広島県警、あるいは呉市政に(特段の)不正が見られると言っているわけでもない。
『やくざの抗争の舞台』として有名になれば、(観光面、話題面などを考えると)それだけで(必ずしも)『悪い』ということになはならない。
(それに呉市は、もう一方では、アニメ映画『この世界の片隅に』の舞台としても知られている。私自身、昨年の初めに、広島市だけでなく、呉市を見て回ったのも、『仁義なき戦い』と『この世界の片隅に』という2つの映画のイメージが頭にあったからである。)

それに逆にいうと、現在、日本の『政治』、『政党』、あるいは『検察』といったものに大変な問題と歪みがあることは、大抵の人がうすうす感じていることである。
(それは、子供ですら感じていることかもしれない。)


安倍首相らを中心とする『一派』が日本の国政を牛耳り、そこから外れた人々は、『与党=自民党』の一員であろうと、無視され、力を失う。
そういう『一派』による『一強』体制が構築されており、その結果、日本という社会・国としても『もろさ』『弱さ』を抱えたものなってしまっている。

そうした『権力を握った主』に対して、大手メディアを含めて寄り添い、それらに逆らうことによる『マイナス』の発生を恐れているというのが、実情である。
しかも、こうした『裸の王様』的状況を、多くの人が知っているというのだから、『悲劇』だか『喜劇』だかわからない。

そのなかで人々が、心が打ち砕かれているような気分が日本全体に広がっている中で、多少なりともうっぷん晴らしが出来るような映画がつくられることは、必ずしも悪くはない。

そのように考えると、『呉原市』などに中途半端に変えるのではなく、『呉市』そのままのほうが、むしろ良かったのではないかと言う気がしてくる。
たしかに原作の柚月裕子氏の小説でも、『呉原市』になっていて、そこの『呉原東署』の捜査二課の『暴力団関係』(もう一つは、『知能犯関係だ』)の係内に大上章吾を班長とする班が存在している。
これは、やはり実在の警察署に『悪徳警官』がいることはまずいという『配慮』なのだろうか?


この映画には、R18+マーク(18歳未満の観覧制限)が付けられている。つまり、18歳未満は自由に見ることができない、ということになっている。
それは、この映画に(暴力的な)セックスシーンや残酷な殺害のシーンがあることに起因しているのではないかと思う。

ただ、昔の『仁義なき戦い』の初公開された瞬間のほうが、むしろ、より『インパクトがあった』ような気がしている。
それは、ある種の『躍動感』『解放感』に満ち満ちた作品でもあった。

しかし、今回のこの映画は、部分的にドギツイ感のあるシーンも見られたが、全体としては、『それほどのことでもあるまい』という感じがした。

『R18+』という制限マークは、むしろ日本全国で『衝撃シーン』に対する受忍限度がいかに低下しているかを物語っているかのように感じる。
他方、そうしたことの背後の現実としては、現職の総理大臣の夫人とその仲間たちが、いかに奔放に活躍しているかといったことが進行している。

しかも、現実には『独裁者の道』を選択した政治家たちが、最後は、『俺は普通人だ。俺にだって普通人として生き抜きたいという気持ちがある。』などと言い逃れを始めるのがいわば『普通の話』になってしまっている。

そして安倍首相なども、『小市民として、普通に余生を生きる権利を要求する』などと事実上、言い出すことになる。
『日本は、先進国でしょ』というわけだ。
『だから、独裁者もどきの犯罪が仮にばれたとしても、「紳士的」に扱っていただきたい。』『私の人格を傷つけるようなことはしてほしくない。』というわけだ。
しかし、それはあまりにも『虫の良すぎる』言い分でしかない。

私も何も、ルーマニアのチャウシェスク元大統領なみに、『(夫婦で?)逆さ吊りにされないと納得できない』といっているわけではない。しかし、そのような逃げ方は、『いいとこ取り』であって、あまりにも(自分に対して)甘すぎる気がしてならないのである。

日本人ももっと『優しさ』を意識的に捨てるべきではなかろうか?
日本人の『優しさ』が、同時に日本という社会・国の弱さにつながってしまっているのではないだろうか?

今回の『孤狼の血』においても、(とりあえず)『悪の元締め』みたいなことしていた人物は、命奪われ、(日本の伝統的?な武器である)日本刀の餌食になっていく。
しかし、このシーンは、(役所広司さん演じる)『悪徳警官』大上章吾自身のシーン同様に、(必ずしも)リアルタイムで時間が進んでいくというオーソドックスな『時間の流れ』にはなっていない。

むしろ、現在から過去を振り返るというシーンに(部分的に)『変換』を行うことで、そうした『暴力性』ははく奪されている。
『暴力』を描くなら、もっとリアルに、ストレートに『時間の流れ』に沿ったものしていったほうが、インパクトは大きかったのではなかろうか?

それを変えてしまって、少しでも『暴力性』のインパクトを薄めようとしているのは、どういう料簡に基づくものなのだろうか?

私は、そのようにしないで。『時間の流れ』を大上章吾(役所広司)の視点から離さないで描こうとしたほうが、よりインパクトのある映画になりえたのではないかと言う気がしている。
これは、『R18+』指定の映画をあえて作るのとは、逆の方向であった。
むしろ、『暴力性』に訴えるのであれば、より徹底したほうがよかったのではないか、という気がする。

また、この映画では、皇室を敬愛する『右翼』関係者やら、『神道系』みたいな暴力団関係者がうようよ出てくる。
そういう人物たちが、一方では宗教団体めいた行動をとり、他方では暴力団同士の抗争に深くかかわっている。
これは森友・加計疑惑の裏に、『日本会議』関係者たちがうごめいていたような事実を、はっきりと暗示してようでもある。

いずれにしても、映画『仁義なき戦い』の影に頼ったりするのではなく、現在の日本社会の陰影を、くっきりと映し出すストレートでリアルな手法に徹底したほうが、よりリアルで鋭いインパクトを持つことができたのではないかと感じた。

この映画には、『様式美への傾斜』というものが色濃くあり、そのことが、リアルさの持つ鋭さを『まるみ』に変えてしまっている部分があるような気がした。
(ダラダラした文章になってしまい、すみませんでした。)









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