北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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タクシーの運転手を主人公とした映画としては、ロバート・デニーロ主演の『タクシー・ドライバー』という有名な映画がある。

最近のデニーロは、むしろ『反トランプ』の俳優として有名なようだが、この映画(1976年公開、アメリカ映画、マーティン・スコセッシ監督作品)で彼が演じる人物は、(今日でいうならば)『トランプ支持者のコア』みたいな男である。
わけのわからぬ『ヘイト』『反陰謀』の感情が肥大化し、『テロリスト』みたいな行動をとるに至る(もっとも、映画の筋の細かいところは、忘れてしまった。ジョディ・フォスター、シビル・シェパードなどが出ている)。


この記事で取り上げるのは、(ほとんど同じ題名だが)『タクシー運転手 〜約束は海を超えて』という韓国映画である。

今回の『一時帰国』で2本目に見た映画になる(22日に、渋谷の『アップリンク』という映画館で見た)。
チャン・フンという監督の作品で、主演はソン・ガンホ(タクシー運転手を演じている)、それにトーマス・クレッチマンという(映画『戦場のピアニスト』にも出演した。多分、カミサンははっきりと覚えているだろうが、私はあまりよく覚えていない)旧東ドイツ出身の俳優が出ている。





この映画は、2017年に韓国で公開され、1200万人を動員するという大ヒットを飛ばしたという。
(この動員数は、韓国の人口が5000万人くらいであることを考えると驚きだが、まあ、日本の映画『この世界の片隅に』の例を見ても、好きな人は、何度も何度も映画館に足を運ぶのかもしれない。

韓国の映画事情は、よく分からないが、同じ人がいろんな『知り合い』や『家族』やらを連れてきて、何度も同じ映画を見るというようなことは、日本の場合よりもありそうな気がする。)


この映画がなぜ、ヒットしたのかというと、ちょうどパククネ大統領を弾劾するというような、韓国政治の流れとリンクしたのが大きな要素としてあったのではないかと思う。
(正直言うと、私自身は、パククネ大統領にある程度、『期待をかけた』側の人間の一人なので、複雑な気持ちではあるが…。)

この映画で、取り上げているのは、1980年5月(ちょうど『平成』になった翌年、今から30年もたたない、『近過去?』の年)に起こった『光州事件』についての話である。

1979年10月26日、(パククネ氏の父である)パクチョンヒ大統領は、最側近のKCIA部長によって暗殺された(銃撃による)。
これこそ、私が金正恩委員長が、心配しているのではないかとこの間まで思っていた(今でその可能性は『ゼロ』ではないと見ている)『独裁者の最期』の一つのパターンである。


パクチョンヒの死後、韓国政治は混乱(民主化を求める人々からすると『希望』があふれたということだろう)したが、その混乱を鎮圧すべく決起したのが、(後に大統領に就任する?)チョンドゥファン(全斗煥)少将を中心とする軍人たちである。

彼らは特に、(後に大統領となる)金大中氏の基盤である全羅南道、その中心都市・光州において、学生や市民のデモを『流血』『殺害』をものともせずに、鎮圧した。
この当時、光州市は軍によって外部と遮断され、全土にわたって厳しい報道管制がしかれた。

こうした状況のなか、ドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターがタクシー運転手キム・マンソブの案内によって、『決死的』な取材を敢行し、『軍部による蛮行』の映像を世界に「向けて発信した、というのがこの映画のストーリーである。


この話は、少なくとも『ある程度』は実話に基づいているような印象を受けるのだが、どこまでが『実話』なのかは、正直言って、映画のプログラムを見てもよくわからない。
(最終的には、いかにも映画的なアクションシーンが出てくるので、それは嘘としか思えないが…。)

この映画の面白い点は、実は、主人公のキム・マンソプが『矛盾あふれる俗物』『等身大の人間』として描かれているという点である。


彼は、11歳になる娘を男で一つで育てている。世渡りが下手で、いつも損ばかりをしているような人物である。
学生たちの『反政府デモ』に対しては、親のお金によって大学にまで入れてもらっている『くせ』に、勉強もしないでデモばかりしているのは、何と『親不孝』かつ『わがまま』な連中かと最初は、怒りを募らせている。
(日本のいわゆる、『ネトウヨ』みたいな反応の仕方である。)

そもそも外国人を光州に乗せていくということになったのも、彼が『非常に割のいい話』として街の食堂で小耳にはさんだことで、英語もできないのに『にわか英語』で誤魔化しながら、『光州に行きたがっているというドイツ人』を(本来予約したタクシーから)横取りして、自分の客にしてしまうのだ。


ところが、ここから先が面白いのだが、彼は逆に『金のために何でもやるのか』みたいなことを光州市内の運転手仲間たちから言われると、『俺は金なんぞ、いらないよ』と強気な反応をしてしまう。

そればかりか、素手の学生たちを、意図的に殺して事態を鎮圧しようとする軍部の動きに対して、途中から本能的?に『これは許せない』と考えて、自分の命の危険も忘れて、駆けずり回るようなことになってしまう。
(こうなると、彼が当初批判していた学生たちと同じ行動であり、『ミイラ取りがミイラになってしまった』とも言える。)


ところが、こうした『転向?』は、このタクシー運転手が、『男はつらいよ』の寅さんなみの『軽口まじり』の行動(ある種の『ええ格好しい』と言っても良いのかもしれない)の延長線上になされてしまう。
この映画の『面白さ』を保証しているのは、このような『普通の民衆』の心の動きを、映画の根幹の『視点』としている点だと思う。

『光州事件』については、私自身、1980年当時、注目していた記憶があるが、ある意味で韓国の『天安門事件』とも言いうるような事柄であったと思う。
(いまだに、本当は何人が殺されたのか不明な部分もあるようだ。)

わずか、38年前に韓国でこのような事件(事態)が起きていたこと、また韓国の人々は、このような弾圧も乗り越えてこれまで戦い抜いてきた人々であること、そのことは忘れてならないことなのだろう。


そして、日本の『反政府運動』『反安倍』の戦いなどが、いまいち、ひ弱な感じをぬぐい切れないのも、逆にこうした『戦いの記憶』『敗北から持久戦へと戦い続けた記憶』が、ほとんど欠如してしまっているせいなのではないか(もちろん、実際は明治以降の出来事を考えても、さまざまな『民衆の戦い』が存在していたのであって、日本の民衆に『決起した記憶』が全くない、ということではないのだろうが…)というような気もする。


それから、主演のソン・ガンホ氏は、考えてみると私が前にDVDを借りて視聴した映画『弁護人』にも(同じく)主演していた。
(こちらは、韓国では2013年公開、日本では2016年に公開された映画である。)

随分、ソン・ガンホ氏の役柄が異なっていたので、なかなか気が付かなかったが(しかし、こちらも、当初は『金儲け』のために弁護士になることを希望し、実際に弁護士になるや、『民衆を助ける』ための活動に心をくだく弁護士を描いているのであり、ある意味では、『タクシー運転手』の主人公と共通する行動パターンでもある)。









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