北京老学生・日本から台湾へ

2013年春、4年半ぶりに日本に帰国。2017年春、今度は台湾・台中へ。

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昨日(29日)、TOHOシネマズ日比谷という映画館で、映画『焼肉家族』を見た。
この映画館は、有楽町駅そばの新しいビルの中に入っているが、回りを見ると、結構大きな森というか緑地が見える。

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よくよく確認すると、ここは、皇居の近くで緑地は『日比谷公園』のようだった。
かつて、GHQの本部があったはずの建物なども見えている。

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ちなみに、映画会社『TOHO』の物件だけあって、ゴジラの像などもビルの足元には立っている。


今回、見たのは『焼肉ドラゴン』という、ちょっと風変わりの題名の映画である。
これは、在日朝鮮人(韓国籍である可能性もあるが)の一家を描いたドラマ。

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人気舞台『焼肉ドラゴン』の脚本家・鄭義信氏が、自ら監督となって『映画化』したということらしい。
大阪万博をまじかに控えた『1969年、関西の地方都市、伊丹空港のそばの集落』が舞台になっている。


朝鮮半島(済州島)から渡ってきた金田龍吉夫婦(それぞれ連れ子がいて再婚し、新たに子供ももうけた)が主人公。
龍吉という名前だけあって、『焼肉ドラゴン』と呼ばれる焼き肉屋を経営している。

もっとも『焼肉屋』といっても、上等なものではなく、当時『放るもの』という意味が転じて『ホルモン』と呼ばれていた、豚の内臓を焼いたものを食べさせる。

空には飛行機が低空を飛ぶ(もともとは、米軍の施設だったが、その後、民間に移されることになったらしい)。
焼き跡に建てられたらしい、バラックの家が立ち並んでいる。


龍吉は、自分の家は、醤油屋から買った土地に建てたものだと主張するが、時折、『立ち退き』をせまるためにやってくる下っ端役人たちは、『不法占拠された国有地』に住んでいるのだから、さっさと立ち退きに応じろと迫る。

龍吉は、自分が買った土地だと主張するだけでなく、そんなことをいうなら、『自分が戦時中に招集された折に失った、片腕を俺にかえせ』と迫る。

龍吉夫婦には、それぞれの連れ子である三人娘と、彼らがもうけた末の息子がいる。
この三人娘は、真木よう子、井上真央、桜庭ななみらが演じているが、彼らが何とも強烈な演技をしている。

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真木よう子は、事故の後遺症で片足を不自由にしているが、それを自ら自身に『差別用語』を乱発しながら、生きざまをぶつける。
妹の井上真央も、お嬢様キャラなどでは全くなく、自分の(新婚の)夫と姉(真木よう子)との間を疑いつつ、ののしったり、どついたりを繰り返す。その夫の、小ずるい感じの男を演じているのが、大泉洋。


そして、妹の桜庭ななみも、キャバレーのマスター(?という呼び方で良いのか)と不倫をしている。
龍吉夫婦は、日本語のせりふよりも、韓国語のせりふの方が多い(そもそも、彼らを演じているのは、韓国の役者である。龍吉役の役者は、日本語が全くわからないのに、日本語のせりふを丸暗記したという)。

逆に、娘の井上真央などは、韓国語ができないという設定である。
つまり、親子の仲でも、複数の言語が錯綜して飛び交っている。


『焼肉ドラゴン』に入り浸っているのは、近所の在日の人たちばかりである。
そのなかに、最近、韓国から日本に来たらしい、金回りの良さそうな韓国人が入り混じる。
ともかく、姉妹同士で『男をとった』とか『とられた』とかいうせりふが飛び交う。

この街は、『差別』が構造化された地域である。

だが、彼ら自身も、大泉洋(彼自身も『在日』の設定)などは『韓国人』を馬鹿にしている。また、韓国に行けば、韓国語ができないから自分たち『在日』は馬鹿にされるに決まっているという。

どうやら、大泉洋(後に、井上真央から姉の真木よう子に乗り換えてしまう)は、北朝鮮に期待をしているようで、この映画の最後では、彼らは北朝鮮の帰還事業に参加して、北朝鮮に行くことになる。
他方、井上真央夫婦(夫は、大泉洋から別の男に乗り換えたが)のほうは、韓国に行って、一旗あげるつもりのようだ。

そして、龍吉夫婦と末娘の桜田ななみ夫婦が、日本に残ることになる。


時は、大阪万博のあった『1970年』。
街のなかに何となく勢いがあるが、それでも龍吉夫婦の末っ子が通う私立中学(良い学歴を付けてやりたいとそこに、無理して入学させた)では、『差別』がはびこっている。

万博景気を当て込んで、閉鎖された炭鉱などから労働者が、この『焼肉ドラゴン』のある街の近辺にやってきている。

こうした矛盾の塊のような街を、それでもなおかつ、『前向きなエネルギー』のあふれた空間として描き出すのが、この『焼肉ドラゴン』である。


結局、『在日』の彼らには韓国も北朝鮮も、帰るべき『ふるさと』ではなく、『ここ』=日本こそが、彼らの『ふるさと』であると、この作品は暗示している。
北朝鮮に帰ることになる真木よう子、大泉洋夫妻にしても、この映画のなかでは、彼らは直接、ひどい目にあっているわけではない。しかし、映画のなかのせりふ、さらには、その後の『歴史的事実』が、北朝鮮が決して『地上の楽園』ではなかったことを示している。


この映画の突き付けている『現実』は重い。

彼らの住んでいる集落の上空には、飛行機が低空で飛び交う。
また、下っ端役人は、『国有地だから、彼ら住民は、立ち退くように』と迫り続ける。
実際、最後は『強制収用』を行っているようだ。

何となく、森友学園が安価で購入した『国有地の払い下げ』とはこういう土地ではなかったのかと暗示しているようだ。


鄭義信監督の名前には、はっきりした記憶がなかったが、プログラムなどを読んでいくと、昔、私が面白いと思ってみた映画『月はどっちに出ている』の脚本も、この人の作品だったらしい。

この映画は、大方の日本人のほうでは、『忘れたこと』にしてしまっている歴史が、決して『過去のもの』でも、『嘘の話』でもなくて、ただ『清算されないまま』できたことを示している。


このような映画が、日本と韓国の映画人の協力でできたことは、今後の(北朝鮮の人々を含めての)可能性を示しているようにも感じた。
日本人も、韓国人、朝鮮人も、『在日』の人々も、もう一度『過去』を見つめなおす必要があるのだろう。










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閉じる コメント(2)

なんか面白そうな映画ですな。

2018/6/30(土) 午後 11:01 [ みんけんひで ] 返信する

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> みんけんひでさん
この映画は、一見の価値があると思います。

2018/7/1(日) 午後 10:42 [ 北京老学生 ] 返信する

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