小田島護の自然塾「オホーツク・ネイチャースクール」便り

これ以前の記事はhttp://blog.livedoor.jp/door1481/ をご覧下さい

全体表示

[ リスト ]

イメージ 1

イメージ 2

そんなことがあって数年後、私は自宅の近くに自分の山を持ち山小屋をもつようになって、冬のオホーツクの森にくることは少なくなった。
しかしその間も北見側のオホーツクの森で、残されたトドマツの天然林や、周辺の落葉広葉樹の天然林がすこしづつ切られているのを目撃していた。

今回3年ぶりくらいに冬のオホーツクの森に行こうと思い立ち、昨日、大学で林学を学ぶ学生にこの森を見せようと思い出かけることにした。午後2時、車を止めてスキーで歩く林道入口についた。林道の入り口には禁止されているはずのスノーモービルの新しい跡が付いている。車からスキーを下し、出発の準備をしていると、林道の奥から甲高いスノーモービルのエンジン音が聞こえてきた。と、間もなく大型の赤いスノーモービルが見えた。
私は道路の真ん中に飛び出して、とまれ、と合図した。そしてその場所に掲示されている、スノーモービル乗入禁止の看板を示して、君たちは道路交通法に違反している、なぜ乗るのかと注意した。そして携帯で警察を呼び検挙してもらうと脅した。実はこの看板も数年前に私が出させたものであった。
日曜日のこともあり、地元の7台のスノーモービルのグループであった。

また入り口では、「土場の案内」という矢印が書いてあることに気がついた。これは新しく伐採などの作業をやる場合の現場を案内するためのしるしである。土場とは切り出した木材をいったん積み上げておく場所のことである。私はその時すぐに、それはどこを切ったのだろうかと思った。最近林道を除雪し、車が走った形跡があり、その上に新しい雪が10センチほど積もっていた。

歩きずらいスノーモービルのキャタピラの跡を避けながら、一の沢という名の支流に沿って上流に向かう。右手は沢沿いのいわゆる河畔林と呼ばれる落葉広葉樹の天然林である。右手の斜面は主にトドマツの植林地が続く。植えられて15年ほどの林だが、手入れがなされていないため、びっしりと枝が込み合って、根元から3分の2ほどの高さまでは枝葉は枯れてしまって、木材の成長は上3分の1ほどの葉によって支えられている。これは典型的な国有林の姿の一つである。予算がないために森の手入れができないのだ。これでは樹は計画的に成長しないし、枯れた枝は節となって木材の価値を著しく低くしてしまう。 私が不良造林地と呼んでいる人工林であり、北海道の国有林のいたるところに広くみられる林である。

1キロほど行ったところの右手に、11号土場という矢印が付いた看板があった。目的地がこの奥なので帰りに見ることにして、そこは通り過ぎた。さらに1キロほど行ったところで、右手の斜面を上に向かう、普段は使われていない林道に入った。そこから4〜500メートル行ったところに12号と13号の土場が300mほど離れて2カ所あり、切り出して積み上げた丸太の山が見えた。

まず12号の土場を視る。高さ4〜5mのトドマツの間伐材の山と、その奥に天然林から伐採された落葉広葉樹の丸太の山があった。保残林とよばれる白樺やミズナラ、ハリギリ、ハルニレ、シナノキなどの、何らかの理由があって残された森の木々である。植林されたトドマツの手入れとして、15〜20年の間に干ばつをするのは当然のこととしても、その上部に残された天然の二次林から落葉広葉樹を切ることは理解できない。

その上、間伐とは名ばかりの、極めて乱暴な列状間伐と呼ばれる非合理的な伐採方法で、機械を使って効率的(?)に伐採をしている。本来間伐とは、最初は「密植」と言って、1haに2〜2000本の苗を植え、苗同士を上へ上へと延びる、競争を促す方法で生えた木の中から、10〜20年ぐらいして競争に負けた、成長の悪い木を切り除くことである。それは
残された木の生長を促す、手間のかかる丁寧な作業でなければならない。

ところが機械力による効率一辺倒の列状間伐という方法は、これから成長が盛んになる時期の、成長の良い木までもいっしょくたに切ってしまうやり方で、極めて不合理な方法である。ブルトーザーを使って運び出すために、植えられた木は1列ないし2列の幅に切られてしまう。残された2列の木はもう、すけ透けで、その中に当然切り除かなければならない枯れた木が多く残されている。森の手入れとは名ばかりの、強引な森の破壊であり、森の収奪である。なぜこんな方法が間伐と称して行われているのだろうか。

その大きな理由は、赤字の林野庁には森を手入れし、育てる金がないことがあり、それ以上に、国民の財産としての、国有林の森を守り育てるという情熱も責任意識も全くない為である。これが今日の森林の荒廃を招いている大きな原因であると、私は考えている。

間伐と称して、森の手入れをするというが、実は間伐のための費用を賄うために、業者にお金になる太い木も一緒に切らせないとやってゆけない、という現状なのである。間伐をする木の中に太い広葉樹を混ぜて伐って売らないと、手入れをするための経費も出ない状態なのである。そのことは植えた木の財産価値を、さらに低くしてしまう悪循環に落ちいるはめになる。それは自転車操業というより、破たん操業である。
(下)につづく


[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事