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「萌絵さん、送っていきますよ。」
「あっ、下の名前で呼んでくれた。えーっと、じゃあ潤平くん。」
「あっ、学校のとき以外は呼び捨てにしてください。」
「じゃあ、潤平!! 行こっ!!」
「はい。」
手をつないで歩くって幸せ。さっきまで泣いていた人が笑顔になれる魔法を持ってる潤平。
「確かこっちですよね? 家。」
「はい。」
10分くらい歩いているうちに家が見えてきてしまった。こんな幸せな時間がもう少し続いてほしいんだけどなぁ〜。
「萌絵!! どこほっつき歩いてたんだ!!」
門の前で腕組みをして翔が立っていた。
「なんで潤平といるんだ? しかも手ぇつないでるし。説明しろ。」
「ふふっ。なんでムキになっているんですか? 別に萌絵さんと一緒でも翔さんには関係ないんじゃない ですか?」
「関係あるんだよ!! 萌絵は俺の幼馴染だ。そっちこそ関係ねぇんじゃねーか?」
「僕達はこーゆー関係なんです。」
あたしの腕をグイッと引っ張り、潤平のほうに引き寄せられた。次の瞬間、潤平の顔が傾き、あたしの顔に近づいた。唇と唇が触れるのが分かった。潤平とあたしがキスしたのだ。
「分かりましたか? 廣宮翔さん。」
「くっ・・・勝手にしろ。」
そう言ってドアをバタンッと閉めた。
「え・・・どうしよう。帰れない。家の鍵、翔んちだし・・・。」
「僕っち来ませんか? 妹たちと弟たちの5人暮らしなんです。」
「えっ? 両親は?」
「それぞれ浮気して離婚しました。そして僕たち兄弟を捨ててったんです。」
「そうなんですか・・・。妹さん弟さんはいくつですか?」
「長女の萌菓(もか)は15歳。次女の弥菓(みか)は11歳。次男の咲平(しょうへい)は17歳。三 男の寿平(しゅうへい)は9歳。」
「えっ、てことは結構年離れてますね。寿平くんとは13歳離れてるんですね。早く見たいです。」
「ふふっ。4人共可愛いですよ。あっ、でも萌絵さんのほうが可愛いですけどね。」
「照れる!!」
「すいません。でも、思ったことはハッキリと言ったほうがいいんですよ?」
「なんか、社会の先生というより国語の先生みたいです。」
「そうですか? ・・・あっ、もうそろそろ僕っちです。ここを曲がって・・・あのクリーム色の家で す。」
「大きい!! 潤平の両親は家まで捨ててったんですか?」
「はい。それぞれ愛人っていうんですかね? の家で暮らしてるみたいですよ。」
「そうなんですか・・・。あれ!? ドアんとこに誰か立ってますよ? もしかして不審者?」
「いや、一番下の寿平です。寿平どうしたの? こんなおそくに。」
「潤平兄ぃ〜。健斗くんと遊んでたら6時になっちゃって・・・。鍵かかってて入れないの・・・。」
「そっか。じゃあ、兄ちゃんが開けてあげる。」
そう言ってウサギのキーホルダー(大)が付いた鍵を取り出してカチャッと開けた。いい音♪
「ありがと、潤平兄ぃ! あとで長田さんからもらったお菓子届るね!!」
「うん、お願い。」
「あっ、でもお姉ちゃんいるから一緒に居間で食べる?」
「萌絵さん、どうしますか?」
「じゃあ一緒に食べます。」
「じゃ、兄ちゃんたちは荷物置いてから行くね。それまでに支度しといてねー。」
「は〜い!!」
そう言って走って家に入る寿平くん。素直だなぁ。
「萌絵さん、こっちです。」
「えっ? 別居してるんですか?」
「そーゆーわけじゃないんです。庭に大きな倉庫を建てて僕の部屋にしたんです。防音設備がついててエ アコンとかTVとか・・・。本格的な家みたいな部屋なんです。キッチンは付いてないんで向こうの家 で食事はします。でも、一人で勉強したいんでここを。」
「あぁ、なるほど。じゃあ、食べに行きましょうよ。」
「はい。」
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