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スタジオに迷わず行けたのでよかった。前回はカーナビに惑わされてさんざん走り回ったから。
直前の交差点で新婚の加藤夫人に会ったのだが、「楽器忘れた(ご主人が)ので、いまから自宅に取りに戻ります・・」とのことでイキナリ爆笑で始まった。
このスタジオは渋谷のビデオスタジオと同じように各民放テレビ局のメインスタジオのようになっているらしく、楽屋割りが最先端の芸能人でびっしり。
先日三鷹に登場してもらったハープ内田奈織さんがサウンドトラックを担当しているというドラマの収録もやっていた。
9:30集合というのを10:00に変えてもらっていたが、それでも前のリハが押しまくっていてカメリハ始まったのは11:00.安いギャラで名手25人も頼んでヒドイ棒を振っている立場としてはもうそれだけで身がすくむのだが、おかげで加藤の楽器が間に合うという奇跡。
まあとにかく、押して押して、昼飯食えずに1時過ぎまで。そのほとんどが待ち時間。
今度は楽器も揃っているしいよいよ身がすくむ。
途中、ファゴットの藤田さんやコンマス永峰さんが調整室に上がって録音のチェックもしてくれたので、協力的なスタッフでもあり音は安心だった。
わずか二十分で昼飯、着替え、メイク、マイクのセットまでしなくてはならない。
これでは文句を言っているヒマもない。
本番:
とにかく、トークが湿っていて走らない。モーツアルトについては相当な資料があり、かなりのことがわかっているので、包括的にイメージ・推測などで語ることは危険。などと考えていると、どんどん進んでいる。自分も系統的に資料を網羅しているわけではなく、ほかの人の語ることをいちいち検証していると番組にならない。かといって自分も裏付けのないことを語っていてもしょうがない。
そもそも、オーボエ吹きなんだか楽団員なんだか指揮者なんだか解らない状態で出演しているわけで、たけしさんや見ている人も、一体これは何事なんだと思っているのではなかろうか。メジャーなところに出ていく器ではないということだ。
メドレーをつつがなく振ったのが唯一の救いで、1回の表にソロホームラン1があっただけの試合になった。
モーツアルトの特集で、選曲には絶対の自信をもってト短調交響曲を推したのだが、そして指揮はともかく(出だしから遅すぎ、直前にカットの箇所を変えたりしてリハしなかったところがあり、最後の「飛んだ」ところが、フォルテなのにピアノを振っている。スイマセン。ご注目。めくりが煩雑なので本番になってから暗譜で振ることにしたのだが、暗譜は心構えしとかないとやっぱり急に不安になる。集中できない。音量が来ない。指揮のせいである。目線が間違ったところに行き続ける。第2主題の構成が単純なのに管弦楽法が複雑で振りにくい。あ、違った、あ、違った、と、広島で振るのにこんなことでは・・・と振りながら不安にかられる。暗譜し直しだす。・・・・)・・・・
指揮はともかく、オケはフルートの大先輩細川さん始め(まったく贅沢な人事をしているものです)みなさん非常に素晴らしい演奏をして下さったのだが、これが受けなかった、そもそも短調作品が少なく名曲多い、というテーマにしてからが、一般の人にはすでに理解不能なのだと演奏してから知り、この名曲三分の指揮でもしばらくは音の世界に取り込まれて話もできないという状態の中で、感動しなかった人々の会話が続いていることに心底ショックを受けた。一般の人に、このシンフォニーの壮絶な凄み、磨き上げた繊細・複雑な銀細工のような価値を説明できなかった、説得できなかったという事実が、音楽家としてひたすらモーツアルトに申し訳なく、そこから自分の気持ちは沈み続けた。
管楽セレナーデも、なぜ自分はこんなことをこんな場所でやっているのだろう、という、本番中としては最悪の自己喪失状態で演奏しなくてはならず、誰ひとり自分に関心を払わないという敗北感の中で演奏し、間違えた・・・・あらら。プロなのに。
そのあとオペラの鈴木さんが華やかに聴衆・出演者を魅了し、自分は振っていながらホルンに1小節早いアインザッツを出したり、左手の動きが下手すぎて自己嫌悪になっていると右手の打点がダサいことにも気付きまた自己嫌悪になる。モニターに写っている自分のカッコ悪さにも自己嫌悪となる。
一方、クラリネット協奏曲。加藤は楽器を忘れるほど徹夜でさらったものと見えて(実は練習魔)リハでもよかったのがさらに数段格調高く、完璧にして非常に素晴らしい演奏の充実。クラリネット協奏曲はA管だが、透明で明るい悲しみを歌っておりました。
今日はたけしさんにサインをもらう気持ちにもならず、三時に終わる予定がほとんど四時で、あとが推しているメンバーもいたためまたしても身がすくむ。献身的なマネージャー水田が楽譜の整理からデジカメ撮影からギャラの支払いまで完璧にやってくれたのが救い。
こういう仕事で、演奏の充実を目指して信頼できるメンバーを集めてよい演奏をすることは必須と信じたが、結果的にメインの交響曲が受けず、それには何の意味もなく、一流のメンバーに結果的に迷惑だけをかけたことになってしまった。自分が管楽器を吹くということも、交響曲が受けなかった以上は恥の上塗りというか、こじつけで自分が楽器を吹きたいために誰も知らないセレナーデをやっている感じになっていた。まあ、見ている人は面白いんじゃないかとは思うのだが。間違えたからなあ。
最終的には、加藤の協奏曲の充実があったので、それはよかった。コントラバスの市川が「楽しかったです」と言ってくれたが、素晴らしい人間性だと思う。
番組最後のトーク場面で、オケを立たせて感謝したがこんどはトークが延び、オケは立ったままというまたしても身がすくむ状態に。
ここでは「古典音楽」へのたけしさんの非常にスルドイ観察が話されて、やはりこの人はただ者ではないということがわかったのだが、それだけに、(しつこいが)交響曲で感動を与える演奏を作れなかった指揮者としての無力、徒労感には呵まれた。
すごい渋滞のなかを帰宅して、酒屋でワインを買って、痛飲しようかなと思ったが疲れがすごく、あまり飲めず。
編集がどんな感じになるものかわかりませんが、ともかく勉強になった仕事だった。
自分がなんかを提案したり、意向を述べたりすること、企画そのものの難しさ、一般人の方に理解や感動を作るという、自分がずっとしてきたはずの活動が、広い世間で「ちゃんとやる」場面ではあまりにも偏った、未熟な、わかりにくいものになっていることを感じている。
ピカソはこれで最後になると思うが、こういう貴重な機会に非常にクオリティーの高い演奏を提供し、忍耐し、指揮にも忍耐し、協力してくれた、永峰さん、江口さん、たまきちゃん、丸山さん、飛澤君、小畠君、新人バイオリン軍団+アカデミー、市川君、細川さん、いけしょー、もがっち、加藤夫妻、井上、藤田君、小川君、曽根さん、演奏者のみなさんに感謝したい。
あしたからまず名古屋のカンタータの分析、運命解説の企画、さらに書き下ろしに戻る。
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水色グラデーションの背景&青空に新緑、春が来た!って感じで爽やかですね♪ところで、誰ピカの放映ははるか彼方の当地ではこのようなお写真、本当にうれしいです。40番受けなかったとのことですが、視聴者がその場にいた「一般の人」と必ずしも同じに感じるとは限らないのではないでしょうか?放送、やはり楽しみです。
2006/3/25(土) 午前 10:31 [ ノエル ]
今気づいたのですが、朝5:33。。。睡眠時間は大丈夫でしょうか?どうか、お身体大切になさってください。
2006/3/25(土) 午前 10:55 [ ノエル ]
普段クラシック音楽に縁がない人に、その魅力を伝える難しさを感じました。自分も人から「高尚な趣味だね」と言われるたび、がっくしきます。以前先生が企画される公演で、ドボ8が却下されて「運命」になったというお話や、ホリデーコンサートに有名曲が並ぶのも根はつながっているような気がします。これからの先生の活動で、さらにクラシック好きの輪が広がりますように。私ももっと深く音楽を知りたいです。
2006/3/25(土) 午後 5:40 [ てんねんまま ]
お疲れ様でした。いろいろ気にされていらっしゃいますが私は楽しみにしてますヨ。誰ピカはもう最後なんでしょうか?某社アワーも毎週みていますが、是非また…。
2006/3/25(土) 午後 11:09 [ ぴっつ ]