茂木大輔:もぎ議録

クラシック音楽は理解して聴けば感動100倍!が活動のモットー。まずは自分が理解しよう・・・(笑)

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豊橋のだめコンサート

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12/3
クルマで小牧入り。紅葉が美しいだろうとクルマを選んだのだが、前の晩まで定期で、旅行の用意やリード調整などをしていたら出発がゆっくりになり、ほとんどは夜を走った。
車中は来年の企画の音源を聴く。
戦争交響曲(ベートーヴェン)のあまりの面白さに、三鷹、新潟公演(4月)の大成功を確信。なぜ、こんなに面白い、素晴らしい音楽をいままで駄作、と切り捨ててきたのかが全く不明。7.8番や3重唱曲とともにスペクタクルやこの音楽を、スライド解説をともないつつ上演できることは本当に楽しみ。
名鉄小牧駅の上空にあるホテル到着は10時過ぎになった。

12/4
リハーサル(1日目)
初めて振る中部フィル。「ローマの謝肉祭」から。
若い人が圧倒的に多く、推進力のあるオケ。熱心で前向き、技術も高く気持ちのよいオケであったのでとても安心。これからこのオケが次第に発展して、中部地方に豊かに音楽文化が根付いてゆくことになるだろう。
これと「テル」で1時間を使う。チェロアンサンブルは個別に練習。
これを振るのはかつて三鷹の楽器楽で藤森たちにお願いして以来数回目で、いつでもとても難しかった想い出があるのだが、今回の首席の方は見覚えのある方で、その公演に乗っていたというので驚いた。少しづつ指揮の苦労は減ってきたように思うのだが、入り組んだ構造の部分、なおも指揮技術の研究を要す。

ラフマニノフは、N響と鮮烈なリストを演奏してくれた現役音大生の須藤さん。
天才の呼び声高く、疾走し飛び回り奔放に歌い続けるピアノスタイルは、すくなからず退屈な現代社会において貴重であり、またそもそもが天才音大生の物語である「のだめ」に登場していただく上で、この上なくスリリングなキャスト。
この自由さに自分の指揮がどこまでついてゆくことができ、相互に刺激する「協奏」ができるのかは、一度の打ち合わせもしないでここで初めて音楽を一緒にする(指揮者として)自分には本当にドキドキのことであった。

決して指揮しやすい協奏曲ではないと思いますが、こまかな音符までくっきり聞こえてくる彼女のピアノは、奔放に見えても自然なアゴーギクの即興に満ちているのであって、合わせやすい。
ここにも1時間を費やす。(第1楽章のみで)

歌の渡邊恵津子さんは翌日入りで合わせナシ。カラオケを自分で歌いながら振るが、当然だが、「合わせやすい」。馬鹿だ。
ロジーナ(セヴィリア)は、自由自在な即興コロラトゥーラの嵐で、これまた打ち合わせなく振るので自分の技術の限界が試される。ドキドキ。

ベト7、オケがとてもよく鳴ってきて、思い掛けないほど大きな音もいただける。
ティンパニは細身の女性なのだが、非常にしっかりした、シンのある大きな音を持っているので自分の演奏観の実現には大変ありがたい。ベートーヴェンにとってティンパニは、あまりにも特別な意味のある楽器であった。君臨し、支配し、威嚇し、祝祭するティンパニは、自分のベートーヴェン交響曲演奏には不可欠のスターなのだ。
ティンパニはオケに添えて叩くのではない。オケがティンパニに音楽の外側を添えるのだ。

夜は合唱のみのリハ。
同じ愛知県だから簡単に移動できるだろうと思っていた自分が甘く、愛知県芸バッハカペレはリハには1時間、本番は片道2時間以上ものバス移動を往復して豊橋公演2日間を行う。歌う時間は合計22分。
しかし、ave verumの美しさは本当にこの上もなく、教会音楽専門、音大生水準の合唱団など全国にも数少ないことを思えば、この機会は本当に有り難い。パリ編ドラマののだめ新春スペシャルで使ってもらえることになったのが、聴衆にもこの音楽への入り口になってくれることだろう。

この曲も振るのは実は本当に難しく、点が出せないところで点が見え続けなくてはならない運動管理は指揮技術の根本を問われる。
東京混声合唱団で幾度も取り上げて、苦い失敗を繰り返してきた。
今回こそ、とこの1年でつかんできた様々なものを総動員して、アダージョ、ソット・ヴォーチエのこの音楽を豊かに優しく恐ろしく(死の影をもってこの曲は終る)響かせるようにする。

これで練習終り。
夜はホテルの和食で、合唱団を作ってくれた音楽学者の中村ゆかり先生、バッハカペレの連中と櫃まぶしを。

12/5リハーサル(2)

渡邊恵津子さんがやってくる。(ソプラノ)
空気がいきなり華やいで、涼しい春の朝になる。
忙しい方で、金沢も群響もNGだったのでようやく再会実現。どうしてもこのコンサートに欲しい素晴らしい人材だ。
この日東京から小牧まで日帰りで合わせ、すぐ東京に戻り、翌朝オペラを歌い、新幹線に駆け込んで豊橋に移動、ゲネプロの最後に間に合って合わせ、すぐ本番で「夜の女王」を歌うという過密スケジュールだ。なんとか一瞬でもリハを短く、すぐに帰京できるよう、実はスタッフサイドは緊迫していた。ところが交通渋滞でホルン奏者が気の毒な遅刻となり、リハ不能。

ホルンのないミサ(et incarnatus)から練習し、合唱曲のカラオケなどを練習して待つ。
ミサ、地上で最も美しいかもしれない曲。
フルート、オーボエ、ファゴット、3人のソリストと綾なして地上へのイエスの降臨、厩のかごに眠る赤ん坊を描く子守歌。
「静けさに、勉強しているとくらくらする」とおっしゃる恵津子さんの感受性は、オケ合わせの最中にもどんどん新しい音色へと声を変化させながら、3人の優れた木管奏者と溶け合って一体になり、天上の奏楽を描き出していた。

ロジーナ。
思いもかけない装飾のキッカケに2箇所オケを混乱させたが、基本的には本当に合わせやすい演奏でオケも反応よく、非常にすっきり、楽しいロッシーニができた。アデーレのワルツ振りも楽しい。メリー・ウイドウの苦労が報われた。


夜は合唱オケ合わせ。ベト7やローマが少し押した上、いよいよ本気を出してきた須藤さんに数箇所ほおり出されて落っこちた(指揮者が)ため、時間が押しぎみだったが、充分にまとまったバッハとモーツアルトを作ることができた。

クルマで豊橋に移動。あまりに遠いので合唱の移動を考え、オケもここの距離を往復するのかと思い憂鬱に。
日航ホテルのスイートに入れて頂き(初めて)、テレビとトイレがふたつあるのに驚き(部屋も二つ。スイートだから当然だが・・・)一人で寝るだけなのに・・・と、豪華なソファでコンビニのたこ焼きと缶ビール、カップラーメンの夕食。

12/6:本番1

恵津子さんは見事に新幹線に間に合い、にこにこと登場してゲネプロでも全開で女王を歌う。凄い声、技術、美しさ、華やかさ。
おとなしく真面目で心配そうないつもの彼女は、歌う瞬間には全く別の光線を強力に放つ。歌うために生まれてきたのだろうか。オケも会場のスタッフも完全に圧倒される。朝東京で歌ってきた上にゲネプロ全開。本番はもっと凄かったデス。

平日ということもあり集客が珍しく8分の入り。お客さんもおとなしい感じだったのだが、ベト7の終了後の喝采は爆発的で、本当に、会場、地方によって聴衆は変化する。
ラフマ、リスト(鬼火)の須藤さん、女王の渡邊さん、バッハカペレ合唱団、それぞれがそれぞれのポジションでつぎつぎに聴衆を魅了してくれるのがわかる。

ロジーナ完璧なuna voce,で大喝采。初日を終え、スイートルームで宴会をした。5時起きでオペラ>移動>ゲネプロ>本番の渡邊さんは禁酒解禁で付き合って下さる。
寝たのが三時。飲みすぎ・・・

12/7:本番2

朝、ラジオで第9解説が全国放送されたのだが聞けなかった。ファンの方、仙台ニューフィルの方などからも丁寧なご感想のメールをいただく。有り難い。

ゲネプロは差し替えのテルとこうもり(アンコール:アデーレ)のみ。本番直前まで、春日井の小松さんと鬼火のスライド変更など演出細部を修正。もはや春日井チームなくこのコンサートはあり得ないのだが、小松さんは今回体調不良でも頑張ってくれて有り難いことこの上ない。
この夜はいつも通りほぼ満席で喝采も大きく、合唱団の移動が厳しいことを思い進行を早める。ゲストトークを、昨日に引き続きカットしてしまったが、夜の女王がにこにこインタビューするというのもおかしいので、まあ、お許し下さい。

ゲネプロのあと聴いて見たら合唱団は椅子の少ない楽屋で男女交代に着替えるなど厳しい待遇に甘んじて少ない演奏時間に楽しく歌ってくれたのであり、せめて食い物の足しの差し入れと椅子の手配をお願いする。音楽と言う素晴らしいものがなかったら、この人たちは決してこのようなキツイ待遇で移動本番などしないだろうから、せめて良い演奏ができるようこちらが頑張るしかない。
暖かく、大きな拍手が教会音楽(クリスマス・スペシャル)に送られる。
振りながら、自分で選んできた教会美術の美しい聖母子、生誕、また受難(モーツアルトave verum corpus)などが大きく投影されるスクリーンを見て、モーツアルト教会音楽の一端を聴衆に御紹介できることの幸福を思う。
これからも合唱団を出し、渡邊さん(教会音楽はあまり歌ったことが無かったそうだ)をお願いしてこうした音楽を加えてのだめコンサートを続けて行きたいものだ。

居酒屋で打ち上げたが、2時間半公演2日間で、クルマ移動もあって疲労が忍び寄り、ビール以上は飲めず。春日井の舞台スタッフや合唱、オケの有志と乾杯し、恵津子さんのときどき発せられる面白い観察に笑い、お開き。

12/8
ホテルで12時まで寝てしまい、凄まじい工事渋滞で結局自宅到着が8時を回る。
オーボエ吹けず。新幹線にしとけばよかったのかな。しかし途中の紅葉は美しく、落語や綾小路きみまろを聴きつつ、今年最後の指揮公演の終了の安堵感を満喫した。


スタッフ、共演者、聴衆の皆様に感謝。お疲れさまでした。来年もよろしく!
もぎぎ

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たまたま車でクラッシック大解剖「第九」編を聞く。すごく面白く、わかりやすく、特に茂木さんの使われる用語が身近で、引き込まれる。目的地についてからも駐車場で最後まで聞きました。録音できなかったのが残念。なんとか録音を手に入れたいもの。僕の周りの音楽好きに聞かせたい。絶対大喜びすると思われるので何とか手を尽くしたい。

2007/12/9(日) 午後 7:20 [ lon*pe*c ]

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ave verum corpus、一度生で聴いてみたい曲の一つであります。最近娘と一緒にCDでは聴いておりますが、この音楽の美しさ、高さが娘に
伝わっていることを願います。名古屋と豊橋は、名古屋と大阪の方が
近いのでは?と思えるぐらい案外遠いですよね。お疲れ様デス。来年も春日井、楽しみにしております。

2007/12/12(水) 午前 6:44 [ wao*0*15 ]

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