茂木大輔:もぎ議録

クラシック音楽は理解して聴けば感動100倍!が活動のモットー。まずは自分が理解しよう・・・(笑)

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3:ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15

ここは、「第2番変ロ長調(作曲はこちらが先)」だったのではないか?という事が「大協奏曲」としか書かれていないポスターからでは払拭しきれない疑問であったとのことですが、近年の研究ではほぼ確実にこの第1番の、しかも幾度か改変を続けてきた最終バージョンがここで確定して演奏された、ということになっているそうです。
(「第3番」の予定だったが間に合わなかったということらしいです。)
・ 第1楽章:ひそやかに始まるシンプルなリズムの、美しい音色を持つ主題。のちに大爆発するこの主題を、ソリストは一回も弾かないという破天荒な構造になっています。(再現部直前の、ホルンとの神秘的な掛け合いではその断片を弾いています)大建築のようなオーケストラ主題と、その柱の中を超絶技巧で駆け巡るようなピアノとの音色・役割的なコントラストがこの楽章の主要ポイントかもしれません。
・ 第2楽章:ボン時代に書かれた「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス」を御存知かと思います。そこにも通じる、青春の陽光のようなどこまでも憧れに満ちた音楽です。クラリネットはあまりにも美味しい!こういうパートは実はオーボエには書いてくれていないんですよねえ。ところで、一番最初に始まる主題の伴奏部分(左手も)は、第1楽章の第1主題の拡大。ピアノが紡ぎ始める旋律は第1楽章でソリストが立ち上がったときの旋律そのものです。やることやっているなあ。
・ 第3楽章:ぼんやり聴いていると、小節の頭はどこかわからなくなります。楽章の後半ではもっとわからなくなります。(N響のミュンヘン公演で、それで事故を起こしたことが有ります。)ロンド・ソナタ形式になっていますが、途中、「魔笛」序曲のようなファンファーレに導かれて、ピアノ独奏が一人で2重唱をするようなシーンや、お決まりの「トルコ行進曲」のような場面も出てきます。終りかたも全く新しい、交響曲のような構想。
ピアノの平松悠歩さんとは、この三鷹のホールのイベントで知り合いました。このホールの地下で、初めて我々の前でピアノを弾いてくれたとき(それは「悲愴」ソナタでした)その場にいた多くの人が涙を流してしまったほどの、それはピアノという楽器を越えた音色とタッチの美術品のようでした。
幾多のコンクールに優勝を続けていまはミュンヘンに留学中の彼女は、皆様のほとんどが初めてお聴きになる演奏家であると思います。ベートーヴェンのデビュー再現にふさわしい、新たな才能との出会いであると確信しています。


4:ベートーヴェン:7重奏曲変ホ長調、作品20

休憩をはさんだかどうかは資料にありませんが、まあ、そうしましょう。
ここで室内楽を聴いて頂きます。
編成は、クラリネット、ファゴット、ホルンという温かい管楽器3種に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスがそれぞれ一人という、「名手前提」の7人衆です。このときが公開初演ですが、ヴァイオリンにはベートーヴェンにとって生涯の理想的室内楽(弦楽4重奏曲など)リーダーでありつづけたシュパンツィヒ、クラリネットには当時の記録のあちこちに名前を残す名手のベーア(ベール)など、ポスターに全氏名が掲載されている名人たちでした。
この曲は非常にヒットした作品で、おそるべき量の編曲楽譜が出版されました。作風はディヴェルティメント風の6楽章の中に変奏曲なども含み、モーツアルトの「グラン・パルティータ」を思わせる大規模室内楽への野心も聴かれます。響きの美しさと楽しさは特筆すべきですが、興味があったのは、いずれの作品でもおそらくは指揮者として舞台に立ち、自主演奏会の主役として振る舞っていたはずのベートーヴェンは、わざわざピアノの入らない室内楽をここに投入することで、何を狙っていたのか、ということです。
始まろうとしていた出版文化へのコマーシャルだったのか。

5:ハイドン「天地創造」より2重唱

アダムとイブの2重唱ですぞ皆様!
初めての家庭が営まれ、愛が語られるのであります。
合唱付きを除けば候補はこれだけなので、間違いなく、これです。
まるでオペラのシーンのように、見つめ合い静かに愛を語る夫、答える妻、やがて、地上の喜びはすべて二人が揃ってこそ、という賛美が歌われます。
「魔笛」の、パパゲーノ・パパゲーナの2重唱などにも共通する、ドイツ語ジュングシュピールの世界が聞こえてくるようです。
バスの畠山さんは、半田さんの御指名で選ばれた夫(!?)です。初共演を、楽しみにしています。

6:ベートーヴェンのピアノ即興演奏

これについては監修の大崎先生に、様式研究上候補に上がるピアノ曲を絞っていただき、それを全部聴きながら、自分が持っている、「この場で、ベートーヴェンは一体どんな演奏をし、どんな反応を起こしたか」というイメージと近いものを探しました。
おそらく、弾き始めた瞬間に「おお!」というどよめきの起きるような主題。
簡素な主題から、想像を絶する変化を作り出して見せる即興の興奮と技巧。
結局、それに合致するものが見つからず、結果、どうなったのか・・・
平松さんが登場し、ベートーヴェンの即興演奏をしてくれる、それを見守るつもりでお聴き下さい。


7:ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調作品21

こうして、偉大な先輩作曲家の作品を堂々と引き合いに出し、自作の協奏曲や即興演奏でピアニストとしての腕と作曲を披露し、7重奏曲では好まれるサロン音楽への能力も示したベートーヴェンは、いよいよ、文字通り満を持して、シリアスな音楽創造作品の初演へと歩を進めた。

・ 第1楽章:開始から変な感じがするのは、主和音ではない不安定な和音だから。あまりにも掟破り、独創的な開始。どこまでも分かりやすく、無駄なく、堅固に構成されており、ほとんどひとつの主題の素材のみに集約された、持っている論理的力強さは「ジュピター」と比較してもはるかに大きなものである。
・ 第2楽章:意表を突いて軽い3拍子のワルツふう、ソナチネアルバムでも登場する音楽となる。しかしこの開始はピアニシモを指定していて、これまた特別な世界。多用される弱音でのティンパニの連打など、楽器用法にも野心的な試みが見られる。美しさ、旋律の流れ、情感において、「ジュピター」に数歩譲るところがあるのは個人的感想だろうか。
・ 第3楽章:単旋律が、音量を増してゆくにつれて和音を伴ってゆくという構成はよくあるが、この楽章の冒頭は逆。音域を上げ、音量を増してゆくにつれて音はユニゾン(ひとつの旋律)にまとまってしまう。分散していた血流を筋肉に凝縮するような、物凄いパワーの表現である。続く部分の転調は遠く、「メヌエット」と題しておきながらこれは完全なスケルツオ楽章。トリオは、管楽器主体で、和声の練習のような単純なハ長調の世界を、強弱と楽器法が興味ある音楽に変身させる。「交響楽」の面目躍如。
・ 第4楽章:序奏部はレーシングカーの試運転。走り出したら停らない無窮動になる。比較的淡々と進む印象が、再現部直前あたりから次第に興奮を増し、胸の空く解決に向けて数々の仕掛けを通過しながら音楽は突進してゆく。その勢いは、曲の終わりの終止線を突き抜けて、「エロイカ」へ、「運命」「第9」へ、そして遠くマーラーの9番やシベリウスの7番まで、音楽史を塗り替えるエネルギーとなって衰えることなく走り続けてゆくことになるのである。

茂木大輔


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