茂木大輔:もぎ議録

クラシック音楽は理解して聴けば感動100倍!が活動のモットー。まずは自分が理解しよう・・・(笑)

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3/31に兵庫県立芸術劇場管弦楽団と御一緒に、「オーケストラの日」で上演することにしたのが、バッハの「ブランデンブルク協奏曲第1番」の「初稿版」とされる「シンフォニア・へ長調」。
そもそも「ブランデンブルク協奏曲」という名称もバッハ自身から出た物ではなく、このシンフォニア・へ長調がその異稿であること、ほぼ確実に作曲年代を遡る(シンフォニアの方が先に成立)ことは確認できる。
ベーレンライター新バッハ全集はこの異稿をパート譜共々ブランデンブルク協奏曲第1番に印刷してくれていて、Erste Fassung(初稿版)と命名している。ただし、さらなる異稿が先立って存在した可能性を全くは否定できないため、本当にこれが初稿なのかは決定的でない。
「ブランデンブルク協奏曲」は、この時期にバッハが創作したであろう非常に多くの協奏曲群から6曲を選んで、ブランデンブルク辺境伯クリスティアン・ルートウィッヒに献呈した献辞付きの浄書譜(1721年3月24日の日付有り。)から存在を知られるものであり、ほかの多くの作品が散逸と忘却の洗礼を受けた中から「救出」された。(写真上:浄書譜ファクシミリよりその献辞)
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第1番は2本の名人芸的ホルン、3本ものオーボエ、ファゴット、小型のフランス・ヴァイオリンであるヴィオリーノ・ピッコロを独奏楽器とする、ブランデンブルク協奏曲のなかでも最も編成の大きな作品である。(写真2:その第1ページ。)
いっぽう、異稿であるシンフォニア・へ長調は、ライプツィヒのトーマス教会の関係者の遺品から19世紀になって出現した筆写譜で伝承されているもので、「ブランデンブルク協奏曲第1番」とは、第1、第2楽章がほぼ共通、(後述)第4楽章に相当する舞曲集も1部を除き大筋において共通、という姿をしている。
かなり古い研究ではあるが、この新全集の楽譜を校訂したベッセラーは詳細な比較から、(第1楽章の音の相違と書き間違いなどから)シンフォニア・へ長調のほうが先に成立していたことを証明した。
シンフォニア・へ長調が持っている協奏曲第1番に対する相違点は、楽器編成上ヴィオリーノ・ピッコロを欠いていること、協奏曲第1番の第3楽章であるジグの6/8を欠いている事、さらに舞曲集の中で中央にあるポロネーズがなく、その分メヌエットの演奏回数が合計3回(協奏曲では4回)であること、ホルンのためのトリオを伴奏するのがオーボエではなくヴァイオリン群であることなどである。
逆に見て行くならば、先に成立していたシンフォニア・へ長調を用いて、バッハはもう一度この音楽にヴィオリーノ・ピッコロを加え、6/8の第3楽章フィナーレを書き、さらにポロネーズを追加して第4楽章を豊かにした。
このため舞曲集は、メヌエットを毎回先導に立てながら、
・木管のトリオ
・弦楽器のポロネーズ
・ホルン(管楽器)の狩のトリオ
という3曲を持つことになった。
なお、バッハはこのサウンドに愛着があったのか、複数の楽章をカンタータの1部としてさらに転用している。
なお、オーケストラの日の演奏ではこの初稿版(3楽章形式)を、リピエーノの弦楽器を増強してコンチェルティーノと協奏する解釈で演奏する(15分弱)のだが、4/3のPAC室内定期では、書き足した6/8楽章も演奏していただくことにした。ポロネーズも大変素敵な音楽だが、時間の都合で割愛した。(4/3は全席完売しています。)


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さて新バッハ全集のスコアは音楽之友社のミニチュア・スコアにもなっているので、簡単にご覧頂くことが出来るため、ベッセラーの比較対照の根拠になった音の違いとバッハの書き間違い(写し間違い:写真3)について校訂報告書の記述を要約して御紹介して見ようと思う。(続く)








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ご無沙汰しております。なんだか自筆の楽譜ってそれだけでアートな感じですね。貴重な物を見せていただきました。ありがとうございます。

2010/4/28(水) 午後 3:35 [ kla*i*rchan ]

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続編書かねば!また覗いて見て下さい。

2010/5/4(火) 午後 0:18 [ 茂木大輔 ]


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