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キリン「フリー」増産、岡山工場でも生産 今年14%
(2011/1/27 日本経済新聞)
キリンビールはアルコール分がゼロのビール風味飲料「フリー」を増産する。これまで生産を手掛けてきた取手工場(茨城県取手市)など2工場に加え、岡山工場(岡山市)でも6月から生産を始める。レストランなどの飲食店や家庭での需要が堅調なことから、2011年の生産量を前年比14%増の590万ケース(1ケースは大瓶20本換算)に引き上げる。
ノンアルコールビールってヒットしてるんだな。
少し前にはサントリーの商品が生産が間に合わないというニュースもあったし、コンビニの商品棚にもひとつのコーナーができるほどになってしまった。中国との提携ということは当然中国でも売り出すのだろう。現に米国では試験販売しているらしいし。健康志向の高まりとともに世界中にノンアルコールビールが溢れる日が来るのかもしれない。
実際のところ、あれはなかなか使い勝手のいい飲み物で、友人が話すところによると、会社関係のパーティや宴会で車通勤の人間が参加する場合、あれをコップに継ぐことで恰好が付く部分もあるようだ。それに複数の会合をはしごする場合でも、こっそり酒量を控えて乾杯することもできるそうな。確かに日本の会社社会って、上司や関係先を前にして1人だけウーロン茶というのも居づらい雰囲気があるからね、未だに。現にそいつは、ノンアルコールビールであることがばれてしまって、上役から変な目で見られたらしい。
各社が出しているノンアルコールビール、確かに冷やして飲むと旨いのだ、どこのやつも。特に去年の夏のような酷暑には昼間からビール風味が味わえるというのは、なかなか良かった。スポーツのあとなんかだったら、第三のビールよりこっちを採るね、私は。ほんのり苦い、軽くてすっきりした飲み心地。
ただ、冷気がさめてしまうと途端に味が落ちてしまうと思うのは私だけかな。炭酸味は十分あるのに、中途半端に甘い様な感じになって、仄かに漂っていた苦さが変な味わいにあってしまうような気がして。だから、あれは夏限定、スポーツ後限定、キンキン冷え冷え限定の飲み物ということになっている、私のなかでは。
しかしノンアルコールということは、未成年者も大きな顔をして飲めるわけだから、色々と食を巡る風景も変わるような気がするな。例えば部活帰りにコンビニの前に集まって“酒盛り”をする奴らとか、昼食の時間に珍味とかのおつまみを頬張りながらグイッと一杯やる奴も出てくるかもしれない。そういう風景が日常になったら、先生が注意しても逃げられるし、こっそり本物のビールを混ぜてもわからないかもしれない。うーん、これはゆゆしき問題だ!
しかし一番問題なのは、本当のビールの味がわからない、ビールの美味しさがわからない人が増えるんじゃないかなあ、ということだったりするんじゃないでしょうか。いや杞憂かもしれないけど、ああいうものばかり普及して、メーカーもそれに力を入れるようになったら、酒の味を楽しむという喜びが減っても何とも思わない人が増えてしまうんじゃないかと。
数ある味覚のなかで、子供の頃はわからないけど大人になってからわかる美味しさというのは“苦さ”ではないだろうか。
例えばコーヒー。幼い頃飲んだときは、真っ黒で変な匂いがして一口飲んだら思わず吐きたくなるような味だったのに、今では一日に何杯も砂糖・ミルクなしで飲んでいる人は多いのではないだろうか。「良薬口に苦し」の言葉のように、子供にとっては馴染みにくい、その良さがわかるには高いハードルがある味覚だと思うのだ。
ビールに限らず、酒類全般もそうだろう。以前デュランデュランの記事のときも書いたが、ウイスキーの良さというのは、ある程度時間とお金をかけて飲んでみたいとわからないもので、最初に口にしたときは濃厚な香りと苦みに苦しんで、さらに翌日は二日酔いに苦しまないと、その良さがわからないものなのだ!険しい道程なのだよ!(そこまでしなくてもいいよ、という声はさておき)。
ただその“苦さ”に慣れて、その美味しさが自分のなかに刷り込まれてしまうと、それまで同じに感じていたコーヒーも原料豆や飲み方によって味が違うということがわかってくるし、食器選びなども含めて、味を楽しむということができるようになる。
ビールにしても、冷えたジョッキで飲む日本の生ビールが一番と思いきや、海外に目を向ければ常温で香りを楽しんだり、ライムを添えてカクテル感覚で楽しめるものもある。琥珀色や黒色、赤みがかったものなどをグラスと組み合わせて楽しむのも面白いと思えるようになってくる。
要は今までと違う世界を楽しむには、“苦さ”というハードルを超えなければ見えてこないものがあるということ。
ノンアルコールビールもいいが、あれがビールと思われると困るのだ。温くなったやつを飲んで「やっぱりビールは不味い!」と思われると困るのですよ、酒飲みとしては!
取り越し苦労でしょうかね。でも、人間の味覚というのは意外と冒険しないもの。一度慣れ親しんでしまうと流されてしまうもんですよ。
ノンアルコールビールばかり普及すると、一昔前に流行った「一気飲み」というやつは確実になくなるだろう。未だにこんな飲み方をしている団体があるのかどうか知らんが、一度注がれた杯は断れないものだからね。そういう無理強いがなくなるのは非常に良いこと。
でも“脱・苦さ志向”みたいになったら嫌だな。変に健康的な、とりあえず知らないものを入れるのは心配だから入れません、みたいな感じになったら。
昔は馬鹿みたいに無茶飲みすることが、ひとつの歌のネタになったりした。時にシリアスに、時にコミカルに。酒の持つ“苦さ”を人生の“苦さ”と重ね合わせてみたり、逆にそんな雰囲気を笑い飛ばしたり、その“苦さ”が音楽のテイストとして色々な風味になっていた。
「煙草」「電話のダイヤル」「写真のフィルム」……昔はそういうものを題材にした曲も多かったけど、その題材自体がなくなってしまったから、そういう歌もなくなってしまった。そのうち、これらの曲を紹介するときに「煙草というのは昭和時代に流行ったもので…」なんて説明を入れないと通じなくなったりしてね。
そのうち、ノンアルコールビールを題材にした歌が巷に溢れるのかもしれない。“苦さ”とは無縁の無味乾燥なヒット曲として。
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ビール(お酒全般)大好きなのですが、車の時が多いので、こういうのを飲むときもあります。
フリーは特に、よく出来てるなぁと思いましたが、やはり泡とか口当たりはビールと別物ですね。
ほんと、おっしゃるように、ビールとは全く別のものであってほしいです。
2011/1/28(金) 午後 10:22
お酒って、もともとリスクがあるもの、アブナイものだと思うの。
そのリスクを知ることで、オトナになると思うんですが、
こうゆうのが出ると、若い人はオトナのリスクを学習できないんじゃないかしら?
ゆみりんも、飲んでみましたが、人工甘味料の味が気になって、
あまり飲めませんでした。
2011/1/29(土) 午前 10:53
ご訪問ありがとうございます。nicchin様。
あれはあくまでライトドリンク。でも第三のビールでもそうですが、飲食の志向までライト感覚というか、本物の味を知る機会がないまま過ごすようになるという気がして、少し心配なのですよ。
2011/1/29(土) 午前 11:02 [ molirinho0930 ]
ご訪問ありがとうございます。ゆみりん様。
> お酒って、もともとリスクがあるもの、アブナイものだと思うの。そのリスクを知ることで、オトナになると思うんですが、こうゆうのが出ると、若い人はオトナのリスクを学習できないんじゃないかしら?
その通りだと思います。酒でも色々な種類と味があって楽しみ方は様々、ということさえわからなくなるのが困るのですよ。別に飲酒の勧めではないですけどね。
確かにノンアルコールビールは人工的な味がしますね。余り日常的に飲む気にはなれない味です。
2011/1/29(土) 午前 11:06 [ molirinho0930 ]
一昔前のバービカンなんかと違って今のノンアルコールビールは美味しくなりましたね。
宴会や懇親会でアルコールが飲めないシチュエーション(車だったり体調不良だったり)の時はウーロン茶よりもノンアルコールビールの方が食事に合うし、飽きずに飲めるような気がします。
ま、とは言ってもあくまで宴会の席でビールの代わりとして飲むもので、それ以外の場で飲むことはないですけどね。
普段はビールを飲む人が飲めないシチュエーションで仕方なくビールの代わりとして飲むのがノンアルコールビールだと思っています。
あっ、温度だけじゃなく気が抜けると極端に美味しくなくなりますね。
ビールも勿論同じなんですが、ノンアルコールビールの方が味の落ち方が顕著な気がします。
2011/1/30(日) 午後 9:30
ご訪問ありがとうございます。デイ・トリッパー様。
海外のビールだと常温でも美味しいものもありますし、ハーフ&ハーフでミックスして飲む楽しみもあるのですけども、ノンアルコールビールは冷えたライトドリンク以上にはなれないような気がします。それでも結構飲んでる人多いですよ。
やっぱりこの季節は日本酒。熱燗に限らず、常温・冷でも食事に合いますね。
行きつけの焼鳥屋で「乾坤一」が無くなって悲しい思いをしている私です(涙)。
2011/1/31(月) 午後 1:16 [ molirinho0930 ]