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困った顔

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 1日の労働時間別に、上司が残業している部下にどんなイメージを持っていると思うかを聞いた。1日12時間以上働いているグループでは、53%が「がんばっている」と好意的に考えていると答え、労働時間が10時間未満のグループ(38%)より15ポイント高かった。
 逆に、残業について、「仕事が遅い人」という否定的なイメージは、10時間未満のグループでは37%が賛成したが、12時間以上働くグループでは26%にとどまった。
(以上、リンク先の記事より抜粋)


 上の記事の引用で不思議なのは、それぞれ2時間という時間の差によってイメージの違いが生まれること。
 まず『1日12時間以上働いている』状況だと「がんばっている」と思われることはあっても「仕事が遅い」と思われることは少ないということ。
 これは仕事量が個人の能力よりも多いという不幸な状況が転じて、個人の能力を超えた仕事量をこなしてくれているという、なぜかポジティブな評価につながっているという奇妙な状況が生まれている。
 そして“『1日10時間以上働いている』状況だと「がんばっている」とは思われずに逆に「仕事が遅い」と思われることが多くなるということ。
 これは仕事量が個人能力よりもやや多いという、真の意味で頑張れば何とかなる、ひょっとしたら個人のスキルや経験値を上げる機会にもなるという可能性もある状況であるにも関わらず、なぜかその頑張りや可能性は無視されて「仕事が遅い」というネガティブな評価に代わるという不幸な状況が生まれている。
 なぜ、こういうことになるんだろう。
 『1日12時間以上働いている』という状況は、1日8時間労働を基準にして考えれば、明らかに多過ぎる。しかし、その仕事量を与えたのは、まぎれもなくその部下の上司。仕事の内容にもよるけど、その部下にしかできないものとして上司が任せてしまった以上やってもらわなければならないし、ワークシェア的に組織内で分担するには更に余分な手間と時間がかかってしまう。だから上司は心理的に自らが下した判断を信じるしかなくなってしまうのだと思う。
 制度的な面でも、夕方5時の退社時間が夜の9時まで伸びるので、さらにあと1時間残業すると、労働基準法上でも時間外労働の手当の割増率は夜の10時から更にアップするように定められているから、客観的にみても「がんばっている」という評価を受けやすいのだと思う。その人の労働生産性を離れたところで評価がされやすい、いわば評価が上方修正されやすいのだ。
 一方『1日10時間以上働いている』という状況は、先に述べた“真の意味で頑張れば何とかなる”状況だからこそ、逆に評価の対象になりにくいのではないだろうか。上司にしてみれば、夕方5時に終われるはずの仕事量を部下に任せているという心理の方が管理責任上先立つだろうから、「がんばっている」という期待に反して「仕事の遅い」という評価が下方修正されやすいと思うのだ。
 いずれにせよ、忘れてはいけないのは残業というのは時間外労働であって、それが行われるには使用者と労働者の間であらかじめ協定を締結し、これを行政官庁に届けなければならず、そして協定を結ぶだけでは法的強制力はないので、実際の運用はその会社の就業規則等による部分が大きいと思う。
 だから早い話、その職場を取り仕切る上司によって、部下の残業の量は決められ、それが評価につながっているわけで、たとえ些細な裁量権の力でも一度持ってしまった権力を勘違いして行使する人も多かったりするのではなかろうか。
 それが、この2時間の差に表れている気がする。


 残業手当というのは、実際のところ“生活給の一部”になっている場合も多いのではないだろうか。
 最近はブラック企業なる言葉もあって、サービス残業ばかりやらされて過酷な労働環境で苦しんでる労働者も多いのだから、まだ残業手当が出るだけマシ、小銭稼ぎ以上になる残業なら自ら進んでやりますという人は結構多そうな気がする。安月給のまま放置されている人、契約社員で立場が不安定な人の方が圧倒的に多いのが現状だと思うから、アベノミクスで労働者の給料を上げるように政府や経済団体は言ってはいるけど、そんな空手形みたいなものよりも、まずはもらえるものをもらっておこうのが人情だと思う。
 もちろん皆自分の仕事を就業時間内に真面目にこなしていると思うし、手当稼ぎを狙って残業をしている人はいないと思うけど、「今日は早く帰るけど、明日は残業だ」的に自分のスケジュールを会社のなかに組み込んでしまって、自己の評価を下げないように、あるいは上げるように、割増された残業手当を手に入れるようにしている人は多いのではないだろうか。
 部下の方にとってみても、この2時間の差というのは大きいと思う。無意識のうちに単に生活給が上下するというだけでなく、自身の評価にも繋がっているのだから。


 この2時間の間に、上司の管理職としてのささやかな権力や、部下の都合のいい姑息さが充満していると思うと、少し気味が悪くなる。
 結局は両者とも共犯なんじゃないか、残業手当など無くなったらいいのに、なんて会社勤めはおろか、満足に就労できない体調を抱えてしまった身としては、ヤケクソ気味に思う。
 そういえば昔、自分自身も含めて部署内での残業時間が多かったので、何とか減らそうとして仕事を割り振り直したりしているうちに、先に体調を崩して今の自分に至っているわけだが、その努力をよそに当時の上司が逆ギレ気味に吐き捨てた言葉が忘れられない。
 「オレが命令したから、やったらええんや!黙って言うこと聞け!」
 管理職は残業手当がつかないからか知らないが、命令だけ下して自分はさっさと帰るような上司で、共犯関係を外れたところで正論を実行されるのが気に入らなかったのだろう。こうなると部下である自分の立場は一気に弱くなる。ちょうど体調を崩したのと同じ具合に。
 でも、あのときの彼の脂ぎった顔、目元も頬も顎も脂肪に覆われた醜い姿が、ちょうど長い人生の2時間分の価値しかないと言われれば、納得するしかないな。相変わらず彼は上司ぶって2時間の会社人生のなかに、その身を閉じ込めているのだろうか。

 


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閉じる コメント(2)

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始めまして、残業=頑張っている?とは僕は思えませんし、そんな上司が大勢いる日本社会はどうかしていると思います。

2013/12/23(月) 午後 11:07 mtdcx048

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ご訪問ありがとうございます。naruto様。

残業というのは個人の頑張りや能力による部分よりも、組織全体で効率のよい生産性が達成できてるかを図る目安としての意味が多いと思います。
だから上司の管理職としての責任は大きいのですが、その責任を部署内における“権力”と勘違いしてる人は、私の経験上意外と多かったですね。上記のように命令だけして、進捗度や適性を見ずに帰ってしまう人。
最悪なのは、そういう上司にゴマをすって任意に残業の日を決めている部下もいたりして、まさに“共犯関係”でした。

2013/12/24(火) 午後 1:55 [ molirinho0930 ]

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