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法医学者の悩み事
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本田さんに健康問題なし 京都、青酸連続殺人公判
8/3(木) 京都新聞

 京都府向日市などの高齢男性4人に青酸化合物を服用させたとされる連続殺人事件で、殺人罪などに問われた筧千佐子被告(70)の裁判員裁判の第15回公判が3日、京都地裁(中川綾子裁判長)であった。内縁の夫の本田正徳さん=当時(71)、大阪府貝塚市=のかかりつけ医が持病の糖尿病も改善しており、健康状態に問題や自殺兆候がなかったことを証言した。
  証人出廷したかかりつけ医によると、本田さんは2012年3月9日に亡くなる5、6年前から糖尿病で通院していた。約5カ月前の検査では軽症に改善し、「健康管理に意欲的で、思い悩んでいる様子もなかった」と述べた。死後1週間で被告が来院し「本田さんの薬(約1カ月分)が全て空っぽになっていた」と申告してきたことを明らかにした上で、「(薬を)まとめて飲むような人ではない」と説明した。
  証拠調べでは、スポーツクラブの利用状況から、本田さんが死亡前の3日間利用していたことや、11年10月に撮影されたという正装した2人が笑顔で抱き合う姿の婚礼写真が公開された。
  第14回公判(1日)では、本田さんを司法解剖した医師が出廷。交通事故と死亡との関連を調べる観点が強く、毒物検査は実施されず、「突然死の原因となる異常はなく、消去法的に致死性不整脈と結論づけた」と説明した。
  弁護側は、本田さんが死の直前に被告と会っていたとする大阪府警の捜査過程や、血液が毒物検査されるまでの2年間の保存状況に疑問を投げかけた。

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この事件、死因は消去法で致死的不整脈にしたと書かれている。消去法的に死因を判定するためには薬物検査は必須だが、どこの機関でも、予算の不足に起因してマンパワーや機材の不足から、しっかり検査ができていない現実がある。

一連の青酸カリ殺人の見逃しを契機に、警察庁は警察の検視において、リトマス試験紙のような検査紙を死体の口につけて青酸カリの反応があるかないかを判断するような方法を全国の警察に行うよう指示したらしいが、こんな子供だましのようなやり方では、青酸カリ以外の薬物が使用された場合、見つけることができないし、青酸カリで殺害された事例でさえ、この方法でちゃんと見つけられるのか全く検証されてもいない。

解剖を実施して、さらに薬物検査も全例で実施するなど、ほかの国がやっている方法をとるべきだが、警察庁にとっては、自分の省庁の利益にはならないので、付け焼刃な対応ばかりしているように見える。

政治がしっかり省庁を監督してもらわなければ、今後も何も変わらないと思うが、最近は政治家で死因究明について造詣が深い方が減ってしまっているのが残念だ。

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眠る同僚に帰宅促し、直後に事故死か 睡眠剤混入
8/4朝日新聞

 千葉県印西市の老人ホームで准看護師が睡眠導入剤を混ぜた飲み物を女性職員(当時60)に飲ませて交通事故死させたとされる事件で、殺人容疑で逮捕された波田野愛子容疑者(71)が事故の直前、眠気を訴えるなどして施設で仮眠していた女性職員を起こし、早く帰宅するよう促していたことが3日、捜査関係者への取材で分かった。
  捜査関係者によると、女性職員は2月5日、施設で眠気とめまいの症状を訴え、車で施設を出た直後に物損事故を起こしたため、戻って仮眠を取っていた。波田野容疑者は約1時間後に寝ていた女性職員を起こして、再び車で帰宅するよう促し、駐車場まで付き添って見送ったという。女性職員はこの後、施設から約1キロ先の直線道路でセンターラインを越え、対向車と正面衝突して死亡した。
  一方、施設の関係者によると、波田野容疑者は女性職員について「しっかりしなさいと声をかけた。顔を2回たたいて帰宅させた」と同僚らに話していたという。
  県警は、波田野容疑者に「女性職員が再び事故を起こして死亡するかも知れない」という未必の殺意があったとみている。
  県警は3日、波田野容疑者が女性職員が車で帰宅する前に睡眠導入剤を混ぜた飲み物を飲ませ、交通事故を起こさせて殺害したなどとして、殺人容疑で送検した。捜査関係者によると、波田野容疑者は睡眠導入剤を飲ませたことを認めた上で、殺意は否認しているという。

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入眠剤混入 死亡事故現場にブレーキ痕なし
8/4(金) 日テレNEWS24
 
  千葉県印西市の老人ホームで起きた睡眠導入剤混入殺人事件で、女性職員が死亡した交通事故現場に、ブレーキ痕がなかったことが分かった。
  警察によると准看護師の波田野愛子容疑者(71)は今年2月、同僚の山岡恵子さん(60)に睡眠導入剤入りの飲み物を飲ませ、交通事故により殺害した疑いが持たれている。
  その後の捜査関係者への取材で、交通事故の現場にはブレーキ痕がなかったことが分かった。
  山岡さんの衣服などに付着した血痕からは、1回分を超える濃度の睡眠導入剤の成分が検出されていて、警察は山岡さんが運転時に深い昏睡(こんすい)状態に陥っていたとみて調べている。
  波田野容疑者は調べに対し、当初、殺意を否定していたが、現在は黙秘しているという。

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睡眠剤混入 血液から多量の成分 看護師増員計画に不満か
8/4産経新聞

 千葉県印西市の老人ホーム職員による睡眠導入剤混入事件で、2月の交通事故で死亡した同僚の山岡恵子さん=当時(60)=の着衣に付着した血液から、1回に通常使用する量を大きく上回る睡眠導入剤の成分が検出されていたことが、捜査関係者への取材で分かった。
  千葉県警は殺人容疑などで再逮捕した准看護師の波田野愛子容疑者(71)が、多量の睡眠導入剤を山岡さんの飲料に混入したとみている。
  山岡さんは2月5日、夜勤明けに急な体調不良を訴え早退。軽乗用車で施設を出たが、間もなく交通事故死した。県警は、准看護師の波田野容疑者が睡眠導入剤の服用量などについて専門的な知識を持ち、多量の睡眠導入剤を飲まされた山岡さんが車を運転して帰宅すれば、意識障害を起こして危険な状態となるリスクを認識していたとみて調べている。
  また、波田野容疑者が今年初めに、山岡さんが提案した看護師増員の計画をめぐり、不満を抱いていたとみられることも新たに判明。県警は、こうした人事上の意見対立で波田野容疑者が一方的に不満を募らせた可能性があるとみて、動機の解明を急ぐ。
  県警は3日午前、山岡さんに対する殺人容疑などで波田野容疑者を千葉地検に送検した。

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警察は検視を行う場合、通常わずか一日以内で初動捜査を行って、事件性があるかないか判断している。警察に言わせると、それで犯罪を見逃さないための充分な捜査をしているから大丈夫なのだそうだ。

もし、この事件も警察の言うような充分な捜査をしていたなら、当初から、このニュースにあるような、ブレーキ痕がないとか、一度休んでいたのを無理やり起こしたという話が分かっていたはずだ。わかっていながら解剖していないならかなり問題だが、おそらくどそんな話は後でわかったことであると考えざるを得ない。しかし、後になってわかる話だとすれば、人間には記憶違いもあるから、冤罪を作る可能性もあり心配だ。

警察は、もっと素直になるべきだ。わずか一日以内の初動捜査などでは、犯罪性は、見ぬけるはずがないと認めたうえで、解剖をなるべく実施するように死因究明制度制度を諸外国並みに充実させていくべきなのだが、ここ数年まったくやる気を失っているように見える。

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准看護師、再逮捕へ 千葉・睡眠導入剤混入事件
7/29産経新聞

 千葉県印西市の老人ホーム職員による睡眠導入剤混入事件で、殺人未遂容疑で逮捕された准看護師の波田野愛子容疑者(71)が2月に死亡した同僚女性=当時(60)=の交通事故にも関与していた疑いが強まったとして、千葉県警が殺人容疑で勾留期限の8月1日にも再逮捕する方針を固めたことが、捜査関係者への取材で分かった。県警は、事故時に女性が着ていた衣服の提供を受け、女性の血液から波田野容疑者から押収した睡眠導入剤の成分を検出。女性は睡眠導入剤の処方などを受けていなかったため、波田野容疑者の関与が濃厚となった。
  女性は2月5日夕、軽乗用車を運転中、印西市の県道で20代男性の車と交通事故を起こし死亡。波田野容疑者は、女性が車で帰宅することを知りながら、睡眠導入剤の入った飲み物を飲ませて女性を事故死させた疑いがもたれている。
  事故現場は片側1車線のほぼ直線の道路だったが、女性の運転する車が中央線を超えて衝突していた。女性はこの日、急な体調不良を訴えていたという。事故後、遺体の司法解剖や薬物検査などは行われなかった。
  施設関係者によると、女性と波田野容疑者の関係は比較的良好だったが、2月の事故直前に人事をめぐり、関係が悪化していたという。

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この件、解剖して血液を採取していれば、血液中の濃度も測ることができただろう。
解剖していないので、衣服についた血液を使ったというが、これでは血液中の濃度を測ることは難しいし、衣服に別の機会についた薬であることを否定できない。その意味でかなり危険な捜査だし、後々冤罪とされてしまうかもしれない。

この事件は初動捜査にミスがあったと考えられる。これを機会に、警察も反省すべきことを反省し、改めるべきことは改めるべきだが、いまのところ、ミスをカバーするために、あれこれ動いているだけのように見える。

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千葉・睡眠薬事件
事故死職員も「めまい」 同僚と同じ症状
毎日新聞2017年7月13日

 千葉県印西市の老人ホームの睡眠導入剤混入事件に絡み、2月に起きた交通事故で死亡したホーム職員の女性(当時60歳)が、睡眠導入剤入りのお茶を飲んだ恐れがある同僚らと同じような症状を訴えていたことが捜査関係者への取材で分かった。県警は、別の同僚女性らに睡眠導入剤入りのお茶を飲ませ交通事故を起こさせたとして准看護師の波田野愛子容疑者(71)を殺人未遂容疑で再逮捕しており、死亡した女性の事故との関連を慎重に調べている。 
 
 捜査関係者やホーム関係者によると、事故は2月5日夕、ホームから1キロ弱離れた印西市内の県道で発生した。女性は「めまいがする」などと訴え早退し、帰宅のため軽乗用車を運転中に対向車と正面衝突。搬送先の病院で死亡した。現場は片側1車線で見通しの良いほぼ直線だった。女性の血液の分析や司法解剖は行われなかった。
 女性の遺族は12日夜、毎日新聞の取材に「(女性は)普段、不調を感じている様子はなかった。容疑者との間にトラブルはなかったと思う」と話した。
 老人ホームでは今年、職員5人がめまいや急激な眠気などを訴えるようになった。5月15日には女性職員(69)と夫(71)がお茶を飲み、車で帰宅途中に事故を起こして負傷。夫婦の血液から睡眠導入剤の成分が検出されたため、別の女性職員への傷害容疑で逮捕していた波田野容疑者が殺人未遂容疑で再逮捕された。【斎藤文太郎、秋丸生帆】

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この事件、2名が同じ手口で死んだり負傷させられている可能性があるようだ。現段階では1件目は冤罪である可能性すらあるので、慎重に捜査も報道もされるべきだが、1件目の死亡事例は解剖されていないということこそが大問題だ。解剖されていれば、殺人の見逃しも、冤罪も起きないのだから。

ほかの国であれば、1件目のような自損事故事例でも解剖されることが多いし、そこでもし、薬物使用が発覚していれば2件目は発生しなかったかもしれないが、日本は解剖されないケースが多いので、それで味をしめてしまった可能性もある。というか、そもそも、ほかの国のように、自損事故のような交通事故死でも解剖されることが国民の常識になるくらい当たり前なことだったら、1件目も起きていないだろう。

ここ10年の間の死因究明に関する議論のなかで、死因身元調査法が作られ、新しい解剖ができるようになった。ただ、この解剖は、刑事部ばかりに予算化され、交通がらみの解剖を担当する交通課には予算化されていない。そもそも、一見、交通事故であっても殺人の可能性があるからこそ、ほかの国では解剖するわけで、日本はなぜか、交通事故だと殺人事件でないという特殊な先入観のもと捜査を開始する。だからこそ、そのような事例は刑事部ではなく、交通課が担当することとなり、結果的に新しい解剖が実施できない。

こんな国だと、今回の事件のように薬を用いて交通事故を起こさせるとざるのように殺人事件が見逃されるので、大変危険だ。

こんな事態に陥ってしまった理由の一つは、警察庁の不作為もあると思われる。各自治体の警察だけの問題とするのではなく、もっと根本的な問題を、国レベルで議論するべきだろう。

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規制緩和と規制強化

パチンコ出玉規制強化へ=客のもうけ5万円以下に―ギャンブル依存症対策・警察庁
7/10(月) 時事通信

警察庁は、パチンコの標準的な遊技時間(4時間)に客が得られるもうけの上限について、現行の十数万円から5万円を下回るよう出玉規制を強化する方針を固めた。
  スロットなどについても同水準に規制を強化する。もうけの上限を引き下げることで、負けた分を一度に取り戻そうとのめり込むリスクを減らすのが狙い。11日に風営法施行規則などの一部改正案を公表し、一般から意見を募る。
  カジノ解禁を柱とする統合型リゾート(IR)推進法が昨年12月に成立したのを受け、政府のギャンブル依存症対策の一環として実施する。
  警察庁によると、パチンコ依存問題の相談機関「リカバリーサポート・ネットワーク」に相談した人の約7割が、1カ月当たり5万円以上の損失を出していた。
  改正案では、遊技時間4時間でパチンコ玉の獲得総数が発射総数の1.5倍に満たないものとする新基準を設けた。現行の3分の2程度に規制を強化し、大当たりの出玉の上限も現行の2400個(9600円相当)から1500個(6000円相当)に引き下げる。
  パチンコ店の店長など管理者については、依存問題に関する従業員への指導・教育や客への情報提供などを、施行規則で定める業務に追加するなど規則の一部改正も行う。 

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医師の死亡診断、遠隔で可能に スマホで看護師から報告
野中良祐
2017年6月30日朝日新聞
 
医師による対面が原則の死亡診断について、厚生労働省は今年度内に規制を緩める。医師がすぐに駆けつけることができない場合に、スマートフォンなどを通じて患者の状況を把握することなどを条件に死亡診断書をだせるようにする。高齢化に伴い死亡者が増える多死時代を迎えるなか、自宅や介護施設、離島などでのみとりがしやすくなる。
 医師法は、死亡診断書の交付に医師の診察を義務づける。埋葬や火葬にも死亡診断書が要る。現状では、医師の診察を受けられない患者は、亡くなる直前に救急搬送されたり、死亡後に「異状死」として届け出て遺族らが警察に事情を聴かれたりすることがある。
 こうした現状を改善する運用の流れは、自宅療養する患者宅などを看護師が訪問し、心停止や呼吸の停止、瞳孔の開きを間隔をおいて2回確認。外傷の有無なども観察し、スマートフォンやタブレット端末で遺体の写真などとともに医師に送る。医師は「死亡」と確認すれば、看護師に死亡診断書の代筆を指示し、医師はテレビ電話などを通じて遺族に口頭で説明する。
 代筆を指示できるのは、患者が死亡する2週間以内に診療していた医師。当直業務中などですぐに対応できないなど、到着までに12時間以上かかる場合を想定する。ほかに生前にICT(情報通信技術)を活用した死亡診断に患者と家族が同意している▽死期が予測されている▽診察した病気以外での死亡の場合は警察に届ける――などを条件とする。

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世の中には、撤廃すべき規制もあれば、強化すべき規制もあると思う。
パチンコでもらえる賞金の規制って、私のようにパチンコに全く興味のない人間からすれば、特に規制なしでもよさそうだが、嵌ってしまって人生を台無しにする人間(これも本人の自由と思うのだが)が多くなって何らかの犯罪でも多くなるのなら、規制もやむなしなのだろうか。

一方で、人はみな死ぬのが当たりまえ。誰でも死ぬ中で、人の死に関する「規制緩和」として、病院で死ねかなった人について、看取りを看護師が行う話が出ている。しかし、普通に病院で病死できなかった人について、医師による検案あるいは診察を行い、警察が介入することは、犯罪で死亡した可能性があるか否かを検討するためには最後の砦である。犯罪を見逃せば同種の事件が続発するので国民の安全にとっては大問題な話である。それを看護師に代行させるというのは、よく検討しなければ、犯罪見逃しを助長する可能性もある。「規制緩和」の美名の下に、本来必要な規制をなくすとすれば大問題だろう。

看護師による死後診察の代行は、加計学園問題や、パチンコ問題以上に、国民の安全にかかわる重大な問題と思うが、この問題について、政府は何も考えすに進めてしまいそうで、大変心配だ。

結局のところ、金儲けをしたい方々のためだけに規制緩和と呼ばれる、政府の施策があるだけで、実は国民のことなど何も考えてないということだろうか。

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昔の事件ゆえに

<大崎事件>再審開始を決定 鹿児島地裁・第3次請求審
6/28毎日新聞

 鹿児島県大崎町で1979年に男性(当時42歳)の遺体が見つかった「大崎事件」で、鹿児島地裁(冨田敦史裁判長)は28日、殺人罪などで懲役10年が確定し服役した原口アヤ子さん(90)の請求を認め、再審を開始する決定をした。原口さんは捜査段階から一貫して無罪を訴え、今回が3回目の再審請求だった。鹿児島地検は福岡高裁に即時抗告するかどうか検討する。
  事件は物証に乏しく、原口さんは一緒に逮捕された元夫ら親族3人(いずれも故人)が「原口さんに殺害を持ちかけられた」とした自白や、親族から犯行を打ち明けられたとする義妹の供述などを根拠に有罪とされた。最高裁まで争ったが、81年に懲役10年の判決が確定。第1次再審請求では鹿児島地裁が2002年3月、親族の自白の信用性に疑問があるなどとして再審開始を決定したが、福岡高裁宮崎支部が取り消した。
  第3次再審請求審の主な争点は、親族3人の自白を裏付けるとされた義妹の供述の信用性だった。第2次再審請求を棄却した福岡高裁宮崎支部決定(14年7月)が「親族の自白自体の信用性は高くないが、義妹の供述と整合すれば信用できる」としたため、弁護側は義妹の供述について「不自然な変遷があり、体験や記憶に基づかない可能性が高い」とする心理鑑定書を新証拠として提出。「義妹の供述の証明力は著しく減殺された」と主張した。
  さらに、被害男性の遺体の解剖写真を分析し、確定判決が「首を絞められたことによる窒息死」とした被害男性の死因を否定する新たな法医学鑑定書を提出。「窒息死の所見である死斑などが認められない」とし、自転車事故による出血性ショック死の可能性を示唆した。その上で「殺害行為に関する親族の自白と矛盾している」と指摘した。
  また、第3次再審請求審で検察側が新たに開示したネガフィルムを基にした現場写真などを新証拠として提出。「近隣住民の供述と現場の再現写真に矛盾がある」などと主張した。
  その上で「親族3人の自白も義妹の供述も遺体の客観的状況と符合せず信用できない。確定判決には合理的な疑いが生じていることは明らかだ」としていた。
  一方、弁護団によると、検察側は法医学鑑定書について「写真鑑定の信用性は低い」と主張。心理鑑定書については「親族の証言はこれまでに検討済み」などと反論し、請求棄却を求めていた。【田中韻】

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自白中心の捜査は今でも行われている面があるが、昔はさらに酷かったと思われる。ましてや21世紀に入った段階でも鹿児島では志布志事件があったくらいだし、冤罪もありうる話だろうなと思う面がある。

首絞めの診断は時として大変難しい。タオルで首を絞めても、遺体外表や解剖所見で何も所見が残らない場合は確かに存在する。しかし、そのような場合に、解剖所見で首絞めなど断定できるはずがない。また、大崎事件の場合、頸椎前面に出血があったことをもって、首絞めと判定したという話があるが、それだけで首絞めと断定することは困難だ。

頸椎前面に出血があるということは、頸椎に損傷があったということなのだろう。死体が発見される数日前に、酔っぱらって用水路の中で自転車と倒れているところ見つかり、自宅まで連れてこられたということだが、自転車、酔っ払い、用水路転落というキーワードで思い浮かぶのは、むしろ、用水路転落による頸椎損傷である。

頸椎損傷が発生すれば、その場で麻痺が生じて立ち上がれない場合もあれば、受傷直後は行動能力があり、しばらくして急に頚髄圧迫の症状が現れて死亡する場合もある。後者のような場合は、折れた頸椎の周りにそれなりに多くの出血が生じているだろう。

首絞めで頸椎が折れる場合もあるが、その場合、首が折れつつ短時間で首絞めによる窒息で死に至るので、頸椎周囲の出血はさほど多くならないことが多い。

その意味で、解剖所見での頸椎周囲の出血がどの程度であったのか興味があるところではある。

また、頸椎の骨折がどの程度のものだったのかも関心があるところだ。椎間板軟骨の一部が裂けただけなのか、軟骨が完全に裂けたのか、頸椎の骨の部分まで折れているのか。まだまだ若いといえる40代の男性の頸椎を折るにはそれなりに強力な力が必要である。首を吊っても頸椎が折れないことが多いのに、女性による首絞めで果たして折れるのだろうか。一方で、自転車搭乗中に顔から転落する場合、頸椎の過伸展の程度が強いことから、若い方でも首が折れてしまうことは何例も経験されている。頸椎の折れ具合についてはしっかり検証されるべきだろう。もちろん、解剖で頸椎の検索をしていればの話ではあるが。


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震災関連死、死因非公表が半数超 「申請増を警戒したのでは」との見方も 熊本地震
西日本新聞社2017/6/21

 熊本地震で震災関連死を認定した20市町村のうち、11の自治体が死因を明らかにせず、対策を模索する医療関係者の障壁になっている。非公表の自治体は「遺族の意向」として個人情報に配慮するが、弔慰金には公金が充てられることもあり、識者は「公共性が高い情報だけに、市民と共有すべきだ」と指摘する。
  関連死は20日現在、熊本、大分両県で計181人。熊本県は熊本市66人、益城町20人、阿蘇市18人などで、大分県では由布市が3人を認定している。大半が年代や性別、死亡時期は明らかにしているが、死因は過半数が非公表だ。
  理由は「遺族に公表できるか判断してもらった」(阿蘇市)「遺族に配慮し、自治体で判断した」(益城町)などが多い。ある担当者は「小さな自治体では個人の特定が容易で、お金をもらったと批判されるのを心配した」と説明する。「死因を公表することで『それならうちも同じ病気』と申請が増えるのを警戒したのでは」(関連死に詳しい専門家)との見方もある。
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「報道することで新たな犠牲を減らすことにつながる」
 被災地で口腔(こうくう)ケアに取り組む福岡県歯科医師会の太田秀人さんは、口内の細菌との関連が指摘される肺炎の件数に関心を寄せる。「専門家が口腔ケアをした市町村で肺炎の死者が少なければ、避難所で口腔ケアを重視した対策が取れる。関連死は対応次第で救える命だ」と検証の意義を語る。
  過去の震災で関連死を分析した徳島大の西村明儒教授(法医学)は、阪神大震災ではストレスの影響、新潟県中越地震ではエコノミークラス症候群が問題となり、対策につながったと指摘。「遺族が申請しない例もあってエビデンス(科学的根拠)に限界はあるが、災害ごとに検証し、報道することで市民に理解が広がり、新たな犠牲を減らすことにつながる」と話した。
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【ワードBOX】震災関連死
 避難生活での肉体・精神的疲労による体調悪化など、間接的な原因で死亡すること。遺族が申請し、市町村が医師らでつくる審査会に諮るなどして認定する。災害弔慰金支給法により、遺族に最大500万円が支給される。認定基準が曖昧で、各地で自治体を相手に訴訟も起きている。
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震災関連死はほとんど解剖されていない。それゆえ、死因もどこまで正しいのか不明である。さらに死因さえ公表しないのに、そんなのに税金を払う日本国民っていったいなんなんだろうか。

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感染症か...幼稚園児2人死亡、発熱・嘔吐など症状
読売新聞2017.06.15

 川崎市は14日、同市川崎区の私立大師幼稚園に通う4歳の園児2人が今月6日と12日に相次いで死亡したと発表した。同じクラスの女児と男児で、発熱や嘔吐(おうと)などを発症した後で死亡しており、市は感染症の可能性も否定できないとして、2人の血液検査などを行って詳しく調べている。他の園児や家族らに重い症状が出ているケースは確認されていないという。
 発表によると、女児は4日に自宅で胸の痛みや嘔吐などの症状が出て、病院で急性胃腸炎と診断されたが、その後も発熱が続き、6日未明に容体が急変し死亡した。男児は12日朝に発熱など風邪のような症状が表れ、昼前にけいれんを起こすなどして救急搬送され、病院で死亡が確認された。
 神奈川県警が2人を解剖して死因を調べたが、体に外傷などはなく、死因は特定できなかった。県警から情報提供を受けた市は、国立感染症研究所の協力を得て血液検査などを行う一方、同園の保護者に対し、園児が体調不良を訴えた場合は医療機関を受診するよう呼びかけている。
 同園は宗教法人の平間寺(川崎大師)が運営。園児は約200人。13〜18日を自主休園とした。

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この件、2例とも司法解剖がされているようだ。
感染症の疑いばかりに目が向いているが、薬毒物をどこかで摂取した可能性もあるので、感染症の検査や薬物検査、組織検査など様々な検査が必要になるだろう。
司法解剖は犯罪の有無を確認するための解剖であり、その意味で、死因が確定できるまで各種検査を実施する必要がある。一時警察庁は、解剖だけちゃらっとやって、解剖だけで犯罪性がなく病死だとわかれば、それ以上の検査は不要で病名の確定までは不要だなどと言っていたが、しっかり検査してほしいところだ。医学的に死因がしっかり特定され、病名が確定するまでは犯罪性の有無なども本来わからないはずなのだから。中途半端にされては近隣住民の不安は解消されることはないだろう。

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結局のところ

本ブログで取り上げた解剖経費に関わる問題に関して、結局、20万円程度の包括価格では折り合いがつかず、現状を維持した形で継続することとなったようだ。
法医学会の良識が示されたように思うが、今後しっかり議論しておくべき問題だろうと思われる。

あまりに低価格なところは、行うべき検査ができていないか、検査をしたとしても請求していないなどそれなりに原因があるはずなので、前者の場合は特に、他の大学などと連携しながら、必要な検査がしっかりできるようにすべきであるし、それによってまずは底上げがされるべきであろう。

某県では、1年の間に、警察庁に請求した経費が1/3程度に激減しているという話も聞いた。これは、おそらく鑑定人のキャパを超えて解剖した結果(解剖数が1.5倍になるなど)、鑑定書提出数が半減し、見かけ上、平均の解剖費用が安くなっただけらしい。そんな解剖経費を全国平均でならした価格を法医学会に飲ませようとした警察庁のやり口には大いに問題があるように思う。

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前回に続いて経費の考察をしてみる。

解剖謝金10万円/1体は執刀医の個人所得になり、大学へ納付される経費が
解剖基本料6万円/1体
組織検査代上限8万円/1体

という価格で、どのような事態が起きるかシミュレーションしてみる。

設定は、医師は教授1名、その他の教員2名、検査技師1名といった法医学教室。この規模の教室が発展できるかどうかをシミュレートすることは、法医学や死因究明のシステムが発展できるか判断するのに適当といえるだろう。

もし、まともに鑑定をし、法医学の本分として社会に貢献しようとするのなら、解剖した事例については全例鑑定書や報告書を記載すべきことは当然であろう。

ほかの国のように、解剖の補助をする検査技師が解剖台1台につき1人以上おり、さらに写真係もいて、ボイスレコーダーに録音した解剖所見を書き起こしてくれる秘書さんもいるのであれば、医師一人で年間200体くらいが上限だろう。ただし、研究が一切できなくなることを覚悟しなければならない。とはいえ、今の日本式の方法では、効率化がされていないので、解剖を年間100体以上行うと、鑑定書作成を簡略化したり、省いたりしないといけないので、実際は全例で鑑定書をかけるのは年間100体が限度ともいえるが、今回はあえて収入を増やすために大目に設定してみる。

想定した教室では、検査技師1名を解剖補助とし、教員2名で組織検査やアルコール検査を実施するなどし、また写真はこれまでどおり、警察任せとするのでああれば、あとは、書き起こしをしてくれる秘書さんが2名いれば、200体の解剖や検査が実施できるかもしれない。

しかし、それでは、教員は全員、大学の本務たる研究や教育が全くできなくなる。この前提はおかしいのでやめよう。

研究のアクティビティーを最低限維持するためにも、医師以外の教員2名には教育研究に専念してもらう必要がある。それを前提に考える。

年200例の解剖補助は既にいる検査技師1名にやってもらうこととする。組織検査、アルコール検査、生化学検査、精液検査など各種検査を実施してもらうためには、臨床検査技師がさらに2名必要になるだろう。さらにはボイスレコーダーからの書き起こしや鑑定書の作成には秘書2名も必要だ。

検査技師や秘書に給与を手取りで月25万払う場合、ボーナスと諸費用で年間1名の雇用に500万円必要になる。4名を新たに雇用するとなれば年2000万かかる計算だ。解剖基本料6万×200体だけでは大赤字だが、組織検査を全例で実施すれば、MAXで2800万の収入になる。とはいえ、高度に腐敗した死体や白骨では組織検査をできないので、幾分減る可能性がある。人件費2000万円を除いた残金は800万円未満だ。

他に必要な経費を計算してみる。

解剖一体当たり、様々な消耗品が必要だ。
ディスポの手袋、ガウン、マスク、替刃などで解剖1体最低でも2000円ほどかかるだろう。
簡易薬物検査のキットが2500円程度、生化学検査のキットが1000円ほど。
ホルマリンなどの廃液や医療廃棄物の処理代は1体7000円程度
合計12500円が1体分の消耗品等だ。年間200体なら250万円かかる。

次に設備の維持費を考えてみる。
エタノール検査のためのガスクロの購入が600万円程度、血液生化学検査や一酸化炭素測定のための機械をそろえれば400万円程度かかるが、無理に使って10年もたせても、年間100万程度を積み立てておかねばならない。
冷蔵庫・冷凍庫は年間200体も解剖したら、1年分の血液や尿でいっぱいになる。それを5年保管したら、冷蔵庫の寿命がくる。ディープフリーザ-と冷蔵庫をセットで交換すれば、5年で200万かかる。つまり年40万円が冷蔵庫・冷凍庫購入のための積み立てに必要だ。
電気・ガス・水道代は馬鹿にならない。普通の家でも月2万円だ。この4倍だとしても、年間100万くらいはかかる。
以上で、年240万円。

消耗品代と設備維持費を合わせて、年間合計490万円だ。
残金は310万円未満となる計算だ。

一方、大学は、外部から入ってくる収入に対して間接経費と称して10%から30%天引きしたうえで、法医学教室に入れるので、そもそも、最初から最低でも2800万円×10%の280万円は存在していない。

結局法医学教室に残る費用はMAX30万円だ。

年間200体のうち、白骨や腐敗死体が20体もあれば、その分の組織検査代160万円分が減収なので、130万の赤字になる。

その他に鑑定書作成などのためのパソコンの購入、写真の保管のためのキャビネット購入、臓器の保管のためのバケツ購入、組織検査やプランクトン検査のための消耗品や試薬購入などをすれば間違いなく大幅な赤字になる。

赤字にならないためには、秘書や検査技師を減らして費用を浮かせるなどの方策をとらざるを得ないが、これでは鑑定書を全例で出せなくなったり、必要なプランクトン検査や精液検査、生化学検査などの検査ができなくなったりするので、死因究明の質の低下につながり、死因究明の推進の観点からは本末転倒な結果になるだろう。薬物検査や死後CT実施のための高額な機材や人材などを揃えることなどは夢のまた夢。薬物検査は科捜研に頼るという不健全な状況とならざるをえない。

これで教室員はハッピーになれるのだろうか。教授以外の教員2名はなんとか教育・研究ができるので、よいとしても、教授は2000万円もの謝金の代償として、解剖以外には何もできなくなっている。大学としては、教育研究のために雇用したはずの人手が一人取られたことになり大きな損害といえる。

解剖が200体を超えて増えるとなれば、さらに問題がおきる。解剖を増やすには、既存の検査技師1名による解剖補助ではもはや無理だ。さらに解剖補助を行う技師や医師が必要となるが、それらを雇用する費用はないのだ。これは、若手医師が大学院に所属し、その後卒業しても、特任教員もおけないので、就職できないことも意味する。

つまり、前提とした価格では、教授の研究教育活動を全面的に犠牲にしているにも関わらず、解剖数の現状維持がぎりぎりできるかできないのレベルであり、解剖数が増えることには全く対応できず、若手医師の雇用もできないということになる。また、まじめにやると赤字になる可能性が高く、結果的には鑑定書を作成しないとか、検査を十分に行わなくなっていく可能性も高いということになる。

これでは死因究明のためのシステムが発展できるなどとは到底言えない。

そもそも、本来は大学の研究・教育のために配置された既存の人員と設備を、警察からの受託業務に流用するという前提に問題がある。既存の人員や設備を用いることは前提とせずに、解剖100体なり、200体なりごとにどれだけの医師、検査技師、設備維持費、消耗品が必要になるかといった計算をするのであれば、解剖数が年1000、2000に増えても、それなりに人や設備を増やすことができる。既存の人員と設備を使うことを前提としてしまっては、解剖数が倍になるなど、今ある枠を超える事態に対応することができないのは当然のことだ。

費用を算定するにあたっては、本来はまず第一に、法医学や死因究明のシステムを発展させるとはどういうことなのか?を考えなければならない。

将来的に解剖率は上げるのか?
写真や解剖後の縫合、掃除は警察官にやらせ続けるのか?(ほかの国では感染リスクの防止のために警察官にそんなことをさせてないが)
行うべき検査項目は何か?また薬物検査等の機材や人材をどうするのか?
全例で鑑定書を書くのか?どの程度の鑑定書か?

これを決めずして、解剖や諸検査の価格を決めることはできないし、それを怠って交渉すれば、警察庁の提示した価格について適正か否かを判断できず、結果的に先方にやりこめられてしまうことになる。とにもかくにも、根源的なところをまず考えてから、費用を設定しなければならないということだろう。

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