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法医学者の悩み事
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法医学の役割

大野病院医療事故:院長「医療過誤でない」判断、事故調指摘で揺らぐ−−地裁 /福島(4月28日 毎日新聞)

 県立大野病院で起きた帝王切開手術中の医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(39)の第4回公判が27日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であり、証人尋問が行われた。事故を医療過誤ではないと判断した同病院の院長は、県の事故調査委員会で手術の問題性を指摘された際に「やってはいけないことをやってしまったのではないかと思った」と自身の考えが揺らいだことを明らかにした。
 同病院のマニュアルでは、医療過誤やその疑いがある時は院長が富岡署に届け出ることが規定されており、医師法でも医師自身が24時間以内に警察署に届け出ることが義務づけられている。院長は事故当日の夜、加藤被告と麻酔科医に事情を聴いたが「医療過誤にあたる行為はなかった」と答えたため、警察への届け出をしなかった。
 しかし事故調では、委員を務める産科専門医から「教科書的に言うと、器具ではがしてはいけない」とクーパー使用の妥当性を否定されたという。【松本惇】
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<産科医療シンポ>被害者の視点忘れずに…大阪で開催
4月28日20時20分配信 毎日新聞

 被害者の視点を忘れずに産科医療について考えるシンポジウムが28日、大阪市内で開かれた。産婦人科病院「堀病院」(横浜市)と奈良県大淀町の町立大淀病院の医療事故の被害者遺族らが参加。堀病院の被害者遺族は「医師不足は問題だが、事故の被害とは別だ。医療側はまず事故の真相を究明してほしい」と語った。

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妊婦死亡事故で、産婦人科医を不起訴処分 奈良地検(2007年04月18日朝日新聞)

 奈良県大和高田市の同市立病院(松村忠史院長)に入院中の妊婦が出産直後に死亡した事故で、奈良地検は18日までに、業務上過失致死容疑で書類送検された産婦人科の30代の男性医師を不起訴処分とした。「死因の子宮破裂による出血性ショックを、予見させる症状がなかった」と判断した。
 調べによると、04年10月、同病院の産婦人科に入院していた当時30代の女性が出産後、脈拍や呼吸状態、血圧が異常に高い数値を示し、子宮内の大量出血で死亡した。
 奈良県警は、医師が施した投薬が一時的に数値を下げるだけの効果しかなく、妊婦の体内に出血など異常が生じていた恐れがあったのに、漫然と放置したと判断。06年3月、書類送検に踏み切った。
 一方、地検は、医師は女性の臓器状態などを調べるために超音波検査を実施したが、子宮破裂を疑わせるような症状は映っておらず、「予見は不可能」とみなした。

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産科事故に関する報道は多い。最近医療側は医療崩壊というキーワードを盾に、医師を刑事訴追すべきではないと主張することが多い。一方で遺族側は必ずしもそうした主張を快く思っていないように見える。医療崩壊の原因は訴訟だけではなく、医師の労働条件の悪さから発生している側面もあり、医師側の論理には必ずしも説得力があるものではないのだろう。さらに、最近は報道されることも増えてきたが、多くの医療関連死事例は、書類送検されても正式起訴されることは稀であったし、これからも頻度的には多くはならないだろう。マスコミの対応も、流動的なので、必ずしも医師の思っている方向性に進まない可能性もある。国民1億数千万に対し、医師は26万人しかいないのだ。

こんなことを書くと、また臨床のある先生は、「またもや法医学者が現場も知らずにおかしなことを言ってやがる。お前らの作った異状死ガイドラインにせいで医師が逮捕されるようになったわけだし。」と思うかもしれない。しかし、大きく誤解があるのは、法医学とはそもそもどんな学問なのかという点でもある。

法医学は人を罰するための学問領域ではない。法医学の一つの目的は、人と人との間に争いが発生しそうな場合は、医学的・科学的に適正な証拠保全をし、社会にとって適正な解決を目指そうとするものだ。また、場合によってはそうした事件の再発予防の方策を考える学問領域でもある。たとえば、赤ん坊が殺されて、殺人罪で起訴される母親が世の中に多いのなら、そのような無益な罪を作らないためにはどうしたらよいのかについて提言する学問領域である。同じように、医療事故でも、医師が無益に逮捕起訴されることを予防するにはどうしたらよいのかを考え、提言していくべき学問領域でもある。

大野病院事件では、異状死は医療過誤の場合だけ届け出ればよいという病院内のマニュアルに従ったと病院長の証言が出てきた。しかし、このマニュアルは、法医学会のガイドラインではなく、「明らかな医療過誤以外の死は異状死ではない」といった主旨の外科学会の声明に従って作られたものだろう。遺族の権利意識が増大し、訴訟が増えていくことが予測されている現状では、医療事故を隠す方向に導きかねない外科学会声明の危険性は、以前から患者側弁護士からだけではなく、医療側弁護士からも指摘されてきたが、それが現実になってしまった感じもする。今後は、医療関連死に関しては第三者による調査が推進されるべきだし、そのような方向性なのだろうが、そうなった場合でも、幅広い医療関連死が届け出られていくことが望まれている。結局は日本法医学会の主張する幅広い死亡事例が届け出られ、死因究明される方向性を社会が求めていると感じる。
こうした幅広い死亡事例を受け付けて調査してくれる機関が日本にはなかったわけで、それを作ることが求められている。
しかしながら、厚生労働省の作った検討会を見る限り、適正な証拠保全の必要性に関しては認識が薄いようだ。適正な証拠保全なしでは、遺族側にとっても、医師にとっても不都合な判定が増えていくのではないかと心配してしまう。

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