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「ヤバそうですね・・・」
ホテルへと飛びながら説明を聞いていたダイヤが言った。
「ヤバイわよ。4人ならなんとかなるかもしれないけど、ヤバくなったら逃げるつもりで」
ライラはダイヤに同意を求めた。
「解った」
ダイヤが頷くと少し安心したかのように、スピードが落ちた。ホテルが見え始めた時、ドォォォン!と爆音がした。2人は音の先を見る。ホテルが半壊していた。三角形のホテルの半分が崩れて落ちてしまっていた。この時期、客は少ないらしいので、幸いだが、それでも客は居る。
「他の客を助けなきゃ!」
ライラが言った。
「僕とセイルで足止めするから、その間に助けて下さい!」
セイルはダイヤが散歩に行ってから、なかなか寝付けず、ロビーに居た。すると妙な違和感があるなと思った。空気が乾いてピリピリしているような感じがした。が、何も起こらないので、そのままロビーのテレビを見ていた。特に見たかったわけではないが、ついていたので見ていた。30分くらい経っただろうか。そろそろ戻ろうとして立ち上がると、ドォォォン!と上のほうで音がした。
「やっぱりか!」
と、呟き、急いで外に出た。そして、飛んで行き、逃げる人を助けた。ステスも同じように逃げる人を助けていた。この場合、バレようが構わない。仕方なかった。自分たちのせいで巻き込まれてしまう人たちがいると思うと、心が痛んだ。
ステスが人を逃がしているのを確認し、セイルは攻撃をした能力者を探した。セイルは周囲に能力者がいればわかるはずだったので、なぜ今回わからなかったのか、それが不思議だった。
「どこだ・・・?」
辺りを見渡すと、右のほうから光が2つ見えた。能力者というのがわかり、警戒したがそれはダイヤとライラだった。
ライラが何か言っているのがわかった。
ダイヤとライラはホテルに着いてすぐに攻撃した能力者を探した。すると、セイルが辺りを見ている。きっと同じように探しているんだろうと思った。
ライラは見つけた。セイルの真上に。徐々に下りてきていた。ライラが叫んだ。セイルに向かって。
セイルは真上を向いた。その瞬間、空気が振動したかと思うと、セイルは地面に叩きつけられていた。モノクルが割れた。瞬間的すぎて対応できず30メートルほどの高さを1秒程度で落とされた。
「くっそ・・・、何の能力だ?」
セイルが呟いた。呟きながら血を吐いた。
「ま、そう大したダメージじゃないか・・・。」
そう言うと立ち上がり敵を見た。
ダイヤとライラが敵をホテルから遠ざけるように戦っていた。
「あー、もうちょっと休みたいけど・・・そうも言ってられないか」
骨が折れてないか確認しながら敵の方へ飛んでいった。
「ダイヤ!ステス!」
ライラが叫んだ。そしてライラは敵に突っ込んで行きながら右手に水を作った。
「わかった!」「うん!」
ダイヤとステスがうなずきながら後退する。
「ジェット・スチーム!」
ライラの右手にあった水が霧状になり、敵の視界を遮った。遮った瞬間、その水分1つ1つが爆発した。
「っ!?」
敵がダメージを負ったようだった。
そこへダイヤが一直線に炎の光線のようなものを打ち込んだ。
「劫尽火にはこんな使い方だってあるんだっ」
ダイヤがそう言った。
「こんにゃろ、どうだ!?」
霧の水分が全部爆発を終え、ダイヤの炎も消えた。そこへ上空にいたステスが体から光を発した。それは太陽のように見ることのできないほどの光だった。
「重光!」
太陽のように光っていたステスから光線が出てきた。
敵に直撃だった。血を吐いたようにダイヤは見えた。
「もう一押しだ」
ダイヤがそう言い、セイルを見た。
「雷柱!」
セイルが叫んだ。ありったけの力を使い、雷を落とした。雷は敵に寸分の狂いなく当たった。
「これでどうだ!?さっきの借りは返したぞ!」
「セイル、大丈夫?」
ダイヤが聞いた。
「ん?これくらいいつもの事だろ」
「いや、そうだけど、雷柱を1日に2回使ったの初めてじゃない?」
ダイヤが聞いた。
「まぁ、そうだけど、今までセーブしてたわけじゃねーから」
「そうなんだ。ま、今はその話は置いといて・・・」
地面まで落ちていった敵を4人は見ていた。
ドサ・・・。地面に落ちた音がした。
「やっと勝ったか?」
セイルが呟いた。その瞬間、空気が揺れた。
「まだ攻撃してくる!?」
ステスが言った。
「そうみたいだ。僕が隙を作るから、みんな最大レベルの攻撃打っちゃって。僕を巻き込むつもりで。僕はスピードには自信あるから避けれるからさ」
ダイヤは一気にそう話すと地面にいる敵まっしぐらに飛んだ。
さて、どうやって隙を作るかな。ぶっちゃけ、何も考えてないんだけどね。ダイヤはそう心のなかで呟いた。敵は本気になったのか、振動はいっそう増す。
「グリーンライド!」
ダイヤの右手から無数の小さな炎が出て、敵の周り半径10メートルほどを覆った。
「さあ、逃げ場はないぞ?」
ダイヤが敵の前に立ち、ニヤリと笑った。
「逃げるつもりはない。我はレート。お前らの力量を測るために存在する。我に逃げるという思考回路は存在しない」
敵がやっと言葉を発した。
「僕らの?なんで僕らの力量を知る必要がある?」
ダイヤが問う。
「リバーサイト。お前はあの銀行強盗の犯人ではない。それを確信するためでもある。我を殺せばお前は無実。だが、殺人罪だ。我は能力者ではない」
「よくわかんないや。取り敢えず、今は君を倒すよ。後で話を聞かせてもらおうか」
ダイヤは会話を伸ばしながら時間を稼いでいた。セイル、ライラ、ステスに最大の攻撃を溜めるだけの時間を。
「お前らにそれは不可能だ。我は能力者ではないのだ。いずれ、解るときが来るだろう。今は我と戦え。そして、我を倒すか、我に倒されるんだ」
「だからわかんないって。君は組織の一員って事で、僕らを試してるって事?」
「我は内部事情を話しすぎた。もう話せない。12人の希望を探すだけだ。いずれ、お前らは日本という国にいけばいい。そこにすべてがある。もう話す事はない。上空の3人にいっせいに攻撃させろ。絶望を見せてやる」
「ふーん。ま、いいや」
ダイヤの右手に炎が渦巻く。
「悪いけど、君の組織、理解できない。もし、人道的におかしい組織なら潰させてもらう」
ドドドドドドドドドドドドーン!!!
そう言った後、さきほどのグリーンライドがいっせいに爆発した。上空の3人にはレートが一瞬ひるんだように見えた。
「いくぞ!」
セイルの掛け声でいっせいに攻撃を開始した。
「雷轟!」「コードクラッシュ!」「サンロード!」
轟音と共に雷がセイルの腕から放出された。それは辺りに放電しながら敵を射抜いた。そして、レートの周りの空気が薄くなり、水分が宙を舞った。舞った瞬間にそれらがレートにまとわり付き、爆発した。最後に、ステスから放たれた無数の光の矢が他方行からレートを襲った。その攻撃が終わり、レートの体からは煙が出ていた。ピクリとレートの体が動いた。
「ジャベリン・アロー!」
ダイヤが両腕を前へ出し胸の高さで手を重ね、合わせた。そこから一直線の炎がレートに向かって放たれた。レートに攻撃が当たると、炎は爆発し、レートの体を吹っ飛ばした。
「まだやるなら、もう手加減はしないけど?」
ダイヤが吹っ飛んだレートに向かって少し大きめに言った。
「ふふふ。“12人”風情が加減と言ったか。まぁ、いいだろう」
レートはそう言うとムクりと立ち上がった。体中から血が垂れていた。おそらく骨もだいぶ折れているだろう。足の骨も折れている。明らかにおかしな方向に曲がっている。
「おい、無理すんな。一生病院暮らししたいのか?」
セイルがダイヤのそばに下りてきて言った。ライラ、ステスも下りてきた。
「我は不滅」
レートはそう言うとダイヤたちを睨んだ。睨んだだけなのに、ダイヤたちは吹っ飛ばされた。しかも半端ない距離飛ばされた。おそらく50メートルほどだろうか。ライラとステスは気絶してしまった。このままでは危ないくらいの出欠量だ。セイルは上手く受身をとったものの、衝撃が強すぎたため、腕の骨が折れたようだった。ダイヤはレートに一番近くにいたため、一番遠くまで飛ばされた。そして、頭を打ち、足を打ち、そこで着地できればまだマシだったのだが、やはり衝撃が強かったためバランスを崩し思わず地面に出してしまった左手が折れたようだった。
「・・・いって・・・」
ダイヤが血を吐いた。
「内臓もやられた・・・か?衝撃波の能力・・・?」
苦しそうに呟いた。
「否。我は能力者ではない。お前らの能力は見せてもらった。女はもう用はない。ここで死んでもらう」
レートが言った。
「ちょ、ちょっと待てよ!」
ダイヤが立ち上がろうとする。しかし、痛みのあまり体が動かない。
「待てって言ってんだろ!」
ダイヤが叫んだ。ダイヤは立っていた。骨の折れた箇所に炎を纏っていた。まるで包帯をしているかのように。そして、体ではなく、炎を動かす事で体を動かしていた。
「そんな体では我には勝てまい」
レートが言う。
「やってみなきゃわかんないさ」
ダイヤの頭から血が流れ、目に入った。ダイヤが目を閉じた瞬間、また衝撃波のようなもので吹っ飛ばされた。今度は先ほどより威力は弱いらしく、5メートルほどしか吹っ飛ばされなかった。それでもダイヤは体が反応せずに地面に叩きつけられたのでまた骨が折れたようだった。
「もうお前は限界だ。女を殺したら我は去る。今度会う時にはもう少しマシになれ」
そう言いながらライラ、ステスに近づく。
「だから、待てって言ってんだろうが!劫尽火!!」
ありったけの力を振り絞ってダイヤが炎を放った。その時、ダイヤの瞳が黒から赤に変わっていた。本人は気づいていなかった。
「その目は・・・」
レートが反応した。そのためか、攻撃を避けれず、直撃した。そして、今回の攻撃はレートに大ダメージを与えた。左の体半分が灰になった。
「くっ・・・」
血が噴き出した。
「いいだろう。これだけの力があれば」
レートはそう言うと灰になった体が回復した。心臓辺りから体が湧き出たように見えた。そして、元の体に戻った。そして、ライラに右手を向けた。
「こいつはここで終わりだ」
「だか、ら・・・」
ダイヤは気を失いそうになっていた。血を流しすぎていたからだった。その時
「動くな!」
という女性の声が聞こえた。
レートの動きが一瞬止まった。ダイヤの横を突風が吹いたと思うと、レートは100メートルほど吹っ飛んでいた。レートが居た場所にいたのは赤く長い髪の女性だった。かなり目立つ格好をしていた。真っ黒のロングコートを左手に持っていた。
「ちょっと待ってな」
その女性はそう言うと徐々に下に落ちていき、レートが吹っ飛んだ場所まで目にも止まらぬ速さで突っ込んでいった。
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