MONOCHROME DIAMOND

前のブログの続きです。

「TWELVE」〜12人〜4

「ヤバそうですね・・・」
ホテルへと飛びながら説明を聞いていたダイヤが言った。
「ヤバイわよ。4人ならなんとかなるかもしれないけど、ヤバくなったら逃げるつもりで」
ライラはダイヤに同意を求めた。
「解った」
ダイヤが頷くと少し安心したかのように、スピードが落ちた。ホテルが見え始めた時、ドォォォン!と爆音がした。2人は音の先を見る。ホテルが半壊していた。三角形のホテルの半分が崩れて落ちてしまっていた。この時期、客は少ないらしいので、幸いだが、それでも客は居る。
「他の客を助けなきゃ!」
ライラが言った。
「僕とセイルで足止めするから、その間に助けて下さい!」

セイルはダイヤが散歩に行ってから、なかなか寝付けず、ロビーに居た。すると妙な違和感があるなと思った。空気が乾いてピリピリしているような感じがした。が、何も起こらないので、そのままロビーのテレビを見ていた。特に見たかったわけではないが、ついていたので見ていた。30分くらい経っただろうか。そろそろ戻ろうとして立ち上がると、ドォォォン!と上のほうで音がした。
「やっぱりか!」
と、呟き、急いで外に出た。そして、飛んで行き、逃げる人を助けた。ステスも同じように逃げる人を助けていた。この場合、バレようが構わない。仕方なかった。自分たちのせいで巻き込まれてしまう人たちがいると思うと、心が痛んだ。

ステスが人を逃がしているのを確認し、セイルは攻撃をした能力者を探した。セイルは周囲に能力者がいればわかるはずだったので、なぜ今回わからなかったのか、それが不思議だった。
「どこだ・・・?」
辺りを見渡すと、右のほうから光が2つ見えた。能力者というのがわかり、警戒したがそれはダイヤとライラだった。
ライラが何か言っているのがわかった。

ダイヤとライラはホテルに着いてすぐに攻撃した能力者を探した。すると、セイルが辺りを見ている。きっと同じように探しているんだろうと思った。
ライラは見つけた。セイルの真上に。徐々に下りてきていた。ライラが叫んだ。セイルに向かって。

セイルは真上を向いた。その瞬間、空気が振動したかと思うと、セイルは地面に叩きつけられていた。モノクルが割れた。瞬間的すぎて対応できず30メートルほどの高さを1秒程度で落とされた。
「くっそ・・・、何の能力だ?」
セイルが呟いた。呟きながら血を吐いた。
「ま、そう大したダメージじゃないか・・・。」
そう言うと立ち上がり敵を見た。
ダイヤとライラが敵をホテルから遠ざけるように戦っていた。
「あー、もうちょっと休みたいけど・・・そうも言ってられないか」
骨が折れてないか確認しながら敵の方へ飛んでいった。

「ダイヤ!ステス!」
ライラが叫んだ。そしてライラは敵に突っ込んで行きながら右手に水を作った。
「わかった!」「うん!」
ダイヤとステスがうなずきながら後退する。
「ジェット・スチーム!」
ライラの右手にあった水が霧状になり、敵の視界を遮った。遮った瞬間、その水分1つ1つが爆発した。
「っ!?」
敵がダメージを負ったようだった。
そこへダイヤが一直線に炎の光線のようなものを打ち込んだ。
「劫尽火にはこんな使い方だってあるんだっ」
ダイヤがそう言った。
「こんにゃろ、どうだ!?」
霧の水分が全部爆発を終え、ダイヤの炎も消えた。そこへ上空にいたステスが体から光を発した。それは太陽のように見ることのできないほどの光だった。
「重光!」
太陽のように光っていたステスから光線が出てきた。
敵に直撃だった。血を吐いたようにダイヤは見えた。
「もう一押しだ」
ダイヤがそう言い、セイルを見た。
「雷柱!」
セイルが叫んだ。ありったけの力を使い、雷を落とした。雷は敵に寸分の狂いなく当たった。
「これでどうだ!?さっきの借りは返したぞ!」
「セイル、大丈夫?」
ダイヤが聞いた。
「ん?これくらいいつもの事だろ」
「いや、そうだけど、雷柱を1日に2回使ったの初めてじゃない?」
ダイヤが聞いた。
「まぁ、そうだけど、今までセーブしてたわけじゃねーから」
「そうなんだ。ま、今はその話は置いといて・・・」
地面まで落ちていった敵を4人は見ていた。
ドサ・・・。地面に落ちた音がした。
「やっと勝ったか?」
セイルが呟いた。その瞬間、空気が揺れた。
「まだ攻撃してくる!?」
ステスが言った。
「そうみたいだ。僕が隙を作るから、みんな最大レベルの攻撃打っちゃって。僕を巻き込むつもりで。僕はスピードには自信あるから避けれるからさ」
ダイヤは一気にそう話すと地面にいる敵まっしぐらに飛んだ。
さて、どうやって隙を作るかな。ぶっちゃけ、何も考えてないんだけどね。ダイヤはそう心のなかで呟いた。敵は本気になったのか、振動はいっそう増す。
「グリーンライド!」
ダイヤの右手から無数の小さな炎が出て、敵の周り半径10メートルほどを覆った。
「さあ、逃げ場はないぞ?」
ダイヤが敵の前に立ち、ニヤリと笑った。
「逃げるつもりはない。我はレート。お前らの力量を測るために存在する。我に逃げるという思考回路は存在しない」
敵がやっと言葉を発した。
「僕らの?なんで僕らの力量を知る必要がある?」
ダイヤが問う。
「リバーサイト。お前はあの銀行強盗の犯人ではない。それを確信するためでもある。我を殺せばお前は無実。だが、殺人罪だ。我は能力者ではない」
「よくわかんないや。取り敢えず、今は君を倒すよ。後で話を聞かせてもらおうか」
ダイヤは会話を伸ばしながら時間を稼いでいた。セイル、ライラ、ステスに最大の攻撃を溜めるだけの時間を。
「お前らにそれは不可能だ。我は能力者ではないのだ。いずれ、解るときが来るだろう。今は我と戦え。そして、我を倒すか、我に倒されるんだ」
「だからわかんないって。君は組織の一員って事で、僕らを試してるって事?」
「我は内部事情を話しすぎた。もう話せない。12人の希望を探すだけだ。いずれ、お前らは日本という国にいけばいい。そこにすべてがある。もう話す事はない。上空の3人にいっせいに攻撃させろ。絶望を見せてやる」
「ふーん。ま、いいや」
ダイヤの右手に炎が渦巻く。
「悪いけど、君の組織、理解できない。もし、人道的におかしい組織なら潰させてもらう」
ドドドドドドドドドドドドーン!!!
そう言った後、さきほどのグリーンライドがいっせいに爆発した。上空の3人にはレートが一瞬ひるんだように見えた。
「いくぞ!」
セイルの掛け声でいっせいに攻撃を開始した。
「雷轟!」「コードクラッシュ!」「サンロード!」
轟音と共に雷がセイルの腕から放出された。それは辺りに放電しながら敵を射抜いた。そして、レートの周りの空気が薄くなり、水分が宙を舞った。舞った瞬間にそれらがレートにまとわり付き、爆発した。最後に、ステスから放たれた無数の光の矢が他方行からレートを襲った。その攻撃が終わり、レートの体からは煙が出ていた。ピクリとレートの体が動いた。
「ジャベリン・アロー!」
ダイヤが両腕を前へ出し胸の高さで手を重ね、合わせた。そこから一直線の炎がレートに向かって放たれた。レートに攻撃が当たると、炎は爆発し、レートの体を吹っ飛ばした。
「まだやるなら、もう手加減はしないけど?」
ダイヤが吹っ飛んだレートに向かって少し大きめに言った。
「ふふふ。“12人”風情が加減と言ったか。まぁ、いいだろう」
レートはそう言うとムクりと立ち上がった。体中から血が垂れていた。おそらく骨もだいぶ折れているだろう。足の骨も折れている。明らかにおかしな方向に曲がっている。
「おい、無理すんな。一生病院暮らししたいのか?」
セイルがダイヤのそばに下りてきて言った。ライラ、ステスも下りてきた。
「我は不滅」
レートはそう言うとダイヤたちを睨んだ。睨んだだけなのに、ダイヤたちは吹っ飛ばされた。しかも半端ない距離飛ばされた。おそらく50メートルほどだろうか。ライラとステスは気絶してしまった。このままでは危ないくらいの出欠量だ。セイルは上手く受身をとったものの、衝撃が強すぎたため、腕の骨が折れたようだった。ダイヤはレートに一番近くにいたため、一番遠くまで飛ばされた。そして、頭を打ち、足を打ち、そこで着地できればまだマシだったのだが、やはり衝撃が強かったためバランスを崩し思わず地面に出してしまった左手が折れたようだった。
「・・・いって・・・」
ダイヤが血を吐いた。
「内臓もやられた・・・か?衝撃波の能力・・・?」
苦しそうに呟いた。
「否。我は能力者ではない。お前らの能力は見せてもらった。女はもう用はない。ここで死んでもらう」
レートが言った。
「ちょ、ちょっと待てよ!」
ダイヤが立ち上がろうとする。しかし、痛みのあまり体が動かない。
「待てって言ってんだろ!」
ダイヤが叫んだ。ダイヤは立っていた。骨の折れた箇所に炎を纏っていた。まるで包帯をしているかのように。そして、体ではなく、炎を動かす事で体を動かしていた。
「そんな体では我には勝てまい」
レートが言う。
「やってみなきゃわかんないさ」
ダイヤの頭から血が流れ、目に入った。ダイヤが目を閉じた瞬間、また衝撃波のようなもので吹っ飛ばされた。今度は先ほどより威力は弱いらしく、5メートルほどしか吹っ飛ばされなかった。それでもダイヤは体が反応せずに地面に叩きつけられたのでまた骨が折れたようだった。
「もうお前は限界だ。女を殺したら我は去る。今度会う時にはもう少しマシになれ」
そう言いながらライラ、ステスに近づく。
「だから、待てって言ってんだろうが!劫尽火!!」
ありったけの力を振り絞ってダイヤが炎を放った。その時、ダイヤの瞳が黒から赤に変わっていた。本人は気づいていなかった。
「その目は・・・」
レートが反応した。そのためか、攻撃を避けれず、直撃した。そして、今回の攻撃はレートに大ダメージを与えた。左の体半分が灰になった。
「くっ・・・」
血が噴き出した。
「いいだろう。これだけの力があれば」
レートはそう言うと灰になった体が回復した。心臓辺りから体が湧き出たように見えた。そして、元の体に戻った。そして、ライラに右手を向けた。
「こいつはここで終わりだ」
「だか、ら・・・」
ダイヤは気を失いそうになっていた。血を流しすぎていたからだった。その時
「動くな!」
という女性の声が聞こえた。
レートの動きが一瞬止まった。ダイヤの横を突風が吹いたと思うと、レートは100メートルほど吹っ飛んでいた。レートが居た場所にいたのは赤く長い髪の女性だった。かなり目立つ格好をしていた。真っ黒のロングコートを左手に持っていた。
「ちょっと待ってな」
その女性はそう言うと徐々に下に落ちていき、レートが吹っ飛んだ場所まで目にも止まらぬ速さで突っ込んでいった。

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「TWELVE」〜12人〜3

小説の続きです。誤字脱字あったら言ってください。今回大量に載せてしまい、ごめんなさいw



暗い街。街灯を粉々に砕いてしまったせいで、真っ暗だった。それでも男は道が解るかのように目的地目指して歩いていった。途中、近所に住んでいるおばさんに話しかけられた。
「あら、あなた。旅人?こんな夜にどうしたの?もし泊まる場所がないのならうちに泊まりますか?」
男はそのおばさんを見て、顔付近に手を向けた。空気が振動した。おばさんの顔は吹き飛んでいた。辺りに血が噴き出す。真っ暗で見えはしないが、どす黒く真っ赤な血が当たり一面に飛び散っているのであろう。話しかけたおばさんは死んでいた。男は再び歩き始めた。


ダイヤとライラは昔話をお互いにしながら夜の街を歩いていた。すると街灯が全く点いていない通りに着いた。
「ん?街灯・・・が?」
ダイヤが気付いた。
「・・・ないわね。あ!ちょっと、ダイヤ君、こっちきて炎かざしてみて」
ダイヤが駆け寄り右手を皿のようにし、その上に炎を灯した。
「街灯が壊れて・・・壊されてる?」
「そうみたいだわ。ここの道一帯の街灯・・・これって・・・この能力って、“12人”だわ!」
「え!?知ってるんですか!?」
「前に戦ったわ。強すぎた。ステスと私はなんとか逃げ切ったってところね」
「そいつの狙いは・・・僕ら・・・か?」
「あいつは強い奴を倒したいだけなのよ!ステスとセイル君が危ない!戻らなきゃ!」
2人は急いで飛んで行った。


川が流れていた。紅葉が始まり、木の葉が綺麗に色づいてきていた。川の端に大きな岩がたくさんある。そこをライラとステスが上流に向かって軽々とジャンプして登っていった。2人は黒いコートにやや大きめのバッグを背負っている。
「山を登るのはやっぱり川を登るのが楽よね〜」
ステスが言った。
「そうね。障害物も殆ど無いし。まぁ、飛んで行けばもっと早いけどね」
笑いながらライラが返した。
「どこでも飛べたら良いんだけどね」
「人に見付かるわけにいかないって不便よね」
そんなやり取りをしながら“不死”と呼ばれる山を登っていった。その山は標高5000メートル近くあり、能力者の研究、実験がされているのではないかという情報を聞きつけた。不死と言うのは迷信だが、そこは自殺者が多く訪れる場所であった。自殺者ならば、研究、実験に使おうが身元がバレたり、捜索願がすぐに出されたりという事が少ないので、能力者作成の材料に使われているのではないかと考えた。だから2人は行ってみる事にした。
1時間程で半分くらい登り終えた。そこで昼食にすることにした。持参したカロリーメイトをバッグから出し、ステスが薪を光の熱で燃やし、お湯を沸かしてお茶を入れた。水はライラが川の水を必要なだけ蒸発させ、それをまた水に戻した。そうすることでろ過の必要がなくなった。ティーパックは持参していた。ライラは、アップルティー、レモンティー、グリーンティーのどれかで迷い、アップルティーにした。
カップは、ライラが蒸発させた水を元にもどし、凍らせ、カップの形にした。それを永遠と氷のままであり続けるためにライラは少しずつ能力を使って原型維持させた。暑いお茶をいれても凍りは溶けなかった。正確には溶けてはいるが、ライラの微細なコントロールのおかげで溶けてもすぐに修復されていた。カロリーメイトを食べ終え、そろそろ出発しようかと言う時、2人が座っていた岩の隣のかなり大きな岩が粉々に吹っ飛んだ。
2人は荷物を安全な場所に置き、身を低くし、相手を探した。
「並大抵の能力者じゃないわ」
ライラが低く言った。
「もしかすると“12人”かもって?」
「ええ。気配に気付かなかった。ただの能力者なら私の100メートル付近に近づけば気付くはずなのに」
「なるほど・・・」
ステスが答えたのとほぼ同時にさっきまで2人が座っていた岩が吹っ飛んだ。2人はその岩の陰に隠れていたので、急いで2手に別れ体制を低くし走った。

ステスは敵を見つけた。右手に大きな玉らしきものを持っているように見えた。そこだけ時空が歪んでいるかのようにふにゃっと曲がって見えた。直径40センチはあろうかというその玉を今まさにライラに向かって投げ込もうとしていた。ライラは気付いているのだろうか?気付いていなかった場合、これが当たると生死に関わるであろう。とにかく、攻撃を止めなければ。と瞬時に考え、敵の男に光線を放った。ステスの光線は男の左わき腹に当たった。が、コートの周りに歪みができただけで、光線は弾け飛んでしまった。身に能力を纏っているのだとステスは思った。が、これでライラは気付いただろう。あとはコンビネーションプレイで倒せると思った。

ライラはステスと別れてすぐに男を見付けていた。徐々に大きくなるその歪んだ玉をくらったらひとたまりも無いと思い、男の動きを拘束した。足を氷で固め、動けなくした。徐々に氷の量、威力を強めていけば、完全に動けなくできるだろうと考えた。動くのならば、今男の右手にある玉で氷を砕いてからであろう。そしてその時が攻撃の好機であると核心していた。そこに光線が飛んできた。ステスのだと気付いた。ステスは男の足を私が止めていることを知らない。どうにかして男までの距離を2人で縮め、攻撃をするのがベストだが・・・と考えていた。

男は右手を真上に上げた。そして自分の足元に振り下ろした。ライラはチャンスとばかりに急接近した。男の足にあった氷が砕け散った。男の足から血が少し出たのが解る。しかし、一瞬、動きが止まった。動けなくなった。スローモーションのように、足が上がらない。それが本当に一瞬の出来事だった。

ステスは体制を低くし、男の後ろに回った。そこからは足元が見えた。足元は凍っていた。ライラだ。と解り、ライラのしようとしていることが解った気がした。それと同時にステスが悟った通り、男が足の氷を能力で砕いた。ステスは走り出した。

ズン!
辺り一面が何も無くなった。木も、岩も、草も水も。水は吹き飛び、雨のように降り出した。川だけがまた同じように流れ始めた。
ステスは衝撃波をくらい20メートルくらい吹き飛ばされていた。頭から血が垂れ落ちるのが解った。骨も何本か折れているようだ。まともに動けない。気を失いそうだった。
ライラは15メートルほど吹き飛ばされた。左側面を強打し、少し吐いた。血がたくさん出てきた。肋骨が折れているのが解った。辛うじて利き手の右だけ助かったのは幸運だと思わざるを得ないくらいの衝撃だった。ステスを探す。見つけると、男が近づいているのが解った。助けなきゃ、と思い。氷で骨折した部分を覆い、出血した部分も覆い、ステスへと飛んだ。男の前に立ち、
「フリーズ・ワン」
と弱々しく言った。地面が当たり一面凍った。ステスを抱きかかえ、宙へと飛んだ。男がそれを見ている。男はまた衝撃波を撃とうとしていた。ライラは急いで、
「リフリーズ!」
と、叫んだ。凍っていた地面が爆発した。氷からいきなり水蒸気に戻され、空間が膨張した。その爆風に乗って、ライラは荷物のところまで戻り、荷物を持って能力の限り、飛んだ。そしてなんとか逃げ切った。

「TWELVE」〜12人〜2

小説の続きです。誤字脱字あったら言ってください。


夜の街。ある男は真っ白なコートを着て歩いていた。街は殆どの街灯が点いているのにも関わらず、真っ暗だった。街灯の周りに羽虫が飛んでいた。男が手を前に差し出した。そして次の瞬間、空間が揺れた。男の手から衝撃波が生まれ、男の居る道の街灯を粉々に砕いていく。周りを飛んでいた羽虫は無残にも跡形も無い。30メートルくらい先の街灯にカブトムシがよろよろと飛んでいた。すぐさまそこを去ろうかというように飛んでいる。男は舌なめずりをし、銃を抜いた。狙いを定め、発砲するまでに1秒もかからなかった。コンマ単位だろう。カブトムシは粉々に砕け散り、弾はそのまま遠くに飛んで行った。男は銃に弾を補充し、しまった。そして真っ暗な街の中を歩いていった。

とある真昼の浜辺。太陽はちょうど真上にきている頃、2人の女性が大勢の男たちに囲まれていた。男たちは20人〜30人はいると思われる。男たちのリーダー格であろう男が口を開いた。
「金目のものを出しな。命までは取りはしねぇ」
ショートカットの女性がため息をついた。男は、
「あぁ?なんだ、そのため息は!?」
と、ため息をついた女性の胸倉を掴んだ。ショートカットの女性はその手をかなりの力で払いのけた。そして、
「無益な殺生はしたくありません。どうか立ち去ってください」
と、言った。
「ライラ・・・もう、いいじゃない。こんな人たち・・・」
もう1人の長髪の女性が言った。
「んだと?」
どこからか怒った声が聞こえる。
「おう。もういい。シメろ」
リーダー格の男が言った。その途端男たちが剣や銃を抜いた。またもやショートカットの女性はため息をついた。そして、しゃがみ、地面に手をついた。長髪の女性がジャンプし、手を上に上げた瞬間、地面が凍りついた。そして、長髪の女性の手の先からは太陽よりも眩しい光の矢が無数放たれた。男たちは全員凍り付き、そして全員矢によって破壊された。
その破壊された破片の中から泡を吹いたモノがあった。それは泡を吹いたかと思うと、まとまっていき、形を成した。だんだんと変形していき、最後にはリーダー格の男の姿になっていた。
「ふふふ。俺は死なないんだよ!」
男が言い放った。その瞬間、ショートカットのライラと呼ばれた女性の右キックが顔面に当たった。その反動で男は吹っ飛んだ。いつの間にか10メートルくらい上空にいた長髪の女性、ステスの手に光り輝く大きな槍があった。モリにも見えるその槍をステスは男に向かって投げた。男は素早く反応し身体を反らした。それでも槍は左腕を貫いた。左腕は消え去ったが、すぐさま再生した。男は体制を立て直し、両腕を広げた。男の胸のあたりに氷の塊ができた。
「お前の能力も氷なんだろ!?」
ライラに向かって男はそう叫び、その氷の塊を尖った無数の針上にした。男が腕を前に振り下ろした瞬間、無数の針が2人目掛けて飛んで行った。ライラは手を前に、ステスは微動だにしなかった。
ライラに向かって行った針はライラに近づくと溶けて蒸発した。ステスに向かった針はステスから発せられた瞬間的な光によって弾かれた。
「なっ!?お前は氷使いじゃないのか?」
男がそういうと、ライラは、
「そうよ」
と、短く言うと男を指差した。男は意味も解らず、立ち尽くしていた。立ち尽くすとは言え、ほんの1、2秒だった。男の後ろ、つまりライラが指差す先に1センチほどの水滴が浮いていた。ステスは何もせず、見ている。
「ドン」
ライラがそう言った瞬間、男の後ろの水滴が爆発した。水の状態からいっきに水蒸気の状態にもどされた、というべきであろうか。その衝撃が爆発したように感じるのである。そしてその衝撃は爆発そのものだった。男の上半身は消えていた。そして黒く赤い血が噴き出していた。
「あと、何回再生するかしら?」
ステスが言った。
「どうだろう・・・」
男の身体は再生した。
「お前の能力はよく解らないな」
男は再生された身体の動きを確かめながら言った。
「あなたがお馬鹿さんだからよ」
ライラが言った。
「お前らはその馬鹿に殺されるんだよ。能力を奪われてな!」
男が剣を振りかざし向かってきた。ライラとステスは顔を見合わせ、頷いた。物凄い蒸気と、ものすごい光が生まれた。そして、ものすごい爆音も。

数秒後、砂浜はどす黒い赤に染まっていた。
「これじゃ、街の人たちに迷惑ね」
ライラが言った。そして手を少し前にだし、男たちの死体を“蒸発”させた。そして水を大量に“作り”、砂浜に雨のように降らせた。血は海に流れていった。
「ライラのその能力、状態変化・・・いいよね」
ステスが言った。
「でも、状態を変化させようとする固体、液体、気体、全ての元素、分子配列を頭に入れておかなくちゃできないのよ・・・。だから知らないモノには何もできないの。水が使いやすくていいのよね。私が理系で良かったわ」

同じく夏。2時くらいだろうか。あまり発展はしていない田舎街。心地良い空気が待ちに住まう。空は少し雲があるが、雲さえも関係ないくらい強い日差し。そして蒸し暑い。湿度はかなりあるようだった。
夕方には夕立がありそうな予感がしていたダイヤは早いとこホテルに戻ろうとしていた。雨は炎の威力をかなり弱めるので、嫌いだった。それだけの理由ではないが、ともかくダイヤは嫌いだった。
汗が垂れる。ダイヤはTシャツにジーンズというラフな格好だった。右腿にはリボルバーが1丁ホルダーに収まっていた。冬ならば服に隠せるものの、夏は仕方なかった。そして足首に弾を入れるホルダーがあるが、これはジーンズで隠れていた。
道には前から向かってくる男が1人だけ居た。男はこのクソ暑い夏だというのにロングコートを着ていた。目に入った瞬間からダイヤは怪しいなと思っていた。そしておそらく能力者であろうと思っていた。が、“12人”ではないだろうと考えていた。周りに人が居ないことを確認しながら、住人に見られていないかを確認しながらダイヤは歩いていった。
男とすれ違う瞬間、風を感じた。すれ違った瞬間、ダイヤはしゃがんだ。男は銃を抜いてダイヤの頭があった場所に2発撃っていた。すかさず、ダイヤは飛んだ。ここで戦っては民家に被害が大きすぎる。そして、“12人”や能力者の事が国や政府に自分のせいで知れるわけにはいかなかった。
後ろを見ると男も追ってきていた。男のほうがやや早い感じだった。スピードを上げ、飛んだ。
木が多い公園を見つけた。この時間、誰も居なかった。民家は遠いところにあるので、被害は無いだろう。ダイヤはそこに着地した。
「やっと観念したか」
男が言った。
「・・・」
男が銃を向けた。ダイヤは動かなかった。男はダイヤの胸目掛けて1発撃った。銃声が聞こえた瞬間、ダイヤは男の背後に回り、炎を纏ったパンチを繰り出した。が、男の身体を風が纏っているため、炎は掻き消され、パンチは届かず、ダイヤは跳ね飛ばされてしまった。
「あんたは風使いってとこか?」
「ふん。この湿度、しかも俺の風があったらお前は炎を出せないな」
男があざ笑うかのように言った。
「しかも、俺はわざと湿度が多い空気を取り寄せてこの辺一帯に渦巻かせてるんだ。お前に勝ち目はない」
気持ちの悪い笑みを浮かべた。
「へー」
ダイヤが素っ気無く言う。
「早いとこ楽になれ!」
男がそう叫び、ダイヤに向かって突風が吹いた。ダイヤは体制を低くした。ダイヤの横にあった木は吹き飛んだ。男が瞬きをした瞬間、ダイヤは消えた。消えたというのは男から見て消えたように見えただけである。ダイヤは男の真上に居た。
「劫尽火!」
男に攻撃をした。男は風を上手く使い劫尽火の威力を半減させ、自らを風で吹き飛ばし直撃を避けた。攻撃は男の左肩にかすっただけだった。ダイヤの右腕は威力を失わないまま地面に落ちた。地面は瞬く間に燃え、灰と化した。着地してすぐにダイヤは男に向かって走って行った。今度は炎ではなく、右腿にあるリボルバーを抜いた。そして撃った。男は走りながら直撃してくる弾を弾き飛ばし、かわしていった。
6発撃ち終わると、ダイヤは弾を入れて、また撃った。当たらずとも撃ちまくった。12発撃ったところでダイヤは止まった。そして、地面に手をつき、
「グラウンド・ゼロ」
と、呟いた。
「あ?」
男が言った。 
「なんだ、それは?攻撃か?降参のポーズか?」
男が笑いながら聞いた。ダイヤは顔を上げ、男を見ながら言った。
「おじさん。降参するなら今のうちだよ」
「あ?降参するわけねぇだろ。今現在俺が勝ってるだろ!」
「あそ。じゃあいいや」
ダイヤは立ち上がり、
「劫尽火」
と、言い腕を男に向け、拳を握り締めた。手に炎が纏い、大きくなっていった。その炎は男の操る風にゆらゆら揺れながら、顔と同じくらいの大きさになった。そしてそれをダイヤは男に向かって放なった。正確には男の足元に、だ。
「無駄さ!俺には風がある!しかもこの湿度だ。お前の炎なんて屁でもねぇぞ!」
と男はジャンプし、炎をかわした。炎は男がいたところ付近に落ちた。そして爆発した。男の足元付近には銃弾の火薬が大量に振り撒かれてあった。ダイヤが無駄に撃ちまくっていたのは銃弾を目立たせなくするためだった。大量の火薬は男に大打撃を与えた。男が地面に落ちた。泡が出てきて再生した。
「やっぱり能力者ですか。“12人”ではないのですね。なら、ここであなたを倒します」
ダイヤはそう言った。
「くそ!油断した。銃弾の火薬を使うとはせこい真似しやがって!が、まだ俺に有利なのは変わらないぞ!この湿度じゃお前の炎では死なない」
「じゃあなんでさっきの爆発はそれなりに高く飛んだあなたまで大打撃をうけたんでしょうね?」
ダイヤが言った。言い終わると男に向かって走った。
「劫尽火!」
ズドン!男が灰になった。そして再生した。再生しきる前に
「劫尽火!」
と、またダイヤが攻撃した。
「くっ!・・・そうか、さっきの“グラウンド・ゼロ”ってのは湿度をなくす技だったのか・・・」
「劫尽火!」
「・・・っ!」
「劫尽火!」
このやり取りが10回以上続いた。男の再生が極端に遅くなった。
「もう終わりです」
ダイヤが言った。そして右腕を肩から直角に伸ばした。手には特大の炎が渦巻いていた。
「劫尽火!」
男は灰になり、もう再生することはなかった。

「TWELVE」〜12人〜1

〜12人〜

「♪♪♪♪〜♪」
ある男のケータイの着メロが流れた。その男はケータイをジーンズの後ろの右ポケットから出し、通話した。
「…ああ。これからそこに行くよ」
それだけ言うと電話を切り、もとの場所に戻した。その男は18歳に届くか届かないくらいの年齢、髪は長めで右目がすっぽり隠れてしまっている。髪を分けているおかげで左目は隠れていなかった。耳はすっぽりと隠れていて、もみあげはさらに長い。後ろ髪は言うまでもなく長い。服装はジーンズにロンT、ジャケットだ。靴はコンバースだった。その男は田舎街を川伝いに歩いていた。この川をもう少し行ったところのカフェにて先ほどの電話相手、セイルと待ち合わせと言うことに先ほどの電話で決まった。
カフェに入るとセイルがいた。セイルは眉毛ら辺まで伸びた前髪、耳に少し被るか被らないか程度の長さの髪に右目にモノクルをしていた。服装は黒のジャケットに黒いデニム、黒い革靴という髪から靴まで黒一色だった。
「おお!ダイヤ!こっちだ」
ダイヤと呼ばれた男はセイルの横のカウンターに座った。
「で、ボクの名前はどうだった?」
ダイヤが聞いた。
「“リバーサイト”までは知られてないようだぜ。ダイヤ・リバーサイト。久しぶりにお前のフルネーム聞いたな」
セイルがコーヒーお代わり、とオーナーに言いながら話す。オーナーがダイヤに
「お客様は何になさいますか?」
と尋ねた。
「じゃあ、紅茶で。ストレート」
そう告げるとダイヤとセイルは2人で話し始めた。

「安く泊まれるホテル探すかー」
ダイヤが独り言のように呟いた。
「そうだね。オレらのような旅人を安く泊めてくれるところなんかあるのかね。正体知ったら街から追い出されるな」
セイルが苦笑いを浮かべながら呟いた。
お金を払い、カフェから出ると、もう日が陰ってきていた。
「やばっ!早く探さないと」
セイルが言った。ダイヤは遠く林のほうを見ていた。
「どった?」
セイルが聞いた。
「ホテル見付かったら電話して。僕ちょっと気になる事が…」
ダイヤは小走りに走って行った。
「はぁ…。まぁ、確かにその林には能力者が数人いるけどさ。わざわざ出向いてやることねーだろ…」
セイルが独り言を言いながらダイヤとは反対方向に歩き出した。

ダイヤは周りに人が居ない事を確認すると、膝から下に炎を纏った。そしてジャンプしたかと思うと、着地はせず、炎の威力を上げ空に飛んで行った。宙を飛びながらダイヤが目を細めて先を見ているとズガンと音がした。その瞬間ダイヤに向かって鉛の弾が飛んできた。すかさずダイヤは回避し、地面に下りた。弾を撃った人間とはまだ遠いようだった。

林の中の道を歩く2人組がいた。長く黒いコートを羽織っていた。フードは被っているため性別、年齢などはよく解らない。しかし相当若いようではあった。
「もう日が陰ってきたわね」
1人がフードを取りながら言った。10代後半といったところだろうか。灰色の髪をショートカットにしていた。目も髪と同じく灰色だった。
「そうね。今日はすぐそこの街に泊まる事になりそうだわ」
そう言うとフードを取った。髪は腰辺りまであり、茶髪だった。目は黒で肌はかなり白く、こちらも10代後半くらいの女性だった。
「ねぇ、ライラ…止まって!」
ズガン。
長髪の女が言った直後に銃声らしきものの音が聞こえた。
「ステス!」
2人は低くしゃがみ、木の影に隠れた。
「ライラ、居場所…解る?」
ステスがライラに言った。
「解らない…私たちを狙ってる訳ではないみたい…」
「じゃあ誰を狙って…?ただの猟とか?」

「…!」
ライラが顔を上げた。
「どした?解った?」
ステスが聞く。
「能力者…1人。きっと“12人”の1人だわ」
ステスの顔が曇った。
「リバーサイトだと良いけど…」

ダイヤは身を低くしながら林の中を走った。銃声のした位置はだいたい解っていたものの、もう撃った本人は移動している可能性がある。
「僕の能力って林の中じゃ遠距離で使えないのが難点だな」
と一人呟いた。木の影に隠れ、そっと辺りを見渡す。すぐ近くに誰かがいる気配はなかった。
「♪♪♪♪〜♪」
いきなりダイヤのケータイが鳴った。
「うぉ!?…っと」
ダイヤは驚きながらすぐに電話に出て低い姿勢で移動した。
「なんだよ、セイル。場所がバレちゃうだろ」
「いや、オレは今雲にいる。ダイヤ、3時の方向に女が2人と4時の方向に銃を持った…男だな。男が3人、援護はするさ」
「サンキュー。電話切るよ」
「おう」
ダイヤは電話を切り、ケータイをしまった。上空を見上げ、目を細めた。雨雲の中に点が見えた。きっとセイルだなと、思った。
「んっと、3時と4時ね…」
そう呟き、小走りに近づいて行った。

チャキ、と音がしたと思うと
「動くな。」
と声がした。ステスの頭に銃を突き付けた長髪の男が言った。ライラも同じように銃を頭に突き付けられていた。そして林の中からもう1人男が出てきた。そして銃を突き付けながら2人に聞いた。
「おい。こいつらだけか?」
「はい」
長髪の男が答えた。
「なんだ。こんな女でも能力者なのか」
と言った。その時、林の中から足音が聞こえた。と、思うと
「刧尽火!」
と声が聞こえライラとステスに銃を突き付けている男が吹っ飛んだ。そして燃え、灰になった。ライラとステスと残った男の間にダイヤが立っていた。
「頭上注意。なんてね」
ダイヤが笑顔で言った。
「は?」
男がそう聞き返し銃を抜いた瞬間、ドンと音がし、雲から淡く青い光の柱が落ちてきた。雷だった。男は煙を出しながらその場に倒れた。
「大丈夫ですか?」
と、ダイヤが振り向きながら2人に話し掛けた。
「あなた…能力者?雲の中にいる人も?」
ステスが聞いた。
「その事知ってるって事は、君達は関係者ですか?」
「能力者よ。2人とも」
ライラがすぐに答えた。
「♪♪♪〜♪」
ダイヤのケータイが鳴った。ちょっと失礼、と言いながら電話に出た。
「セイル、能力者だよ。他に敵は?…解った」
それだけ言うと電話を切った。
「上の雷の人、セイルって言うんだ?」
ステスが聞いた。
「うん。僕はダイヤ。よろしくね」
「私はステス、こっちはライラ。こちらこそ、よろしく」
そう言うと、先にホテルに戻ったセイルのところに行って情報交換をしよう、とダイヤが提案し、ステスとライラはそれに賛成した。3人はセイルの居るホテルまで歩いて行った。

3ヵ月前。セイルとダイヤある街で休養していた。朝、ダイヤはホテルで新聞を読みながらコーヒーを飲んでいて凄い記事を見付けてしまった。驚きのあまり、急いでセイルのところに新聞を持って行った。

銀行強盗ビル燃やす!
昨夜、***銀行に強盗が3人押し入り、有り金全てを出せと人質に銃を向け要求。支店長は仕方なく金を渡されたバッグに入れ強盗に渡すと強盗は出口付近まで行き、そこで左手を上げたかと思うといきなり光り出した。防犯ビデオにはここまでしか映っておらず、現場のビルは燃えてしまい、鉄筋すら溶かしてしまっていた。ビデオに音声が録音されていて、それによると犯人グループの1人はリバーサイトと名乗っていると判明。警察はこのリバーサイトという男が何らかの関係があるとして行方を追っている。

「…僕が銀行強盗だってよ」
ダイヤが苦笑いしながら言った。
「ダイヤを知ってる人間か…。ダイヤが死んで都合の良い人間、もしくは探している人間ってとこか?」
「かもね。やれやれだ。僕はしばらくサインできないね」
苦笑いしながら呟いた。
「ビルが燃える程っつー事は能力者か?燃える能力ってなると何だ?炎はお前、他に…?」
セイルがダイヤを見る。
「んー。まぁ、僕らが捕まえれば解るよか。きっとね」
「やっぱ捕まえんのか…。面倒だが、“12人”が関わってる可能性あるし、もし能力者だったら警察じゃ手に負えないしな…仕方ないか」
「そゆこと」

セイルがステスとライラに説明した。
「信じてくれとは言わないですけどね」
ダイヤが付け足した。
「よく解ったわ。あなた、賞金首になってたわよ。知ってた?」
ステスが言った。
「やっぱり…。まだ“何らかの関係がある”だけなのに…」
ダイヤが呟いた。
「ま、能力者が集まりやすくなったじゃん」
セイルが楽しそうに言った。
「あー。そうさね…」
ダイヤがダラけながら言った。

ステスとライラもダイヤ達と同じホテルに泊まる事になった。この2人も“12人”だった事が解った。
「この後どーする?」
ダイヤがセイルに聞いた。
「・・・あの2人の出方を見よう。で、オレらはそれに従う」
「あ、やっぱり同じ事考えてたか」
笑いながらダイヤが言った。
「オレはもう寝るよ。久しぶりに“雷柱”使ったから疲れた」
「あいよ。僕は散歩してくるよ」
ダイヤは部屋を出た。久しぶりに安く豪華なホテルに泊まれたなぁ、と思っていた。ダイヤとセイルの部屋は5階だった。ホテルは上から見ると三角形の形をしていて、真ん中にエレベーターホールがあり、それを囲うように部屋があった。1階毎に部屋数は30ほどだろうか。全体的にシックな赤で彩られているホテルで、豪華そうに感じる。そして料理はかなり美味しかった。
エレベーターで1階まで降りるとロビーにライラが居た。コートは着ていなかった。ジャケットにジーンズというラフな格好だった。ライラは1人で新聞を読んでいた。
「なんか面白い記事でもありました?」
ダイヤが聞いた。
「あなたの記事くらいかな」
ライラは少し笑いながら言った。
「あとは、能力者関係もないみたい」
「そっか。僕これから散歩行くけど、どお?」
「うーん・・・そうね。ご一緒させてもらうわ」
そして2人は外に出た。

「TWELVE」

この前書いたように、小説を載せていきます。誤字脱字あったら言ってください。


TWELVE



〜プロローグ〜

ある無人島と呼ばれる島に研究所があった。その研究所は島の地下にあり、見た目はただの無人島にしか見えなかった。誰もが無人島と認識していた。

そこにはビーカーに人のような腕や、頭、足、脳みそ、眼など色んな人を成す部品が入っていた。廊下のところどころには赤くべったりとしたものがへばりついていた。誰も掃除はしていないようだった。その研究所に人が1人いた。その人は頭がなかった。首から下だけがあり、そして首から下はプレスされたように押し潰されていた。もう性別も年齢も解らない。ただ、その人が死んでいて、殺されたというのは明確だった。そして殺されたのは最近のようだ。

机の上のメモに走り書きがあった。
「13人目、アンノウンは4人目と対極に在る」
と。

〜脱走〜

とある国の軍に、軍の上層部しか存在の知り得ない研究があった。その国には能力者と呼ばれる人間が2人いた。その2人を軍事的に“利用”しようという研究だった。その国は他の国に比べ、発展していて、医療技術や機械技術も優れていた。飢えで苦しむという事さえ、民間人は知っていないかのようだった。が、軍の施設の中で、飢えで苦しみ、精神的に追いやられている人が2人いた。その2人とは能力者の事だった。

牢屋のように冷たい部屋に2人はいた。痩せ細り、寒さで震えていた。その部屋は全体的に灰色をしていて、1時間もそこにいれば気が狂ってしまいそうな場所だった。2人は10年以上前からそこに監禁され、実験されていた。
1人は「光」を生み出せる能力者だった。光を凝縮すれば、レーザーメスのような光線になり、光を瞬間的に爆発させるかのように発すれば、周りのものを瞬時に粉々にし、消え去らせるほどの爆弾になった。
 もう1人は物の状態を「気体」、「液体」、「固体」へと自由に変化させる事ができた。例えば、水。コップに入っている水を気体にして飛ばし、空中で液体に戻す。そしてそれを一瞬で気体に戻すと空気が爆発したかのようなすさまじい破壊力をもつ。
 
 2人に能力が備わっていると軍が気付いたとき、アジアのとある島国の無人島で大爆発があった。火山の噴火か、とも思われるようなすさまじい爆発で、その後、実際に火山も噴火した。ただの火山噴火ではないと専門家が気付いたのは、その無人島にある山がなくなっていたからだった。なくなっていたというのは、跡形も無く、吹き飛んでいた。というのが正しいだろう。その無人島から近い場所には島が粉々に吹き飛んだという事を現すかのように岩や砂、土の破片が降っていた。3時間近く降り続いたそれらが止んだ後、その無人島の上空で何か光る物体が浮かんでいるとの目撃情報があった。マスコミはそれを無視したが、2人を監禁し、実験している軍はそれを能力者関係だと気付いた。そして、すぐに調査団を送った。そこで見付かったものは、首のない死体と走り書きされたメモだった。メモの内容から、能力者は2人だけで無いことに気付いた。そして、是非とも手に入れたいと思うようになった。

 陽が差し込み、牢屋の中が少し赤く染まっていた。2人は1日でこの時間が1番好きだった。お互いによく話をした。今日はこんな事をやらされた。とか、能力を使ってこういう事ができるようになった。や、こういたらもっといいのではないか。など。今日も2人はそんな話をしていた。唯一、自由の時間だった。6畳ほどの汚く狭い部屋だったが、2人は外の世界を知らない。その牢屋が2人にとって世界であり、全てだった。そんな時、晩御飯を持ってきた軍の人間が言った。
「遠く離れた島国に、君たちみたいな能力者がいるかもしれないと、上の人たちが言っていたよ」
その人間は40歳を少し過ぎたような男で、2人とよく話をする人間だった。その男はカールという名で、2人の世話係、兼医者だった。その男はその軍の中で1人だけ2人の能力者を可哀想と思う人間だった。能力者の2人には最初名前が無かった。そこで、その男が名前をつけた。光を操る能力者はステスと名づけられた。もう1人の状態変化を操る能力者はライラと。2人は女の子だった。
「そうなんですか・・・。もし、それが能力者だったら捕まえるんですか?」
ステスが聞いた。ライラも興味があるようで、その男を見た。
「そうだね・・・。きっと上の人たちはそういう事にしたいんだろうね」
「そうですか・・・。」「・・・。」
ステスとライラはお互いに顔を見合わせた。カールが出て行くと、2人は壁際に寄り、晩御飯を食べながら、ここを抜け出し、その能力者を探そうという話をした。

 翌朝、ご飯を持ってきたのはカールではなかった。
「カールさんはどうしたんですか?」
ステスが聞いた。ご飯を持ってきた女は、
「あぁ。あいつは昨日死んだよ。いや、殺された。あんたらに他の能力者の事を話したからね。それに、あいつはこの実験のことを世間に公表し、もう止めるべきと言っていたんだ。不安要素は早めに潰しておくべきだろ?」
そう言って女はご飯の乗ったトレーを置き、出て行った。ご飯は2人で食パン1枚だった。

 3日後、ステスとライラは木の下にいた。
「外の世界ってこんなに広いのね!」
ライラが言った。
「この葉っぱみたいな色をきっと緑色って言うのね」
2人は疲れて休んでいた。今まで必死に飛んできたのだった。
「もう追ってこないかな?」
ライラが聞く。
「結構飛んだから、簡単には追いつけないと思うけど、変装しておくべきかもね。せめて服を変えましょう」
「そうね」
2人は立ち上がり、歩き出した。

3日前。パンを食べ終わり、ライラの能力で牢を溶かした。案外牢は脆く、簡単に溶けた。そして長くつめたい廊下を走った。いくつもの牢があり、中には誰もいなかった。ただ、2人がいた牢と違って、壁が赤く染まっていた。陽が差し込んでいるのではなく、それは血だった。少し血のにおいもした。牢が続いていた廊下が終わり、ドアがあった。そこで2人は一度止まり、外の音を聞いた。実験に戦場に行った時の訓練があった。それが幸か不幸かこんなときに役に立つなんて。と、ステスが言い、2人は苦笑いをした。ドアの向こう側には2人見張りがいるようだった。いつも実験室に行く時とは違う道だった。実験室は牢の下の階にあり、もし地下だったら脱出は困難だろうという事で、逆に行くことになった。そして、できるなら金目のものをたくさん奪って行こうと考えた。
 ステスがライラに確認した。ライラは首を縦に降った。ステスがドアをコンコンと2回ノックした。ドアが開いた。見張りの1人が中に入ってきた。2人は能力を使って飛べる事を知っていた。しかし、ステスの能力は光を発してしまうため、ライラに乗ってライラが飛んだ。見張りが奥まで入ってくるとステスがライラから飛び降り、鳩尾に強烈な一発をかました。それは拳に能力を乗せて放つという能力者にしかできない芸当だった。
以前2人は実験過程でそれをやった事があった。戦車に向かってそれを力の限り放つと、戦車は轟音とともに掻き消された。ライラのほうが若干弱かった。
今回は掻き消す必要は無いので、手加減をし、気絶させた。しかし、2人は実戦を知らないので、加減が解らない。もしかしたら、死んでしまったかもしれない。ドサッという音と共に入ってきた1人が倒れた。
「どうした?」
もう1人が入ってきた。すかさず、ライラが空中から能力を乗せた蹴りを決めた。ライラは蹴りに「気体にする」という能力を乗せて放った。入ってきた見張りの男の身体は瞬時に吹っ飛びながら蒸発した。

 2人は軍の司令部らしきところに着いた。そこでラフで、かつ頑丈そうな服に着替えた。そして黒いコートを羽織った。念のため、銃も持った。弾をたくさんホルダーに詰めた。そして、射撃場へと向かった。射撃の訓練は以前やった事があった。カールが特別に教えてくれた。2人は初めてというのに100発100中だった。
射撃場は人がたくさんいた。そして銃の訓練をしていた。
「これは入ったらバレそうね」
ライラが言った。
「うん。止めましょう。ロッカーに行けばお財布というお金を入れるモノがあるかも」
「お財布?・・・それにお金を入れるの?」
ライラはお財布を知らなかった。ステスはライラにお金と財布を説明した。以前、カールが教えてくれたように。カールがステスに教えたとき、ライラは実験室で化学式や元素記号を無理矢理叩き込まれていた。ライラの能力にはある程度、科学知識が必要とされているようだった。

 2人はロッカーに入った。すると話し声が聞こえた。
「・・・かだよな。カールのやつ。あんな化け物たちに勉強教えたり、外の世界のこと教えたり・・・」
「あぁ。それで脱走でもし出したらどうするつもりなんだか。世間が知ったらどうなることか」
「カールは良い見せしめになったよな。あいつも自分が実験体になるとは夢にも思わなかっただろうな」
「新たなアンノウンはカール主体だったらしいぞ。頭がすごい良いらしい。戦場で指揮を取るってよ。死なない隊長さんか」
2人の笑い声と共に聞こえてきた事はステスとライラに衝撃を与えた。ライラは眼の色が変わっていた。普段灰色の眼が、今は青くなっていて、瞳孔が猫のように縦になっていた。
「あなたに任せたわ」
ステスはそう短く言い、ロッカーの中へと走って行った。
するとすぐに、ドン!という音がした。
カールを“良い見せしめ”と言った男の胸から上がなくなっていた。下半身は痙攣しながら液体を噴き出し、そして倒れた。もう1人の男が叫ぼうとした時、喉が破裂した。ヒューヒューという声にならない声が男から発せられた。そして、ドクドクと流れ止まらない喉の傷に手を当て、真っ青な顔をしながらライラを見ていた。
「さようなら」
ライラが短く言ったあと、その男は首だけ蒸発し、首から上が落ちて転がった。
「ライラ!こっちにお金があるわ。なんだか知らないけれど、かなりたくさんあるみたい。後は戦車とか戦争に使うモノを壊してから行かない?」
ライラは賛成した。
 兵隊たちの宿舎に着いた。
「ここにもお金はあるかもね」
それを聞いたライラが頷いた。
 数分後、警報機が鳴った。宿舎でステスとライラが暴れまわっていた。能力を最大限に使い、カールを殺した人間を探していた。もう宿舎は宿舎ではなくなり、鉄筋とコンクリートの塊だった。ステスが強烈な光線で宿舎を叩き割り、ライラが主要の柱を壊していた。そして、お金を巻き上げながら1人1人聞いて回っていた。2人の前で銃は無意味だった。2人とも能力を身に纏って動いていたので、銃弾は2人の手前で跳ね返る、もしくは溶けていた。

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