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いやはや、まさに本のオビに書いてある通り、「世界切望」ですね。
丸尾末広さんの最新作『瓶詰の地獄』です。
わたしには、内容がどうであれ、まず本屋で見つけたら買うべき漫画家さんの作品というのがあって、
それが、星野之宣さん、諸星大二郎さん、そしてこの丸尾末広さんの漫画作品だったりします。
今回の『瓶詰の地獄』は夢野久作作品の漫画化です。
数年前から、丸尾さんは昭和探偵小説の漫画化をされてます。
江戸川乱歩の『パノラマ島綺譚』『芋虫』『踊る一寸法師』ときて、この夢野久作『瓶詰の地獄』です。
ということは、次回作は同じく夢野久作『ドグラマグラ』あたりを期待しちゃうなあ。
でも、同じ昭和探偵小説で小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』なんぞも漫画化して欲しいけど、
小栗作品は匂いたつような淫靡なエロティシズム要素はないので、やはり丸尾さんの好みではないでしょうなぁ(笑)
そう、乱歩も夢野久作もエログロナンセンスゆえに丸尾末広さんの画風にぴったりマッチしてます。
「エログロナンセンス」は大正末期・昭和初期の低俗で下賤な風潮 を示すような意味ですが、
逆にわたしにとっては「デカダンス」の意味同様に虚無的、退廃的、病的な唯美性を感じます。
オビに書いてある「世界切望」の意の中には、久々にオリジナル短編作品3篇が収録されているということも含められているのでしょうね。
あの名作『少女椿』を彷彿させてくれる作品もあります。
昭和レトロ感といい、寺山修司の「田園に死す」等世界観に通じる丸尾ワールドは健在です。
江戸川乱歩×夢野久作×丸尾末広×寺山修司 ……バラバラだった自分の好みがこうやってある作家によって結ばれると作品の志向性が皆同じベクトルであることに気付きます。
表現の形状が文学であれ、漫画であれ、映像であれ、内容は同じベクトルなんですね。
それって、自分の嗜好性が一貫した唯美性があるってことが証明されたようなもので、嬉しいものですね。
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