【Montblanc FP-84 ―― Rolled Gold】
今年に入り、毎週土曜日に定期アップとし、各週のプランも定めて参りました。
そして、きょうは初めての、第5土曜日。私の手持ちの万年筆のご紹介です。
■ 追い込まれ本領発揮のモンブラン
1960年、モンブランがフル・モデルチェンジして誕生した「2桁シリーズ」。
背景には、いわゆる“工業化”の波があり、
それまでの手作業中心での製造や、構造・機構・材質・デザインの多様さは、
膨大なロスを必然的に生んでおり、会社の存続そのものを危うくしていました。
また、ボールペンの台頭のなかで、万年筆の存在価値自体も下がっており、
いかに低コストで、モンブランの名にふさわしい品質を維持するか――
大きな岐路に立たされていたわけですね。
そう考えると、“「2桁シリーズ」は追い込まれて誕生した”とさえ言えそうですが、
こういう時こそ、本当の“勝負時”。
私は、このときのモンブランは、見事な飛躍を果たしたと見ています。
書き味は、
50年代後半に製品化された「ウィング・ニブ」をさらに改良して採用。
あらゆるパーツが、
廉価版から最高級モデルまで、すべてサイズ互換性あり。
構造的にも、
組み立て・分解が、おおむね素人でも可能なほど、簡便。
この三拍子そろったことで、
当時はもちろん、現在に至るまで、多くのファンを魅了しているのだと思います。
つまり、
“モンブラン史上屈指のニブ”とまで言われる書き味を持ち、
不慮のアクシデントにあっても、パーツの入手可能性が高く、
しかも大抵の修理・調整は、自分でできる――
だからこそ、使い続けられるということです。
■ 「機能美」という言葉を実感
今回ご紹介しているのが、【84】。
「2桁シリーズ」のマイスターシュテュック系統のうち、
総金張りの、大型(末尾が「4」)万年筆です。
● 全長:136mm(筆記時:150mm)
● 軸径:12mm
よく、総金張りは“豪華”と評されますが、
実物を手に取ると、そうでもありません。
これは、けなして言うのではなく、“無駄のなさ”がそう感じさせるのだと思います。
携帯性に富んだサイズでありながら、小さすぎず細すぎず。
スライド式のキャップは、取り出してから書くまでのステップが最小限で済みます。
キャップを後ろに挿した時の安定感も、私にとっては必須要件。
金張りされたメタルで覆われていますので、重さも充分です。
父から受け継いだ1本です。
どうやって入手したのかは定かではありませんが、
“蚤の市”好きだった父のこと。どこかで見つけてきていたのだと思います。
ドイツで1965年2月1日に発行された保証書が付いていました。
「DAUERGARANTIE(ダオアーガランティー)」――永久保証ですね。
追憶とともに始まった私の蒐集癖は、
今では、その仲間であるペンシル【86】とボールペン【88】を招き寄せました。
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