【TRY! TRY! TRY! ―― PIX-72G URUSHI】
東京の元朝は快晴。
とても静かで澄んだ空気のなか、厳かな気持ちで迎えました。
今回は、今年の“ブログ・プラン”や、新たにスタートした“試み”のご案内です。
■ 定期アップは毎週土曜日。何かあれば随時書きます!
手探りで昨年2月に開始したこのブログも、
多くの方の励ましに支えられ、記事アップ数も100を超えました。
本当にご愛読頂いている皆様のおかげだと、改めて御礼申し上げます。
原稿の“素(もと)”は、私の散漫な関心を書き付けたノート。
でも、ブログとして公開する以上は
“お読みになってくださった方に、少しでも意味のあるものを”と思っています。
しかし、私ごときがそうした作業を継続することは、やはりなかなか困難なことで……。
“自分で自分を縛って、窮屈になっては本末転倒だ”と開き直って、
書けるときだけ書こうかとも思いましたが、それでは、やはり“張り”がなくなってしまう……。
締め切りを決めて書くという緊張感、
お顔を見たことはなくとも“ひょっとしたら、誰かが待ってくれているかも”という感覚が、
継続することにとって、とてもありがたいエネルギーなんですよね。
そこで今年は、
そうした思案の結論として、「定期ものは週1回」としたいと思います。
基本的なプランとしては、
● 第1週=PIXを中心としたビンテージ・モンブランの個別モデル紹介
● 第2週=文献紹介、訪問記、見聞録
● 第3週=ビンテージ・モンブランにまつわるテーマ研究
● 第4週=映画と筆記具
特に、第4週目の土曜日の「映画と筆記具」は、
端的に言えば、映画やドラマなどに出てくる筆記具に目を凝らし、
私なりの映画評と併せて、ご案内できればと思っている“新企画”です。
したがって、その映画そのものも、自分なりに「イイ!」と思える作品でなければならず、
かつ、取り上げるに値する筆記具が使われていなければならない――
という、プランニングしてみてから“ハードル、上げすぎたかな?”と不安混じりのスタート。
でも、自分らしい企画という観点からは、チャレンジしがいがあると思っています。
ちなみに、「第5週」があった場合は、
● 第5週=万年筆
とし、数はさほど多くありませんが、手元の万年筆もお披露目できればと思っています。
さらに、時々に応じた話題は、随時、アップしていきます。
場合によっては、連日、更新することもあるかと思います。
いずれにしましても、まずはこの予定で新出発しますので、ご愛読頂けると幸いです。
■ やってみました! 漆塗り。
トータルに言って、今年の私自身のテーマは「TRY! TRY! TRY!」。
先に考えすぎて、何もなさずにいるより、
思い切って、自分の関心を広げ深めながら、挑戦し続けようと思っています。
「素人だから」とか「ただのサラリーマンだから」と自分に言い訳し、
“だから、できない”と言ってしまうのは簡単なこと。
でも、その“仕方がない”という壁を、
打ち破ったり、破れなければ乗り越えたり、それでもダメなら巧みにかわしたりして、
ともかくも“前へ!”。
そうすることで、豊かになるものがあるというのが、昨年の実感でした。
そんな意気込みだけでも伝わればと、
今回ご紹介しているのは、「漆塗りPIX」です。
昨年、「梅田コレクション」に直接触れたことや、
「ペン!×3 ファウンテンペン!」で様々な“万年筆への愛のカタチ”を知ったことで、
ビンテージ・モンブラン、わけてもPIX偏重であった私の関心は、
大きく視野が広げられました。
その視線の先にあったものの1つが、「漆」という技術です。
それまでは、とかく“舶来モノ”が好みであった私……。
漆塗りとか、蒔絵とかには、まったく触手が動きませんでした。
ところが、実際に触れ、漆のことを調べていくと、
その興味深いこと、奥深いこと!
そして、より深く理解するためには、やってみるしかないと思い立ち、
手元に道具をそろえながら、スタートしました。
■ 装飾性はもちろん、補填材・接着剤・保護材としてもスゴイ――かも?!
私の性分からして、新たな関心は、もとの関心から“枝分かれ”したもの。
それを太らせて、さらにもとの関心と絡み合わせる――無意識的に、そうしてきました。
今回もそんな感じです。
手元には、PIXの使えなくなったパーツがいくつかあります。
とりわけ、戦前モノは、エボナイトを主とした製品であるため、
真鍮でできた機構と口金は生きているんですが、
ボディは極度の色褪せやヒビ割れなどでお釈迦……といったものが多く、
いい再生方法はないものかというのが、ずっと自分的な課題でした。
その課題に最良の解答になるのでは――。
昨年秋以降、文献を乱読し、漆塗りの道具を扱っているところを物色し、
はじめは、いくつか小皿などで実験し、漆の扱い方の基本だけ確認して、
“まあ、まずはやってみるか”と、取り出したのが【72G】でした。
今悔やんでいるのは、その時の“出発状態”を撮っておけばよかったなぁ、と。
正直、1発目で、ここまでいくとは、思ってなかったんです。不覚でした(笑)。
この【72G】は、本当に朽ちかけていました。
ボディのエボナイトが黄土色に変色してしまい、クリップより上側の部分にはクラック、
ノック部は、ホワイトスターの周辺部が、痩せて縮んで割れ溝ができていました。
そこで、エボナイトの表面をサンドペーパーで整え(400番で粗くやって3000番で調整)、
クラック部は漆で接ぎを、割れた溝には砥の粉を混ぜた漆で埋めを行い、
その上で、基本は透漆、センターリングからクリップまでを朱漆を施しました。
塗って乾かし研いで……を、都合7回繰り返しました。
最終の研ぎが終わってから、センターリングの金メッキも化粧直ししました。
グラグラだったセンターリングもしっかり固定されたし、
ノック部もホワイトスターの部分だけ研ぎ出して残せたし、
クラックも溝も、跡形なく仕上がってくれ、
全体としては、漆らしい艶やかな仕上がりに達したことに、まずは満足です。
試行錯誤しながらやっていましたので、約2カ月、かかったことになりますが、
ものすごく発見が多く、知的好奇心もかき立てられ、長くは感じられませんでした。
(というか、合成ものではない漆を使う以上は、時間がかかることは覚悟しておりました)
楽しくて、途中からさらに2本追加して、やってます。
漆について、あちらこちらに書かれていることですが、
「装飾性はもちろん、補填材として、接着剤として、保護材としてスゴイ」――
これは、相当、本当かもしれません。
「かも」としてあるのは、時間的耐久性については、もっと時間をかけないと分からないからです。
この【72G】を実際に使いながら、接いだところや表面の変化など、じっくり確かめてみます。
■ トライすれば、失敗もある。でも、予想外の収穫も!
それにしても、これができると、今度はいわゆる“蒔絵の技術”にも興味津々。
今回の【72G】もそうですが、
金刻印されているロゴやモデルナンバーは、そのままでは漆の乗りが悪かったので、埋めてしまいました。
(恐らく、金を貼り付けるために用いられてる何かが、滲み出てきてしまいました)
でも、“蒔絵の技法”を研究すれば、
刻印部だけに金を蒔きながら残し、さらには浮き上がらせることまでできるかもしれません。
また、どうせ自分が使うものですから、オリジナルな絵やデザインを付けてもいいかもしれません。
簡単ではないでしょうが、学んで学んで、
自分の感性を磨きながら、いろいろトライしてみます。
当然ながら、プロがやれば、もっと良く仕上がるでしょうし、
そうした目から見ると、私のやったことは“お遊び”だとは思います。
でも、漆はもともとプロの独占物ではなく、生活に密着して使われてきたもの。
また、やってみたからこそ、漆や漆を使った日本の知恵への理解が深まり、
大いに心が高鳴っているのも事実ですから、
私にとっては、文字通り「一挙両得」なチャレンジです。
新年早々、かなりロングになってしまいましたが、
ともかく「TRY! TRY! TRY!」で行きますよー!
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