ビンテージ・モンブランの備忘録

毎週土曜日が定期アップ。心が温められたり揺さぶられたときには、イレギュラー投稿もあります。

BP:個別モデル

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【BP−18】

そろそろ東京も梅雨明け宣言でしょうか? 朝、蝉の声で目が覚めます。
でも最近は、梅雨明けが、あまりはっきりしなくなってきているような……。
映画「不都合な真実」を観ようと思っているのに忙しくて先延ばしになっています。

さて、今回は、60年代の「2桁シリーズ」から
マイスターシュテュックのBP(ボールペン)で、モデル【18】です。

これまでにも、末尾「8」については、【BP−78】 【BP−88】 【BP−38S】
などをご紹介してきましたので、特徴だけ確認しておきます。
 ● レバー部は、ギザギザ無しのフラット仕上げ
 ● 口金部は広く、現行の替え芯(太めのペン先)が使用可能
 ● クリップ内側の切り込みは、浅め

そういえば、蝉の声に続いて聞こえてくるのは、夏休みに入った子供たち向けの「ラジオ体操」の音楽。
私は、夏休みらしい夏休みは取れそうもありませんが、気分だけでもと思い――“お知らせ”です。

「夏休み」と言えば「自由研究」。
そんな気分で、今月は少し“企画もの”をやりたいと思います。
土曜日の“PIXのモデル紹介”は変えませんが、
次の水曜日に、そのPIXに関連するレポートをアップしたいと思います。

つまり、次の「土曜日+来週の水曜日」を皮切りに、都合4回。
いろいろ気になって調べたり集めたりしてきたものを、ご紹介できればと思っています。
「お楽しみに!」――なんて強気な予告はできませんが、
自分なりにおもしろいと思ってきたことを、ちょこっと、整理してみます。
きちんとまとまるかな?……ともかく、やってみよう!

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【BP−115 グリーン縞】

さあ、いよいよ梅雨明けですね。
私にとって“湿気”は、“ナメクジに塩”と同じくらい、大の苦手。
暑くても構わないのですが、カラッとしいてほしいんです。
ここ数日の東京の朝は、本当に清々しく、
それだけで、いつもの風景も違って見えます。

そんな気持ちで今回は、
夏の草木を思わせる、深い緑縞のBP(ボールペン)で、
50年代のスライドレバー式【115】のご紹介です。
 ● 製造=1958〜59年
 ● 全長=123mm

以前、この世代のマイスターシュテュック系統のグレー縞モデルとして、
BPの 【615】 や、PIXの 【172】【672】 などをご紹介してきましたが、
これらに比べると、グリーン縞は、みずみずしく、若々しい印象があります。

でも、このグリーン縞は、
ちょっとだけ気を付けてあげなければならないことがあります。
それは他に比べ、経年の“色の変化”が顕著なんです。

最も大きな理由は「日焼け」によるもので、グリーン縞は、紫外線にとても弱いんです。
普通に屋内で使用している分には、気にしなくて大丈夫ですが、
例えば、窓辺に机があり、長時間直射日光にさらしたりすることは、NG。
そのほか、万年筆の場合は、インクが悪質だと「染まり」もあり、
いずれの場合も、まさに草木が枯れるように、色合いが茶けてしまいます。

すでに製造から半世紀の時を経ていますから、
変化はあって当然です。
でも、この独特なセルロイドの技術はすでに絶えて失われたものですし、
できる限り長く、いい状態で残してやりたいなぁ。

使っているだけで、気分も明るくなるようなグリーン縞を挿して、
きょうも元気にお仕事、お仕事!

BP−88

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【BP−88】

60年代の「2桁シリーズ」から
総金張りのBP(ボールペン)で、モデル【88】です。

先週の 【BP−78】 で、こってり気味に、
「2桁シリーズ」の末尾「8」モデル比較をやりましたので、
それに沿って、特徴だけ確認しておきます。
 ● レバー部は、ギザギザ無しのフラット仕上げ
 ● 口金部は広く、現行の替え芯(太めのペン先)が使用可能
 ● クリップ内側の切り込みは、浅め

話はそれますが、
こうした“メタル・ボディ”の製品の撮影は、
実は一番、手こずります。

私は撮影の際、
それぞれのペンの“いい表情”が残せればと思っています。
かといって、素人撮影ですからスタジオなどはありません。
せめて、均一に光が当たり、なるべく余計なものが写り込まないよう、
机の上に白い布で小さなテントを作って撮影をしています。

それでも、フルメタル・ボディの場合、
どうにも写り込みが避けがたく……。
例えば、今回の写真の場合、
胴軸に黒っぽく見えるのはカメラのボディ。
かろうじて、私自身は写り込まずに済んだようですが、
これまでのいくつかの写真には、
小さく歪んだ私が写り込んだものもありました(笑)。

少しずつ角度を変えながら、何枚も撮影し、
アングルや写り込みの強弱、色合いやコントラストのバランスを見て、選択します。
通常、「全体像」「ノック部のホワイトスター」「ロゴやモデルナンバーの部分」の
計3カットを重ね合わせて1枚にし、アップしているわけですが、
今回の場合、撮影枚数は撮り直しも必要だったため、124枚にもなっていました。

まぁ、これがフィルム撮影だったら、とてもじゃないですが、続けられませんね。
「デジタル・カメラ」だからこそ、可能なことだと思います。
そして、「ブログ」という、
やはり10年前には考えられなかった“デジタル・ツール”があってこその、この「備忘録」。
そういう意味では、いわゆるデジタル時代だからこその産物ですが、
少しでも、作った人、売った人、買った人、使った人など、
この“1本”にかかわった「人」の温もりが伝えられればいいなぁと……。

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【BP−78】

60年代の「2桁シリーズ」のBP(ボールペン)【78】です。
今回は、少し角度を変えてご紹介します。
“間違い探しゲーム”のような、“探偵ごっこ”のような――。
長めの原稿になってしまいましたが、少々お付き合いください。

■1つ前のモデル【77】■

「2桁シリーズ」のスライドレバー式BPは、
末尾が「7」のものと、末尾が「8」のものがありますが、
製造年数は、
 ● 末尾「7」:1960〜61年
 ● 末尾「8」:1961〜70年
と、極端に「7」が短くなっています。

末尾「7」のモデルは、デザイン上、
それに先立つ50年代BPのスタイルを、かなりの部分継承していて、
 ● スライドレバーの先端部は、ギザギザ仕上げ
 ● ペン先の口金部も、細いノズル
写真のなかの、白枠で囲まれているものが【77】です。

■【78】についての一般的認識と、それに当てはまらない個体■

その上で、今回の話のメインである【78】についてですが、
末尾「8」のものは、デザイン上、
 ● スライドレバーのセンタ部は、ギザギザなしのフラット仕上げ
 ● ペン先の口金部は、リフィルのペン先の大型化にあわせて、広いノズル
と、一般には理解されています。
特に、『趣味の文具箱』vol.3で「2桁シリーズ」が特集され、
そこでのこうした記述をお読みになった方も多いのではないでしょうか。

しかし、私が手にしてきた経験上ではありますが、
末尾「8」については、他のタイプも存在しているのでは?
それが今回のテーマです。

2本の【78】を、比較しやすいように撮影しました。
写真1は全景、2はスライドレバー部、3は口金部、4は刻印です。
各写真とも、向かって右側の個体はすべて右側に、左側の個体は左側に写るように置きました。

向かって左側の【78】は、確かに、一般的に理解されている【78】の特徴を備えています。
しかし、右側の【78】は、明らかに、それとは違う特徴を見せています。

■【78】には少なくとも2タイプあったのでは■

私なりに考えてみたところ、
向かって右側の【78】は、【78】の前期モデル、
向かって左側の【78】は、後期のモデルではないかと思っています。

なぜ、向かって右側が先だと思うのかというと、
まず、レバー先端のデザインが【77】と同じということが挙げられます。
しかしそれ以上に、右側の個体は、口金部が狭いタイプになっているからです。

写真3枚目の口金部のアップ写真を見る限り、
右側の【78】も径が広く、左側と同じリフィルでも対応できそうです。
しかし、実は、できません(!)。
左側と比較して、口金の帯幅が狭くなっているこの【78】は、
写真では写しようがないのですが、
口金の内側に径を狭くするガイドが付いていて、現行品が通らないのです。

以前、「BPの替え芯」 について書いた際に、
同じジャイアント・リフィルでも、60年代のある段階で(正確な年は不明ですが)、
ペン先が太く(=現行品と同じ太さに)なったことをご紹介しました。
したがって、口金の径が狭いものの方が、より古いものだと考えられます。

■同じ【78】でも、刻印にも違いが■

写真4をご覧いただくと、
刻印にも違いがあることが分かります。

先に触れた『趣味文』では、
“「No」の文字が無いのが前期もの”であり、
“刻印が小振りなものが前期もの”と紹介されていました。
さて、このテーゼはどうでしょうか?

確かに、【77】と比べると、
【77】には「No」が無く、【78】には2本とも有ります。

刻印のサイズについては、
【78】同士を比べると、より古いと思われる右側の方が少し小振りです。
しかし、
【77】も含めて比較すると、
写真の【77】の文字サイズは、右側の【78】よりも大きく、
左側の刻印の大きい方の【78】と同じくらいに見えます。

また、着眼点を変えて見ると、「7」の字体に違いがあることに気付きます。
「7」の字に、ヒゲが有るものと、無いもの――。
【77】無し、右の【78】有り、左の【78】無し。

当然写真に写っているものが、すべての個体を代表するわけではありませんので、
これは他にも見てきたものを含めた上での推測ですが、
私は、この「2桁シリーズ」の刻印についての、
「文字サイズの大小」や「字体の違い」は、
年代よりも、製造した工場に依るところが大きいのではないかと思っています。

少なくとも、「No」文字のの有無については、
初期にはなかった、ということだと思いますが……。

■さらに末尾「8」の“最初期モデル”もある?■

こうして目の前の個体にのめり込むと、かえって見えなくなるものもあります。
ですから、原点に戻り、『Collectible Stars』を見てみました。
「2桁シリーズ」のスライドレバー方式BPばかりが写っている58頁。

すると――
写真の鮮明さが欠けるため、断言はできませんが、
ここで【18 レッド】【78 ブラック】として紹介されている個体は、
これまでの特徴でいえば、末尾「7」と思われる
ギザギザ有りのレバー部、そして、ノズル自体が細い口金部を持っています。
他に写っている末尾「8」は、
今回ご紹介した2本の【78】のいずれかのパターンに当てはまりそうなのですが……。

確かに、「Collectible Stars」には、誤植が少なくありません。
ですが、ご承知の通り、この筆者はモンブラン創業者一族の末裔であるという、
コレクターとしてはこれ以上ない環境にある人です。
その人が、同じページで2本も間違えるとは考えにくく……。

むしろ、末尾「8」の“最初期モデル”は、
末尾「7」と同じ規格だったのでは?

しかし、それではなぜ、
モデルナンバーを「7」から「8」にしなければならなかったのか???
その理由が見あたらなくなり、謎が謎を生みます。

■小括――私なりの仮説:末尾「8」には複数モデル■

さて、こうした違いは、パーツの取り替えによって生まれた違いなのでしょうか?
しかし、今回ご紹介した2本は、ともにほとんど未使用と思われる状態。
パーツ替えが必要となるようなものとは思われません。
そして何より、私がこの2本を例示したのは、
これらと同じ特徴を持ったものを、いくつも実際に見てきたからです。

そこで、私なりの小括は、
 ● 末尾「7」は、レバー部がギザギザ、口金は細ノズル
 ● 末尾「8」は、3タイプ
   (1)最初期:末尾「7」と同じ規格
   (2)前期:レバー部がギザギザ、口金は一見広口だが、内径が狭い
   (3)後期:レバー部がフラット、口金は帯幅が広く、内径も広い
 ● 恐らく、末尾「8」の(1)と(2)は、少数。でもやはり存在する
 ● 刻印のサイズや字体は製造された工場ごとに異なるのでは?
 ● ただし、「No」の文字の有無は、前期にはないと思われる

もし、お手持ちのものがあったら、ご覧になってみてはいかがでしょうか?
この小括が、果たして本当に10番台、20番台、30番台、80番台、90番台にも当てはまるのか、
もっともっと多くの個体を見てなければ、分かりません。
でも、こんな小さな比較が、
私なりのビンテージの、尽きることのない大きな楽しみ方なのかなと思います。

■クラフトマンシップへの敬意■

こうやって、探索すればするほど、“正解”は見つからなくなります。
知れば知るほど、分からないことが出てくるからです。

本当の“正解”は、
当時の製造についてよく知る方に聞くとか、
すべての製造に関する書類を読むとかしない限り、分かりません。

でも、いつの日か、“正解”に出会えるまで(そして出会えなくとも)、
何が何のために変えられ、どこが譲れなくて変わらなかったのかを考えること、
そのなかで、自分なりの仮説を立て、検証し続けることは、
今も私を含めた多くの人を満足させる道具を作った人たちへの、
そして少し大げさになりますが、そうした人たちを育んだ文化への、
私なりの敬意の表し方のつもりです。

以前も記しましたが、「2桁シリーズ」は、
モンブランが工業化・均質化・量産化などを飛躍的に進めるために生まれたモデルでした。
でも、その過渡期ゆえ、ビンテージ品としての“最後の煌めき”のようなものを感じます。
それは、多分に、人の手でなされた部分が比較的多いという、人間的要因によるものだと思います。

基本的に同じなんだけれども、少しずつ違う――。
そこに、何とも愛おしさを感じます。

■追記――クリップにも違いアリ?!■

この稿をアップしてから、
改めて、写真を手にしながら読み返していると、
また発見が……。
クリップにも、違いがありました!

これまで、意識したことがなかったので、
これは今後の課題として、提示しておきます。

着目点は、クリップの付け根付近。
写真2枚目が分かりやすいと思いますが、
レバーが行き来するクリップ内側の切り込みを注目してみてください。

向かって右側の前期【78】は、付け根ギリギリまで切り込まれており、
左側の後期【78】は、比べると、ずっと手前で切り込みが止まっています。

私の手元にある、他の末尾「8」(以前ご紹介した 【38S】 など)は、
すべてギザギザ無しのフラット仕上げタイプなのですが、
それらはすべて、切り込みが浅いもの。

『Collectible Stars』も見てみると、
“最初期モデル”と思われた末尾「8」のBPは、
やはり切り込みが深く……。

この切り込みが浅い方が、
レバーの先端が指にかかりやすい位置で止まります。
やはり後期に改善ポイントとして、設計が変化したものでしょうか?

また検証すべきポイントが増えました(笑)。

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【BP−615 グレー縞】

50年代のマイスターシュテュックの1つ、
スライドレバー式BP(ボールペン)【615】です。

以前、この “標準モデル” をご紹介しました。
今回のものは、金張りのキャップ部は同じ規格ですが、
ボディが、グレー縞のセルロイド製になっています。
 ● 製造:1958〜59年
 ● 全長:125mm

50年代物のBP自体が、製造年数が短く、
加えて、カラー・セルロイド仕様は稀少なものでもあり、
なかなか巡り会えないモデルで……。
そんな彼女(?)に、朗報がありました。
                  (次回に続く)

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