ビンテージ・モンブランの備忘録

毎週土曜日が定期アップ。心が温められたり揺さぶられたときには、イレギュラー投稿もあります。

PIX:特殊モデル

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【Montblanc Pix Streamline - Rolled Gold】 

ようやく、「目次」を整理することができました。
ヤフー・ブログでは、1つの記事の文字数が限られているため、どうしても複数になってしまいます。
昨2007年分は、2つに分けてあります。
さらに今年のものを新たに加えました。
今週は2月の第1土曜日、個別モデル紹介のコーナーです。

■ 手作業を感じさせる彫金技術
1930年代から50年代前半まで製造されていたメタルPIXです。
これまでにも、銀無垢のもの( コレコレ )やアルパカの製品( コレ )を
ご覧いただいたことがあります。
今回のものは、ゴールドの鍍金が施されています。

メタル製品の魅力は、その丈夫さはもとより、
そこに施された彫金装飾にあります。
大きく拡大してみると、
はみ出たライン、間違って彫られたライン、きちんと結びつかないライン等々……
手作業ならではの痕跡が見て取れます。

今回のこのPIXは、これまでにご紹介したものに比して、そうした“ミス・ライン”が多いと思います。
現在の工業製品の基準で見れば、“不良品”とさえ言われてしまうかもしれません。
でも、これもまた、私にとっては時代性をよく伝えてくれているように思えて、愛おしいものです。

■ 「WALZGOLD」って?――「金張り」と「金メッキ」
クリップ先端部に刻まれている「WALZGOLD」の文字。
いわゆる“金メッキ”の刻印です。

英語の表記では、「Rolled Gold」となりますが、
モンブランのビンテージ製品については、時代によって「Rolled Gold」の製法が異なります。
日本では、「金張り」と「金メッキ」として訳を分けられていますが、
一見しただけでは(特に状態のいいものの場合)区別が付きにくいのも事実です。
でも、試してみなければ納得できない私は、
このPIXで“実験”をしてしまったわけでして……(笑)。

私が手にしたとき、このPIXはすでに、かなりメッキが剥がれ、スレなども多数ありました。
そこで、“惜しむべからず、確かめてみるべし!”と意を決し、全部、剥がしてみることにしました。
メッキなら、金属用のコンパウンドで磨けば、地金(じがね)がむき出しになるはずだ、と……。
結果は――見事に、地金でピカピカの状態に。地金は、恐らく銅がメインの金属だと思います。

一方、「金張り」は、
主として、1950年代の【600番台】や【700番台】、
60年代の2桁シリーズの【70番台】や【80番台】に用いられた
“金の板を巻き付けて圧着”させたものです。
したがって、メッキよりも、はるかに丈夫。
「金張り」は、当時の「金メッキ」の弱さを克服するための“代替技術”だったわけですが、
半世紀近く経ってみて、「金張り」の方がベターだなぁと、思います。
恐らく、かかる費用は、メッキに比してかなり高いと思いますが……。

“実験台”になってもらったPIXには、改めて金メッキを施して“化粧直し”をしてあげました。
化粧直しは、部分的にはできません。金の色合いが異なってしまい、まだらになってしまうからです。
化粧直しするためには、「全部」やるしかないわけです。

こんな私の好奇心の犠牲者(?)となったこのPIX。
とてもきれいになったことと引き替えに、
オリジナルの状態に比べると、ちょっと色合いの強い「WALZGOLD」になりました。
その最大の理由は、用いたメッキ液が「24金の厚塗り」によることだと思います。
(ちなみに、モンブランのオリジナルの金メッキの雰囲気は、おおむね こんな 感じです)

私の方は、
メッキについていろいろ確かめられたし、
見違えるほどきれいになったので、やってみてよかったと思っていますが、
当のこのPIX自身は、喜んでるかな? 悲しんでるかな?

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【原点に還って――PIX Pre-Montblanc】 

明けましておめでとうございます。
今年も、私の好きなビンテージ・モンブランを中心に、
筆記具や、やや広げて文具全般について、
心赴くままに、触れて調べて考えて、綴っていきます。

■ モンブラン社が飛びついたPIX
年頭を飾るのは、PIX(ピックス)の源流。
モンブラン以前のPIXです。

モンブランがPIXを販売することになった経緯については、
PIXの誕生 」と題してご紹介したことがあります。
端的に言って、PIXは、ある会社が製造したものを見て、
モンブランが社として、その特許や担当者ごと買い取ったことが、ことのはじまりでした。

その“プレ・モンブラン”のPIXの1つです。
シルバー製。全長103mmの8角軸です。
ノック部には、当然ながら、ホワイト・スターはなく、
「PIX−PATENT 900」という刻印だけがあります。

でも、分解してみると、機構はまったく同じ。
ペン先に3本のスリットも入っています。
この銀製PIXは、モンブランの銀製PIXと比しても、
その彫金技術や意匠なども、そのままモンブランに引き継がれたのではないかと……。

同時に、分からないこともあります。
そもそも、このPIXの開発社名は何というのか?
なぜスリットが、モンブランは斜めなのに、これは垂直なのか?
――こうしたことを知るためには、
もっと多くの個体を探し続け、尋ね続けるしかありません。
でも、そんな疑問があるから、私の“知りたがり心”が働き続けてくれるわけで、
気長に追い続けたいと思っています。

まずは、新年のご挨拶です。
明日2日、改めて、今年のプランをご案内します。

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【PIX−Alpacca(アルパカ)】

土曜日ですので、PIXのご紹介です。
今回は、戦前を中心に製造されたメタルPIXから1本。

材質は、日本語では「洋銀」とか「洋白」と訳される、アルパカ製のものです。
クリップの先端に「ALPACCA」と刻印されています。

身近なところでいえば、日本の500円玉なども「洋銀」。
銅をベースとした、ニッケルや亜鉛などの合金です。
ちなみに、名前に“銀”が使われていますが、実際には、銀は含有されていません。
銀が高価でなのに比して、その雰囲気を模しながら、安価に使えるものとして、
古くからヨーロッパを中心に、使われてきた素材です。

メタルPIXのなかでも、このように大振り(全長=12cm)で、6角・流線型の軸のものは、
見た目の愛らしさと、握り心地の良さで、評価の高いものですね。
私も大好きです。

これまでにもメタルPIXは、銀モノの 「丸軸」「8角軸」 をご紹介しましたが、
それぞれ、軸に施された彫金が異なり、趣きが違ってきます。

今回ご紹介しているものは、全体が格子状で、
その各格子に、プレーンな面とバーレイ・コーン柄を、交互に配してあります。
どことなく、若々しい品の良さを感じさせてくれるデザインです。

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【PIX−Silver(2)】

前回のBP(ボールペン)で、銀ものをご紹介しましたので、
PIX(ピックス)も、銀ものということで……。

戦前を中心に作られた、メタルPIXです。
クリップの付け根に、「835」と銀無垢(20銀)のマークが刻印されています。
全長は120mmで、8角形の軸になっています。

このメタルPIXの特徴の1つは、その彫り込まれている模様です。
メタルPIXによく見られるのがギローチェ柄(麦穂柄)ですが、
そのギローチェの面と交互に組み合わされている面の柄が、ちょっと珍しいものです。

これを“何柄”と呼べばいいのか見当も付きませんが、
細かな線を刻み込むことで、3連の方形を浮かび上がらせています。

以前、メタルPIXについて書いた際に、
「リスト作成が不能」と言われていることを紹介しましたが、
その最大の要因は、この彫金のデザインの多様性にあります。

こういう金属装飾を見ていると、私は、
“彫ったのかな? 型に流し込むのかな?”とか
“どの程度機械化されていたのかな?”とか、
作っていた人たちのことを考えはじめてしまって止まりません。
結果的に“いつか調べてみたいことメモ”ばかりが増えてしまっています(笑)。

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【PIX−Silver(1)】

今回は、メタルPIX(ピックス)のご紹介です。
1930年代〜50年代に製造された、メタル・ボディを持つPIXは、
大変バリエーションに富んでいます。

それは、
 ● 材質
 ● 彫り込まれたデザイン
 ● ボディの形状
 ● 全長
 ● クリップの形状、有無
などの組み合わせが、製造時期や製造作業所などで異なるため、
「完全なリスト化は不可能」と言われるほど多様になってしまったそうです。

● 材質
 ○ 金無垢(一度でも、手にしてみたいものです)
 ○ 銀無垢(純度はさまざまで、「900」「835」などの刻印があります)
 ○ 金張り(「DOUBLE」と刻印されているものが多いです)
 ○ 洋銀(「ALPACCA(アルパカ)」と呼ばれるものなど、
   ニッケルや亜鉛などの合金で、実際には銀は使われていません)

● 彫り込まれたデザイン
 ○ ギローチェやストライプの組み合わせが基本
 ○ アクセント的に、菱形や幾何学模様なども(それこそ“無数”のパターンが)

● ボディの形状
 ○ 丸軸ストレート
 ○ 8角軸ストレート
 ○「ストリーム・ライン」と呼ばれる流線型の丸軸
 ○ 同じく「ストリーム・ライン」の6角軸

● 全長
 ○ 9〜10センチのショート
 ○ 12センチ前後のロング

● クリップの形状、有無
 ○ クリップの形状は、まず、当時の万年筆のクリップのスタイルと同じだけあり、
   さらに、メタルPIX独自のものも存在
 ○ クリップ・レスや、リングが付いたものも

言葉では、お伝えしきれないものがありますね……。
今回の写真について、見てみます。
代表的なスタイルの1つだと思います。

 ● 材質=銀無垢(900)
 ● 彫り込まれたデザイン=ギローチェをストライプ・アレンジ
 ● ボディの形状=丸軸
 ● 全長=120mmのロング・タイプ
 ● クリップの形状=蛇型マイスターシュテュック・タイプ

使っていると、銀無垢特有の“温もり”がたまりません。
金属ですから“冷たい”はずですが、
(化学の授業みたいですが)銀は熱伝導率が高いため、
貴金属の中で、最もよく日用品に用いられたそうです。

握っていると、その手の温もりがそのままPIXの温もりに――お気に入りの1つです。
また機会があれば、別のメタルPIXをご紹介します。

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