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S君からメールをもらったのは先週だった。
買い換えたPCでいくつか分からないところがあるから都合のいい日に教えてほしいという内容だった。
彼の家は世田谷の東京農大近くの都営住宅なので車で向かう。
夕方5時前、来客専用のスペースに車を駐め2階に上がった。
いつものようにS君のお母さんが明るい声で出迎えてくれる。
S君は東京都大島生まれの35歳、しかし身体に重度の障害がある。
生まれるときにお母さんの産道で詰まり一時酸欠になり脳にダメージを受けた。
そのため全身に障害が残った。
彼は上半身の動きだけで這うように室内を移動する。
もちろん外での移動は電動の車椅子、そして言葉を明瞭に話すことのも難しい。
普段は障害者施設に電動車椅子で通い働いている。
水曜日と週末の土日が休みらしい。
そんな彼の趣味は音楽とカメラ。
今はiPodを持ち歩き、NIKONのデジカメで好きな写真を撮っている。
先週は世田谷美術館で初めて個展を開いた。
行動派の彼はカメラを持っていろいろな所へ出かけては写真を撮っている。
ほとんどの作品が旅先の景色や街のなにげない風景だ。
車椅子に乗って撮っているので、普通の人より視線が低い。
そして、彼だけの独特の視点と構図がまた不思議だ。
僕は冗談で彼によく言う。
「Sくんアングルだね。」
普段は見逃すような不思議な世界がそこには広がっている。
彼の作品はその世界をひとつひとつ丁寧に撮っていくことだ。
額に納まった約50点の作品が陳列された展示ルームの彼はとても輝いていた。
そして、ずっと撮りためていた作品に囲まれた彼の顔はとても充実しているようだ。
それから一週間、僕の眼にS君は一回り大きく成長したように見えた。
S君の部屋には今年買い換えたばかりのVISTAのノートがおいてある。
約2時間、そのノートPCの細かな使い方から設定方法まで疑問点を一つずつ解決していく。
それを続けていくことで彼のもう一つの表現の道具であるPCがどんどん身近になっていく。
彼にとってはPCは大袈裟かもしれないが車椅子と同じくらい無くてはならないもの。
友達とのメール交換、コミュニティサイトの仲間との交信としてツール。
写真データの管理、加工、印刷も全てPCでやっている。
万能とは言い難いが、ある程度彼の行動をサポートしている相棒でもある。
その相棒を使いこれからもエネルギッシュに動きまわり素晴らしい作品を撮ってくれるだろう。
そんなエネルギーをもらった僕も素晴らしい仕事が出来るように精進しよう。
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オレもPCの勉強、もっとしよ。
2008/11/12(水) 午後 2:46
大先生も一歩一歩ちゃんと進歩していますね。
写真付きブログもバッチリですね。笑
2008/11/12(水) 午後 2:54
PCの発展はこういう方向にも大きく寄与していたんですね。
普段五体満足に暮らしている僕たちにはない感性が彼にはあるんでしょうか?
彼の才能が認められて大阪でも個展が開かれるようになってくれれば見にいけるのにな。一度見てみたいです。
2008/11/12(水) 午後 3:37 [ ジン ]
ジンタロウさん
何人かの身障者にPCを教えてますが、彼らには独特の感性があるように思えます。
現状では他で作品を展示する計画はありませんが、インターネットで公開出来るように進言してみますね。
2008/11/12(水) 午後 5:04
ハンデがありながら、努力して個展まで開くとはすごいですね。自分が恥ずかしくなってきます。
2008/11/12(水) 午後 6:00
蓮蓮さん
僕も同じで自分の甘さが情けなくなるときがあります。恥
2008/11/12(水) 午後 6:07
GJ
2012/6/12(火) 午後 9:49 [ - ]