青の海 月の光

楽しそうな事があったら、とりあえず一人でも出かけちゃう。

職業ストリッパー

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全6ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6]

[ 次のページ ]

30.エピローグ

デビューから6年が過ぎた。
6年、小学生が学校を卒業し中学生になる期間。そう思うと長くこの仕事をしていると感じる。
だけど6年間は、あっという間だった。
20代になると、時が進むのが早くなる、そんな事を言ったのは、楽屋で一緒になったお姐さんだったか。
 
6年、周りにいる人はどんどん変わっていった。
毎年、何人もがデビューする。そしてそれと同じくらいの人が引退してゆく。
引退という言葉を使ってくれるならまだいい。いつしかいなくなってしまう人も、数多くいる。
ユリカ姐さんも、度重なる身体の怪我の為に、惜しまれながらも引退してしまった。
そして私は「姐さん」と呼ばれるのが自然の立場になった。
 
「のえ姐さん、今日、事務所の後輩が観に来てるんですよ。おしゃべりな子ばっかりだから
迷惑かけちゃうかもしれません」
「そうなの?分かった。じゃあ、何人かストリップにスカウトしちゃおっか?」
「それ、いいかも。私もやってみたいって思わせるパフォーマンス、やっちゃいましょう!」
 
今回、初めてチームショーというものをやる。
相手は亜仁花だ。
今や、数えるくらいになってしまった、同期デビューの子達。
その中意外にも亜仁花は、言葉通りAVを引退し、私と同じストリップ一本の世界に入り、今も続けている。
 
「次は波木のえ嬢、鈴城亜仁花嬢のチームショー『BellWave』です。盛大な拍手でお迎え下さい」
二人、手を取ってステージに向かう。
卑猥で気品あるステージを見せる・・・魅せる為に。
 
 
☆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・☆
 
 
これで周年作「職業 ストリッパー」は終わりです。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか・・・?
好き勝手に書いていた文章を、人に読んでもらおうと思った時、
とりあえずしないといけない事は、だらだらさせずに完結させる事でした。
(はい、これでもエピソードを削ってるんです)
人に読んでもらう以上、途中でやーめたってしたくなかったので。
とりあえず、終わらせる事ができて、良かったです。

最初にも書きましたが、劇場名、踊り子名、演目、すべて妄想で出来ています。
もし似たようなものがあっても、それは偶然です。
あぁ、妄想は楽しかったぁ。
それでは、ただのレポ屋(笑)に戻ります。

29.職業ストリッパー

周年作「rain」は中々好評だった。
何より、自分が踊っていて、楽しくてたまらない。
 
ピンクの傘を前盆に持って行き、パフォーマンスの小道具として取り入れる提案は
ユリカ姐さんからのものだ。
そのおかげで、ストリップらしい官能も表現できたと思っている。
 
ポラでも傘を持って出ると、傘を差した写真をお願いする人も多く、それがまた嬉しかった。
しばらく「rain」を続けるが、いずれまた新しい演目を考えないといけない。
「raku」も近いうちに発表したい。
まだまだ、やりたい事はいっぱいだ。
 
踊っているうちに「rain」の味も深まってきた。
白のタキシードの時は、無邪気な少年に。
赤のドレスの時は、少し憂いのある少女に。
ピンクのドレスの時は、恋を知って急激に大人になった女性に。
自分でも思ってもいない、官能的な演目に成長した。
ユリカ姐さんの「いい演目に成長すると思う」という言葉の意味が分かった。
 
中日も過ぎた公演中。
前盆で、最初のポーズを切った時。
視界に一瞬、いつもと違うものが見えた。
また別のポーズを切る時も。
仰向けになった時、それが何か分かった。
 
白いリボンだった。
 
思わず声を上げそうになった。

リボン、それは初めて経験するステージの彩り。お客さんからの、優しい厚意。
今すぐにでも飛び起きて、リボンさんに「ありがとう」と言いたくなった。
 
だけど、それはしない。
まだパフォーマンスは終わっていないから。
観てくれているお客さんがいる以上、止めてはいけない。
涙が出そうになるが、堪える。
終わるまでは泣かない。
このパフォーマンスだけは崩さない。
 
だって、私はストリッパーなのだから。
 
白いリボンは「波木のえ」のこれからを祝すかのように、ぱぁっと広がった。

28.白と赤が混ざる時

一周年の香盤が始まった。
私もユリカ姐さんも、仮眠程度しか取っていない。
疲れてはいるが、これからのわくわく感の方が大きい。
 
あの後「raku」の振り付けを教えてもらった後、周年作を見てもらった。
アドバイスをいくつかもらって、また見てもらってを繰り返し、気付くと朝になっていた。
 
「いい演目に育つと思う」
ユリカ姐さんの言葉が励みになり、再び周年作を踊る気持ちを生んだ。
 
「のえちゃん、花が来たよ」
スタッフが声を掛ける。見ると、小さな胡蝶蘭の鉢植えだった。
『一周年おめでとう ファンより』と書いてある。
「どうする?楽屋に置くにはちょっと大きいよね。入口に置いておこうか?」
「はい、お願いします」
 
じんと来た。
名前も告げずに、お祝いの花をくれるだなんて。
 
よし、やるぞ
「波木のえ」が一年間歩んだ道が、間違いでなかった事を、ここで証明するぞ。
ユリカ姐さんのように、卑猥で気品あるステージを作り出せるように。
 
周年作「rain」
 
私は白のタキシードを着ている。
白の傘を差して、雨に唄えば。
多少の雨に濡れても気にしない。
軽快なステップ。傘を閉じたり開いたり・・・
ふと、視線を止める。その先にいる人は。
 
曲が雨だれのプレリュードの、しっとりとしたピアノの旋律に変わる。
赤のドレスに赤の傘。
曲に合わせたゆったりとした動き。
彼女もまた、視線を止める。
 
雨音が聞こえる中、男女が出会った。白と赤が重なった。
ピンクのドレスにピンクの傘を差し、前盆へ立つ。
 
はじまりは、いつも雨・・・
傘を閉じ、抱きしめる。
頬ずりし、唇を寄せる。
ドレスの前ボタンをはずし、傘の柄を胸先に当てる。
そのまま、下へ下ろす。
下着をはずし、傘の柄に結びつける。
むき出しになった一番敏感な部分に、柄を当てる。
強く、強く―
身体を痙攣させると同時に、ぱっと傘を開く。
 
雨はまだ降っている。
優しい雨が、身体を撫でる。
傘を閉じ、前盆の後ろへ置く。
「こんなに普通の」の歌詞に合わせてポーズを切る。
身体が軟らかい方ではないので、難しいポーズは出来ないが、出来るだけ綺麗に見えるように。
最後、再び傘を持ち、開く。
一度その場でお辞儀。

雨の降る中、前盆を降り、ステージへ戻る。
最後、傘を閉じて、それを片手に抱きしめて、もう一度お辞儀。
私は客席に降り、一番後ろの真正面に立った。
ユリカ姐さんは、音の準備をすると、正面に横たわった。

タイトルは「raku」
落ちるという「raku」と楽しむという「raku」
二つの意味があるのだとユリカ姐さんは言った。
 
ttp://www.youtube.com/watch?v=3YxaaGgTQYM
曲がはじまり、気だるげに動きはじめる。
起き上がろうとしているようだが、何かに邪魔されているように見える。
ずるずると這う。そしてサビに合わせ、手を伸ばす。
だけど、何も掴めない。その手は虚しく空を舞う。
片手を伸ばし、それをもう片方の手で強くはじく。
―何かの力によって、振り落とされたのだ。
苦しげな、切なげな表情。
 
ttp://www.youtube.com/watch?v=LYtiDCXLAcQ
ピアノの旋律。
恐る恐る身体をあげる。
手を伸ばす、あちこちに触れるような仕草。
自分のいる場所を調べているかのように。
やがて立ち上がり、歩く。ターン、ステップ、少しずつダンスになってゆく。
時折曲に合わせ、ポーズを決める。上を見上げ、手を伸ばすような姿が多い。
ドレスをはがして、袖へ。
そして、レース素材のロングドレスを纏うと、前盆へ立った。
 
ttp://www.youtube.com/watch?v=6CSiU0j_lFA
曲が変わり、身体を後ろへ反らして、寝そべる。
時折、手を伸ばして、何かを受け止めているような動きをする。
下着を取り、手首に巻きつける。
身体を横に倒し、客席に顔を向ける。
口元には笑みが浮かんでいる。
自分の指をそっと秘密の場所にはわせる。
胸のラインをなぞるように動かす。
足をだらりと盆の外へ出す。
胸が何度か上下する。激しい呼吸を感じる。
 
ttp://www.youtube.com/watch?v=WVKx-QeY-v0
一度起き上がると、足をくずして座る。
両手を下から上へゆっくりと上げる。太陽の光を浴びるように。
その光を包み込むように下へ下ろす。そのまま両手を床へつける。
最初の間奏で、片方の足を高くあげる。
その足をゆっくりと下ろし、サビに入ると上半身をうつぶせにして床につけ、
片足をあげるポーズ。
曲調に合わせ、次々と定番のポーズを切ってゆく。
 
 
涙が出た。
raku、このパフォーマンスの意味するところが分かったからだ。
「のえちゃんなら、上手くやってくれると思う」その言葉が意味するところも。
ダンステクニック等ではなく、私の気持ちを知っての事なのだろう。
 
落ちるだけ落ちて、辿り着いた場所。
上にあがりたくて、何度ももがいても、更に落ちてゆく。
どうして私は上に行けないのだろう。
でも、ふと周りを見れば。
この落ちた場所も、居心地が悪くない事に気付く。
楽しい事に気付く。
そもそも、自分が行こうとした上って、何だったのだろう。
ここだって、楽しい場所ではないか。
どこにいても、つらい事はある。だけど、そのつらさを忘れられるステージがここにはある。
ステージがあって、踊れれば、それでいいではないか。
 
 
最後、美しいブリッジ。
すっと片足が伸びた時、スポットライトが当たり、大きな拍手が聞こえた気がした。

26.嫉妬という名の女心

「のえ姐さん、今日マネージャーが車で来てるんで、良かったら送りますよ」
ゲネを終えた亜仁花が声を掛ける。
「ありがとう、でも今日は楽屋に泊まるから大丈夫」
「そうですか、じゃあ私は帰ります。お疲れ様でした」
 
送り迎えしてくれるマネージャーがいる事にも嫉妬してしまう。
同じストリッパー、しかも同期に当たるのに、何て違いだろう。
 
・・・亜仁花が嫌な子だったら良かったのに。
有名な事を鼻にかけて、偉そうにしている子だったら良かったのに。
それだったら、私はこんなにも醜い嫉妬心は起こらなかっただろう。
 
なのに、ずっと仲良くしていたいくらい良い子で。
自分より3つも年下なのに、すごくしっかりしていて。
「送りますよ」なんて気遣いもしてくれる、優しい子で。
 
楽しみだった一周年。だけど、今はそんな気持ちが無くなってしまった。
自分の周年作が、つまらないものに感じてきた。
でも数時間もすれば、ステージは始まってしまう。
「どうしよう・・・これじゃ踊れないよ・・・」
身体が震える。涙が溢れる。
自分の身体が、醜い心に覆われる。
 
―不意に、音楽が聴こえた。
舞台の方からだ。
涙を拭い、音の方へ向かう。
 
ユリカ姐さんが一人で練習をしていた。
そうだ、ユリカ姐さんも泊まりだったんだ、忘れていた。
 
ユリカ姐さんは、手首と膝、足首にサポーターを巻いていた。
そうだよね、と思う。
あれだけ身体を使うダンスをしているのだから、身体を傷めるのは当然だ。
それなのに、舞台ではそんな姿を微塵も感じさせない。
 
曲が終わる。
ユリカ姐さんは汗びっしょりだ。
その反面、さっきまで涙で顔をびっしょりにさせていた自分は、すっかり乾いてしまった。
 
不意にユリカ姐さんがこちらを見る。目が合う。
「す、すみません、曲が聞こえてきたもので、観させてもらいました・・・」
ユリカ姐さんは、反対側の舞台袖へゆき、タオルを取った。
 
「一周年なんだってね」
「はい」
「お祝い・・・ってほどじゃないけど、ひとつ、振り付けをあげようか?」
汗を拭きながら、私の方を見る。
「のえちゃんなら、上手くやってくれると思う・・・どう?」
 
私は何度もうなずく、うなずきながら、言葉が続く。
「は、はい、お願いしますっ」
 
ユリカ姐さんは、そんな私を見て、静かに微笑んだ。

全6ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6]

[ 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

コンタクトレンズで遠近両用?
「2WEEKメニコンプレミオ遠近両用」
無料モニター募集中!
ふるさと納税サイト『さとふる』
お米、お肉などの好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事